設計図が完成し、いよいよ工事着工!マイホームが形になっていくのを見るのは、心躍る瞬間ですね。工事中に施主は工事現場に見学に行くことができます。しかし、工事現場はキケンなことも多いため突然訪れるよりも、事前に連絡してから行く方が危険の少ない状態で迎えてもらえやすくなります。

そこで今回は、「このタイミングで見学に行くのがオススメ!」と、工事中に変更したい箇所が出てきたときの対処法を伺ってきました。お話をしてくださったのは、フリーダムアーキテクツの山本大輔さん、山下さん、山本庸博さん、田中さんの4名です。

マストで行っておきたい現場見学のタイミングは?

山本大輔さん(以下、山本(大)さん):関東では9割程のお客様が地鎮祭をされますので、その際に建物を建築する範囲を示す縄張りを確認してもらうようにしています。地鎮祭をされない場合は、縄張りが終わったタイミングで、現場に確認をしに来ていただくようにお願いしています。

 

山本庸博さん(以下、山本(庸)さん):東海地方のお客様も、基本的には地鎮祭を行われますので、同じく縄張り確認をこのタイミングでして頂きます。柱や棟、梁(はり)などの骨組みが完成した段階で行う「上棟式」をされる方は少ないですが、建物四隅にお酒をかけてお清めをする「四方払い」のみされる方は多いです。
田中さん:九州地方も地鎮祭、上棟式を行うお客様が多いので、その時に土地や建物の状況を見ていただいています。関西地方はどうですか?

 

山下さん:関西地方では「縄張り」のときに、お客様に来ていただいて建物のイメージを確認してもらうことが多いです。というのも、関西地方では近年、地鎮祭をされる方が少なくなっている傾向にあり、体感ですが約半数の方が地鎮祭されていないです。エリアごとに地域差があるようですね。

 

山本(大)さん:上棟後、2~3週間後にコンセントやスイッチの位置確認を行います。電気工事の前なので、設置位置などの間違いが起こらないようチェックすることができます。

 

山本(庸)さん:そうですね。私も上棟の際、お客様と開口部の確認をしたりすることが多いです。

山下さん:関西では上棟式がないことが多いので、時間を作ってもらい電気系統の確認や大工さんとの顔合わせをします。

 

もっと現場見学に行きたい!おすすめのタイミングは?

山下さん:お客様が「絶対に現場を見なくてはならない!」というタイミングはほぼありません。上棟など来てもらいたいタイミングはありますが、強制することはありません。もし積極的に現場が見たい場合は、その旨を私たちに教えていただけると機会を作りやすいですね。家の構造上、図面ではイメージしにくい箇所などがある場合は、お客様に現場での確認をしていただけるかご相談することもあります。

 

田中さん:実は私たち設計者は、週に1回は現場に行っています。そのため、工事の状況が知りたいけれど時間が取れないお客様には、写真で進捗状況を共有させていただきます。大事な工程や複雑な箇所の工事など、設計者としてしっかりと確認しておきたい工事があるときには、週に2回現場に行くこともあります。

 

山本(大)さん:「屋根の上から見たい」とお客様から要望があったとしても、足場が不安定なため安全上の理由からお断りすることが多いです。そういった場合には、私たちが該当する場所の写真を撮り、お客様にどのようになっているかをお見せいたします。工事中に見ておきたい箇所がある場合は、あらかじめ伝えくだされば写真をお送りいたしますので気軽にお教えください。

 

山下さん:工事現場を見に行くオススメのタイミングは、外観が完成し足場が外れたタイミングです。工事がはじまって、だいたい4~5ヶ月目くらいですね。外観が見えると、「マイホームが建ってきた!」と実感しやすいかと思います。

山本(大)さん:内装を見に行くのならば、クロスをはる前もオススメです。建物内部の輪郭ができていて、キッチンも設置されているタイミングです。工事全体でみると、一番のオススメはやはり外観が完成したときですね。今まで足場やネットで隠れて見えなかった外観がパッと見えたときは、特別な感動があるかと思います。

 

田中さん:上棟のときの見学もオススメです。今まで図面など平面的に見てきたものが、初めて立体として見える瞬間になります。平面的なものと立体的な物だと、味わう感動も全く違うものになるかと思います。

 

工事中に変更できること、できないことは?

