木を使用するのか、鉄骨を使用するのかによって住宅が持つ特徴は大きく変わってきます。
理想の住宅を叶えるためには、住宅に対するニーズを整理したうえで、どのような材や工法を用いるのが良いかを考える必要があります。
適した材や工法を見極めるためには、それぞれの特徴について把握しておくのがポイントです。
今回は、木造構造の工法と鉄骨枠組工法、鉄筋コンクリート工法について解説します。
Contents
いくつか種類がある工法!住宅に多く使われる工法はどれ?
住宅を建てる際には、どのような工法を用いて建てるのかを考えなくてはなりません。
工法にはいくつかの種類がありますが、実際に住宅に使用されているのはどの工法が多いのでしょうか。
アンケートをとってみました。
【質問】
住宅に使われている(使いたいと思う)工法は次の内どれですか?
【回答結果】
木造工法 : 80
鉄筋コンクリート工法 : 61
鉄骨組工法 : 29
調査地域:埼玉県 千葉県 東京都 神奈川県 岐阜県 愛知県 滋賀県 京都府 大阪府 兵庫県 和歌山県 福岡県
調査対象:【年齢】30 – 39 40 – 49 50 – 59 60
調査期間:2017年09月15日~2017年09月22日
有効回答数:170サンプル
木造工法が多い結果に!
アンケートの結果、住宅に使用される構造は木造が多いことが分かりました。
それでは、得票数が多かった木造工法を支持する方の意見をご紹介します。
(住宅を建てた経験がある方)
・日本人は木の家が一番だと思います。日本の風土に合った建て方だと思うので。(50代/男性/正社員)
(住宅を建てたいと考えている方)
・安価で間取りや空間デザインにこだわれる点が魅力です。木造工法でも最近は耐震性にすぐれ、RCなみに長持ちする性能の住宅が出来ている様ですので、木造工法を選びたいと思います。(40代/男性/正社員)
木造工法を選ぶ方は、木が持つ特有の温かみに魅力を感じている方が多いようです。木造でも筋交いなどを組み入れると耐震性を高めることもでき、自由度が高い空間デザインを実現できます。
次に、2番目に得票数が多かった鉄筋コンクリート工法を支持する方の意見をご紹介します。
(住宅を建てた経験がある方)
・災害に強く、高層化が容易な印象を持っているためです。モダンな雰囲気の外観にしたいからです。(30代/女性/個人事業主・フリーランス)
(これから住宅を建てたいと考えている方)
・やはり、地震と火事が一番気になるため、昔ながらの木造工法にあこがれますが、鉄筋コンクリート工法を選びます。(40代/女性/専業主婦)
鉄筋コンクリート工法を選ぶ方の中には、安全性の高い丈夫な家に住みたいと考える方が多いようです。
耐震性や耐火性に優れた鉄筋コンクリート構造は、火災や地震にしっかりと備えられる点が魅力的なようです。
最後に、得票数が3位だった鉄骨組工法を支持する方の意見をご紹介します。
(住宅を建てた経験がある方)
・土地を探して来てくれたのが、鉄骨を使って建築する会社の営業マンだったから、その会社にお願いすることになりました。一応、見学したり、工法などの説明を聞いたりして、問題はないと思って建てました。(50代/女性/自営業・フリーランス)
(これから住宅を建てたいと考える方)
・鉄骨組工法です。現在、アパートに住んでいますが音も響きませんし、木造よりも耐震強度も強そうだからです。(30代/女性/専業主婦)
鉄骨枠組み工法を支持する方の中には、実際に鉄骨枠組み工法によって建てられた集合住宅に住む方もいました。
防音性が高く、耐震性が高い点も魅力的なようです。
今回のアンケートで、住宅に使用される構造は木造のものが多いことが分かりました。
それでは、木造構造の工法にはどのような種類があるのでしょうか。それぞれの工法の特徴について解説します。
木造の建築工法は1種類ではない!
