• フリーダムの設計者に聞いてみました – 詳細設計編–

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    家のイメージをより具体的に検討していく詳細設計では、建材や床材選びなど、決め事がたくさんある工程になります。ある程度、決められた仕様の中から選ぶのではなく自由に好きな素材を選ぶ完全自由設計での家づくりでは、様々な選択肢の中からどのようにして家にあったものを選んでいけばよいのでしょうか?

    そこで今回は、詳細設計を上手に進めていくための、考え方と進め方をうかがいました。お話をしてくださったのは、フリーダムアーキテクツの濱中さん、牧野さん、中島さん、角谷さんの4名です。

    質問①:詳細設計期間は、どんな風に打ち合わせが進んでいくの?

    濱中さん:私たちが担当する詳細設計とは、床や壁などに使う素材決め、お風呂などの住宅設備、収納の設置高さなど、家を形作るのに必要なことを具体的に決めていく工程です。プランナーと設計契約前に決めていただいた間取りや窓の位置を含む基本設計をもとに打ち合わせを進めていきます。お客様との打ち合わせでは、私は2点心がけていることがあります。1つ目は、プランナーから引き継いだ基本設計を「更に良いものにできるかな?」と自分の中で探ることです。プランナーが作図した基本設計をそのまま受け入れるのではなく、基本設計を見て自分が率直に感じたことや改善案をお客様に伝えます。2つ目は、お客様の好みをしっかりと掴むことです。基本設計を見て私が感じたことを伝える、そしてお客様が何に心惹かれるのかをとことん探っていく。この2点は、どの打ち合わせでも軸としています。

    角谷さん:私もお客様の好みと、お客様が家に何を求めているのかを探ります。建材や床材を提案するときは、元の基本設計から考えると違和感を感じるものもあえて混ぜてみます。基本設計に過度に縛られず、色んな可能性を加味しながらお客様の反応を探ることが目的です。その中でお客様が惹かれたものを、どんどん深掘りしていきます。

    牧野さん:お客様の好みを掴むことは、設計を進めるにあたり大切なことですよね。もし自分が良いと思う設計とお客様の好みが違う場合、どのように打ち合わせを進めますか?

     

    濱中さん:私はお客様の意見を対等に聞くよう努めています。お客様から積極的に意見を頂戴することで、自分だけでは思いつかない素晴らしいアイデアが生まれることがあります。お客様の1と私の1で、3を作り出せるのです。お客様がそれぞれ持っている好みや個性、良い意味でのクセを最大限に引き出すことで、他にはないオリジナルな家が誕生します。

    牧野さん:そうですね。家づくりは初めてだから…と臆せず、積極的にご意見を言っていただけると、どんどん家づくりは楽しく、また出来上がりも良いものになりますよね。皆さんは、お客様の要望や好みを掴むため、なにか使っているツールはありますか?

    質問②:空間のイメージ共有は、何を使っているの?

    濱中さん:私はフリーダムの実例画像やネットにある画像などを集めてざっくりジャンル分けし、お客様に見ていただきます。素材や色と言った見た目の特徴ではなく、空間の特徴で画像をジャンル分けして並べます。その画像を見て、お客様が好きな画像はどれか、そして好きな画像の何に惹かれるかをとにかくヒアリングします。お客様の“好き”を探るため、プランと少し違った画像も一緒に並べたりもします。“好き”を掴めたなと思ったら次の打ち合わせで具体的に詳細設計の提案をするので、そのためのコンセプト固めでもあります。打ち合わせの初期にお客様の好みをしっかり引き出すと、家づくりのコンセプト、つまり軸ができます。

    中島さん:最近、InstagramPinterestなどを使って情報収集している方が多いです。なので、初回の打ち合わせでは、お客様が参考にしたいと集められた画像を見せていただきます。その画像で使われている素材や家具の系統などから、お客様の好みを分析していきます。

    濱中さん:お客様の好みは、家づくりの軸ですね。フリーダムは注文住宅の設計事務所なので、プランの段階ですごく特徴的な造りをした物件もありますよね。建築実例を見ていると、関西地方は特徴的なプランが多いイメージがあります。特徴的なプランが上がってきたときは、どのように打ち合わせを進めていきますか?

     

    中島さん:そうですね、確かに特徴的なプランはあります。1階部分がほとんど土間でラワン合板(※1)仕上げ、という設計もありました。見た目のかっこよさに加えコストも抑えられるので、多くはないですが、お客様の好みと合致していたらそのまま進めていきます。一方、プランに過度に縛られる必要もありませんよね。打ち合わせの前にはプランナーが作った基本設計を見て、「狭すぎないかな?」「家の使い勝手はいいかな?」と細かくチェックします。そこで改善案が浮かんだときは、お客様に素直に提案します。濱中さんは、プランとは違った提案をすることはありますか?

    濱中さん:ありますね。たまにコストを考えて、プランから外されている選択肢があります。例えば「この家の設計ならば、吹き抜けを取り入れるともっと良くなる。しかしこの予算だと、吹き抜けは難しい」と言った場合です。そういったときには、コストの話も正直にお伝えしつつ、吹き抜けの提案してみますね。もちろん強制はしません。

    牧野さん:プランを見て思いつく改善案は、とりあえずお客様に提案することが大切ですね。プランナーが作った基本設計と、大きく意見が食い違うことはありますか?

