屋根の素材で効果が変わる?選ぶポイントと効果について徹底解説!

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屋根の素材で効果が変わる?選ぶポイントと効果について徹底解説!

新築住宅を建設する際には、素材にも着目する必要があります。住宅に使用する素材によって、劣化の速度やメンテナンスの頻度などは変わります。特に雨や雪など天候の影響を受けやすい屋根の素材は、その土地の気候や風土によって最適なものを選びたいところでしょう。

今回は、屋根の素材ごとの特徴と選び方についてご紹介します。

屋根の素材の主な種類とシェアランキング

屋根の素材の主な種類とシェアランキングについて解説

調査によると、2021年度における屋根材市場の素材別シェア(新築と改修両方の面積別シェア)は、以下の通りです。

1位 金属屋根:63.2%
2位 スレート:15.0%
3位 陶器瓦:13.4%
4位 アスファルトシングル:5.6%
5位 石粒付き金属屋根:2.8%

出典:株式会社矢野経済研究所 屋根材市場に関する調査を実施(2022年)

一般的に屋根というと瓦屋根をイメージする方も少なくありませんが、現在の市場では金属屋根がトップシェアを占めています。2位のスレートと比べても、市場占有率に4倍以上の大差が生じている状況です。

金属系は安定の耐震・耐久性を誇る近年人気の屋根素材

金属系は安定の耐震・耐久性を誇る近年人気の屋根素材

耐久性と耐震性に優れた機能を持つ「金属材」は、屋根材として人気が高いです。素材が軽く、自由に加工がしやすいためさまざまな勾配の屋根に対応できる屋根材でもあります。耐水性にも優れているため、雨や雪が多い地域でも安心して使用できます。

屋根の金属材には「ガルバリウム鋼板」「瓦棒」「トタン」「銅板」などさまざまな種類があります。なかでもガルバリウム鋼板は耐久性・防水性・加工の自由度などの機能面が優れており、リーズナブルに使用できる屋根材として人気が高いです。アスベストを含むこともないため、安心・安全に使用しやすいことも魅力です。

ガルバリウム鋼板のメリット・デメリット

ガルバリウム鋼板とは、表面がアルミニウム・亜鉛・シリコンでメッキ加工された素材です。コストパフォーマンスに優れているうえ、水やサビにも高い耐性を持っているので、今のところ金属系の屋根材では最も人気があります。

また、既存の屋根に新しい屋根材を重ねて張り付ける「カバー工法」と相性が良いため、施工費用を抑えやすいことも強みです。ただし、サビ・穴あき・棟の釘のゆるみなどが見つかった場合、早急なメンテナンスが求められます。

【メリット】
・耐用年数が比較的長い
・防水性・防火性に優れている
・サビに強い
・軽量で耐震性に優れている
・勾配が少ない屋根にも対応できる

【デメリット】
・断熱性・遮音性が低い
・キズやへこみに弱い
・再塗装が必要

【価格帯】
6,000~12,000円/㎡

【耐用年数】
30~40年

自然石粒付ガルバリウム(ジンカリウム鋼板)のメリット・デメリット

自然石粒付ガルバリウムとは、ガルバリウム鋼板と同じ組成を持つジンカリウム鋼板の表面を砂粒でコーティングした素材です。このコーティングによって断熱性・遮音性が向上しているので、ガルバリウム鋼板の弱点が解消されています。

【メリット】
・断熱性・遮音性に優れている
・再塗装が不要
・サビや紫外線に強い

【デメリット】
・価格が高い
・ガルバリウム鋼板より重量がある
・砂粒が剝がれ落ちてしまう

【価格帯】
8,000~14,000円/㎡

【耐用年数】
30~40年

トタンのメリット・デメリット

トタンとは、鉄板の表面に亜鉛メッキを施した素材です。かつては多くの住宅で採用されていましたが、より耐用年数が長くサビにも強いガルバリウム鋼板が登場したこともあり、現在は主流から外れています。

