住宅を建てる際には、地震への備えについて考えておくことが大切です。
しかし、地震に備えるための性能は1つではありません。住宅に合った地震対策を考える際には、それぞれの性能の特徴について知っておく必要があります。
今回は制震住宅にスポットを当て、特徴について解説します。
Contents
制震住宅を選ぶ方はどれくらいいる?
地震から住宅を守るために有効な制震性能。
免震、耐震と共に住宅に取り入れられることが多い性能ですが、制震機能を備えた住宅に住む方はどれくらいいるのでしょうか。
アンケートをとってみました。
【質問】
住宅に制震性能を取り入れていますか?
【回答結果】
いいえ : 116
はい : 60
調査地域:埼玉県 千葉県 東京都 神奈川県 岐阜県 愛知県 滋賀県 京都府 大阪府 兵庫県 和歌山県 福岡県
調査対象:【年齢】30 – 39 40 – 49 50 – 59 60
調査期間:2017年09月15日~2017年09月22日
有効回答数:176サンプル
住宅に制震性能を取り入れる方は少ない!
アンケートの結果、住宅に制震性能を取り入れている方は176人中60人と少ない結果になりました。
まずは、住宅に制震性能を取り入れていると回答した方の意見をご紹介しましょう。
(一戸建てに住む方)
・地震に備えた対策を取り入れておきたかったからです。(30代/女性/パート・アルバイト)
(一戸建て住宅を建てたことがある方)
家を建てる時基礎固めとして大きな石を土の中に入れました。家の構造も屋根部分を軽くして制震性能を取り入れています。(70代/無職/男性)
(住宅の耐震構造について知っている方)
・制震性能が無いとショックでひっくり返ったり、重い物の下敷きになったりするので、出来れば最小限に抑えたいと思いました。(40代/男性/正社員)
「制震性能を住宅に取り入れている」もしくは「制震性能を取り入れている住居を選んだ」との回答の中には、住宅の耐震性能をさらに高めたいと考える方が多いようです。
次に、住宅に制震性能を取り入れていないと回答した方の意見をご紹介します。
(一戸建てに住む方の場合)
・これから取り入れたいです(40代/女性/派遣社員)
(一戸建て住宅を建てたことがある方の場合)
・制震構造は魅力ですが、コストが見合いません。(50代/正社員/男性)
(住宅の耐震構造について知っている方)
・古いマンションなのでなされていない(女性/50代/パート・アルバイト)
制震性能を取り入れていない回答の中には、コストと効果のバランスについて疑問に思う方が多いようです。
中には、これから制震装置を設置したいと考える方もいるようですね。
アンケートの結果、住宅に制震性能を取り入れていると回答した方は少ないことが分かりました。
しかし、制震性能を取り入れていないと答えた方の中には「制震性能の機能についてよく知らない」という方も多いようです。それでは、制震性能とはどのようなものなのかを解説します。
制震住宅とは
制震とは、建物に伝わる揺れを別のエネルギーに変換してダメージを軽減する性能のことです。
建物の内部にダンパーや重りなどで作られた制震装置を設けて、地震による揺れを小さくする仕組みになっています。壊れる部分が制震装置部分に限られるため、大地震のときの復旧作業が容易なのが大きなメリットです。
なお、似た言葉に「免震」「耐震」がありますが、意味は異なるので注意しましょう。
制震 |
建物の内部に制震装置を設け、建物に伝わる揺れを別のエネルギーに変換してダメージを軽減する |
免震 |
建物と基礎との間に免震装置を設置し、地盤と切り離すことで建物に地震の揺れを直接伝えないようにする |
耐震 |
筋かいなどを使った工法(耐震工法)を使い、揺れに耐える構造にする |
詳しい違いについては、後述します。
制震住宅を選ぶメリット
制震住宅を選ぶメリットは、「2階以上の上階の揺れが軽減される」、「強風や台風の影響を受けにくくなる」、「建物損傷のリスクが少ない」などが挙げられます。
2階以上の階に伝わる揺れが大幅に軽減される制震住宅は、家具転倒を予防することに効果的です。
また、制震住宅は地震の揺れが直接建物に伝わることを軽減する働きを持ちます。耐震住宅は建物の基礎や壁を強固に固め、地震の揺れに耐える仕組みですが、ダメージが建物に蓄積しやすいです。
一方、制震住宅ならば建物の柱などの間に揺れを吸収する装置を設置することで建物を地震の被害から守ります。揺れ自体が吸収される作りになっているため、住宅にダメージが蓄積せず劣化を防止します。
制震住宅を選ぶデメリット
制震住宅を選ぶデメリットには、「制震装置を設置する位置や数によって効果に差が出やすい」点が挙げられます。
効果を最大限に発揮できる位置に装置が設置されるか否かによって性能が変わってくるため、設置する業者によって地震対策の効果に差が出やすいといえるでしょう。
