新しく土地を購入して注文住宅で家を建てたいと考える人にとって、土地探しは非常に大きな問題です。
一度購入したらその場所に何十年も住み続けることになるため、どのような土地を選ぶかによってその後の生活スタイルが大きく変わってきます。
希望の土地を見つけるまでに、多くの時間と労力を費やす人も多いでしょう。
そこで、今回は土地選びに役立つ知識や注意しておくべきポイントを解説します。何をチェックしておくべきかを知って、後悔しないような土地を選びましょう。
土地にかけられる予算を決める
まず、土地を探す前に決めておきたいのが「どれくらいの予算を土地に充てられるのか」という点です。当然のことと思う人もいるかもしれませんが、なかには予算を決めずに土地探しを始めてしまう人もいます。
注文住宅を建てるには、大まかに「土地取得費」「建築費」「諸経費」の3つの大きな費用がかかります。特に、建築費を把握しておかなければ土地取得にどれだけのお金をかけられるのかわかりません。
予算には限りがあるため、何にどれくらいの予算をかけるのかを事前にしっかりと決めておきましょう。ここを明確にしないまま土地を購入してしまうと、肝心の家を建てる費用が不足し、満足のいかない家になることもあり得ます。
また、希望の土地を見つけることができても判断が鈍ってしまい、購入のタイミングを逃すことにもつながりかねません。スムーズに家づくりを進めるためにも、具体的な予算を決めてから土地探しを始めましょう。
土地価格以外にかかる費用とは?
注文住宅を建てるときには、土地価格以外にも多くの費用がかかります。主な費用としては「不動産仲介手数料」「解体費用」「上下水道関連工事費用」「擁壁工事費用」などです。
まず、不動産仲介手数料とは土地を購入するときに不動産会社に支払う仲介手数料になります。この費用は不動産会社によって異なりますが、一般的には「土地価格×3%+6万円+消費税」です。
例えば、2000万円の土地を購入した場合は、71万2800円が仲介手数料となります。不動産仲介手数料の上限は法律で決まっているため、規定以上の手数料が取られている場合には指摘するようにしましょう。
次に、売り出している土地はすべてが更地ではありません。すでに建物が建っている土地であれば、解体費用が必要になる場合もあります。
立地環境や鉄筋か木造かなどによって費用はかなり幅がありますが、目安としては木造平屋50坪で約130万円、軽量鉄筋造2階建40坪で約180万円、鉄筋コンクリート造2階建60坪で約310万円ほどです。
都市部ほど解体費用は高くなり、田舎であるほど安くなる傾向にあります。また、解体費用を売主が負担する「更地渡し」という場合もあるので、契約内容をきちんと確認しておきましょう。
また、敷地内に水道が引き込まれていない場合には、水道引き込み工事費用がかかります。生活用水として利用する上水と下水のどちらも整備する必要があり、敷地内だけでなく敷地が接している道路の工事も必要です。
その土地がそれまでどのように使われてきたのかによって、費用は大きく変わりますが、場合によっては数十万~数百万円かかる場合もあります。
特に、駐車場や空き家など長期に渡って放置されていた土地では水道管が使い物にならない場合が多く、費用がかさむので注意しましょう。あともう1点注意したいのは、水道管の太さです。
現在では20mmが一般的な太さですが、昔の水道管には13mmのものがあります。現代の用途に使う場合、13mmでは管の太さが足りず、水圧によってひび割れや水漏れをする場合があります。この場合でも、水道管を丸ごと取り換える工事が必要になるので注意しましょう。
最後に、道路や隣地との間に段差がある敷地の場合、擁壁工事を行い土砂が崩れないようにする必要があります。壁の高さや構造物、傾斜などによって費用はまちまちですが、新しく擁壁工事を行う場合、これも百万円単位の費用が必要です。
すでに壁があっても経年劣化によって倒壊の危険がある場合は擁壁工事が必要になるので、しっかりと確認しておきましょう。
土地の法規的制限とは?
土地探しをするときに見落としがちなのが「土地の法規的制限」です。どのような土地でも何かしらの法規的制限があります。この制限によっては自分が理想とする家を建てれない場合もあるので、きちんと確認しておきましょう。
具体的なものとして、主に「建ぺい率」「容積率」「斜線制限」「防火地域」などが挙げられます。まず、建ぺい率とは「その土地にどれだけの面積の家を建てられるか」という制限になります。
50坪の土地があったとして、50坪ぎりぎりまで家を建ててしまえば隣家と接しすぎとなり、防火の観点から好ましくありません。
また、公共道路に接している土地では、交通安全の観点から一定の幅を取る必要があります。このように、取得した土地に対して建築面積がどの程度の割合で認められるかという制限が建ぺい率です。
建築面積とは建物を上から見たときの大きさのことをいい、例えば「40坪 建ぺい率50%」という土地であれば、建築面積が20坪まで可能という意味になります。
次に、土地に対してどのぐらいの大きさの家を建ててもいいのかという基準が、容積率です。
建物の1階・2階・3階の床面積を合計した面積を「延床面積」といいますが、この延床面積が土地に対してどの程度の割合を占めているかという基準になります。
例えば、「40坪 容積率150%」という土地であれば、延床面積が60坪まで可能という意味です。原則として、吹き抜けや小屋裏、バルコニーは算入されませんが、設計の方法によって行政などの判断が分かれる場合もあります。
その他にも斜線制限というものがあり、これは道路の見通しや隣家の日差しを確保するために、建物の高さに制限を加えることです。
道路に関する制限は「道路斜線」、隣家の日差しを確保するときの制限は「北側斜線」といいます。特に北側斜線については、取得予定の土地があるエリアによって大きな差があるため注意が必要です。
エリアによっては3階建ての家が規制される場合もあります。最後に、防火地域・準防火地域の制限についても把握しておきましょう。一定の地域では防火の観点から建築様式に制限が加えられます。
特に注意したいのが防火地域で、商業地域や幹線道路沿いなどに設定されている防火地域では、原則として3階建てや100平方メートル超の木造住宅は建築できません。
木造耐火構造にすれば木造でも可能となりますが、予定外の費用が必要になるため注意しましょう。
購入した土地が防火地域に指定されていることを知らずに購入してしまうと、床面積に制限を受けたり、建築費が高くなったりすることがあります。
希望の条件を整理してみよう!
全国に住宅用の土地は非常にたくさんあります。自分や家族が何十年にも渡って生活することになる場所なので、慎重に選びたいと考えている人が大半です。
しかし、選ぶポイントや注意点をしっかりと把握しておかなければ、想定外の費用が必要になる場合もあります。
希望するエリアや土地の大きさ、形状や立地環境など様々な面を考慮して選びましょう。
後悔しない土地を選ぶためには「自分はどんな条件を希望するのか」を明確にしておくことが大切です。
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