従来の壁付けキッチンから対面キッチンに変えたいという人は少なくありません。しかし、なぜ新しいキッチンは対面のものが良いと思うのか気になりますよね。
昔ながらの壁付けキッチンに比べて解放的で動線もできていると言われてはいますが、考慮すべきなのは収納スペースの問題です。
対面キッチンの収納性には一体どんな問題があるのか、その問題は解消できるのか、そもそも壁付けキッチンとは何が違うのかについて解説していきましょう。
Contents
壁付けキッチンと対面キッチンの違いは?
壁付けのキッチンと対面キッチンの大きな違いは、その名の通りキッチンが壁に面しているかどうかです。対面キッチンでも側面の部分は壁に接しているのが一般的ではありますが、壁付けキッチンの場合は大半部分が壁と接しています。
壁付けの場合は、部屋全体に背を向ける形で調理や食器洗いをすることになるのが特徴です。そのため、後ろを振り返えらない限りリビングにいる家族の様子を見ることはできません。孤立した状態でキッチンにいることになるため、調理中のコミュニケーションが取りづらい一面を持ちます。
一方で、対面キッチンの場合は、カウンター越しにリビングを見渡した状態で料理ができるのが特徴です。パートナーや子どもがテレビを観たり、くつろいでいたりする様子を間近で見られますし、気軽に話しかけることもできます。
また、料理を運ぶ際には対面キッチンのカウンター部分に一度料理を並べ、自分で運んだり、家族に手伝ってもらうことも可能です。テーブルの設置も兼ねている対面キッチンであれば、まるで飲食店のカウンターのように気軽に家族やお客様に料理や飲み物を渡せるという魅力もあります。
このように、壁付けキッチンと対面キッチンは造りの違いから、調理中のコミュニケーションの取りやすさに大きく差異が出るでしょう。
関連記事:注文住宅で憧れの「おしゃれなキッチン」を作るための4つのポイント
対面キッチンにすると収納が減る?
対面キッチンにすると収納スペースが減る可能性があります。対面キッチンのオープンになっているスペースがどのくらいの広さなのかによって、収納の量も変わってきます。
対面キッチンでも、壁付けキッチンのように上部の収納スペースがある、つまり吊戸棚を設けられる対面キッチンなら、特に収納量に遜色は出ないでしょう。
しかし、開放的な対面キッチンあれば話は別です。キッチンの上部に壁を設けず収納スペースが全く取れないとなると、シンク下の部分にしか収納を作れません。一般的な3人家族や4人家族といった家族構成で考えると収納スペースは足りないでしょう。
こういった例から、対面キッチンにすると収納が減るというイメージが根強くあります。
吊戸棚があると明るさも解放感も失ってしまうリスクがあるため、対面キッチンにする場合、収納の工夫を施す必要があるでしょう。
対面キッチンの収納はどこに確保する?
対面キッチンで課題となりやすい収納スペースを確保する方法は、いくつかあります。ここでは、対面キッチンの収納スペースを設けるために役立つ4つのアイデアを紹介します。
吊り戸棚
対面キッチンの収納スペースを確保するための一番の近道は、壁付けのキッチンのように吊戸棚を設置することです。ただ、開放的な空間が失われ、対面キッチンとしての意味を成さなくなってしまう可能性があります。
もちろん、吊戸棚があってもリビングにいる家族やお客様とのコミュニケーションを円滑に取ることはできます。しかし、リビング側からは視界が悪く、様子が見えにくくなってしまうでしょう。
あくまでも対面キッチンとしてのメリットを活かすために吊戸棚の設置は避け、壁側に収納スペースを確保しましょう。
壁側