また、ガルバリウム鋼板と同じくサビ・穴あき・棟の釘のゆるみなどが発生したら、早めのメンテナンスが必要です。施工費用は安く抑えられるものの、性能や耐用年数を考慮するとコストパフォーマンスはそれほど高くありません。

【メリット】
・価格が安い
・軽量で耐震性に優れている
・DIYでも比較的作業しやすい

【デメリット】
・耐用年数が最短クラス
・サビに弱い
・断熱性・遮音性が低い

【価格帯】
5,000~6,000円/㎡

【耐用年数】
10~20年

銅板のメリット・デメリット

銅板とは、文字通り銅製の素材であり、古くから日本家屋や寺社仏閣で採用されてきました。他の素材に比べて耐用年数が非常に長いうえ、メンテナンスもそれほど必要ありません。また、年月経過によって色合いが変化することもポイントです。

しかし、価格が高く対応業者もごくわずかなので、現実的な選択肢とは言えません。

【メリット】
・耐用年数が最長クラス
・再塗装が不要
・軽量で耐震性に優れている
・サビが発生しても耐用年数に影響しない

【デメリット】
・価格が非常に高い
・対応業者が極めて少ない

【価格帯】
20,000~25,000円以上/㎡

【耐用年数】
60年以上

スレート屋根は軽量で地震の揺れに強い

スレート屋根は軽量で地震の揺れに強いことを解説

屋根素材として広く使用されているのが「スレート材」です。スレート材には化粧スレートと天然スレートがあります。

天然スレートは天然鉱物を加工して作られる材であり、ヨーロッパではスタンダードに使用されていますが日本では希少性が高いとされています。天然スレートの材質を真似て、人工的に加工して作られているのが「化粧スレート」です。

スレート屋根は他の素材より軽量で、なおかつ地震の揺れに強いという特長もあります。もし大きな揺れが起こっても被害を最小限に抑えやすいため、地震が頻発する日本の住宅とは相性が良く、安心感にもつながるでしょう。

化粧スレートのメリット・デメリット

化粧スレートとは、セメントなどの材料に繊維素材を混ぜて板状に加工された素材です。別名で「人工スレート」「コロニアル」「カラーベスト」と呼ばれるケースもあります。

他の素材より価格が安いうえ、耐久性や施工性にも優れているため、日本の住宅では特に人気がある屋根材です。価格と耐用年数のバランスも良いので、コストパフォーマンスに優れた素材と言えるでしょう。

ただし、雨風によって色付けされた部分が剥がれる可能性もあるため、定期的なメンテナンスが必要です。

【メリット】
・価格が安い
・軽量で耐震性に優れている
・幅広いデザインに対応できる
・対応業者が多い

【デメリット】
・衝撃や気候によって割れやすい
・コケや藻が発生しやすい
・再塗装が必要

【価格帯】
4,000~8,000円以上/㎡

【耐用年数】
20~30年

天然スレートのメリット・デメリット

天然スレートとは、地殻変動によって生じた粘板岩が板状に加工された素材です。天然の岩石を材料としてそのまま使っていることもあり、他の素材にはない質感や重厚感が感じられるでしょう。

コストパフォーマンスや耐震性は化粧スレートにやや劣りますが、デザイン性にこだわりたいならおすすめです。

【メリット】
・天然鉱物特有の美しさがある
・防水性に優れている

【デメリット】
・価格が比較的高い
・重量があるので耐震性は少し落ちる

【価格帯】
10,000円以上/㎡

【耐用年数】
20年以上

美しい見た目のセメント系は防音性にも優れている

セメント系は防音性にも優れていることについて解説

セメント瓦は粘土を使って形成する瓦よりも、安価であり防音性に優れているのが特徴です。塗料で着色をするため、好きな色に塗装できさまざま様々なデザインの建築物に対応します。

しかし、セメント瓦にはデメリットもあります。セメント瓦自体には、防水性がないため雨や雪に弱いという特徴があるのです。雨の影響で劣化したセメント瓦を放置すると、コケやカビが発生しやすくなったり、瓦がヒビ割れたりすることにつな繋がります。

