車やバイクにこだわりがあり、注文住宅でガレージハウスを検討している人も多いでしょう。「ガレージハウスは固定資産税がかからない」ときいて、調べている人もいるのではないでしょうか。
固定資産税は一般的に土地や家屋を所有していると毎年課税されます。そのため、注文住宅のガレージハウスを検討しているなら、しっかりと固定資産税について知っておくことが重要です。
この記事では、ガレージハウスとは何なのか、メリットとデメリットを紹介した上で、ガレージハウスに固定資産税はかかるのか、固定資産税がかかる条件や種類などを解説します。
Contents
ガレージハウスとは?
ガレージハウスとは、建物の中に駐車スペースであるガレージが組み込まれている家です。ガレージハウスのほか、「インナーガレージ」や「ビルドインガレージ」とも呼ばれています。
ガレージハウスの魅力は、外に出ず居住スペースと駐車スペースとを直接移動できたり、2つの空間につながりをもたせられることです。間取りによっては壁で囲まないオープンなガレージにするなど、さまざまなスタイルがあるのも特徴といえるでしょう。
ガレージハウスのメリット
ガレージハウスに住むことで、暮らしにどのような快適さを与えてくれるのでしょうか。ここでは、ガレージハウスの具体的なメリットを紹介します。
車を保護できる
駐車スペースが建物内に組み込まれているため、車を保護できます。
屋外の駐車スペースで気になるのは、台風や花粉などで車が傷ついたり汚れたりすることではないでしょうか。また、強い紫外線を浴びることも避けたいものです。
ガレージハウスなら屋根・壁とシャッターによって車を守れ、それにより車のメンテナンスの負担も減らすことも可能です。
盗難などから車を守れる
盗難やいたずらなどの被害から車を守れるのも、ガレージハウスのメリットです。人目につく屋外の駐車スペースの場合、盗難やいたずらなどの被害に遭う可能性が高まります。
ガレージハウスならシャッターを閉めて鍵をかけておけば、不審者の侵入を防ぐことが可能です。また外部から車が見えにくいため、盗難やいたずらリスクの低減にもつながります。
生活動線が楽になる
居住スペースと駐車スペースにつながりのあるガレージハウスは、生活導線が楽になるメリットがあります。
例えば、玄関やキッチンへ直接入ることができる間取りであれば、買い物から帰ってきたときの動線がスムーズです。家と車との間で外を移動する必要がないので、雨に濡れることもなく、ご高齢の家族や子どもも安全に乗り降りできます。
さまざまな活用方法がある
活用方法が幅広いこともガレージハウスのメリットです。
ガレージハウスは駐車スペースとしてだけでなく、作業場や書斎、収納スペース、子どもの遊び場などさまざまな活用方法があります。例えば趣味のアイテムを並べたり、車のメンテナンスやDIYの作業場にしたり、子どもやペットが広々と遊べる空間にしたりなど、ライフスタイルに沿った活用ができるのも魅力です。
ガレージハウスのデメリット
さまざまなメリットのあるガレージハウスですが、デメリットも存在します。ここでは具体的なデメリットも解説します。
騒音や換気対策が必要になる
ガレージハウスは建物に駐車スペースが組み込まれた家なので、騒音や換気対策が必要です。
時間帯によっては、エンジン音やシャッター音が家族や近隣の人たちに迷惑をかけてしまう可能性があります。ガレージ横に寝室があると、エンジン音で夜中や早朝に家族を起こしてしまったり、シャッター音が周りの人に響いてしまったりするため、騒音の対策が必要です。
また、ガレージ内は排気ガスなどが溜まってしまいがちになるので、換気扇や窓の設置など換気対策も必須になります。
建築コストがかかる
ガレージハウスは、建設コストが高くなる傾向もあります。
1階部分にガレージを配置するためには、大きな間取りを確保しなくてはなりません。また、車を出し入れできるくらいの開口部も必要です。
そのため、建物の強度を高めて複雑な構造計算をしたり、構造を強度の高いものにしたりするなど建築コストが上がる可能性があります。
居住スペースが削られて不便に感じることも
建物内に駐車スペースを組み込むガレージハウスは、居住スペースが削られて不便に感じることも少なくありません。
広い土地でない限り駐車スペースによって1階部分が削られるため、居住スペースの広さが制限されてしまいます。
そのためLDKを2階にしたり、居室を3階にしたりすることで、階段の上り下りが面倒になるケースもあるのです。
ガレージハウスに固定資産税はかかる?