開放的な対面キッチンを実現する上で、考えなければならないのがリビングからの視界です。見映えが良くないと、せっかくの対面キッチンが台無しになってしまいます。
統一感のあるデザインにこだわり、あえて低い高さの収納スペースを確保するのも1つの手段です。逆転の発想として、壁全体を収納スペースにするのも良いでしょう。
収納分だけスペースは取られますが、すっきりとした収納デザインなら開放的な印象を維持できます。確保したい収納スペースによって取るべき対策も異なるため、調理器具や食器の量を考えつつ、最適な収納を考えてみましょう。
カウンター下
対面キッチンのカウンター下にあるオープンスペースに収納を作ることが可能です。キッチンとダイニング、リビングが一続きの間取りなどで、キッチンカウンターが数十cmほど張り出している場合、下のスペースを有効活用できます。
カウンターの奥行きなどによって収納できるアイテムは異なりますが、重さのある食器や繊細な飾りの付いた器の他、保存食や食料品のストックなどかさばりやすいものが向いています。
また、文房具やプリント、雑誌類などテーブル上に散らかりやすい小物をしまいやすく、すっきりした状態をキープできるでしょう。リビングに面している場合には、見せる収納として趣味やコレクション用のスペースに活用可能です。
パントリー
対面キッチンで収納スペースを十分に確保できなさそうな場合には、パントリーを設けるという手があります。パントリーとは、食料品や飲料などを保管するための食品庫のことで、2~3帖程度が一般的です。
保管場所に困りやすい食料品のストックや大きなペットボトルを収納しやすく、キッチンの整理整頓に役立ちます。また、保存食などの災害用の備蓄やキッチン家電、アウトドア用の調理器具といった使用頻度の低いアイテムをしまう場所としても便利です。
パントリーには、ウォークインタイプや通り抜けできるウォークスルータイプ、壁面収納などのタイプがありますが、いずれもある程度のスペースが必要になります。また、使う頻度や用途によって収納の位置や高さを変えるなど、収納方法を工夫することも大切です。
対面キッチンの収納は後からDIYできる?
キッチンの建築後、棚や扉を付けることで収納スペースをDIYすることも可能です。ガスコンロの上に吊るす収納を設置して収納スペースを増やす方法はよく知られています。ただ、調理中に落下し、やけどや火事の原因となる可能性があるため注意が必要です。
また、デットスペースとなりやすいシンク下も、収納スペースとして活用できます。しかし、配管の位置や奥行きなどによっては、効率良く収納することが難しい場合もあります。シンク下用の配管部分をよけて設置できる棚や、スライド収納などの収納グッズを上手に使いましょう。
DIYは好きなタイミングで手軽に収納スペースを増設できますが、新築時に合わせて設計する方がデザインに統一感をもたせやすく、おしゃれな雰囲気になります。収納スペースを作るべきか迷う場合には、設計士に相談してみましょう。
キッチンのスタイルはどれがいい?
キッチンには数多くのスタイルがありますが、対面キッチンはどのような位置付けとなっているのでしょうか?ほかにも人気が高いとされるキッチンがありますから、最も人気があるキッチンについて知っておきたいですよね。
今回は壁付けのキッチンと対面キッチン、アイランドキッチンのなかで、最も良いと思うものについてたずねてみました。
【質問】
自宅のキッチンはどの形がいいと思いますか?
【回答数】
壁付けのキッチン:17
対面キッチン:63
アイランドキッチン:20
調査地域:全国
調査対象:年齢不問・男女
調査期間:2017年07月14日~2017年07月21日
有効回答数:100サンプル
対面キッチンが一番人気!家族の様子が見られるから!
