不動産登記簿謄本とは、その土地や建物の場所や大きさ、状態などが記録されている書類です。
マイホームを購入する際や住宅ローンの審査を受ける際に、この登記簿謄本を取得する必要があります。
しかし、初めて不動産を購入する場合、どこで登記簿謄本を取得できるのか、取得にあたりどのような手続きが必要かなど、わからないこともあるでしょう。
そこで、登記簿謄本の種類や取得方法など、登記簿謄本が必要になったときに知っておきたい情報を紹介します。
Contents
登記簿謄本とはどういうもの?
登記簿謄本とは、「登記事項証明書」または「全部事項証明書」のこと指します。かつては登記所にある登記簿のコピーを取っていたので、登記簿謄本と呼ばれていました。
コンピューターで登記内容を管理するようになってからは、登記簿は帳簿に直接記載するものではなくデータ上の登記記録を印刷するかたちとなったので、「登記事項証明書」や「全部事項証明書」と呼ばれるようになりました。
しかし実際には、「登記簿謄本」と「登記事項証明書」は同じ意味である場合が多いです。
登記簿謄本の謄本とは「コピー」という意味です。登記簿上に記録されているすべての情報をコピーしたものを「登記簿謄本」と呼ぶのに対し、必要な情報だけを部分的にコピーしたものを「登記簿抄本」と呼びます。
登記簿謄本と登記簿抄本は、記録されている情報の量や内容に違いはあるものの、どちらも公的な書類として効力を持つ点は同じです。
登記簿謄本には種類がある!
登記簿謄本には大きく分けて、不動産登記簿と商業・法人登記簿の2種類があります。不動産登記簿とは、土地や建物の登記簿です。
土地の所在や面積、所有権についての情報などが記載されています。不動産登記簿の種類には土地、建物、建物(区分所有)の3つがあり、1区画の土地または1個の建物につき、1組の登記簿が必要です。
商業・法人登記簿にもいくつかの種類があります。商業登記簿には株式会社や有限会社、合同会社のほか、合資会社と合名会社、外国会社の6種類に分類されます。
法人登録簿の種類はさらに多く、公益社団法人と公益財団法人、一般社団法人と一般財団法人のほか、NPO法人や医療法人、宗教法人、学校法人など多岐に渡ります。
商業・法人登記簿には、会社や法人を設立する際に法務局へ登記した情報が記載されています。主な記載内容は会社名や法人名、設立日、本店所在地、資本金額、事業目的などです。
登録簿には他にも立木登記簿や債権譲渡登記簿、動産譲渡登記簿、成年後見登記簿などの種類が存在します。
不動産の登記簿謄本はどこで取得?
登記簿が紙に記録されていた時代は、不動産の所在地を管轄する法務局まで出向かなければ、登記簿謄本は取得できませんでした。
しかし、コンピューターでデータを管理するようになってからは、全国の法務局、支局、出張所で取得が可能になりました。なお、戸籍謄本や住民票とは違い、不動産登記簿は土地の権利者以外であっても、誰でも取得できます。
ただし、地番や家屋番号がわからないと、不動産登記簿を取ることはできません。
地番や家屋番号は固定資産税の納税通知書にも記載されていますが、どうしてもわからないという場合は、管轄の法務局に行って地番を調べてもらいましょう。
どの法務局が管轄しているのかは、法務局のホームページから調べることができます。
登記簿謄本の取得方法は?
不動産登記簿の登記簿謄本は、登記事項証明書交付申請書に必要事項を記入して提出するだけで取得できます。交付申請書は、法務局の不動産登記部門に備え付けられているので、まずは最寄りの法務局の窓口まで行ってみましょう。
書面請求にかかる費用は不動産1個につき600円です。申請したい不動産の数だけ収入印紙を購入し、交付申請書に貼って提出します。
直接法務局に行って交付手続きができない場合は、郵送で請求が可能です。登記簿謄本を取りたい不動産の管轄法務局へ、申請書と収入印紙、返信用の切手を郵送しましょう。
収入印紙は郵便局でも購入できます。費用は窓口で請求する場合と同様、不動産1個につき600円ですが、返信用切手の代金が必要です。切手の金額は1通で80円、2通で90円が目安ですが、3通以上請求する場合は返信用切手の金額を管轄法務局へ問い合わせてみましょう。
また、1通あたりの枚数が50枚を超える場合には,超過した枚数50枚ごとに100円が加算されます。
登記簿謄本の取得で注意することは?
登記簿謄本を取得するあたり、印鑑や身分証明書、委任状などは必要ありません。しかし、土地であれば地番、一戸建てやマンションなどの建物の場合は家屋番号を確認しておきましょう。
地番や家屋番号がわからないと、登記簿謄本は申請できません。不動産を管轄する法務局で交付手続きをするのであれば、その場で調べることも可能です。しかし、管轄ではない法務局に申請する場合は、事前に調べておかなければいけません。
地番や家屋番号は固定資産税の納税通知書や不動産の売買契約書、抵当権設定契約証書などに記載されています。そのほかにも不動産の権利証や固定資産評価証明書でも確認できます。
万が一、権利証も納税通知書も紛失してしまった場合は、役所で名寄帳を取得しましょう。
名寄帳には個人が所有する不動産の一覧が記載されており、地番と家屋番号も記録されています。
土地と建物の両方の登記簿謄本を申請する場合は、地番と家屋番号の両方を確認しておきましょう。
地積測量図や公図も同時取得するには
不動産登記簿の情報はデータ化が完了しましたが、古い登記簿にはところどころ読めない部分や情報が欠けている部分があり、不動産関連の情報がすべてデータ化されたわけではありません。
登記簿謄本と同時に地積測量図や公図なども取得しておくと、土地の位置や形など、具体的な情報も知ることができます。公図とは法務局に備え付けられている地図に準ずる図面のことです。
公図を見れば、所有している土地や周辺の土地がどのような形状になっているか一目でわかります。
一方、地積測量図は土地の分筆登記や地積変更登記を申請する際に作られる図面です。地積測量図には隣地との境界や位置関係なども記されています。
地積測量図や公図を取得する場合は、不動産を管轄する法務局に問い合わせる必要があり、手数料も発生します。
オンライン請求が便利
登記簿謄本は最寄りの法務局や郵送で取得するほか、オンライン請求を利用する方法もあります。
オンライン請求はインターネットに接続できる環境があれば、どこにいても登記簿謄本の取得が可能です。
オンライン請求を利用する場合、まずは「登記・信託オンライン申請システム 登記ねっと 信託ねっと」からユーザー情報を登録しましょう。
窓口や郵送から取得する場合、手数料は1通につき600円ですが、オンライン請求なら1通480円で取得できます。さらに、オンライン請求の申請ができる時間は平日の8:00~21:00と、法務局の窓口よりも遅い時間まで利用できます。
窓口が開いている時間に申請に行けない人や、手数料をなるべく安くおさえたい人にとって、オンライン請求を利用するメリットは大きいです。
法務省でもオンライン請求を推奨しているため、これから登記簿謄本の取得を検討している人は、オンライン請求を利用してみましょう。
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