建て替えるときの費用相場とは?費用の内訳や安く抑える方法について解説

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戸建て住宅に長く住んでいると、建物の老朽化やライフスタイルの変化に伴い、建て替えを検討し始める人もいるでしょう。新しい住宅に建て替える他にも、リフォームや住み替えといった選択肢もあるので、費用や工事内容などのポイントをよく検討し、最適な選択肢を選ぶ必要があります。

本記事では、住宅の建て替えに必要な費用や坪数ごとの相場、工事全体の流れなどについて解説します。リフォームや住み替えとの比較や仮住まいの選び方など、建て替えを検討する上で必要な情報をまとめていますので、理想の住まいを実現するために参考にしてください。

建て替えとは?建て替えるメリット・デメリット

建て替えとは、基礎部分から既存の建物を取り壊し、更地にした後で新たに建物を建てることです。ここでは、建て替えのメリットとデメリットを紹介します。

建て替えるメリット

建て替えのメリットとしては、ライフスタイルの変化に応じた間取りを実現できる点が挙げられます。まっさらな土地に新しい住宅を建てるため、子供が巣立った後や、二世帯や三世帯での同居を考えた際に、間取りや設備をほとんど希望通りに作れます。

また、最新の住宅性能や耐震性を備えた住まいが手に入る点も大きな魅力です。特に、昭和56年以前の耐震基準で建てられた住宅は、耐震リフォームと建て替えでは費用が同程度になる可能性もあるので、一度見積もりを依頼して比較してみましょう。

建て替えでは、間取りプランを一から作り変えることが可能です。同じ土地に新しい住宅を建てるため、今の住宅の不満や不安を解消し、快適な住まいを実現できます。自宅が新しくなっても、住み慣れた土地に住み続けられるため、通学や通勤、買い物など日々の暮らしに対する影響が少なく、ご近所との関係も続けられます。

建て替えるデメリット

建て替えのデメリットとしては、まず引っ越しが合計2回必要となる点が挙げられます。現在の住宅を解体し、新しい住宅を建てる間、仮住まいへ引っ越し、新居が完成した後の引っ越し、と2回移動しなければなりません。引っ越し費用と手間が倍かかる上、慣れない環境での暮らしにストレスを感じることも考えられます。

また、新居の建築費用とは別に、解体費用がかかるため、総費用が高額になりやすい点もデメリットです。仮住まいに荷物が入り切らない場合は、仮倉庫などを利用する必要があり、さらに費用も増えます。

土地によっては建て替えができないケースもあるので注意が必要です。特に築年数の長い住宅の建て替えでは、建築基準法や都市計画法、道路、条例などは現行の法令に従う必要があり、同じ床面積の住宅が建てられない場合があります。

住み替えやリフォームとの違い

建て替え以外の選択肢として、住み替えやリフォームがあります。ここでは、建て替えとの違いを比較しながら、住み替えとリフォームそれぞれのメリット・デメリットを紹介します。

住み替えのメリット・デメリット

「住み替え」とは、新しい住居に住み替えることを指します。同じ土地に新しい住宅を建てる建て替えと異なり、住み替える場合は別の土地を購入して新築するため、引っ越しが1回で済み、仮住まいや倉庫利用の費用を節約できます。

また、住んでいた家を売却して、新築住宅の費用を作ることができる点も大きなメリットです。現在の場所から移動したい場合や、ライフスタイルの変化に対応できる土地を選び直したい、といった場合に向いています。

一方で、住み替える一番のデメリットは住宅ローンについてです。住み替えでは、今の住宅ローンが残っている場合、一括で返済しなければなりません。現在の住宅の売却と新しい土地を購入するタイミングが揃えば一括返済できますが、タイミングがずれてしまうと新しい家の住宅ローンが上乗せされるため、ローンの組み直しが必要です。

加えて、売却と購入を並行して進める上で、不動産会社の仲介手数料や税金、登記などさまざまな費用がかかる点も見逃せません。

リフォームのメリット・デメリット

リフォームは、住宅の基礎部分を残し、部分的に改築や修繕、増築などを行う工事です。水まわりの設備リフォームから、見える部分を全体的に新しくするフルリフォームまで、手を入れる範囲はケースバイケースで異なります。

基礎からすべてを取り壊す建て替えと比べると工事範囲が狭いため、短い工期で完了し、コストも抑えられます。また、工事する箇所以外は通常通り使えるため、仮住まいへの引っ越しは不要です。

