家を新築する際、玄関のことを考えるのは実際に生活する居室よりもあとになってしまうことが少なくありません。
入り口をどこにするかは先に決めても、どれくらいのスペースを確保するかは他の部屋の間取りを決めてからということが多いようです。
場合によっては余ったスペースを玄関に当てることもあり、家を建てたあとで後悔することが多いのも実は玄関なのです。
この記事では、使い勝手の良い玄関にするために確保したい広さについて解説します。
Contents
【約3帖】が標準的な玄関の広さ
標準的な玄関の広さは横幅が1.35m以上、奥行きは1.2m以上とされています。坪数で表した場合、3帖分に該当する1.5坪程度となります。玄関の広さは、玄関を構成する以下の4つに配慮して決めることが重要です。
- 玄関
- 土間たたき
- 収納
- ホール
玄関に求める広さは家族構成やライフスタイルの違いによって異なります。玄関の広さを決定する前に、最適な広さを考慮するためのポイントを確認しておきましょう。
玄関の広さを決めるポイント
玄関の広さを決めるときに配慮したいポイントを詳しく解説します。最適な広さの玄関を確保するためにも、本章で紹介するポイントを押さえておきましょう。
現在の玄関の広さに不満があるかどうか
新築の玄関の広さを決める際は、既存の玄関を基準に、広さや幅などに不満がないかを考えることから始めましょう。既存の玄関が狭いと感じている、広すぎてデッドスペースが生まれているなど、不満があれば丁度よい玄関の広さを決める際の参考になります。また、将来的な家族構成の変化も合わせて考慮する事も大切ですが、まずは理想的な玄関のイメージを検討してみましょう。
家族の人数や構成から考える
玄関の広さを決めるポイントの1つは、家族の人数と構成から考えることです。玄関の広さの目安は以下のとおりです。
家族の人数・構成 | 玄関の広さの目安 |
2~4人家族 | 2帖 |
4~5人家族 | 3帖 |
5人以上の家族 | 4帖 |
上記は家族の人数だけを考慮していますが、来客が多い場合や将来子どもが増える、親と同居する予定があるなど、将来的に家族構成が変わる可能性がある場合は、それも考慮して玄関の広さを検討する必要があります。
玄関に置きたいものや収納スペースから考える
玄関の広さを決める際には玄関に何を置きたいかを考えることが不可欠です。
玄関に置くもののメインは靴になるため、家族の人数が増えるほど広いスペースが必要となります。家族それぞれが持っている靴の種類、数を数えてみましょう。
種類が必要な理由は、長靴やブーツなど長いものの数が多いとその分だけスペースが余分に必要になるからです。これらをすべて片付けられる収納スペースを計算したうえで、玄関の広さを考えなければいけません。
その他、傘を置きたい、ゴルフバッグを置きたい、ボールなどの遊び道具を置きたいとなってくると、さらに広さが必要となります。
広い玄関のメリットとデメリット
広々とした開放的な玄関は人気ですが、広いだけで利便性がないとスペースが無駄になる可能性があります。広い玄関にはメリットとデメリットの両方があるため、それぞれを把握してから玄関の広さを決めることが重要です。
広い玄関のメリットは吹き抜けや大開口窓の設置によって開放感を演出できるうえに、収納力や利便性があることです。一方で、デメリットは施工費用が高額になる恐れがあることです。また、玄関に広いスペースを使うことで、LDKや水回り、収納スペースが狭くなり、バランスの悪い間取りになるかもしれません。広い玄関にするメリットとデメリットを考慮し、それでも玄関を広く確保するべきなのかを検討することをおすすめします。
狭い玄関を広く見せるコツ
玄関に広いスペースを取れない場合は、狭くても広く見せる工夫をするとよいでしょう。狭い玄関を広く見せるコツは開口部を広くすることです。開口部が広ければ通勤・通学の時間帯で玄関が混雑しても一度に数人が同時に身支度できます。また、広い開口部は視覚的に広く感じやすくなります。
他には、鏡を設置することで玄関に幅や奥行きが出て広く見せられます。玄関の上部や下部に窓を取り付けて開放感を演出することも可能です。さらに、玄関に光を採り入れることで明るく開放感のある雰囲気を作れます。玄関の正面に大きな窓を取り付ければ外と室内がつながりのある空間になります。
