住宅を建てるには、まず基礎を設ける必要があります。基礎は住宅の強度や安定性を決める重要な要素です。特に、基礎部分にあるフーチングという構造が、耐久性や耐震性を左右します。
フーチングを設けることで、建物の荷重や地震などによる負荷が地盤まで均等に伝わるのです。特別に丈夫な地盤ではなくても、フーチングがあれば建物を建てられる場合もあります。そこで、フーチングを設ける目的や重要性など、具体的な役割を説明します。
そもそも基礎とは?
建物の基礎とは、簡単にいえば建物の荷重や地震、風などにより生じる負荷を、バランスよく地盤に伝える構造です。地盤と建物を繋ぐ役割も果たしています。基礎にはいくつかの種類があり、大きく分けて直接基礎、杭基礎、ケーソン基礎、パイルドラフト基礎の4種類です。
直接基礎には布基礎やベタ基礎、独立基礎などがあり、いずれも地盤の状態が良く、建物の荷重を地盤へ直接伝えても問題ない場合に採用されます。杭基礎は直接基礎では建物を支えられない場合に用いられる基礎です。支持杭基礎や摩擦杭基礎といった種類があります。
ケーソン基礎は耐震性を重視した建物などに用いられる基礎です。鉄筋コンクリートで作られた中空箱状の構造物を支持層まで沈め、建物を支えます。パイルドラフト基礎は直接基礎と杭基礎の機能を併せ持った基礎です。2種類の基礎で建物の荷重や負荷を支えます。コストパフォーマンスに優れているのも特徴です。
どの基礎を採用するかは、地盤の状態や建物の重量などにより変わります。また、基礎は建物を支えるためだけではなく、湿気対策のためにも重要です。基礎を高くして地面から離したり、防湿シートやコンクリートを床下に設けたりすることで、建物を湿気から守ります。
フーチングって何?
フーチングとは建物の基礎を構成する一部分で、荷重を分散させる役割があります。床の下には地中梁という荷重を支える部分があり、フーチングは地中梁の基部に当たります。地中梁よりも幅が広くなっているのが特徴です。
たとえば、直接基礎の1種である布基礎の場合、T字を逆さにしたような形状になっています。フーチングが繋がるような形で、基礎を帯状に設置するのが布基礎です。住宅基礎としては代表的な形状の基礎として採用されています。
フーチングは基礎そのものを指すわけではなく、あくまでも地中梁の幅より広くなっている部分のことです。建物には建物自体の重さだけではなく、家具の重さや住人の重さなど、さまざまな負荷がかかります。幅の狭い基礎よりも広い基礎のほうが、これらの重量を安定して支えられるでしょう。
また、基礎幅があまりに狭いと、荷重を支えきれずに倒れてしまいます。そこで、フーチングを設けて建物の重量を分散します。地盤に接する面を広くすることで、荷重を効果的に分散させて建物を支えられるのです。
フーチングと地耐力の関係とは?
フーチングは接地圧を地耐力より小さくするための構造です。接地圧は基礎の下に作用する圧力、地耐力は地盤の強さを意味します。地耐力が大きければ、フーチング幅が小さくても建物は支えられます。
しかし、地耐力が小さいほど、フーチング幅を大きくして荷重を分散する必要があるのです。たとえば、平屋建ての住宅を建てる場合、地耐力が30~50kN/平方メートル未満なら、30cmほどフーチング幅が必要になります。
2階建ての場合、必要なフーチング幅は45cmです。このように、建物そのものの構造や大きさも、フーチング幅に影響します。一方、地耐力が70kN/平方メートル以上の場所に平屋建ての住宅を建てるなら、フーチング幅は18cmと、大幅に小さくなります。2階建ての住宅を建てる場合でも、必要なフーチング幅は24cmです。
フーチングの有無は、建物の耐震性や耐久性に直結します。古い建造物にはフーチングがない家が多く、不同沈下というトラブルを起こすことがありました。
不同沈下とは基礎が地盤にめり込むことで、床が傾いたり耐久性が下がったりする現象です。フーチングがあれば、基礎の沈み込みを防止する効果が期待できます。
住宅を建てるにあたり、地盤の状態が気になる場合は、専門業者に調査を依頼してみるのも良いでしょう。
知っておくべき基礎の種類
住宅を建てるにあたり、代表的な基礎の形を知っておきましょう。ポピュラーなのは布基礎、ベタ基礎、独立基礎の3種類です。これらの基礎は直接基礎いう種類の基礎に分類されます。
布基礎は鉄筋コンクリートで造られた逆T型の基礎を用いる基礎です。フーチングを繫げて作ることから、連続フーチング基礎とも呼ばれます。
布基礎は内側の土が露出していることから湿気が発生しやすく、シロアリの被害を受けやすいといわれていました。しかし、除湿コンクリートを敷き詰めることで、湿気やシロアリの被害を防止できます。
ベタ基礎は建物を支える地盤全体に、鉄筋コンクリートの基礎を設ける方法です。地中梁で支える布基礎とは異なり、建物全体を面で支えられることから、荷重が均一に地盤へ伝わります。地盤が柔らかい場所でも対応できる基礎です。
ただし、大きな建物にベタ基礎を用いると、コンクリートや鉄筋を多く使うため、割高になってしまうという特徴があります。一般住宅であれば複雑な枠型を使うこともなく、工期も短縮できるので、それほど多額の費用がかかることはありません。
独立基礎は主要な柱の底部に独立した基礎を作る方法です。布基礎のようにフーチングが連続していないことから、独立フーチング基礎とも呼ばれています。
独立基礎だけでは建物を支えられない場合、支持層まで杭を入れて建物を支える杭基礎という方法を採用することもあります。
住宅の基礎を作るときの注意点
住宅の基礎を作る際は、荷重を十分に支えられるかだけではなく、湿気対策も考慮しなければいけません。床下に湿気がこもると、カビが生えたりシロアリやムカデなどの害虫が増えやすくなったりします。基礎には湿害を防ぐ役割もあるので、基礎の種類や建物の構造に合わせて湿気対策を行いましょう。
たとえば、基礎を高くすれば、土台となる木材が地面から離れるので、土壌から立ち上る水蒸気の影響を受けにくくなります。さらに、通気性も良くなるため、床下換気の促進にも効果的です。
他にも、厚さ6cmほどのコンクリートで床下全体を覆うという対処法もあります。土壌からの湿気を完全にシャットアウトしながら、床面の断熱効果も期待できる方法です。
布基礎のように土が露出している部分がある場合は、防湿シートを使って床下を覆う方法もあります。布基礎での施工を検討しているのであれば、防湿シートの導入を考えたほうが良いでしょう。
地耐力に合わせたフーチングを!
フーチングの幅は建物の重さや基礎の構造、地耐力などの要素によって決まります。耐震性や耐久性を向上させるには、建物に合った施工を行うことが重要です。
フーチングを効果的に導入すれば、地震や台風などの災害に強く、快適に暮らせる家を建てられます。住宅の基礎にフーチングを設ける場合は、地耐力に合わせた施工をしてもらうよう心がけましょう。
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