セメント瓦を使用する際は耐水性のある塗料などを使用して、定期的に取り換えるなどメンテナンスが必要になります。

セメント瓦のメリット・デメリット

セメント瓦とは、文字通りセメントから作られた瓦素材です。別名で「モニエル瓦」「コンクリート瓦」と呼ばれるケースもあります。

価格は安いものの、それ以上にデメリットが多いので、近年はあまり採用されていません。

【メリット】
・価格が安い
・断熱性・遮音性が高い

【デメリット】
・耐用年数が比較的短い
・防水性が低い
・重量があるので耐震性は低い
・コケやカビが発生しやすい
・再塗装が必要
・ほぼ生産終了している

【価格帯】
6,000~8,000円以上/㎡

【耐用年数】
30年

アスファルトシングルのメリット・デメリット

アスファルトシングルとは、アスファルトを染み込ませたガラス繊維の表面に石を吹き付けたシート状の素材です。普及して10年程度の新しい素材ですが、水やサビに強いだけではなくデザインの幅も広いので、屋根のデザイン性を高めたい方に向いています。

価格はややバラつきがありますが、歴史が浅いこともあって対応業者が少ないため、工賃が高くつくかもしれません。

【メリット】
・防水性・遮音性に優れている
・サビに強い
・軽量で耐震性に優れている
・割れが発生しない
・幅広いデザインに対応できる

【デメリット】
・強風で剥がれる可能性がある
・表面の石が落ちやすい
・コケやカビが発生しやすい
・対応業者が少ない

【価格帯】
・3,500~12,000円/㎡

【耐用年数】
・20~30年

耐久性抜群!粘土系は日本を代表する屋根素材

耐久性抜群の粘土系は日本を代表する屋根素材ということを解説

日本の歴史と共に歩んできた屋根材が「粘土瓦」です。粘土瓦は、耐久性に優れており定期的にメンテナンスを行えば100年以上持つともいわれています。粘土瓦には釉薬と呼ばれる薬剤を塗って仕上げるものなどもあり、美しい色彩を実現することもできます。

粘土瓦といえば「和風」の建物に使用される屋根材だと考える人が多いようです。実は粘土瓦の形状にはJ型、S型、F型などさまざまな形状があり、洋風のデザインにマッチする製品なども作られています。瓦は重量のある素材であるため、屋根の勾配によっては設置できないこともあります。

粘土瓦のメリット・デメリット

粘土瓦とは、粘土を高温で焼くことによって作られた瓦素材です。「陶器瓦」や「いぶし瓦」といった名称で呼ばれることもあります。施工費用はかかるものの、それに見合うだけの耐久性やデザイン性を持っているため、性能重視の方におすすめです。

また、粘土瓦は割れなど破損が生じない限り、繰り返し利用できるというメリットもあります。

【メリット】
・耐用年数が非常に長い
・断熱性・遮音性に優れている
・デザイン性に優れている
・結露が発生しにくい
・再利用できる
・再塗装が不要

【デメリット】
・価格が高い
・重量があるので耐震性は低い
・他の屋根材から変更しにくい

【価格帯】
9,000~16,000円/㎡

【耐用年数】
50年以上

太陽光パネルや屋上には陸屋根

太陽光パネルや屋上には陸屋根について解説

陸屋根(りくやね・ろくやね)とは、平らで人の立ち入りが可能な屋根のことです。太陽光パネルを設置したい場合、あるいは屋上として活用したい場合、陸屋根を設けることで実現できるようになります。最近は一般的な戸建て住宅でも、陸屋根を採用するケースが増えている状況です。

なお、陸屋根は完全に平らではなく、雨水を排水する目的でわずかに傾斜がつけられています。

陸屋根のメリット・デメリット

陸屋根を採用する最大のメリットは、スペースを有効活用できることです。晴れた日に洗濯物を干したり、屋上庭園でガーデニングを楽しんだりするなど、さまざまな使い道があります。

また、勾配のある一般的な屋根より容易にメンテナンスできることもメリットです。

陸屋根のデメリットとしては、水はけの問題で防水工事が欠かせないことが挙げられます。防水工事の素材には「ウレタン」「FRP」「シート」などがありますが、それぞれ価格や耐用年数が異なるため、よく検討しましょう。

屋根の素材はどこまでこだわる?決めては何か聞いてみた!

