地震から住宅を守る方法には、さまざまな種類があることを知っていますか。
地震から建物を守る性能には、耐震、制震、免震の3つの種類があります。注文住宅を検討する際には、住宅にどの性能を取り入れるのかを検討することが必要です。
しかし、これらの性能の特徴を知らずに選んでしまうと、早い段階で住宅が傷ついてしまったり余計なコストがかかってしまったりすることに繋がります。今回は、免震性能について解説します。
Contents
免震・耐震・制震!自身の住宅に取り入れるならどの工法?
地震が多い日本では、「地震に強い住宅を建てたい」と考える人が多いのではないでしょうか。
しかし、地震に備える性能には大きく分けて3つの種類があります。住宅や土地との相性もありますが、皆さんはどの性能を住宅に加えたいと考えているのでしょうか。
アンケートをとってみました。
【質問】
住宅を建てる(もしくは建てた)際、取りいれたいのはどの性能ですか?
【回答結果】
耐震 : 59
免震 : 35
制震 : 6
調査地域:埼玉県 千葉県 東京都 神奈川県 岐阜県 愛知県 滋賀県 京都府 大阪府 兵庫県 和歌山県 福岡県
調査対象:【年齢】30 – 39 40 – 49 50 – 59 60
調査期間:2017年09月15日~2017年09月22日
有効回答数:100サンプル
耐震性能を支持する意見が半数を占める
アンケートの結果、耐震・免震・制震の中で多くの指示を獲得したのは「耐震」でした。
それでは、獲得票数の多かった「耐震」を支持する方の意見をご紹介しましょう。
・強い揺れに耐えてほしいからです。免振は建物が壊れないのかもしれないけど、揺れを逃がすために家が揺れそうで、怖いです。家の中があまり揺れないのがいいなぁ、と思います。(30代/女性/専業主婦)
耐震性能は、住宅を地震から守る基礎的な性能になるため重要視する方が多いようです。住宅の耐震性能を定める耐震基準については、以下で紹介していますので参考にしてください。
関連記事:注文住宅を検討する前に… 知っておきたい耐震基準の基礎
次に、免震性能を支持する方の意見をご紹介します。
・地震の揺れを抑えることで、家具の転倒による被害を防げると思うからです。(30代/女性/専業主婦)
揺れを建物に直接伝えない免震性能であれば、地震による家具の転倒まで防止できます。地震の揺れが建物に伝わるのを根本から防ぎたいという方の支持を多く集めているようです。
最後に、制震を支持する方の意見をご紹介します。
・ある程度は大きく揺れてもいいので、住宅自体の傷みが少ないほうが助かります。ただ自宅内では物が落ちたり倒れたりしないよう、危険なものはしまう、ドアや扉にガードをつけるなどの対策が必要ですね。(40代/女性/専業主婦)
獲得票数は最下位だったものの、地震による建物の痛みを軽減するなどメリットも多い制震性能。支持する方の中には、ドアや扉にガードを付けるなど、制震性能のデメリットを補う工夫をされている方もいるようです。
今回のアンケートでは多くの支持を集めた耐震性能と、次いで人気が高かった免震性能。それでは耐震と免震との間にどのような違いがあるのでしょうか。
免震装置を付けて地震に備える!どんな仕組みなの?
地震に備えるというと、地震で建物が崩壊・倒壊しないように建物基礎を強固にするイメージを持つ方も多いのではないでしょうか。
しかし、揺れがダイレクトに建物に伝わってしまうことになるため、強度や高さによっては建物がダメージを受けてしまうのです。
免震によって地震への備えを行う場合、地面と住宅の間に専用の装置を設置し、地震の揺れを逃がします。その効果は高く、敷地や建物の種類によって差はありますが、地震の揺れを数分の1から数分の2程度まで抑えることもできます。
免震装置にはさまざまなタイプがあり、金属の板とゴムを交互に重ねた積層ゴムやボール、バネやゴムで振動を吸収するダンパーなどが利用されます。
住宅の形状や使用される材、予算面などから住宅に合った免震装置を選ぶことが大切です。
免震住宅のメリット
免震住宅のメリットは大きく分けて2つあります。まず、免震を選ぶメリットとして挙げられるのが「地震の揺れが直接住宅に伝わらない」という点です。
地震が発生した際には、地面の間に設置された免震装置によって、揺れの力が分散されます。住宅への影響が少なく、ひび割れなどを防ぐことに効果的です。地震が多い日本では、長期的にみると建物を長持ちさせることにも繋がるといえます。
免震住宅を選ぶ2つ目のメリットは、「住宅内の家具の転倒を防止できる」という点です。揺れに耐えられるように建物基礎を頑丈に固める耐震性能では、揺れのエネルギーがダイレクトに住宅に伝わるため、建物内の家具が転倒しやすいのです。
家具の転倒は、住人のケガの原因になるだけではなく、火災などの二次被害に繋がることもあるため危険です。免震住宅の場合は、住宅に揺れが伝わりにくいため家具の転倒が起こりにくいです。
未然に二次被害に繋がることを防止でき、安全性が高いといえるでしょう。
免震住宅のデメリット
一見するとメリットが多いようにも捉えられる免震住宅ですが、一方でデメリットがあることも事実です。
免震住宅のデメリットとして挙げられるのが、住宅の立地条件や構造によっては設置できないことです。免震装置は、左右に揺れることによって地震の揺れを逃がす構造になっています。近隣に住宅が密集していると免震装置が動くスペースを確保できません。
よって、住宅の密集しているエリアや近隣に木などが植えられている土地に、免震住宅は向きません。建ぺい率ギリギリで建てられている狭小住宅などにも設置できないことがあります。