さらに、耐震リフォームやバリアフリーリフォームなどの減税制度があり、規定の要件を満たすと、所得税や固定資産税の控除が受けられる場合があります。

リフォームのデメリットは、部分的な工事のため建て替えに比べて自由度が低い点です。また、実際に工事を始めてみると劣化が進んでいて、追加工事が必要になる可能性もあります。

建て替えるときにかかる費用の内訳

建て替えでは、新しい住宅の建築費用以外に、解体から登記、仮住まい、住宅ローンなどさまざまな費用が必要になります。ここでは、建て替えにかかる費用の内訳を具体的に見ていきましょう。

解体費用

既存住宅を解体するための費用は、木造や鉄骨など建物の構造、広さ、周辺環境などによって金額が変わります。どの解体業者に依頼するかも費用を左右しますが、建築会社に一括して依頼するケースが一般的です。

木造の解体費用は比較的安く、鉄骨や鉄筋コンクリートは金額が上がる傾向にあります。原則として敷地が広いほど高額ですが、狭い土地でも重機が入りにくい場合は人力で解体しなければならず、費用が上乗せされる場合もあります。

測量費用

土地の形状を正確に記録する測量は、家を建て替える際にも必要です。建て替えのタイミングで測量を行い、土地の形状を確定することで、後の境界トラブルの防止につながります。

測量調査は通常、土地家屋調査士や測量士に依頼します。なお、今の住宅を建てる際に測量が行われていて、測量図がある場合は省略できる場合もあります。

地盤調査・地盤改良の費用

既存の住宅を同じ場所に建て替える場合でも、地盤調査を行う必要があります。地盤調査は、地震発生時の地盤沈下や液状化の危険性を確認するための調査です。

調査結果の数値が基準値よりも低い場合、地盤が弱い、あるいは地盤に欠陥があると判断され、必要に応じて地盤改良を行います。現在は、建築基準法の改正と同時に地盤調査が義務化されたため、法的に必須です。

仮住まい・引越し費用

建て替えている期間に暮らす仮住まいは、賃貸物件が一般的です。仮住まいに荷物が入り切らない場合は、仮倉庫やトランクルームなどを利用する必要があります。

引っ越し費用は、現在の住宅から仮住まいへ移り、仮住まいから新しい住宅へ移るため2回分必要です。引っ越しのタイミングが春や秋などの繁忙期と重なると、費用が通常期よりも高くなる可能性があります。

建築費用

一から新しく住宅を建てるための建築費用には、住宅本体の建築工事や設備工事、外構工事などの作業費と材料費が含まれます。建物の大きさや構造、間取り、建材や設備のグレードといった条件で金額が変わります。

なお、二世帯住宅や三世帯住宅の場合、水まわりの設備などが世帯分必要となり、さらに費用がかかります。

登記費用

登記は、土地や物品などに関する権利や所有を、法的に社会に公示するための手続きで、家を建て替える時に必ず行います。具体的には、既存住宅を解体したときの「建物滅失登記」、新築した住宅の建物の概要を不動産登記簿に登記するための「建物表題登記」、不動産の所有権を確定する「所有権保存登記」が必要です。

登記手続きには登録免許税がかかり、土地家屋調査士や司法書士に手続きを依頼するための報酬も発生します。

各種税金

建て替えにかかる税金には、工事請負契約書に貼付する「印紙税」、新しい建物を取得した際の「不動産取得税」、そして所有権保存登記時の「登録免許税」などがあります。

印紙税額は工事の契約金額、不動産取得税と登録免許税は固定資産税評価額によって金額が変わります。他にも、建て替え以降には毎年、固定資産税や都市計画税を納める必要があります。

火災保険料

建て替えによって建物が変わるため、火災保険料の変更または解約後の再加入が必要です。新しい住宅用の火災保険料も用意しておきましょう。建物の構造などを確認する必要があるため、保険会社に連絡しておくとスムーズです。

なお、建て替え期間中の保険は通常施工会社が加入しますが、義務ではないので、事前に確認しておきましょう。

住宅ローンに関する費用

住宅ローンを組む際に、金融機関に事務手数料や保証料、抵当権設定(及び抹消)登記費用などを支払う必要があります。建て替え時に住宅ローンの残債がない場合、新しい住宅用のローンを利用できます。

