• 外断熱と内断熱は何が違うの?メリット・デメリットを紹介

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    自宅を住み心地の良い空間にするために必要なのが断熱です。断熱とは文字通り熱の流れを遮断することで、断熱をすることによって室内の環境に大きな影響を与えます。断熱にこだわれば、室内の環境を一定に保つことができ、快適な暮らしが実現します。

    断熱をするための工法には「外断熱」と「内断熱」の2種類があります。この2つの断熱方法には、どのような違いがあるのでしょうか。今回は、外断熱と内断熱について詳しく解説します。

    断熱が住みやすさを左右する

    CASE593 CAMP

    快適な住まいを実現するためには、間取りやインテリアにこだわるだけではなく、室温を一定にキープすることが重要です。

    しかし、設計時には間取りやキッチン、バスルームへのこだわりなど、目に見える場所を優先してしまいがちです。そのため、目に見えない断熱材については詳しく知らない人も多いでしょう。断熱をおろそかにしてしまうと、各部屋や廊下の温度差や窓の結露などが生じてしまい、さらに冷暖房の電気代がかかってしまうという現象が起きます。

    そのような現象を防止するためには、部屋の温度差をなくすために各所に断熱材を配置しましょう。部屋の温度を一定に保ち、外気の温度に左右されない、住み心地の良い空間をつくり出すことが可能になります。その結果、冷暖房効率を高めることもできます。断熱は、日々の生活を快適にするだけでなく省エネにもなるため、おろそかにしてはいけないことなのです。

    また、断熱材は他にもいくつかのメリットがあり、たとえば外部の紫外線から建物を守ります。生活の快適さを向上させるだけでなく、建物の劣化も防いでくれるのが断熱材の効果なのです。メリットにつきましては、後程詳しく解説します。

    関連記事:機能性を徹底的に比較!断熱材は何にすべき?

    外断熱の特徴とは?

    CASE593 CAMP

    外断熱とは、建物の外壁仕上げ材のすぐ内側に断熱材を敷くことで断熱層をつくることです。ここでは、外断熱を取り入れるメリットとデメリットについて解説します。

    外断熱のメリット

    外断熱では、断熱層をつくることによって陽光や冬の冷たい外気を遮断することが可能となります。断熱材には、耐水性の高いプラスチック系板状のもの、発泡系状のものがよく使用されます。海外の寒冷地や欧米などで多く見られ、防湿性に優れているのが特徴です。

    断熱材は建物全体を覆うように配置するのが特徴で、外断熱をすれば建物の屋根や壁が蓄熱体の役割をするため、建物の室内温度を一定に保つことが可能です。

    室内の極端な温度差をなくすことによって窓の結露が生じにくくなるなど、防湿性を上げることも外断熱の特色といえるでしょう。

    外断熱のデメリット

    外断熱のデメリットは、施工に手間がかかることが挙げられます。

    外断熱の施工は、はっきりと確立された汎用工法がないために、慣れている業者は決して多くありません。そのため、施工コストが高めになります。

    また、外断熱のある家は外気を遮断する性能は優れていますが、その分、気密性が強いために、換気に気をつけなければいけません。

    さらに、発砲系状の断熱材の床下は、一定に温度が保たれるためシロアリの格好の住処となりやすいです。床下は外部と切り離され、天敵となる黒アリやクモが住みにくくなるため、よりシロアリの被害にあいやすくなってします。

    内断熱の特徴は?

    内断熱の特徴を解説

    内断熱とは、断熱材を建物の内側に入れる工法を施すことによって、断熱を図ることです。隙間断熱材というプラスチック、吹き付け、天然系繊維の断熱材を、柱や門柱の隙間に入れて断熱を図ります。ここでは、内断熱のメリットとデメリットについて見ていきましょう。

    内断熱のメリット

    内断熱は外断熱の施工に比べて簡単であるため施工できる業者が多く、工事費も外断熱よりは安いとと言われています。材料によっては、さらにコストダウンを図ることもでき、使用できる断熱材が限られている外断熱と違い、ほとんどの断熱材の使用が可能です。

