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  • 緩和された道路斜線制限!上手に活かすにはどうすればいい?

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    建築基準法で定められた建物の高さ制限の1つに道路斜線制限がありますが、どのように適用されるかはご存じでしょうか。
    道路斜線制限について知っておくことは、注文住宅を検討するうえでも重要なポイントになります。
    今回は、道路斜線制限とはどういうものなのか、そして、制限を克服するためにはどうすればよいのかということについて、詳しく解説していきます。
    道路斜線制限についての知識を、住宅選びにもぜひ活かしてみましょう。

     

    すべての用途地域にかかる高さ制限

    建物の高さ制限の要件は、用途地域ごとに異なります。用途地域とは、住宅地、商業地、工業地など、都市計画法によって用途別に区分けされた地域のことです。隣地斜線制限や北側斜線制限のように、限られた用途地域でのみ適用される制限がある一方で、道路斜線制限は用途地域別に関係なく適用される高さ制限です。
    すなわち、新たに建物を建てる際には、その地域にかかわらず常に道路斜線制限を考慮して建物の設計を行わなければならないということです。あらゆる地域で適用される道路斜線制限ですが、用途地域によってその適用範囲や条件は異なります。
    ですから、これから建物を建てようとしている地域が、どの用途地域に区分されるのかということも把握しておかなければならないということになります。

     

    道路斜線制限はなぜ必要?

    CASE486 デザインへの挑戦

    そもそも、道路斜線制限はなぜ法律で定められているのでしょうか。道路斜線制限は、隣接する道路の採光や通風を確保し、また周辺に圧迫感を与えないための建築物の高さを制限したルールとなっています。
    制限されることなく無秩序に建物が建てられてしまうと、街の景観が損なわれるだけではなく、道路に日が当たらなくなってしまい、衛生的にもよくない環境になってしまいますよね。
    道路斜線制限によって道路自体の採光や通風を確保することで、周辺の建物の採光や通風も確保することが目的とされています。同じように、日影規制や北側斜線制限などの制限もまた、秩序だった街づくりを目指して設けられているのです。

     

    用途地域別に容積率と道路の幅員で決まる

    道路斜線制限は用途地域別、容積率の限度別に適用距離が決まっています。容積率とは、建物の延べ床面積の合計を敷地面積で割った数値のことで、こちらも用途地域や建物の種類によって限度が定められています。
    また、前面道路の反対側の境界線が道路斜線制限の適用距離の起点となるため、道路の幅員が制限の度合いに大きく影響します。用途地域、容積率、道路の幅の3つから適用距離と角度が決まり、建物の高さと建てられる位置が決まります。

    容積率の限度ごとの道路斜線制限の適用距離は、大まかに住宅地、商業地、工業地によって異なっています。たとえば、第1種低層住居専用地域などの住宅地の場合、容積率が200%以下なら適用距離は20m、200~300%なら25m、300~400%なら30m、400%超なら35mというように定められています。
    ただし、特定行政庁指定区域である場合はこの限りではなく、容積率200%以上の建物において制限の適用距離が5mずつ短くなっています。商業地の場合は大きな建物が多いので、最大で容積率1200%超、適用範囲50mまで指定されています。

    また、道路斜線制限の角度についても、大まかに住宅地とそれ以外で指定が異なります。住宅地の場合、「前面道路の反対側の境界線までの水平距離の1.25倍以下」に、建物の高さが制限されることになります。
    つまり、前面道路の反対側の境界線を起点とすると、起点から10mの距離での建物の高さは12.5m以内に、起点から20mの距離での建物の高さは25m以内に収めなければならないということです。
    この制限に従った建物の形を想定するならば、定められた角度に沿った斜めの外壁を備えた建物だといえます。これらの制限が「斜線制限」と呼ばれる理由はここにあります。

     

    道路斜線制限の適用距離って何?

    道路斜線制限の適用距離は、用途地域や建物の容積率によって定められますが、この適用距離の項目は昭和62年以降に建築基準法に加えられました。
    簡単に言うと、建物が道路から一定以上離れた距離にあり、道路に対する影響がない場合は道路斜線の影響を受けなくて済むのです。
    つまり、それまでは角度だけが指定されており、道路斜線はどこまでも適用されることになっていたのです。そのため、高層建築物などは道路斜線を考慮した形で設計せざるを得なかったわけです。
    しかし、適用距離が追加されたことによって、昭和62年以降に建てられた建物については、無理に道路斜線に沿わせたような外観のものは少なくなっています。

     

    セットバックによる緩和とは?

    CASE523 くのじのいえ

    ここまで「道路斜線制限の起点は前面道路の反対側の境界線である」と説明してきましたが、建物が道路から一定以上離れている場合はその限りではありません。前面道路の建物に近い側の境界線と建物の距離が離れている場合、道路斜線制限の起点は道路の境界線と建物の距離の分だけ後退します。
    具体的にたとえると、道路の境界線と建物が5m離れていたとすれば、道路斜線制限の起点は反対側の境界線から5m後ろに下がります。
    つまり、ぴったり道路に面して建てた場合と比べると、道路斜線制限の適用距離が10m長くなるということになります。ただし、屋根が大きくせり出していたり、バルコニーが飛び出したりしている場合などは、セットバックは壁までの距離ではなくせり出した部分までの距離になります。

     

    その他の緩和ポイントは?

    道路斜線制限には、セットバック以外にもいくつかの緩和規定があります。まず、建物の2方向が道路に接する場合の緩和です。建物が2つの道路と接している場合、幅が広いほうの道路が優先されます。
    広いほうの道路の幅をXとする と、狭いほうの道路に面している側についても「2Xかつ35m以内」の範囲において広いほうの道路の斜線制限が適用されます。また、狭いほうの道路の中心線から10mを超える範囲についても、広いほうの道路の制限が適用されます。

    道路と敷地に高低差がある場合にも緩和規定があります。敷地の地盤面が道路面よりも1m以上高い場合、その高低差から1mを引き、さらにそれを2で割った値だけ道路面が高い位置にあるとみなして斜線制限を適用することができます。
    また、道路の反対側の境界線に公園や広場、水面などがある場合の緩和、俗に水面緩和とよばれるものもあります。
    前面道路の反対側に公園などがある場合、周辺に空き地が確保されているとみなされるため、斜面制限の起点は公園などの反対側の境界線まで後退することになります。

     

    突出部分について正しく理解を

    建物の高さや面積などに制限はありますが、たとえ外壁より突出していても、物置やポーチ、門、塀、高さ1.2m以下の建物部分などはセットバックの緩和に影響を与えません。
    何が道路斜線に影響するかを正しく理解することが、上手に空間を活用することにつながります。注文住宅を検討する際は、すべてをメーカーや建築士任せにするのではなく、道路斜線などの知識を自分でも取り入れたうえで、相談しながらアイディアを出しよりていきましょう。

     

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