一戸建てを建てるなら、庭や外構にもこだわりたいという人は多いでしょう。もし、理想の庭や外構のスタイルがあるなら、それを実現できる土地を選ぶことも必要です。
いくら理想の庭や外構のスタイルがあっても、土地の広さや形、高低差などによっては制限されて実現できない場合もあります。庭や外構づくりは設計前の段階がとても重要です。
そこで、実際の庭や外構にありがちな失敗例から、本当に満足のいく庭や外構について探っていきます。
よくある外構工事の失敗例
外構は建物のプランを決めた後に急ぎ足で検討するケースが多く、そのせいか住み始めてから後悔する人が少なくありません。ここではよくある失敗事例を解説します。
失敗例①土地選び
後から取返しの付かない失敗といえるのが、土地選びです。外構に必要なスペースを狭く見積もりすぎてしまうと、どうやっても希望の設計を実現できません。
門やアプローチ、フェンスなどのスペースは、土台部分や隣家との適切な距離などを考えると、意外に広くなるものです。また、間取りの広さを優先すると、どうしても庭やアプローチの空間は後回しになってしまうでしょう。
こうした失敗は、土地探しと家づくりで業者を分けた際に起こりがちです。土地の販売業者は立地や近隣の状況などはよく知っていますが、家づくりには詳しくありません。理想としては、土地選びから相談できるハウスメーカーに相談するとよいでしょう。
失敗例②予算をケチってしまう
外構にかける予算を削ってしまったため、安っぽくみえてしまったり、建物と統一感が出なかったりするのもよくある失敗です。建物のグレードが高いほど、門やフェンスなどのエクステリアに予算をかけないと釣り合いが取れなくなってしまいます。
どうしても出来栄えに納得できなければ、後からお金をかけてリフォームすることも可能です。しかし、この方法は費用が割高になってしまいます。また、既存の門やタイルなどを取り壊せば、余計な費用もかかってしまうでしょう。
逆に成功しやすいのは、しっかりとプランニングしたうえで外構を始めたときです。
外構を建物の付け足しのように考えると失敗しやすくなります。建物と外構を別々に考えるのではなく調和するように考えなければなりません。そのためには、どんな外構にしたいかをじっくり話し合う必要があります。
失敗例③駐車スペースの失敗
駐車スペースで失敗したという声も多く聞かれます。内容を大きく分けると「広さ」「外観」「利便性」の3つです。
【広さ】
・駐車スペースが十分でなく、乗り入れがしづらかった(※車1台分のスペースは間口2.5メートルx奥行5.0メートル以上が目安)
・コンパクトカーからSUVに乗り換えたら、駐車スペースが狭すぎた
・カーポートの柱が邪魔で駐車しいくい
【外観】
・駐車スペース、カーポートを設けたことで、殺風景な風景になってしまった
・カーポートの色合いやテイストが建物と合っておらず、チグハグな印象になってしまった
【利便性】
・玄関との動線を考えておらず、距離が遠くなってしまった
・玄関と門の間に駐車スペースを設けたため、家の出入りや郵便物の確認がやや面倒
このように駐車スペースの失敗は、実際に使い始めてから気付くケースが多いのが特徴です。多くの建築事例を持つ業者に設計を依頼することをおすすめします。
失敗例④水栓やコンセントが使いにくい、または付いていない
屋外の適切な場所に水栓やコンセントがない、または付いていないというのもよくある失敗例です。典型的な例を紹介します。
・子どもが泥だらけになったときや、ペットの足を洗うときに使える立水栓がない
・駐車スペース近くに散水栓(地中に埋まっているタイプ)がなく、ホースの取り回しが面倒
・立水栓の位置が悪く、ガーデニングの水まきがしにくい
・ウッドデッキ近くにコンセントがなく、バーベキューのときに不便
・ベランダを高圧洗浄するためのコンセントを付けておけばよかった
水栓やコンセントを後から追加しようとすると、水道管や電線の引き直しとなり、それなりの費用がかかってしまいます。具体的なシチュエーションをイメージして、位置と個数を決めるとよいでしょう。
失敗例⑤階段や高低差が不便だった
玄関へと続く階段や門扉前の階段が不便だったという失敗もよくあります。例えば、以下の失敗談があります。
・キャリーバッグやスーツケースを運べるスロープを付けておけばよかった
・自転車用のスロープを付けるのを忘れていた
また、将来への備えの失敗としては、次のような例があります。
・足腰に負担の少ない段差が低い階段にすればよかった
・車椅子用のスロープを付けておけばよかった
・階段横に手すりを付けておけばよかった
玄関へと続く階段や門扉前の階段は、デザイン性を優先して決める場合も多いかもしれません。しかし、実用面でも見直しておくとよいでしょう。
失敗例⑥防犯対策ができていない
防犯対策ができておらず、後で追加の施工が必要になったという失敗も多くみられます。特に多いのが照明に関する内容です。日が暮れた後に帰宅した際、門扉や庭が暗くて不安になるという声が多くあります。この場合、照明や人感センサー付きのライトの追加を検討することになるでしょう。
また、門扉やフェンスを強化したため、かえって不審者の隠れ場をつくってしまった失敗例もあります。安全性と見通しのバランスは難しいため、設計士と相談しながら決めていくとよいでしょう。
関連記事:デザインに防犯・プライバシー保護の役割も!新築する前に知りたい外構の特徴と選び方について
失敗例⑦植物のお手入れが大変だった
緑の多い庭に憧れる人は多いですが、「実際に住んでみると、植物のお手入れが大変だった」というのもよくある失敗です。