また、免震装置は地盤と基礎の間に設置するため、地震が起こると住宅は地盤と異なる動き方をします。家の中と外を繋いで車を乗り入れるビルトインガレージや、地下室がある場合も、免震住宅の実現は難しいでしょう。
免震住宅にするためにかかる費用
住宅に免震装置を設置するには、一般的に350万円から550万円程度の費用が必要です。
地震対策の施工としては、免震装置ではなく制震装置を後付けするものもあります。こちらは、免震装置にも使われるダンパーを建物の柱に取り付け、揺れを吸収するものです。通常30万円から100万円ほどの費用がかかります。
免震装置の設置は、基礎部分に手を入れることから、耐震工事や制震装置の設置より費用は高額になりやすいです。実現したい耐久性と予算を整理し、建築会社に最適な方法についてアドバイスを受けることが大切です。
なお、住宅の規模や周辺環境による工事のしやすさなどでも費用は増減します。
免震住宅に必要なメンテナンス
免震住宅は、一度施工すれば半永久的に維持できるものではありません。
基礎と地盤の間で揺れを吸収する「免震層」は地面からの湿気が溜まりやすく、免震装置に錆が発生してしまうことがあります。免震装置の耐用年数は60年以上と長いものの、安全性を確保し続けるには定期的なメンテナンスが必要です。
免震装置のメンテナンスは、主に異常を確認する免震点検と、点検で発見された劣化や異常の補修作業の二種類です。点検は目視と計測によって行われ、見て分かる明らかな異常のほか、接続部のズレやゆるみなども確認します。
免震装置の定期点検は、竣工から5年後・10年後に行い、それ以降は10年に一度の頻度で行うことが推奨されています。
免震施工を依頼する建築会社を選ぶ際は、アフターサービスの内容や頻度も確認しておきましょう。
免震住宅を建てるときの注意点
地震に対して高い効果がある免震住宅ですが、現実的には「免震住宅なら安心」とは言い切れない場面もあります。また、人によっては免震住宅自体が向かないこともあるため、検討は慎重に行わなければなりません。
免震住宅を建てる際、どういった点に注意すれば良いのか詳しくみてみましょう。
地震以外の災害には強くないため別の対策が必要
免震住宅は、地震への対策としては高い効果を発揮しますが、その他の災害に対する強さは通常の住宅と同程度です。免震機能の追加のみで、災害全てに備えられるわけではない点に注意しましょう。
例えば「揺れに強い」という性質から、台風などにも強そうなイメージを持たれますが、強風に対する効果はありません。免震住宅の耐久性は、あくまで地面の揺れに対して発揮されるものです。
また、家を津波や洪水による浸水から守りたい場合も免震住宅では叶えられません。まずは、立地を厳選することが大切です。海沿いや川沿い、山間部などは災害リスクが高いため注意してください。
各市町村の公開しているハザードマップを見ると、エリアごとの災害リスクを確認できます。インターネットでも公開されているため、土地選びの際の参考にしてください。
免震性能の必要性について十分に検討する
そもそも免震性能が本当に必要なのか、という点は十分に検討する必要があります。イメージする「地震への強さ」によっては、免震ではなく別の対策のほうがメリットが大きい可能性があるからです。
【住宅に施す地震への備えと特徴】
特徴 | コスト | |
免震 | ・免震層が揺れを吸収し家の損傷を抑える・内部が揺れないため家具の転倒を予防 | 高 |
耐震 | ・家自体の耐久を高くし地震に強くする・一定の耐震性能は建築基準法で義務化・建築の自由度が高い | 低 |
制震 | ・後付けのダンパーで揺れを吸収し家の損傷を抑える・強風の揺れにも強い | 低 |
免震住宅の特徴は、家に伝わる揺れを小さくできることです。家へのダメージを軽減できる反面、工事が大がかりで費用は高くなります。
免震住宅に向くのは、ある程度の費用は承知のうえで、建物のダメージを抑えて長く住みたい人や、家具の転倒を予防したい人です。
一方、コストを抑えて家の倒壊を防ぎたい人や、住宅のデザインにこだわりたい人には、耐震性能の向上や制震性能の付与のほうが向くケースもあります。
複数の性能を組み合わせた家も
免震住宅は、地震が来た際に住宅や屋内の家具を守る性能に優れています。しかし費用が高額になるため、設置に一歩踏み出せないという方が多いことも事実です。
そこで注目を集めているのが、耐震と制震の性能を組み合わせた住宅です。前述のように住宅の制震は、建物内にダンパーと呼ばれる部材を設置し、揺れのエネルギーを吸収する仕組みになっています。
耐震性能を持つ住宅に、制震性能を併せることによって、地震の被害を受けにくい住宅を実現することができるのです。制震性能を取り入れた建物は、地震だけではなく強風の揺れの影響も受けにくくなります。
設置にかかるコストは、免震よりもリーズナブルに抑えられ、費用と性能のバランスが良いことも特徴です。
それぞれの性能の特徴をチェック!住宅に合った工法を選ぼう
免震住宅は、地震の揺れから住宅を守ることに優れた効果を発揮します。しかし、設置には高いコストがかかってしまうことも事実です。
地震にしっかりと備えつつも、コストを抑えたい場合は、制震と耐震を組み合わせた住宅を選ぶのも方法といえるでしょう。
住宅に合った地震対策を選ぶためには、それぞれの特徴を知ったうえで性能と費用のバランスを考えることが重要です。
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関連記事:詳しくは、耐震性能が住宅を守る!種類と特徴を解説をご参照ください。
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