• 日本伝統の屋根といえば瓦!選ぶときのポイントを解説

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    日本の風情を感じさせてくれるのが瓦屋根です。重厚感に溢れるたたずまいは、人々の心に安らぎを与えます。
    しかし、日本の伝統を感じさせる瓦屋根は、耐震強度の面から敬遠されがちなことも事実です。
    今回の記事では、美しい瓦屋根の特徴や新築住宅に瓦屋根を選ぶメリット・デメリットを解説します。

    屋根はやっぱり瓦屋根?新居の屋根で瓦を選んだ人は?

    瓦屋根といえば、日本の歴史ある建造物に使われることも多いです。
    しかし「新築住宅を建てる際、瓦の屋根だと重厚感がありすぎるかも」と考える人もいるでしょう。
    そこで、新築住宅を建てる際、瓦屋根を選んだ人はどれくらいいるのか、アンケートを取ってみました。

    【質問】
    新築住宅は昔ながらの瓦屋根ですか?

    【回答結果】
    瓦屋根にした:56
    瓦屋根にしなかった:90

    調査地域:全国
    調査対象:年齢不問・男女
    調査期間:2017年06月06日~2017年06月12日
    有効回答数:146サンプル

    新築住宅は昔ながらの瓦屋根ですか?

    瓦屋根にしなかった人が多い!その理由は?

    アンケートの結果、新築住宅を瓦屋根にした人は少ない結果になりました。
    それでは、瓦屋根にした人としなかった人、それぞれの意見についてご紹介します。
    まずは、瓦屋根にしたと回答した人の意見です。

    ・瓦にした方が、簡単に修理ができるからです。(40代/男性/個人事業主・フリーランス)
    ・全体的に和風な作りにしたので。(20代/女性/正社員)

    瓦屋根を選んだ人は、手入れのしやすさと建物全体のテイストに合わせたという理由が多いようです。
    次に、瓦屋根にしなかった人の意見をご紹介します。

    ・瓦は強風がふくと落ちて割れる事があり、とても危ないので瓦屋根にはしませんでした。(30代/女性/無職)
    ・いいのは分かっているが予算的に無理。(30代/女性/派遣社員)
    ・瓦屋根の似合う家ではないため。(40代/女性/専業主婦)

    瓦屋根にしなかった人は、予算面や建物の雰囲気などを考慮したという意見が多いことが分かりました。
    また、重量のある瓦は落下すると危ないため、安全面に配慮したという人もいるようです。

    アンケートの結果では、新築の屋根に瓦を選ぶ人は少ない結果になりました。
    しかし、瓦の屋根は和風の建物にしか合わないわけではなく、洋風の住宅にも合うデザインがあるのです。

    和風も洋風も相性の良い瓦のデザイン

    和風も洋風も相性の良い瓦のデザイン

    瓦屋根というと、日本の美しさを感じさせる古典的な屋根を想像する人も多いのではないでしょうか。
    しかし、現代の瓦屋根の種類にはさまざまなものがあります。まず、伝統的な瓦の形状を留めた物として「J形瓦」が挙げられます。J形瓦は、その古典的な形状から「和瓦」や「和形」などと呼ばれます。また、J形瓦のJは「Japanese」の頭文字を取ったものともいわれています。
    一方、アルファベットのSをイメージさせる瓦が「S形瓦」です。S形瓦は、右側に浅山があり山と谷の美しいカーブが特徴的。別名スパニッシュ瓦と呼ばれ、屋根の陰影をはっきりと映し出す効果があります。
    そして、洋風な建築物によりマッチしやすい瓦として挙げられるのが「F形瓦」です。F形瓦は山がなく、平らな作りをしています。このため、F形瓦はフラットの頭文字を取って名付けられたといわれています。3つの瓦タイプのなかでは最も新しいタイプの瓦です。

    製造方法にも違いがある屋根瓦

    屋根瓦の違いはその形状だけではありません。その製造方法によっても種類分けされています。
    まず瓦を燻す形で製造し、独特の発色を実現するのが「いぶし瓦」です。いぶし瓦は、瓦を焼き上げる最後の工程で工夫が加えられます。密封された無酸素状態の窯にガスを入れ、還元反応を発生させるのです。すると、瓦の表面が銀色に変色します。その美しい発色は、見る人の心をうっとりとさせてくれます。
    これに対して、さまざまな色合いの瓦を製造できるのが「釉薬瓦」です。陶器の瓦に釉薬と呼ばれる薬品を塗り、色付けを行う製法です。釉薬は色付けの効果だけを持つ薬品ではありません。釉薬は、高温で焼くとガラス質になるため陶器の表面をコーティングし、雨水や雪などから瓦の劣化を守ります。
    陶器の瓦は、もともと高い強度を持つことで有名な素材ですが、釉薬と合わせることでさらに耐久性を高める効果を期待できます。

    耐久性に優れている瓦!重量が心配なら軽量タイプもおすすめ

    耐久性に優れている瓦!重量が心配なら軽量タイプもおすすめ

    「瓦は重量があるから、耐震性が心配」と考える人もいます。瓦の3.3㎥あたりの重量は130kg~150kg程度になる場合もあります。瓦が重いのは事実ですが、建築物の耐震性をアップさせるためには、瓦よりも屋根や建築物の構造、地層が重要です。
    建築物の耐震性に不安がある場合は、建築構造の耐震性アップや地層のタイプを見極めることを意識しましょう。
    瓦の重さが気になる場合は、軽量タイプの瓦を使用してみるのも良いです。軽量の瓦のなかには、一般的な陶器瓦よりも20%程度軽いのにも関わらず、強度や汚れの落ちやすさをアップしたハイブリッドな製品もあります。
    また、重量のある瓦にもメリットはあります。重量のある粘土瓦は耐久性に優れていることが特徴です。
    手入れ方法によっては100年以上持つこともあり、総体的にみるとメンテナンス費がリーズナブルになる場合もあります。

    瓦は丈夫だけど… 屋根のメンテナンスは必須

    瓦は丈夫だけど… 屋根のメンテナンスは必須

    瓦自体は高い耐久性を持つ屋根素材です。しかし、瓦と瓦の間を埋める「漆喰」は耐久性の高い材質とはいえません。漆喰とは、消石灰に海藻のり、すさを混合して作る素材のことです。
    耐水性に優れた材質ではなく雨や雪、風などの影響を受けやすい素材であるため、屋根に使用する場合は定期的なメンテナンスが必要になります。漆喰や瓦にひびが入っていたり、瓦が欠けていたりする場合はメンテナンスのタイミングです。漆喰が浮いていたり、ヒビが入っている状態で放置したりすると、瓦が落ちる原因にもなり危険です。
    瓦屋根を施工する際には、熟年の職人に頼むようにしましょう。瓦屋根の扱いに詳しくない業者に頼むと、シリコン製のコーキング剤を使用することも考えられます。
    漆喰を使用せず、シリコン性のコーキング剤を使用した場合、湿気を逃す隙間がなくなってしまうため屋根全体が劣化しやすくなります。

    まとめ

    和だけではなく洋風な建築物向けの瓦もあり、現代住宅にも応用しやすい「瓦屋根」。
    耐震性の問題をクリアする製品なども登場し、扱いやすく改良されている点も魅力的です。
    しかし、瓦自体は耐久性のある素材ですが、漆喰やその他のコーキング剤の劣化を克服する必要があります。
    定期的にメンテナンスを行い、美しい瓦屋根を保ちましょう。

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