屋根の素材選びは、住宅の耐久年数を左右する重要なポイントと言えます。しかし、実際にはどの素材を選べば良いのか分からないという人が多いようです。

そこで、新居を立てたときにどのような観点で材を選んだのか、経験者にアンケートを取ってみました。

【質問】
新居を建てるとき、どのような観点で屋根の素材を選びましたか。

【回答結果】
デザイン性:21
機能性:52
コスト:29
後のメンテナンス:37
その他:17

調査地域:全国
調査対象:年齢不問・男女
調査期間:2017年06月06日~2017年06月12日
有効回答数:156サンプル

新居を建てるとき、どのような観点で屋根の素材を選びましたか。

獲得票数1位は「機能性」!

アンケートの結果、獲得票数1位になったのは「機能性」でした。まずは、「機能性」を支持する意見をご紹介します。

・なんだかんだで大雪対策をなんとかしたかったので。(30代/男性/正社員)
・長く住むので、季節問わず機能性が抜群の素材を選ぶことに、こだわりました(20代/女性/派遣社員)

住宅は長く住むこともあり、何よりも快適な環境で過ごせるように機能性を重視される人が多いようです。次に、獲得票数が2位だった「後のメンテナンス」を支持する人の意見をご紹介します。

・長期間利用するものなので、材質が丈夫であることと、メンテナンスが容易であることが大切(40代/男性/個人事業主)

長期的に住むからこそ耐久性やメンテナンスのしやすさを重要視するという考えは頷けますね。
次に、獲得票数が3位だった「コスト」を支持する人の意見です。

・コストが重要です。高い材料でも耐久性は大きく違いません。(50代/男性/会社員)

材料費と耐久性などの機能面は必ずしも優れているわけではないと考えているようです。
最後に獲得票数が4位だった「デザイン性」。機能性やコストよりもデザインを重視する人も一定数いるようです。

・デザインで家の雰囲気が変わるのでデザインを意識しました。(30代/男性/正社員)

今回のアンケートの結果、「機能性」を重視し、屋根材を選ぶ人が多い結果になりました。
しかし、屋根材を決定する際には、機能性、コスト、後のメンテナンスのしやすさなどを考慮したうえで選ぶことも大切です。

デザイン性と機能性を重視した屋根素材の選び方

デザイン性と機能性を重視した屋根素材の選び方とは
CASE433 奏の家

「マイホームを建てるなら流行のデザインを取りいれたい」と考える人も少なくないようです。しかし、美しいデザインを取り入れた住宅であっても、機能性をないがしろにしてしまっては住みやすい家にはなりません。新築住宅を建てる際には、デザイン性と機能性、施工にかかるコストのバランスを考えることが重要になります。

機能性の1つとして挙げられるのが「耐久性」です。耐久性に優れた材質は、金属系と粘度系瓦であるといわれており、その耐久年数は50年以上にもなります。スレート系屋根材の耐久年数は25年から40年程度、セメント系屋根材の耐久年数は30年から40年といわれています。

それぞれの屋根材は優れた部分が異なるため、自分のニーズや住む地方の気候風土に合っているかなどを考慮しながら選ぶと良いでしょう。

屋根材の違いを知り住宅会社におすすめの素材を聞いてみよう

天候や風土の影響を受けやすいのが住宅の外壁や屋根です。快適な住宅を実現するためにも、まずは屋根材の特徴について知っておくことが重要と言えます。住宅に適した性質を持つ屋根材をある程度決めた後、機能性やコスト、デザイン性を踏まえて住む地域に適した屋根材を選ぶようにしましょう。

一方、屋根材の種類は多岐にわたるうえ、それぞれ価格やメリット・デメリットが大きく異なるため、判断が難しいなら住宅会社に相談することをおすすめします。

フリーダムアーキテクツでは、お住まいの地域や住宅に合った屋根材を提案しているので、ぜひ一度お問い合わせください。

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