住宅の建築を考える際には、木造か鉄骨を使った構造にするのか悩む方もいます。
木と鉄にはそれぞれ異なる特徴があり、住宅を建てる気候や土地によって適した材が変わります。
木を使うか鉄筋・鉄骨を使った構造にするのかを迷った場合は、どのような点に着目して選ぶのが良いのでしょうか。
今回は、木造建築とRC(鉄筋コンクリート造)の特徴について解説します。
Contents
木造建築の工法!特徴は?
木造建築の工法には、大きく分けて2つの種類があります。まずは、木造軸組工法に着目してみましょう。
木造軸組工法は、日本で生まれた歴史の長い工法です。柱などの骨組みを、木材を使って作り耐震性をアップさせるための筋交いを組んでいきます。
しかし耐震性に劣る部分がありますので、耐震性を上げるために柱や梁の数を増やさなくてはならず、空間デザインに制限が生まれることもあります。
現在では耐震性をアップさせるために金属の部品が使用されるケースもあり、より自由に空間デザインが行えるようになっています。
次に、ツーバイフォー工法に着目してみましょう。ツーバイフォー工法とは、2インチと4インチに規格化された木材を組み、建物の基礎を形作っていく工法です。アメリカから伝わったこの工法は、工法が単純であり工期も短いことが特徴です。
施工費もリーズナブルで、耐震性にも優れています。木材を構造に用いる工法は、鉄よりも加工が容易であるため施工費を抑えられます。
防音性も高い!RC(鉄筋コンクリート構造)
RCとは鉄筋コンクリート構造のことを指します。RC構造は、鉄を用いて建物の骨組みを作った後、コンクリートを流し込み壁や床などを形作る工法です。防音性と断熱性、耐震性に優れた建物を作ることができるというメリットがあります。
木材や軽量鉄骨を用いた住宅構造である場合、防音加工を行うことが難しいケースもあります。鉄筋コンクリート構造は、コンクリートを構造に使用することで高い防音性を得られます。
一方で、「重量があるため地盤改良やくい打ちが必要になる」、「施工にかかる費用が高額になりやすい」などのデメリットがあります。RC構造と似た工法として挙げられるのが「SRC構造」です。
SRCとは鉄骨鉄筋コンクリート構造のことを指します。鉄骨の柱周辺をコンクリートで固めていく工法は、大型マンションやビルに用いられることが多いです。
強度が高く劣化しにくい!鉄骨構造
建築物の構造を形作る工法は他にもあります。鉄骨構造は、鉄材を用いて柱や梁を組んでいく工法です。鉄骨構造に用いられる鉄材には、軽量タイプと重量タイプがあります。
軽量タイプの鉄材を用いた鉄骨構造は、材のしなやかさで衝撃を吸収する効果があるといわれています。耐震性を上げるためには、新たに材を追加して構造を支えます。しかし、防音性に欠ける部分があるため注意が必要です。
重量タイプの鉄材を用いた鉄骨構造は、建築物の耐震性を高めることに効果的です。耐震性を高める際には、柱などを太くし構造を強固にします。
耐火性にも優れた重量鉄骨構造ですが、地盤の状態によっては設置できないケースもあります。また、鉄骨構造は、鉄材の性質から断熱性に欠けます。住宅に鉄骨構造を用いる際には、断熱設備を充実させる必要性が高いといえるでしょう。
木造とRC(鉄筋コンクリート造)の違いはどんな点にある?皆さんの意見を調査
街中に立つ建物にも、それぞれ異なった構造が用いられています。木造とRCの違いについて、皆さんはどのように捉えているのでしょうか。皆さんのイメージを調査しました。
木造とRCの違い!皆さんのイメージは…
(住宅を建てた経験がある方)
・木造と鉄筋コンクリート造りでは耐用年数が違ってきます。木造は木の香りがして癒されます。鉄筋コンクリート造りは頑丈で力強さを感じます。(70代/男性/無職)
・好みの問題が一番だとは思いますが、コンクリートは冷たい感じで、ひび割れがしそうなイメージがあります(50代/男性/正社員)
・まず費用が違う。RCの方が高い。RCの方が頑丈で、おしゃれである。型枠しだいで自由になる。火事にも強い。後の増改築は、木造の方が楽で、安価だと思う。また、RCはおしゃれではあるが、冷たく感じるところもある。(50代/男性/公務員)
(住宅を建てたいと考えている方)
・大きくは耐震性に違いがあると思います。また、密度の違いから、屋内の体感温度にも差が発生します。(30代/女性/正社員)
・耐震性能に差があると思います。やはり鉄筋の方が強いと思っています。温もりはもちろん木造の方があると思います。(30代/女性/パート・アルバイト)
【質問】
木造とRC(鉄筋コンクリート造)はどのような点に違いがあると思いますか?
【回答結果】
フリー回答
調査地域:埼玉県 千葉県 東京都 神奈川県 岐阜県 愛知県 滋賀県 京都府 大阪府 兵庫県 和歌山県 福岡県
調査対象:【年齢】30 – 39 40 – 49 50 – 59 60
調査期間:2017年09月15日~2017年09月22日
有効回答数:184サンプル
アンケートの結果、木造とRCの違いとして「耐震性」と「風合い」を上げる方が多いことが分かりました。
木の温もりを感じる木造構造を選びたいと思いつつ、耐震性能ではRCが優れていると考える方が多いようですね。
木造とRC(鉄筋コンクリート造)… より優れた工法はどっち?
どちらの構造が優れているのかを判断するには耐久性・耐震性・耐火性・コストなどに着目するのも良いでしょう。木造構造の場合、税法上の耐久年数は22年とされています。
一般的な耐久年数は22年から30年程度といわれます。一方、RC住宅の場合、税法上で定められている耐久年数は47年となっています。次に耐震性に着目してみましょう。
木造軸組工法によって建てられた木造構造の場合、ある程度の揺れに耐えられるものの柱の結合部分にダメージが蓄積するケースが多いです。場合によっては破損してしまうこともあります。
一方、RC構造はもともと耐震性に優れているため耐震性能を高めるためのリフォームなどは不要です。
耐火性は木造構造よりもRCが優れていますが、施工費用が高額になりやすいため、コスト面では木造構造が優れているといえるでしょう。
どのような住宅にしたいかで適した工法は変わる!
木造とRCはそれぞれ全く異なる性質を持ちます。トータルの性能で判断するのであれば、RC構造が優れているとも捉えられます。
しかし、施工費用や土地の状態などを踏まえて考えると、木造構造が住宅に適しているケースもあるのです。
住宅の構造を考える際には、土地や気候風土、コストなどと構造が持つ性能のバランスを考えて選ぶことが大切です。
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関連記事:
詳しくは、木造建築は日本に多い!施工方法と特徴まとめをご参照ください。
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