注文住宅を建てるなら頭金はいくら必要?相場と目安を確認しておこう

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マイホームを建てるなら、希望どおりの家に仕上げられる注文住宅にしたいと考えている人は多いでしょう。とはいえ、一般的に建売住宅に比べて注文住宅は高額になることが多く、頭金もどのくらい必要かがわからずにためらっている人もいるのではないでしょうか。そこで、ここでは、注文住宅を建てる際に必要となる頭金の一般的な相場について解説します。

1.注文住宅の頭金とは何?

注文住宅を購入する際は、頭金や手付金、諸費用などさまざまな費用が必要となります。高額になるため、自分で用意した資金で足りない分については住宅ローンを組み、分割払いで返済していくことが一般的です。頭金は、自己資金のうち、住宅購入資金に充てる部分を指します。住宅の購入金額から住宅ローン分を差し引いた残りが頭金という言い方もできるでしょう。頭金が多いほどローン借入金が少なくなるため、後々の返済が楽になります。ただし、頭金がなければ住宅が購入できないわけではありません。

手付金は、売買契約を結んだ際に支払う代金のことです。契約を結んだ証拠として支払うもので、必ず払わなければなりません。払いっぱなしではなく、決済時には住宅購入費の一部として充てることができます。ただし、仮に購入者側がキャンセルすることになっても手付金は返金されないため、注意しましょう。なお、住宅購入時は仲介手数料や不動産登記代などの諸費用が必要です。これは頭金には入りません。住宅購入費の総額は、頭金、諸費用、住宅ローン借入金を合わせたものとなります。

2.頭金は多ければ多いほどいいの?

頭金は住宅購入費の一部となるお金です。頭金の分だけ住宅購入費の未払い分が減るため、多いほど住宅ローンの借入金額を抑えられます。住宅ローンには金利が発生するため、実際の借入金額よりも多く返済しなければなりません。借入額が多額であるほど利息も増えるため、総支払額も高額になります。頭金を多くして借入金額を抑えればトータルで返済する額も少なくなり、金融機関の審査にも通りやすいです。つまり、頭金が多いほど審査に通りやすくなったり、総返済額が少なくなったりなどのメリットがあります。

とはいえ、生活するうえでは住居費以外にもさまざな支出が発生します。諸費用の支払いも必要です。多いほうがいいからと無理に頭金を増やすと、ほかの支払いができなくなりかねません。また、将来や万一の事態への備えもできなくなってしまうでしょう。頭金が多いほどローンの総返済額が減るメリットはありますが、生活に支障がでるほど多くするべきではありません。

3.注文住宅の頭金は購入金額の何%が目安?

頭金をいくら用意しなければいけないかの決まりはありません。ただし、一般的には、住宅価格の2~3割程度を用意しておくことが望ましいとされています。これは、この割合であれば住宅ローンの借入金額を住宅価格の7~8割まで抑えられ、月々の支払い金額を無理なく返せる額に収められると考えられているためです。月々のローン返済額が少なければ、生活への負担感も少なくなるでしょう。とはいえ、住宅を購入する時期によっては、なるべく手元にお金を残しておきたい場合もあります。たとえば、成長盛りの子どもがいて、将来必要となる教育費をある程度確保しておきたい場合などです。

そこで、手持ちの生活資金を多めに残し、頭金は最小限かゼロにして手付金や諸費用以外はすべて借りるという選択肢もあります。物件価格と同額まで借入できる金融機関が増えているので、頭金なしでの住宅購入も不可能ではありません。ただし、このケースでは万が一住宅を手放さなければならなくなったとき、売却価格よりも残債のほうが多く残る可能性が高く、リスクが高い方法であることも確かです。売却後も住宅ローンが残ってしまえば、住んでいない家のためにローンを返済し続けなければなりません。

4.実際の購入者は頭金をいくらに設定しているの?