残債がある場合は、建て替えローンによって一本化することも可能です。いずれも融資の審査に通過する必要があります。

家具や家電を新調する費用

新しい住宅で暮らし始める際に、照明や家電、インテリア、エアコンなどの設備を新調する場合は、購入費用も見ておきましょう。

今まで使っていたものを、そのまま引き継いで使うこともできますが、サイズが合わないことも考えられます。特に、引っ越した当日から使用するカーテンや家電などは、事前に確認しておくと安心です。

【建物の大きさ別】建て替えにかかる費用相場

ここからは、建て替えにかかる費用の相場を、建物の大きさ別に解説していきます。建て替え費用の目安を理解するために、参考にしてください。

※単価や条件は以下のように仮定します。

  • 解体費用:5万円/坪
  • 工事費用:60万円/坪
  • 諸費用:建築費の10%

20坪の場合

20坪の建て替えの場合、費用相場は以下の通りです。

  • 解体費用:100万円
  • 工事費:1,200万円
  • 諸費用:120万円

合計で約1,420万円かかります。上記に加えて、仮住まいや引っ越し費用として約130〜180万円が加わり、総額は約1,550〜1,600万円ほどです。

30坪の場合

30坪の場合の費用概算は以下の通りです。

  • 解体費用:150万円
  • 工事費:1,800万円
  • 諸費用:180万円

上記合計は約2,130万円と計算できます。仮住まいや引っ越しに約130〜180万円かかるため、合計で約2,260〜2,310万円になります。

40坪の場合

40坪の建て替えにかかる費用は以下の通りです。

  • 解体費用:200万円
  • 工事費:2,400万円
  • 諸費用:240万円

上記合計は約2,840万円です。仮住まいや引っ越し費用(約130〜180万円)を追加すると、約2,970〜3,020万円となります。

50坪の場合

50坪の場合の費用は、以下の通りです。

  • 解体費用:250万円
  • 工事費:3,000万円
  • 諸費用:300万円

合計は約3,550万円です。仮住まいや引っ越しにかかる費用(約130〜180万円)をプラスすると、総額は合計約3,680〜3,730万円かかります。

建て替えの費用を抑えるためのポイント

建て替え費用の内訳と目安を押さえたところで、金額を抑えるためのポイントについて見ていきましょう。

補助金や減税措置を活用する

自治体によっては、建て替えで利用できる給付金や補助金、減税措置を設けている場合があります。補助制度を利用できれば、建て替え費用を抑えることが可能です。例えば、「解体費用助成金」では、一定年数以上を経過した住宅を解体する費用を補助してもらえます。

適用条件や申請方法は、各自治体の制度ごとに異なるため、最新の情報を確認するためにも直接問い合わせてみましょう。

贈与税の非課税枠を利用する

家の建て替える際に、両親や祖父母から住宅資金を援助してもらう場合、住宅資金贈与の非課税枠を確認しましょう。一般的には、年間110万円を超える贈与は贈与税の課税対象ですが、家を建てるために直系尊属から受けた贈与(住宅取得等資金)については、一定要件を満たした場合に500万〜1,000万円まで贈与税が非課税となります。

なお、贈与を受けた年の翌年3月15日までに、建て替えを行うなどの条件を満たす必要があります。2023年3月時点の適用期間は、2023年12月31日までです。

複数の会社で見積もりをとる

建て替え費用を比較するために、複数の業者から見積もりを取りましょう。どの業者に工事を依頼するかによって、費用も仕上がりも大きく変わります。最初から1社に絞るのではなく、3社以上の会社に見積もりを作成してもらうことで、相場を把握でき、適切な業者を客観的に見極められます。

見積もり金額の他に、希望する設備や間取り、家のスタイルが実現できるか、といった点も含めて、総合的に比較検討することが大切です。

建て替えるときの流れ・スケジュール

ここで、実際に建て替えを行う際の全体の流れとスケジュールを見ていきましょう。

設計事務所や建築会社を探して契約をする

建て替えを検討し始めたら、まず工事を依頼する設計事務所や建築会社を探します。候補となる会社を2~3社ピックアップし、希望する間取りプランや設備、資金計画などについて相談した上で、最終的に1社に絞ります。

どんな住まいを実現したいのか、譲れない条件や今の家で不満があって解消したい点などを、家族でよく話し合っておくとスムーズです。見積もり費用の安さも重要ですが、長く住むマイホームの建て替えを成功させるためにも、家族の要望を丁寧に汲み取り、理想の住宅を実現してくれる会社を見つけることが大切です。