最も回答が多かったのは「対面キッチン」という結果です。
・家族の顔を見ながら調理ができるというのが憧れなので。(50代/女性/専業主婦(主夫))
・家族の状況が見えるので、子どもがいるときにキッチンで作業がしやすくなるから。(30代/女性/学生)
・実際に今の家で対面式だが、子どもの様子を見ながら料理ができて、使いやすいと感じているので。(40代/女性/専業主婦(主夫))
・おしゃれだし広く見えるから。(30代/女性/専業主婦(主夫))
・現在住んでいる住宅のキッチンは狭いので、スペースに余裕のあるアイランドキッチンが良い。(20代/女性/無職)
家族の状況が見られるというのが一番大きな理由のようですね。実際に対面キッチンを使っているという意見も多く、その評判の高さが伺えます。
次いで多かったのは「アイランドキッチン」です。おしゃれだから、今のキッチンは狭いから、といった理由から、アイランドキッチンに憧れを抱くと考えられます。
・一番作業しやすく、省スペースだと思うので。(50代/女性/専業主婦(主夫))
・これが最も一般的で使い勝手がいいと思っているから。(30代/女性/パート・アルバイト)
最も回答が少なかったのは「壁付けのキッチン」でしたが、一般的で使いやすい、あるいは使い慣れているという回答が主でした。省スペース設計であることに好感を抱いている人も少なくはないようです。
対面キッチンの収納アイデア7選
ここからは、建築実例における対面キッチンの収納スペースを紹介します。対面キッチンの収納アイデアを考える際に、参考にしてみてください。
吊り戸棚を設けたノスタルジックな対面キッチン
腰壁にカウンターを付けた対面キッチンの事例です。コンロのみが壁付けで、シンクや作業スペースは対面カウンター側に設置されています。
カウンター上部に設けた吊り戸棚によって収納スペースをしっかり確保するとともに、吊り戸棚が目隠しの役割も果たし、機能的なステンレスキッチンになりました。
趣のあるLDKに影響することなく、ノスタルジックな雰囲気を維持している点も特徴的です。キッチンから外へスムーズにアクセスできるようガラス戸を取り付け、採光を確保しています。
引き戸で目隠しができる大容量のカップボード
対面キッチンの背面にカップボードや棚を設置し、大容量の収納スペースを確保しています。食器や調理器具、食料品のストックなどあらゆるキッチン用品を保存することが可能です。
また、引き戸を閉めれば収納をかんたんに隠すことができ、キッチンを使わない間は一面の壁のようなすっきりとした印象になります。
木目調のおしゃれなカップボードでキッチン家電もすっきり収納
アイランド型のキッチンの背面に、壁一面の収納スペースを設置した事例です。木目調の引き戸により、カップボードや冷蔵庫だけでなく本棚を隠せば、部屋全体をすっきりと見せることができます。
扉を開けた状態でも、家電も黒で統一するなど工夫次第で見せる収納として活用できるでしょう。シックな印象の黒いキッチンに映える観葉植物が、キッチン空間のアクセントになっています。
壁一面に設置した大容量の収納スペース
プライベート空間と、来客用の玄関・LDKの2棟で構成された住宅のキッチンです。アイランドキッチンはカウンターと一体型で、家族とコミュニケーションを取りながら洗い物や調理ができます。
コンロと冷蔵庫が壁面に設置され、その左右・上下に収納を設けることで、収納容量をしっかり確保しています。キッチン全体は落ち着いたグレーとステンレスでまとめられており、統一感のある空間に仕上がっています。
壁一面とカウンター下に収納を設けシンプルにまとめたデザイン
木材の温かみが感じられるキッチン空間には、アクセントにもなる黒のシンプルなアイランドキッチンを設置。壁面は収納スペースのため、食器や調理器具など多くのものをしまうことが可能です。
真横の大きな開口に加えて、壁面収納の上に設けられた窓から光が入り込み、明るい空間を維持しています。
見せる収納がおしゃれな対面キッチン
キューブ状の建物から続く木目調の縁側が印象的な住宅のキッチンです。グレーのアイランドキッチンの背面には、調理器具を並べて置ける収納棚を設置。壁の上部には見せる収納として使える棚を取り付けて、インテリアとしての役割も持たせています。
キッチンと横のダイニングテーブルは縁側に続く大きな窓に面しており、十分な採光が確保されています。
壁面とカウンター下に設置した見せる収納
木目と白のコントラストにより、ナチュラルな雰囲気が感じられるキッチンです。アイランドキッチンの背面にある壁の棚に加えて、キッチンカウンターの下にも見せる収納を設置し、おしゃれな空間を作り出しています。
明るく開放感の感じられるキッチンスペースとして完成されています。
対面キッチンに十分な収納スペースを確保しよう
対面キッチンと壁付けのキッチンにおける大きな違いは、解放感の有無です。解放感がある対面キッチンにするうえでは、収納スペースが減ってしまうという問題は確かにあります。
しかし、壁側を上手く活用することで、リビングから見ても自然に思えるような収納スペースを確保することは十分にできるでしょう。吊戸棚がなくても工夫次第で同じくらい、あるいはそれ以上の収納スペースは作れます。
せっかくの対面キッチンですから、メリットである家族とのコミュニケーションの取りやすさを活かしつつ、使いやすいものを目指しましょう。
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