木造建築に用いられる工法には、木造軸組工法とツーバイフォー工法があります。木造軸組工法とは、木製の柱や梁などで骨組みを作った後、筋交いと呼ばれる材を組み込んで耐震性能を上げる工法です。
筋交いは、木製の柱を支えるように組み込まれる斜めの材を指します。日本で生まれたこの工法は、横からの荷重に耐えることができ地震の横揺れに対して効果を発揮します。
木造軸組工法は、現在の建築にも多く用いられる方法です。日本独自に発展してきた木造軸組工法に対し、北米から伝わってきたのがツーバイフォー工法です。
ツーバイフォー工法とは、2インチと4インチの木材を組み合わせて住宅の基礎を形作る工法です。規格化された材を組み合わせて使用するため、難しい技術を必要としません。
工期も短くなりやすいため、短い期間で丈夫な木造建築を建てたいと考える方には適した工法といえるでしょう。
木造の建築工法…メリットとデメリットを解説
親しみ深い「木」の材を使った枠組工法とツーバイフォー工法は、日本では主流となっています。
木という素材は、鉄やコンクリートよりも軽く、しなやかです。また、鉄は熱伝導率が高く断熱性に欠ける性質がありますが、木材は熱を伝えにくく、断熱性に優れた材です。
そのため、日当たりの良い土地や、気温が高い気候などに向いている構造といえるでしょう。建築にかかるコストもリーズナブルに済む傾向にあります
。一方で、デメリットがあることも事実です。まず、木造構造は湿気を吸収しやすく、老朽化のスピードが早いことが挙げられます。
木の性質上、腐食や経年の劣化を避けることはできません。シロアリなど害虫対策を行う必要があります。
耐火性・耐水性に劣る部分もあるため、耐久年数は鉄骨を用いた工法よりも短くなることが多いです。
強度が高い!鉄骨組工法
鉄骨を用いた工法の中でもベーシックな方法として挙げられるのが鉄骨組工法です。木造軸組工法と同様に、柱や梁を鉄材で造り、筋交いを組みます。また使用される鉄材には、重量鉄骨造と軽量鉄骨造があります。
鉄骨組工法を用いて住居を建築するメリットは、空間デザインの自由度が広がりやすい点です。鉄骨組工法は、細い材でも住宅の強度を維持することができるため空間デザインの自由度が高いのです。
一方、鉄骨組工法のデメリットとして挙げられるのが「冬場は窓などに結露ができやすい点」です。鉄骨は熱の伝導率が高く、室内の温度が上昇しやすくなります。
一見すると、冬場は暖かく快適で良いようにも捉えられますが、室内外の温度差が発生しやすくなることによって結露ができやすくなります。
水分は、住宅劣化のさまざまな要因に繋がるため注意が必要です。また、火災に巻き込まれた際に温度が上昇しやすい、防音性に劣る面がある点などもデメリットとして挙げられます。
コンクリートと鉄筋のデメリットをカバー!鉄筋コンクリート工法
構造にコンクリートと鉄筋を使用した工法は「鉄筋コンクリート工法」と呼ばれています。鉄筋コンクリート工法は、鉄筋という鉄の棒を網目状に組み、周囲を板状の材で囲います。そこに、コンクリートを流し込んで柱、梁、壁、床などを作っていく工法です。
鉄筋コンクリート工法を用いるメリットは、「2つの材がお互いのデメリットをカバーしあえる点」です。鉄は錆びやすく、コンクリートは衝撃に弱いという性質を持っています。これらの材を単体で使用すると、鉄性の構造は錆びやすかったり、コンクリートは地震による衝撃に耐えられなかったりなどの問題が起こりやすいです。
そこで鉄とコンクリート、2つの材を併せるとコンクリートが密着することで鉄は錆びにくくなり、衝撃に強い鉄はコンクリートの耐衝性をアップさせます。また、鉄とコンクリートは熱による膨張率がほぼ同じであり、材同士の相性がとても良く住宅の劣化を防止する効果もあります。
住宅のニーズに合った工法を選びたい!それぞれの特徴を把握しておこう
住宅を建てる際の工法にはさまざまな種類があります。
また、同じ工法でも材を変えたり、補助材を取り入れたりすることによって強度や性質に差が生まれます。
そのため、住宅を建てる際には、その地域の気候風土について知っておくことも重要といえるでしょう。
土地や気候によって、住宅に適した構造も異なってくるためです。
基本的な工法や材の性質について知り、住宅の構造選びに活かしましょう。
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関連記事:
詳しくは、木造建築は日本に多い!施工方法と特徴まとめをご参照ください。
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