山本(大)さん:基本的には、請負図面の通りに建てていくことが前提です。工事中に現場に来ていただくのは、検討のためではなくあくまで確認作業のためになります。しかし、クロスの品番など後付け的なところに関しては、上棟前であれば変更が可能なこともあります。

 

田中さん:そうですね。山本さんも言われていますが、工事が始まってしまうと、基本的には請負図面通りに進めていくことになるので変えられる箇所は少ないです。しかし、発注前ならば素材を変えることができることもあります。

 

山本(大)さん:工務店にもよりますが、上棟前後でサッシ(窓)の発注となるので製作状況によっては、透明ガラスに変更することや、確認申請に影響がない範囲でのサッシの位置微調整などはできます。コンセントの位置が変更できるタイミングの目安としては、壁ができる前、つまり断熱材などを設置する前でしたら変更が可能かと思います。もし壁を設置後にコンセントやスイッチの位置を変更したい場合は、クロスの下地や石膏ボードをはがさなくてはならないので、追加の費用かかることが多いです。上棟から電気工事に入るまでに、できるだけ具体的に完成をイメージしてみましょう。

山本(庸)さん:発注前に、できればクロスの最終確認はしたいですね。照明によって、クロスの見え方が変わったりすることもあるので。

 

山下さん:塗装の色の確認など、仕上げ材に関することを確認したいと現場に来られるお客様もいらっしゃいます。

 

山本(庸)さん:下地が必要になる工事に関する変更は、クロス下地のボードが張られた後だと変更はほぼ不可能ですが、クロスの色など表面的な仕上がりに関する箇所はある程度変更がきくこともあります。しかし基本的には「変更は工事が始まるまで」と考えておいた方が良いです。

 

山本(大)さん:キッチンの色などは、上棟のあたりでオーダーします。なので、どうしてもキッチンの色が決めきれない人は、「上棟までに決めましょう」としておくこともできます。収納設備の棚の高さ変更なども、上棟あたりが変更できる最後のタイミングになります。大工さんが作ることになる固定棚などは、上棟後にすぐ作り始めてもらうからです。

 

山本(庸)さん:照明を実際につけてみると、想像していた明るさと違うと感じる方もいらっしゃいます。物の高さや大きさなどと違い、明るさは共有するのもイメージするのも難しいですよね。「ここの位置にダウンライトを1個つけます」と言っても、どのくらいまで明るくなるかイメージしにくいですよね。

 

山下さん:ダウンライトの光量を増やしたいと要望があった時は、より明るいLEDに変更したり、電球のワット数を変更して対応します。照明自体を増やすとなると、可能だとしても追加費用がかかるので、基本的には電球の種類でコントロールすることをオススメします。

 

これから工事が始まる方に伝えたいこと

山本(庸)さん:工事が始まってから変更できる箇所は、工事の状況や家の造りなどによってそれぞれバラバラです。しかし、上棟の後ではほとんどの変更が難しくなります。なので、変更したい箇所がある場合は上棟前にご相談ください。基本的には詳細設計がそのまま完成図になるので、詳細設計の段階でじっくりと考えましょう。

 

山下さん:そうですね。「もしかしたら後で変更するかも…」と考えている箇所がある場合、あらかじめお教えいただきたいです。あとは、家づくりは一生の思い出になる出来事なので工事見学も楽しんでもらえればなと思います。

 

田中さん:今まで図面を見て想像していたものが形になっていくのは特別な瞬間だと思うのでそれを楽しんでください。忙しくて工事を見に行けない方も、工事の状況を写真でお送りさせていただきますので是非見て完成を心待ちにしてほしいです。特にボードや断熱材など、家が完成してからでは見えない場所が見える唯一の機会なので、気になるところは是非見に来てください。

 

いかがでしたか?

工事期間に入ると、それまで描いてきた図面が目に見えるカタチになり、イメージとの相違や新たなアイディアが湧いてくるなど、変更したい箇所も出てくることもあるでしょう。しかし、工事はあくまでも描いてきた図面に誤りがないかの確認作業。工事中に、“あれ?思っていたのと違う”とならないように、詳細設計期間中に立体系で細部のイメージがしやすい3Dモデルや3Dパース、模型などで、担当者と完成形のイメージに相違がないかをしっかりと確認しておきたいですね。

 

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実例のご紹介

今回、お話してくださった4名の実例をご紹介します。

◆山本 大輔さん:関東エリアを担当
CASE701 path

◆山下 康太さん:関西エリアを担当
CASE692 桜ヶ丘の住宅

◆山本 庸博さん:東海エリアを担当
CASE646 鏡の家

◆田中 一平さんオススメ紹介:九州エリアを担当
CASE583 デルタ

 

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