家の間取りを考えるヒントとして、生活動線を想定してみるのがおすすめ。生活動線とは、リビングやキッチン、トイレなど行き来する際の線のことです。生活動線が複雑な線になっている場合、良い動線とは言えません。
良い間取りにするには、シンプルな生活動線が一番です。よくあるのは、回遊動線と呼ばれる円を描く動線や、直線で移動ができる動線などです。
今回は4つの動線のポイントについて解説します。自分の家庭の場合はどのような生活動線が描けるか、イメージしてみましょう。
新居の建築で決めるのに苦労した動線はどこ?
家の間取りを決めるのに大切な動線。新居を立てた人たちはどの動線で苦労したのか聞いてみました。
【質問】
新居を建てる際にどの動線計画で苦労しましたか?
【回答数】
家事動線:118
来客動線:34
通勤動線:27
衛生動線:9
調査地域:全国
調査対象:【年齢】20 –
調査期間:2017年03月21日~2017年03月27日
有効回答数:187サンプル
圧倒数を占めた家事動線!
圧倒的に多かったのは「家事動線」という回答でした。
・最も家にいる時間が長く、立ち働いている主婦が動きやすいように、家事動線を重視しました。
しかし、それは結局他の住人・家族にとっても動きやすいいえになりました。(専業主婦・主夫/女性/40代)
生活を良くするなら家事動線を重視するという考え方の人が多い印象でした。続いて2位は「来客動線」です。
・来客がリビングに来るまでにトイレがあるのは嫌だな、と考えトイレの位置に苦労した。(女性/40代)
やはりお客様が来た時に気になるのはトイレですよね。さらに3位の「通勤動線」4位の「衛生動線」と続きます。
・(通勤前は)どうしても洗面所やトイレで苦労してしまいます。(男性/40代)
・家の中のトイレや風呂などと台所との衛生動線計画で間取りの関係で大変苦労した。(契約・派遣社員/男性/60代)
通勤動線も衛生動線も、問題になるのはトイレや洗面所のようですね。
多くの人は生活動線の中でも家事動線を重視しており、それだけ家事にかかる手間や時間が多いことがうかがえます。
それでは、それぞれの生活動線について詳しく解説していきましょう。
家事動線のポイント
時間と労力のかかる家事はできるだけ楽に済ませたいですよね。そのためには、家事動線がとても重要になります。家事の中でも手間がかかるのは洗濯と料理です。
この2つに共通するのは、家の出入りが発生するということ。洗濯は洗った衣服をベランダやバルコニーで干す必要があります。
料理の場合は、調理途中で外に出ることはないかもしれませんが、買い物をした食材をキッチンにしまう、キッチンで出たゴミ出しをするなどがあります。
これらのことを総合すると、効率の良い家事動線は家の出入り・洗濯・料理の3つをリンクさせて考えると良さそうです。
たとえば、買い出しの食料品はすぐにしまえるように、勝手口をつけます。勝手口の横にはパントリーとキッチンを配置して、その奥にランドリールームを設けます。
洗濯物が終わったらキッチンとパントリーを抜けて勝手口へ移動し、バルコニーに出られるようにすれば、効率よく作業できます。
通勤動線のポイント
会社へ行くお父さん、学校へ行く子ども、末の子を保育園へ送り届けるお母さん。こういった家庭の朝は、とても忙しいことが想像されますね。
家族それぞれが朝食と支度をすませて外出しなければなりません。朝の通勤動線がしっかり考えられていない場合、住宅内で渋滞を起こしてしまうでしょう。
朝の混雑を解消するには、通路を広くしてお互いすれ違うことができるようにすることが大切です。
また、同じ時間帯で複数人が洗面所を使うこともあるため、洗面台と鏡は横に広くしてドライヤーやひげ剃りなどを同時に使えるよう、洗面台の両脇にコンセントをつけておきたいところです。
また、お母さんは自分の支度をしながら料理を作ったり、子どもにご飯を食べさせたりしなくてはいけません。
そのため、キッチン、洗面所、リビングを自由に回れる回遊動線を想定しておくのがおすすめです。
衛生動線のポイント
水回りは1ヶ所に集めたほうが何かと効率が良いのですが、その際に迷うのはトイレの間取りです。キッチンの隣は衛生面で抵抗がありますし、リビングダイニングの隣は食事中や来客中に音が気になってしまいます。
それぞれの部屋から行きやすい場所がいいのですが、かといって部屋から丸見えのトイレも落ち着きません。また、昔の住宅でよくある洗面所とトイレが同じスペースにあるパターン。
これはトイレに入りたい人と洗面所を使い人が重なってしまうと、少し気まずい思いをしがちです。来客中のお客様と被ってしまった場合はなおさらですね。候補としては廊下に設置することですが、スペースの節約のために廊下がない家はどうしたらいいのでしょう?
家族全員が納得する位置は難しいかもしれません。もし迷ったら玄関脇が無難です。ただし、こちらも来客中は気がひけるかもしれませんので、家族でよく話し合ったうえで決めるようにしてくださいね。
来客動線のポイント
新しい家を建てたら、友人や会社の上司、同僚、親戚や両親など、いろいろな人に来てもらいたいもの。
こういうシチュエーションのときのために、来客動線もきちんと想定しておきましょう。来客があった場合、玄関から上がってリビングや客間にお通しすることになります。
来客動線のポイントは、この移動の際にプライベートな物が見えないようにすること。洗面所や浴室が見えてしまうのは恥ずかしいですし、来客が見える前に慌てて洗濯物を片付けるなんてことになってしまいます。
また、アイランドキッチンの場合はリビングからある程度キッチンが見えるものですから、いつも気持ちよく片付けておきたいですよね。
そこで、リビングから見えない位置、なおかつキッチンの横にパントリーを設置しておくと、見せたくない物はすべてしまうことができます。
来客者と家族の動線が重ならないようにすると、来客中だから洗面所が使えない……などということもなくなりますよ。
まとめ
シンプルな4つの動線を考えることで、生活しやすい間取りを決めることができます。どれも軽視できない重要な動線です。
動線をスムーズに描くことができれば、家の中での作業がしやすく、またコミュニケーションを取りやすいなどのメリットもあります。
最初のうちは少し難しいかもしれませんが、いろいろと考えていくうちに良いアイデアが浮かぶでしょう。
判断に迷ったら設計のプロに相談するという手もあります。ぜひ、快適な動線ですごしやすい家を目指してくださいね。
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