使いやすい玄関にするためのポイント
新築で使いやすい玄関を作るためには、家族が玄関をどのように使うかを想像してみることがとても重要です。たとえば、会社や学校へ出かける時間が重なる場合、玄関の幅が狭いと1人ずつしか靴が履けないので、毎朝通勤・通学の時間は渋滞してしまいます。
玄関として確保できるスペースに限りがあるのは当然ですが、できる範囲で幅を広めに取るようにすれば、見た目にも玄関が広く見えて渋滞も緩和できます。家族の人数が多ければその分だけ同時に出入りする機会も増えます。
使い勝手の良い玄関にするためには、2人以上が靴を脱ぎ履きできるような幅を確保しておいたほうがよいでしょう。
また、靴を履くときどのような履き方をしているかも思い浮かべてみると、周りにどのようなものが必要か見えてきます。出かけるときにコートやカバンを手にしていることがわかれば、靴を履くときにコートやカバンなどを仮置きできるスペースがあると便利だということがわかります。
座って靴を履くなら、腰を下ろす場所も必要になるはずです。玄関に腰をかける段差があればそこを利用できますが、バリアフリーなど段差がほとんどない場合には、靴を履くときに腰をかける台などを置くスペースも計算に入れて広さを調整することも大事です。
玄関の間取り実例
デザイン性と利便性を両立した玄関にするには、間取りを工夫する必要があります。ここからは、フリーダムが実際に施工した家の玄関の建築実例を紹介するので、玄関の間取りを決める際の参考にしてください。
実例①プライバシー性のある洗練された玄関
インナーガレージの奥にある玄関は、低い位置に窓を取り付けることで採光の確保と室内のプライバシー対策の両方を同時に解決しています。必要最低限の靴のみを置くことで、ものが少なく洗練された空間になっています。奥行きがあるため、2人が同時に身支度しても邪魔になりません。
実例②憩いの場として活用できる玄関
玄関のたたきとホールの境目の上がり框(かまち)は、滑らかな曲線状に仕上げられていてかわいらしいデザインです。たたきにはソファと小さな丸テーブルが設置され、玄関でも来客と気軽な会話を楽しめる空間に仕上げられています。夜は壁際の間接照明を灯すことで、ホテルライクな空間を演出できます。
実例③視線が抜けるすっきりとした玄関
玄関から入ってすぐ正面には地窓が設けられており、中庭のウッドデッキへ視線が抜けるように工夫されています。シューズクローゼットを設置することで、すっきりした玄関が印象的です。ホールはL字型になっており、2人が同時に靴を脱ぎ履きができる十分なスペースがあります。
実例④風通しのよいシューズクロークのある玄関
玄関は壁一面のガラス窓を通して中庭とつながり、開放的な空間になるように工夫されています。可動式で大容量のシューズインクローゼットには、ブーツやキャリーケースなどの高さのあるものを置くことも可能です。壁と天井にはあえて隙間をつくり、風通しを考慮した間取りにしています。
実例⑤手洗い場を設けた玄関
FIX窓から光が入る玄関は明るく開放感があります。帰宅後すぐに手を洗える設備も用意されており衛生的です。造り付けの腰掛けは靴の脱ぎ履きをする際に便利でしょう。天井まであるブルーのハイドアや真鍮のインテリアがアクセントとなり、おしゃれな空間を演出しています。
使いやすい快適な玄関で理想の住まいをつくろう!
最適な玄関の広さは人によって変わるため、今住んでいる家の玄関の広さを基準に不満がないかを考えることが重要です。ただし、広い玄関にはメリットとデメリットの両方があり、必ずしも広い方がよいとは言い切れません。工夫次第では狭くても玄関を広く見せることができます。
フリーダムでは玄関の広さを考える際に役立つ資料を無料で配布しているので、ぜひ参考にしてください。
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関連記事:
詳しくは、使いやすい玄関を実現する間取りの考え方6選をご参照ください。
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