仮住まいに引越しをする

建て替え工事が始まる前に、仮住まいに引っ越します。解体から新居が完成するまでは約5〜6か月かかるため、周辺環境や広さなどを考慮し、できるだけ生活しやすい家を選びましょう。

また、引っ越すときに慌てないように、不要なものは早めに処分し、荷物を整理しておくとスムーズです。なお、工事中はガスや電気などは使用しないため、事前にライフラインを止める手続きを行いましょう。

解体工事の後に新築工事に着手する

解体工事の後、建築工事が始まります。解体工事は、木造で約1〜2週間、鉄骨・鉄筋コンクリート造だと約3週間~1か月を要します。解体工事により更地にした後、地盤調査や地盤改良工事が入り、新築工事が開始されます。

引き渡し後に登記手続きを行う

新築工事が完了し、新居が完成したらいよいよ引き渡しです。業者の担当者と施主立会いのもと、竣工検査が行われ、契約通りに施工されているかをチェックします。問題がなければ鍵と諸書類を受け取り、引き渡しが完了します。

引き渡しと同時に、住宅ローンの手続きに必須の「抵当権設定登記」や「建物表題登記」などの各種登記手続きも必要です。

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建て替えるまでに必要な期間

建て替えにかかる期間は、全体を通して1年ほど見ておく必要があります。設計事務所や建築会社から見積もりを取り、契約するまでに約2〜4か月、間取りプランや仕様など詳細な打ち合わせに約3〜4か月、着工から完成までに約4〜6か月かかるというのが目安です。

ただ、設計事務所や建築会社との契約までにかかる時間は人によって異なります。長い場合では1年近くかかるので、できるだけ余裕を持って計画することが大切です。

建て替え期間中の仮住まいの探し方

建て替え期間中の仮住まいには、最低でも半年近く住むことになるため、暮らしやすい住居を選ぶ必要があります。仮住まいを探す方法はいくつかありますが、設計事務所やハウスメーカーに相談すると、自社の管理物件などを紹介してもらえる場合があります。

希望する物件を効率的に探すには、インターネット検索も役立ちます。大手賃貸サイトで目星を付けて、問い合わせた際にオーナーが仮住まいとしての利用を許可してくれる可能性もあります。近所の仮住まいを見つけるなら、地域の不動産会社も利用しましょう。

建て替えるときの注意点

建て替えをスムーズに進めるために、注意したいポイントがあります。ここでは、建て替えにおける代表的な3つの注意点について解説します。

再建築可能な範囲を確認する

建て替えができるかどうかを改めて事前に確認しておきましょう。「再建築不可物件」と呼ばれる物件では、建物を解体して更地にした後、新たに住宅を建てることができません。特に、相続した物件は不明な場合も多いので、市区町村役場に確認を取ると良いでしょう。

市街化調整区域の場合、再建築不可物件に指定されており、建て替えができない場合があるので注意が必要です。また、敷地によっては、建築基準法により接道義務が発生する、あるいは壁面後退が必要となり、建て替え前より建物が小さくなってしまう場合もあります。どの程度の建物が建てられるか事前に確認しましょう。

仮住まいは早めに探し始める

仮住まい探しは早めに始めましょう。賃貸物件は通常2年契約であるため、仮住まいとして1年前後の短い期間だけ借りられる物件は、見つかりにくい可能性があります。

なかでも、ペット可の物件は数が少なく、見つけるのに苦労する人も少なくありません。短期契約用のマンスリーマンションもありますが、単身向けの物件が多く、家族で住むには広さが足りないかもしれません。

仮住まいが見つけられないことも考慮して、親戚の家に住まわせてもらうことなどの選択肢も、視野に入れておくと安心でしょう。

近隣への配慮や挨拶をする

建て替えに伴い、近隣の方への配慮を忘れないようにしましょう。住宅が完成するまでの間も大きな重機や搬入車が頻繁に出入りし、解体時は大きな音や揺れが生じます。事前に近隣へ挨拶回りを行っておきましょう。

また、防音対策について業者に確認し、近隣トラブルを避けるための対策を講じておくことも大切です。今後も住み続ける場所だからこそ、細心の注意を払いましょう。

ライフスタイルに合わせて住まいを建て替えよう

建て替えは基礎から自宅を作り替えるため、間取りの自由度も高いというメリットがあります。費用や工期がかかる分、コスト節約や全体の流れを総合的に考慮し、計画的に進める必要があります。

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