ガレージハウスにおいても、固定資産税はかかります。ここでは、固定資産税とは何なのかを紹介し、固定資産税がかかる条件などを解説していきましょう。
固定資産税とは
固定資産税とは、1月1日時点で土地または建物を所有している人に対して課される税金です。ガレージハウスも土地と建物を所有することになるため、課税対象となります。
固定資産税は毎年課税される税金で、税額は固定資産税評価額に1.4%の税率をかけた金額です。固定資産税評価額(課税標準額)の決定は、総務大臣が定める固定資産評価基準を基に各自治体の長が決定して固定資産課税台帳に登録されます。
例えば、固定資産税評価額が2000万円の場合は「2000万円×1.4%」となり、固定資産税は年額で28万円です。
ただ新築の場合は要件を満たしていることで一定期間、建物の固定資産税が減税される制度があります。
固定資産税がかかる条件
どのような家に固定資産税が課税されるのか、次では固定資産税がかかる3つの条件を確認しておきましょう。
土地への定着性
土地への定着性とは、建物が土地に固定されていて、容易に移動できないかどうかです。
土地に固定されていて容易に移動できない建物は土地への定着性があるとされ、固定資産税が課税される可能性があります。ガレージハウスのガレージは建物に組み込まれ、壁に囲まれた状態なので、固定資産税の課税対象です。
外気分断性
外気分断性とは、室内と室外の空気が分断されていて、気温や風雨などから建物が保護されているかどうかです。
具体的には、屋根があり三方が壁に囲まれた建物で、内部と外部が区別されている状態を指します。ガレージハウスは建物内にガレージがあるため、外気分断性があると判断されるのが一般的です。
また建物とは離れたガレージの場合でも、シャッターによって外気分断性があると認められる可能性もあります。
用途性
用途性とは、建物に特定の用途があるかどうかです。
その建物が居住や作業などに利用できると認められると、課税対象になる場合があります。ガレージは車を収納するという明確な用途があるため、一般的には用途性が認められる建物です。
ただ、ほかの「土地への定着性」と「外気分断性」を含めた3つの条件を満たしている場合でのみ、課税対象となります。
固定資産税がかかるガレージの種類や特徴
固定資産税がかかる条件を紹介しましたが、どのようなガレージが課税対象になるのでしょうか。ここでは、具体的なガレージの種類や特徴を紹介します。
ビルトインガレージ
ビルトインガレージは、駐車スペースを建物に組み込むタイプのガレージです。そのため、土地の定着性・外気分断性・用途性を満たすため、固定資産税が課税される可能性が高いといえるでしょう。
また、ガレージの出入り口に電動シャッターなどの良い設備を使用すると建物の評価額が上がり、固定資産税が高くなるケースもあります。自治体によって判断は異なるため、事前に確認しておきましょう。
プレハブ小屋
プレハブ小屋をガレージとして活用すると、固定資産税がかかる可能性があります。プレハブ小屋を地面に置いただけでは定着性がないため、固定資産税の課税対象にはなりません。
ただ、プレハブ小屋をガレージとして使用するにあたって地面に固定すると、土地の定着性が認められ課税対象になる可能性があります。また、地面に固定しなくても電線などを通した場合、継続的に使用すると認められて間接的に土地への定着性があると判断されるケースもあります。
コンテナハウス
コンテナハウスをガレージとして使用すると、固定資産税の課税対象になります。
コンテナハウスは、定着性・外気分断性・用途性の3つの条件を満たす建物です。コンテナは、基礎をつくって建物を固定しているため定着性が認められ、屋根と三方の壁もあるので外気分断性も認められます。
また、コンテナハウスを使用する場合は、建築前に建築確認申請が必要です。申請せずに使用した場合、罰則を受ける可能性もあるので注意しましょう。
カーポートは固定資産税がかからない
カーポートは、一般的に固定資産税の課税対象とはなりません。
カーポートは屋根と柱だけで構成された壁のない車庫です。そのため外気分断性は認められないので、課税対象にはなりません。ただ、基礎をつくって地面に固定した場合は土地への定着性があると判断され、固定資産税の対象となることもあります。
カーポートにするメリットは、ガレージほどのスペースを必要としない点です。設置や撤去費用など、コストを抑えられる点も挙げられます。工事費やランニングコスト、ライフスタイルなど考えて、ガレージにするかカーポートにするか検討してみましょう。
また、バイクガレージも固定資産税はかかりません。バイクガレージのほとんどは、定着性のない置くだけのタイプです。
「ガレージハウスには固定資産税がかからない」といわれる理由
前章まで解説したように、ガレージハウスは固定資産税がかかる建物です。では、なぜ「ガレージハウスには固定資産税がかからない」といわれることがあるのでしょうか。
その理由としては「容積率の緩和措置」が考えられます。ここでは、容積率の緩和措置について説明しましょう。
容積率とは
容積率とは、土地面積に対する延床面積の割合です。建物の大きさを制限するため、容積率は建築基準法により用途地域ごとに上限が定められています。
容積率には「一定の条件を満たした駐車スペースは延床面積に算入されない」といった緩和措置があるため、これが固定資産税がかからないといわれる原因となっているようです。
容積率の緩和措置は建築基準法に基づくもので、固定資産税の算出は地方税法によって定められています。したがって、2つは異なるものです。
容積率の緩和措置
ガレージハウスには、「ガレージ部分は建物の延床面積の1/5を上限として、容積率の計算から除外される」という緩和措置があります。この措置により、容積率の上限よりも大きな建物を建てられる可能性があるのです。
例えば、土地面積60坪で容積率200%のエリアで家を建てる場合は、「60坪×200%」で延床面積120坪の家を建てることができます。しかしガレージハウスの場合、「120坪×1/5」である24坪が延床面積に入りません。
ガレージハウスを建てる際の注意点
ガレージハウスを建てる際の注意点は、建ぺい率を超えないようにしなければならないことです。建ぺい率は土地面積に対する建物面積の割合で、建築基準法に基づき都市計画法で定められています。
ガレージハウスは建物に組み込まれた住宅であり駐車スペースを広く取ってしまうと、建ぺい率をオーバーしてしまう可能性があるので注意しましょう。
ガレージハウスは固定資産税の課税対象なので、固定資産税を抑えたいならカーポートにするという選択肢もあります。ただ、カーポートであっても建ぺい率に加算されるので、広さの検討は必要です。また、屋根・壁つきのガレージの場合は登記が必要なので忘れずに申請しましょう。
家を建てる際、自分では判断できないことが多くあります。そのためハウスメーカーや工務店の担当者とよく相談することが重要です。経験豊富な担当者なら、失敗を避けられるでしょう。
ガレージハウスを建てるならお金のことも考えて計画立てよう
ガレージハウスにも固定資産税は課税されます。ガレージハウスを検討するなら、お金のことも考慮して計画を立てるのがポイントです。そのためには、実績豊富なハウスメーカーや工務店に相談しましょう。
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