実際に住宅を購入した人は、頭金をどれくらい用意しているのでしょうか。住宅金融支援機構がフラット35の利用者に対して行った2020年度の調査(【住宅金融支援機構】フラット35利用者調査 https://www.jhf.go.jp/about/research/loan_flat35.html)によると、注文住宅融資利用者では17.5%の頭金を用意していたとの結果が出ています。土地付きの注文住宅融資利用者では10%です。なお、2017年度の調査ではそれぞれ19.4%と11.1%、2018年度は18.7%と10.9%、2019年度は18%と10.4%でした。用意する頭金の割合が少なくなりつつある傾向が見てとれます。

どの年度のケースも、一般に用意することが望ましいとされる20~30%からすると低い金額です。理想とされる割合の頭金を用意して住宅を購入するケースは、実際にはそう多いとはいえません。2020年度以降に関しては、コロナ禍で生活が苦しくなっている影響も考えられるでしょう。無理に頭金を多めに用意して生活が圧迫されるなら1割程度に抑えることも検討すべきであり、そのように考える人が多いといえます。

5.繰り上げ返済で総返済額を抑えるという選択肢も

住宅ローンの借入金額は、収入が増えたり経済的な余裕ができたりしたときに繰り上げ返済をすれば減らせます。繰り上げ返済とは、一時的にまとまった金額を返済することです。そこで、頭金を払わずに万が一に備えて手元に置いておき、何事もなければ繰り上げ返済するという方法を取ることもできます。なお、繰り上げ返済には「返済期間短縮型」と「返済額軽減型」の2つがあるため、違いを理解し有利になるほうを選ぶようにしましょう。

返済期間短縮型は、繰り上げ返済することで元金が減り、返済期間が当初より短くなる方式です。月々の返済額は変わらないものの、返済期間が短くなることで高い利息軽減効果があります。返済額軽減型は、繰り上げ返済によって月々の返済額を減らす方式です。この方法では返済期間は変わらないため、返済期間短縮型に比べると利息軽減効果は高くありません。毎月の返済額が軽減するため、月々の家計に対する負担は減ります。

6.頭金にこだわりすぎると損をすることもある

頭金が多ければ多いほど、住宅ローンの借入金額を抑えられることは確かです。だからといって、頭金を多く用意することにこだわりすぎるのはあまり良くありません。これは、いくつかデメリットがあるからです。たとえば、手元の資金が不足することもそのうちの1つでしょう。住宅は購入できても、生活に必要な物が買えない、必要な支払いができないなど困ることになりかねません。

また、頭金を多くしすぎると、住宅ローン減税の控除額が減ります。これは、住宅ローンを組んだ年から13年にわたって、年末時点での住宅ローン残高の1%分が所得税や住民税から控除される制度です。ローンの残高が多ければそれだけ控除される金額も多くなり、納税額を減らせます。ローン残高が少なければ控除額も少なくなるため、減税効果も縮小します。

頭金が目標額まで貯まるまで住宅の購入を控えていると、買うタイミングを逃す恐れもあるでしょう。さらに、年齢が上がってから住宅ローンを組むと完済時の年齢も高くなるため、注意が必要です。たとえば、同じ35年ローンを組むとしても、30歳であれば65歳で完済しますが、40歳であれば75歳まで返済が続きます。頭金を貯めることにこだわって購入が遅くなると、老後の生活がローンの返済で苦しくなることになりかねません。頭金を貯めることはもちろん大切ですが、こだわりすぎないようにしましょう。

頭金は無理のない範囲で準備を

頭金は多く用意するに越したことはありません。ただし、住宅購入にあたって必須というわけでなく、なくても買うことは可能です。頭金を貯めることにこだわりすぎると、購入タイミングを逃したり高齢になるまでローンの返済が続いたりしかねません。それぞれの家庭に合った資金計画があります。無理のない範囲で頭金を準備し、最適な時期を逃さずに注文住宅で、あなたの理想に合った家を建てましょう。

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