また、制震性能によって地震対策を行う場合は、建物の材との相性について考えることも大切です。制震装置との相性が良いのは、材が軽く構造が軟らかい建物です。耐震性に優れた、重くて堅い建物とは相性が悪いため注意しましょう。
次に、制震住宅のデメリットとして挙げられるのが「改装時に後付けする装置の効果は、新設時に設置するものよりも劣る」点です。
制震装置は、既存の建物にも設置できます。しかし、制震ダンパーのみ後付けしても効果はさほど有効ではないという意見もあります。制震装置を設置するタイミングは、新築時や大規模な改修となるリノベーション時が適しているといえるでしょう。
制震と免震の大きな違いとは
揺れを分散させ建物を地震の被害から守るという制震装置の仕組みは、免震装置の仕組みと類似する点もあります。制震と免震にはどのような違いがあるのでしょうか。
まず、制震と免震の大きな違いとして挙げられるのが「建物に揺れが伝わるか否か」です。免震装置は、建物の下にある地盤に設置します。地震が発生した際には、建物と装置の間にある空間で揺れを吸収するため建物に揺れは伝わりません。
一方制震装置の場合は、建物の柱や梁に装置を取り付けるため、揺れは建物に伝わります。揺れの力を吸収するプロセスに大きな違いがあるのです。
また、工法や費用にも明確な違いがあります。免震装置は建物の下、地盤に設置されるのに対し、制震装置は建物内の柱などに埋め込まれます。
免震装置は建物の地盤に設置をするため、後付けができず設置費用も350万円から550万円程度になります。一方、制震装置は後付けもでき、設置費用は30万円から100万円程度です。
耐震・制震・免震の違いについて、詳しくは注文住宅を検討する前に… 知っておきたい耐震基準の基礎をご参照ください。
どの耐震性能を選ぶべき?制震住宅がおすすめな人の特徴
地震に強い家を作るにしても、具体的に何を望むかによって免震・制震・耐震のどれを取り入れるべきかは異なります。以下のような希望がある人なら、制震住宅が向いているでしょう。
- 地震の揺れを軽減し、転倒の危険性や建物のダメージを最小限に抑えたい人
- 揺れを軽減させつつコストを抑えたい
- 台風など強風による揺れも軽減したい
- 間取りや敷地の関係で免震を前提にした工事ができない可能性がある
ただし、制震住宅には装置を設置する位置・数によって効果に差が出やすいというデメリットがあります。耐震性に優れた重くて硬い建物より、材質が軽く、構造が柔らかい建物のほうが向いている点も勘案して検討しましょう。
住宅に制震性能を取り入れるときの注意点
住宅に制震性能を取り入れることには一定の意義はありますが、注意すべき点もあります。
まず、耐震工事に比べて制震工事は一般的に認知度が低いです。案件をほとんど手がけたことがない設計事務所や工務店も珍しくありません。「過去に制震工事の案件を手掛けたことがない」場合は候補から外すのをおすすめします。
また、担当する設計事務所によっても対策やその効果に差が出やすいので、施工実績が豊富な設計事務所に依頼しましょう。
デメリットを補う!制震と耐震を取り入れた家も
「地震の被害を最小限に止めたい」と考える方の中には、免震住宅を選ぶ方も多いです。
しかし、免震住宅の設置にかかる費用は高額になってしまいます。住宅の安全性と設置にかかる費用のバランスを取りたいという方におすすめなのが「制震」と「耐震」の性能を組み合わせた住宅です。
耐震とは、地震の揺れに耐えるために建物自体を強固にする性能のことです。耐震住宅に、制震装置を取り付けることでより揺れに強い住宅を実現できます。耐震と制震を組み合わせた住宅は、費用も100万円から200万円の間に収めることができるため、住宅に取り入れやすいこともポイントです。
しかし、住宅の材によっては制震の性能が十分に発揮されないケースもあるため、設置の際には施工業者とよく話し合うと良いでしょう。
リーズナブルで性能が高い!制震住宅にはメリットが多い
制震住宅は、建物に伝わる揺れを軽減する性能を持ち、施工費用もリーズナブルな点が特徴です。使用する材が軽く構造が軟らかい住宅に住む場合は、積極的に導入を検討すると良いでしょう。
より万全に地震に備えたいという方は、耐震と制震を組み合わせた住宅を検討するのもおすすめです。性能と費用のバランスに優れ、住宅に取り入れやすい点も優れています。
フリーダムアーキテクツでは、耐震性能の高い注文住宅をこれまでにもたくさん手がけてきました。お客様一人ひとりのご希望に沿い、高い耐震性能とデザイン性を両立した住宅を設計・施工いたします。
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関連記事:詳しくは、耐震性能が住宅を守る!種類と特徴を解説をご参照ください。
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