    エアコンの設定温度を適温にする時間が短時間なため、電気代の節約が実現するのも内断熱の特徴です。

    内断熱のデメリット

    低コストな内断熱の施工ですが、建物の軸組部分や構造材の部分は断熱の作用が働かず、湿気がたまりやすいというデメリットがあります。柱などの木材の部分で断熱材が切れてしまうので、断熱材のない部分から熱損失が生じやすくなる点も懸念されます。

    また、断熱材の素材によっては、施工の具合で結露が起きやすく湿度が高くなってしまう、配管や配線の場所の変更が難しいなども、内断熱のデメリットです。

    どっちがいい?外断熱と内断熱を比較

    外断熱と内断熱を比較を解説

    外断熱と内断熱それぞれの特徴を押さえたところで、実際にどちらがいいのか迷う場合もあるでしょう。気密性の高さは外断熱の方が優れていますが、比較的安価な内断熱を選ぶ際にはデメリットも考慮することが大切です。外断熱と内断熱の選び方について解説します。

    外断熱と内断熱の価格差

    外断熱と内断熱を比較した場合、断熱材の種類にもよりますが、外断熱の方が高くなる傾向があります。外断熱は施工に手間がかかる上、汎用工法がないため慣れている業者が少ない状況です。

    また、外断熱は住宅の外周を断熱材で施工しなければならず、必要となる断熱材の量も多いため、費用は内断熱よりも高額になります。

    住んでいる地域が冬でも温かい場合は内断熱でも十分ですが、豪雪地方や東北以北の寒い地域の場合は外断熱が必要になるでしょう。費用を優先するあまり、断熱が不十分だと意味がなくなってしまうため、気候に適したほうを選ぶことが大切です。

    気密性を求めるなら外断熱

    外断熱の施工では、内断熱と異なり構造材や軸組ごと住宅全体を包み込むように断熱材で覆うため、気圧の影響を受けにくい気密性の高い家を作ります。

    気密性が高くなれば、外気と室内の気温の温度差がほとんどなくなり、結露ができにくくなるのが、外断熱工事のメリットです。そのため、冬の冷たい外気によって室内が冷たくなることもないので、暖房器具の使用頻度も減り、冬でも暖かく快適に過ごすことができるのです。

    気密性が高いということは、通気性が低いということです。そのため、空気の入れ替えなど換気に注意を払わなくてはいけないという問題がでてきますが、冬の寒さに弱い人は、外断熱にこだわることがおすすめといえます。

    内断熱に比べると施工費用が高くなってしまいますが、寒い冬場でも室内で快適に過ごすことができるでしょう。

    内断熱はデメリットが大きい

    手間のかかる外断熱の施工よりは簡単にできるため、内断熱施工ができる業者はたくさんいます。簡単であるために、かかる費用も外断熱よりは安価で済むというのが内断熱施工のメリットです。しかし、外断熱より劣っている部分があるという意味でもあります。

    内断熱は、外断熱の断熱材と違い、断熱材を建物の構造材よりも内側に配置します。そのため、気密性が低くなり外断熱に比べて外気が部屋に入りやすくなるのです。冬場は構造材が冷えて冷気が遮断しにくくなります。気密性が低いために結露が起きやすく、部屋の湿度が高くなります。湿度が高いと構造材の周りに湿気がたまりやすくなり、その結果、構造材が傷みやすくなります。

    このように、施工費用が安価である分、デメリットが多いのが内断熱の特徴です。建物の構造や施工精度によって、内断熱のほうが向いている場合もありますが、全体的には内断熱のほうが外断熱より断熱では劣っていると言えるでしょう。

    外断熱に適している建物とは?

    外断熱に適している建物

    外断熱に適しているのは、鉄筋コンクリート造の建物です。鉄筋コンクリート造の場合、木造に比べて熱容量が大きく、構造躯体そのものが蓄熱層として働くため、外断熱によって効率良く外気の熱を遮断できます。

    外断熱は北ヨーロッパなど気温が低くなりやすく、鉄筋コンクリート造の建物が多い地域での断熱によく使用されている方法です。

    一方、木造の建物は熱容量が少なく、外断熱の効果を感じにくい傾向があります。そのため、外断熱よりも内断熱が向いているケースが多いでしょう。

    外断熱と内断熱、両方を採用することは可能?

