建築基準法では、窓のない居室は居室とは認められず、納戸やサービスルーム扱いとなります。
必ず窓を設置して床面積の1/7以上の採光は確保しなければならないとされているほど、住宅設備の中でも重要です。窓は採光だけではなく、通風の面からみても大切な役割を果たします。
そのため、快適な住空間、過ごしやすい間取りにするには窓の配置をしっかり計画しなければなりません。
そこで今回は、風通しを良くするための窓の設置場所について説明します。
間取り決めで窓の配置を考える人はどれくらいいる?
窓も内装の大切な一部ですが、住宅を建てた人の中でどのくらいの人が窓の配置や大きさにこだわったのでしょうか?
【質問】
間取りを決める際に窓の位置や大きさまで具体的に考えましたか?
【回答数】
はい:143
いいえ:45
調査地域:全国
調査対象:【年齢】20 –
調査期間:2017年03月21日~2017年03月27日
有効回答数:187サンプル
部屋は明るいのがいい!だから窓は大きくした
「はい」と答えた人が全体の7割以上でした。多くの人が窓の大きさや配置にこだわったようです。
・南向きの部屋の窓はできるだけ大きくして太陽光が十分に入るようにしました。
おかげで冬でも暖かいです。(専業主婦・主夫/女性/50代)
やはり採光を考えると窓の配置は大事ですよね。南向きの窓は良い配置の窓としてよく知られています。
それでは、「いいえ」と答えた人の意見を見てみましょう。
・大工さんに任せました。(専業主婦・主夫/女性50代/)
業者にそのままお任せした人や、スタンダードなタイプの窓にしたという意見が多くありました。
「いいえ」と答えた人は、窓の配置や大きさにあまりこだわりがないようです。
窓の配置や大きさにこだわる人の多くは、部屋を明るくしたいという意見でした。気分的にも明るくなりますし、家族全員、快適にすごせそうですよね。
しかし、窓の役割は採光だけではありません。通風のことも考えると、さらに過ごしやすい部屋になります。
窓は1部屋に2つが基本!
住居の風通しを良くして室内の空気を入れ替えるには、1つの部屋に2つの窓が必要です。
窓が1つしかないと風が入ってきたとしても、うまく循環しません。室内に風の通り道を作るには、2つの窓を向かい合う形で設置するのがセオリーです。
ただし、立地条件や周囲の環境によっては、対角線上に窓をつくるのが難しいケースもあるでしょう。特に住宅密集地では、大きな窓を設置することでプライバシーの確保が難しくなることがありますし、防犯の面でも心配が出てきます。
そのような場合は、通風用の小さい窓を取り付けてみましょう。たとえば細長いタイプの片開き窓であれば、外からの目が気にならず、人も入ってこられないので防犯面でも効果的です。
この片開き窓を上下に2ヶ所に取り付け、窓の開く方向を交互にすれば、さらに風が通りやすくなります。室内に空気の流れができれば、いつでも新鮮な空気を取り込むことができるでしょう。
また、夏や冬は暑さ寒さが厳しく窓を閉めっぱなしにしてしまうことが多いもの。対して湿度がちょうどよく過ごしやすい気候の春や秋の風は、とても気持ちのいいものです。
風通りの良い部屋は空調費も節約できますので、ぜひ実践してみてください。
窓を設置する方角はライフスタイルに合わせて
風の通りを良くするために、窓を設置する方角を気にされる方は多いのではないでしょうか?
実は、同じ日本でも風の流れには地域差があり、一概にどの方角が最適ということは言えません。土地の高低差や周囲の住宅環境によっても大きく変わります。
そのため、実際に窓の設置場所を考えるときは、専門家に土地の状況を見極めてもらったうえで、窓の間取りを考える必要があります。
ここでは実際の間取り決めの参考にしてもらうため、一般的に言われている南北に向いている窓について考えてみましょう。日本の夏は南寄りの風、冬は北寄りの風が吹くと言われています。
そのため、南と北で向かい合うように窓を設置すると、上手に風を取り入れることができます。南北に窓を取り付けるのが難しい場合は、東西に窓を取り付けます。
東に大きい窓を設置して、西には小さめの窓を取り付けるようにします。東の窓は朝の光とともに涼しい風が入りやすいのがメリットです。
ただし、夏は窓辺が熱くなりやすいので、日射熱を遮る機能のあるガラスを設置すると良いでしょう。
逆に西の窓は高度の低い西日が差すため、細長い窓を取り付けるなどして西日をカットする工夫も必要です。
ここでは一般的な方角の特徴を解説しましたが、くれぐれも実際の住環境などを考慮に入れるようにしてくださいね。
最上階に小窓を設置!
限られた敷地内を有効活用するために、ロフトをつける住宅が増えています。
しかし、ロフトは屋根裏とも言われるように、太陽の直射日光を浴びた屋根からの熱を受けやすい空間でもあります。
そのため、断熱対策や通風について十分な対策を取らないと、せっかく作ったロフトも夏場は暑すぎて使えないということにもなりかねません。通風を良くして暑さを逃がすには、空気の温度差を利用する方法があります。
もともと風は空気の温度差により発生します。空気が温まると膨張して軽くなり、上方に向かいます。逆に冷たい空気は縮んで下に溜まる特徴があります。
夏は南から北に向かって温かい風が吹きますので、南に大きな窓を、北側の壁上部に小窓を設置すれば、効率的に熱を逃がすことができます。さらに住宅の中央に吹き抜けを作り、1階に南窓、2階やロフト部分に北窓を設置すれば、住宅全体の風通りが良くなります。
吹き抜け上部に窓を設置すると、通風だけではなく採光も確保できますので、住宅事情で思ったような間取りにできない場合に使える方法です。
もし間取りの関係で北側に窓を設置できなければ、吹き抜けの天井にトップライトをつけましょう。いつでも自然な風を感じられ、快適に過ごすことができますよ。
まとめ
窓の配置を間違えると、風通しや採光だけではなく、部屋の間取りや家具の配置、生活動線にまで影響を及ぼしてしまいます。逆に最適な位置に窓を設置することができれば、明るく爽やかな室内空間を楽しむことができます。
たとえ部屋の南側に大きな窓を取り付けられたとしても、それだけでは最適な位置とは言えません。一般的な方位にとらわれず、購入した土地の特徴や周囲の環境などを考慮したうえで、それぞれの家にあった配置にしましょう。
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