    中島さん:大きく、ということはあまりないですね。

    濱中さん:私も大きく食い違うということはありませんね。間取り図を見て、あれ?と思った部分はプランナーさんに基本設計で採用した意図を確認します。プランナーの作ったプラン、お客様との打ち合わせ、設計者としての観点など、多方面から家を見つめコンセプトを固めていきます。

    ※1:ラワン合板は、下地材として使われることが多い木材のひとつ。木材を多用した温かみのある空間や作りこまれすぎていない空間を好む方から仕上げ材としても活用されることが増えてきています。
    ラワン合板仕上げの実例:CASE493 熊取の住宅

    質問③:詳細設計をスムーズに進めるポイントは?

    牧野さん:コンセプト固めは、家づくりにおいて重要な工程ですよね。素材や色などを選んでいく詳細設計で道しるべとなってくれるのが、コンセプトです。そのため初期段階でコンセプトが固まると、その後の打ち合わせがスムーズになります。

    角谷さん:コンセプトは家の方向性を明確にするため、はじめにしっかり固めておきたいですね。しかし、「コンセプトがこうだから!」と過度に選択肢を絞る必要はないと思っています。打ち合わせの中で、コンセプトからは少し外れるけれど素晴らしいアイデアが生まれたときは、そのアイデアに乗るようにしています。あまりにもコンセプトから外れたときは軌道修正することもありますが、コンセプトから少しずれたものを混ぜることで更に魅力的な家になることも多くあります。

    牧野さん:ちなみに限られた打ち合わせの中で、何回目くらいでコンセプトを固めますか?

    濱中さん:1回目にざっくりとしたコンセプトを提案し、2回目の打ち合わせに具体的なコンセプトを提案し固めていきます。以降は細かいところを詰めていくぐらいです。

    中島さん:なるほど。コンセプトに対する考え方は同じですが、私は少し違うアプローチをします。関西地方では、お客様の好みや理想とするイメージがはっきり決まっていることが多いので、それを軸に設計を進めていきます。お客様の好きなものを追求していくうちに、お客様の好みに合いそうな素材や家具が掴めてきます。なので、最初に話し合ってコンセプトを決めるというより、お客様が最初に持ってきてくださったコンセプトに乗っかるようなイメージです。もちろん、コンセプトを一緒に決めていくこともあります。

    牧野さん:私も中島さんと似たアプローチ方法です。あまりコンセプトは固めず、お客様が実現したいと思うことをとにかく肯定し、徐々にコンセプトを固めていきます。フリーダムでは設計者としての個性を出すよりも、お客様の好みに沿うことが求められているように感じます。そのため私たちがコンセプトを決めるのではなく、お客様がコンセプトを決められるようお手伝いをします。フリーダムではお客様の個性を反映した住宅が多いので、建築実例のバリエーションが豊富なのだと思います。コンセプトに関する考え方は、けっこう地域差があるかもしれませんね。

    角谷さん:家の方向性に悩まれているお客様にはコンセプト固めを優先し、好みや理想がはっきりしているお客様にはアドバイスでお手伝いする、といった進め方になりますね。しかしコンセプトが決まっても、床材や建材などは多くのお客様が悩まれますよね。そのあたりはどのようにアドバイスや提案をしていますか?

    牧野さん:素材を決めるのは難しいですよね。床材や壁材を決めるとき、私はミエール (フリーダムが導入している高精度3Dシステム)を使っています。3Dモデルで間取りや素材を可視化することで、完成後のイメージがとても掴みやすくなります。空間の雰囲気は床材に大きく依存するので、建材や素材選びに迷っている方はまず床材から決めることをオススメします。

    中島さん:私はスケッチアップ(3D モデリングソフトウェア)を使うようにしています。スケッチアップには小物のパーツが多いので、床材や壁材だけでなく、食器や植物も配置し生活感のある空間をモデリングします。3Dモデルを使うことは、お客様がイメージを掴みやすくするためだけでなく、私たち設計者の空間検討にも役立っています。例えば階段の構造や配置、ディテールを考えるとき、立体的に見えることで検討がしやすくなります。なので、3Dモデルはお客様と自分のために作っているところもあり、更に言えば実際に工事をしてくださる大工さんへのイメージ共有にも役立ちます。お客様が思い描いている家のイメージからずれないためにも、3Dモデルはとても重要な役割を果たしています。

    いかがでしたか?

    決められた仕様や設備がない完全自由設計での家づくりでは、コンセプトを軸に素材やカラー選びをしていくと、オリジナリティを出しながらまとまりのある空間づくりが出来るようですね。

    フリーダムでの家づくりの流れを見る

    実例のご紹介

    今回、お話してくださった4名の実例をご紹介します。

    ◆濱中さん:関東エリアを担当
    CASE693 “CONNECT”

    ◆牧野さん:関東エリアを担当
    CASE690 MateriaBox

    ◆中島さん:関西エリアを担当
    CASE684 ホビールームのある家

    ◆角谷さん:東海エリアを担当
    CASE600 ソラの家

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