    外断熱と内断熱の両方を採用することは可能です。「付加断熱」という断熱工法で、外断熱と内断熱を良いとこどりで組み合わせます。「W断熱」「ハイブリッド工法」などと呼ばれる場合もあります。

    付加断熱では、外断熱と内断熱の併用によりしっかりと断熱性を確保できます。また、場合によってはどちらかの断熱施工よりも費用を抑えられる可能性があり、結果的にコストパフォーマンスは高くなるでしょう。

    ただし、付加断熱は高い施工技術を要する上、取り入れている業者が少なく、対応可能な業者は限られています。うまく施工できずに欠陥住宅となるなど、トラブルを避けるためにも施工実績のある会社を選ぶことが大切です。

    外断熱や内断熱の効果をより高める3つの方法

    外断熱や内断熱の効果をより高める3つの方法とは

    ここからは、外断熱や内断熱による断熱効果をさらに高める方法を紹介します。遮熱材の使用や窓の断熱性能、気密性をアップさせる対策により、より高い断熱性を確保できる可能性があります。自宅での断熱対策を考える上で、ぜひ参考にしてください。

    遮熱材を併用する

    断熱材とともに遮熱材を併用することで、さらに効果を高められる場合があります。断熱材は、伝導熱や対流熱に対して効果を発揮しますが、夏の暑さの多くは太陽による輻射熱の影響であるため、断熱材だけでは対策が難しい場合もあるでしょう。

    そこで、遮熱材を併用することで、輻射熱を含むあらゆる断熱が可能になります。夏は外の熱気を遮断し、冬は室内の熱を逃さないような空間を構築することが可能です。遮熱材の種類は、アルミを採用した遮熱シートや遮熱塗料などです。

    遮熱塗料は、屋根などに塗布し、太陽光を反射させる効果が期待できます。また、遮熱シートはアルミ箔をシート状に加工したもので、屋根や外壁に施工することで輻射熱が室内に侵入することを防げます。

    気密性を高める

    断熱性とともに建物の気密性を高めることも重要です。断熱材を使って室内を暖かくしても、気密性が低くて外へ空気が逃げてしまうのであれば、断熱の効果が半減してしまいます。断熱性を高める際には、気密性もセットで考える必要があるでしょう。

    気密性を高める方法にはさまざまなやり方があり、隙間を気密処理するだけでも外気の影響を抑えられます。また、窓を引き違いから片開きに変えることも有用です。玄関ドアは、引違いや片引きよりも片開きの方が、開閉時の隙間が減って気密性アップにつながります。

    勝手口のドアは通気性を確保できますが、気密性が低くなるため、使用頻度を減らすことも大切です。また、内断熱工法の場合は、外壁面のコンセントを減らすことで気密層に開ける穴が少なくなり、気密性の確保につながります。

    窓の断熱性も高める

    窓は外気の影響を受けやすい部分であるため、窓の対策により断熱性を高められる可能性があります。窓の断熱対策として、以下のような方法が挙げられます。

    ・断熱ガラスや複層ガラスにする
    ・二重窓を取り付ける
    ・樹脂フレームやアルミサッシに換える
    ・開閉が必要ない場所はFIX窓に変更する

    窓ガラスを断熱ガラスや複層ガラスに変えて、断熱性を高めることが可能です。また、サッシを熱伝導の低い樹脂製やアルミ製のフレームに換える方法も有用です。樹脂フレームは屋内の温度差を軽減する効果も見込まれるため、ヒートショックの抑制にもつながります。

    予算が許せば外断熱を選びたい

    外断熱は海外ではポピュラーではあるものの、日本ではまだ浸透度が低く、施工ができる業者もそれほど多くないというのが現状です。また、施工にかかる費用も割高なため、自宅に断熱を施す際は内断熱を選ぶ人が少なくありません。

    しかし、外断熱を自宅に施せば、室温を一定に保てるため電気代も節約でき、長い目で見れば経済的にゆとりをもって生活することができます。湿度をおさえ、冬の寒い日々も暖かく快適に過ごせる生活をしたいならば、外断熱を選んでみましょう。

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