特に多いのが天然芝についての不満です。絨毯のような天然芝はすてきですが、コンディションを保つには雑草抜き、芝刈り、はげた部分の補修など、こまめなお手入れが欠かせません。芝生は一見簡単そうにみえますが、実は庭いじりやガーデニングが趣味といった上級者向けの庭なのです。
また、駐車場のコンクリートを省いたことで、後々お手入れが面倒になるケースもあります。車を駐車するだけの部分のコンクリートは工事費が安いのがメリットですが、周りに雑草が生えやすいからです。後の手間を考えると、全面コンクリートを検討したほうがよいでしょう。
失敗例⑧ウッドデッキを活用していない
「ウッドデッキを思ったほど使わず、デッドスペースになってしまった」という失敗もよく聞かれます。ウッドデッキはBBQやガーデンランチなど、リゾート地のような過ごし方ができるのが魅力です。しかし、いざ暮らしてみると思ったほど使わないケースはよくあります。
当初活用していても、子どもの成長とともに、個々に過ごす時間が増えたり、親類が集まらなくなったりして、ウッドデッキを使わなくなるのもよくあるケースです。家は数十年住み続けるものですので、ライフスタイルの変化にも対応できるか検討したほうがよいでしょう。
そのほか、ウッドデッキのメンテナンスが大変で使わなくなる例もあります。天然木のウッドデッキは見栄えするものの、数年おきに防腐剤を塗らないと劣化が進み、腐ってしまいます。見た目が悪くなれば、あまり使う気にならなくなるかもしれません。メンテナンスに自信がない場合は人工木を選ぶことをおすすめします。
失敗例⑨日当たりや風の通りが悪い
ブロックやフェンスを高くしすぎて、日当たりや風通りが悪くなってしまったという失敗もあります。ブロックやフェンスは近隣住人や通行人からの視線を遮れるのがメリットです。しかし2メートル近くの高さにする際は、採光や風通りへの悪影響をチェックしたほうがよいでしょう。
また、カーポートを玄関前に設置したため、薄暗くなってしまったという失敗例も少なくありません。ただ、全体の明るさは実際に使ってみなければわからない部分もあるため、カーポートの支柱を調節できるタイプを選んでおくと安心です。
支柱の高さを2.5m程度まで上げると、開放的な明るさを確保できますし、屋根の圧迫感も和らぎます。ただし、その分、雨風が入り込みやすくなります。
失敗例⑩目線が気になる
門扉や堀のないオープン外構は、狭い敷地でも圧迫感が出にくいうえ、外構工事の費用を節約できるがメリットです。特に都心の狭小地などでは、オープン外構の人気が高いです。しかし、オープン外構を選んだものの、外からの視線が思った以上にストレスになる場合があります。
本来、オープン外構は、門扉や塀の代わりに草木や樹木を植えて、景観とセキュリティー面を両立させる欧米のスタイルです。近隣や道路との距離が近い傾向がある日本では、視線が気になる可能性があります。
間取り上、掃き出し窓(庭やバルコニーへ出入りできる窓)や玄関、アプローチがむき出しになるため、暮らし始めて後悔する人が少なくありません。オープン外構を採用したい場合は、掃き出し窓の前だけでも、目隠し用の薄い柵、フェンスを設けることを検討するとよいでしょう。
外構の建築事例
外構工事についての失敗をみたところで、今度は成功事例もみてみましょう。3つの建築事例を紹介します。
実例①CASE735 brighted home
こちらの住宅は旗竿地の地形を活かして駐車スペースを確保。さらに出入り口部分は2階部分の開口部から採光を取ることで、しっかりとプライバシーを守っています。
駐車スペースは全面コンクリート張りでお手入れが簡単。庭は砂利を敷き詰め、あえて植樹しないスタイルで、シンプルかつメンテナンス性に優れています。
注文住宅の家づくり | CASE735brighted home
実例②CASE727 ライトコートハウス
高低差のある立地にあるこちらの住宅は、交通量の多い接道面の開口部を極力少なくした外構が特徴です。
アプローチをL型にして、コンクリート堀の後ろに玄関を隠したため、ガラス張り・ハイドア風の開放感のあるエントランスを実現できました。夜間は入り口が照らされるだけでなく、室内の明るさも感じられるデザインになっています。
実例③CASE698 「景の家」
こちらは大きなガレージと曲線のアプローチが印象的な住宅です。建物と共通の外装素材を使ったことで、ガレージと一体感のあるモダンなデザインを実現しました。
また、傾斜のある立地を上手に活用したアプローチは、植栽のある小道をS字に抜けて、隠れ家のような玄関につながっています。
外構工事で失敗しないために専門家とよく計画しよう!
外構が成功か失敗かを見極める基準は、土地の特徴を活かせているかどうかです。傾斜地でも、その特徴を活かした外構にすれば、狭い土地でも広々と見せることができます。逆に、土地の形や傾斜に合わない外構にしてしまうと、建物との調和が取れなかったり、土地を狭く感じさせてしまったりする結果になります。
ですから、庭付きの新築一戸建てにこだわるなら、土地選びの段階から家づくりが始まっていることを認識し、理想の外構が可能な土地を選ぶことが大切なのです。
ただ、専門的な知識がなければ、満足できる外構にするのは難しい面があります。土地選びと建物・外構の設計に詳しい業者を選んで、理想の家づくりを進めていきましょう。
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