住宅購入を検討している人の中には、両親から資金の一部を出してもらえることになった人もいるでしょう。
それ自体は問題がないのですが、税金の扱いについてもしっかり把握しておくことが大切です。問題になってくる税金が「贈与税」です。これは、「誰かから一定金額以上の財産(もの・お金)をもらった場合に払う税金を指します。
「資金の援助を受ける=お金をもらう」ということなので、注意が必要なのです。今回は、贈与税とはどんな税金で、住宅購入と何の関係があるのかについて解説します。
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贈与税ってどんな税金?
最初に、贈与税がどんな税金なのかをより詳しく説明しましょう。贈与税とは、一定額以上の財産を無償(ただ)で譲りうけた場合に支払う税金のことを指します。
誰から譲り受けた場合でも、金額が一定額以上なら贈与税を支払う必要があります。しかし、誰かが亡くなったときに遺産として譲り受けた場合は、贈与税はかかりません。
その代わり、相続税を支払う必要が出てきます。「誰かから財産を譲り受けた」のが前提であっても、税金上の扱いはまったく異なるのです。
なお、先ほど「金額が一定額以上」と書きましたが、具体的には年間110万円を超えた場合に贈与税がかかります。贈与税に限らず、税金には基礎控除といって、金額の計算に当たって誰でも差し引ける金額が定められています。
贈与税の場合、基礎控除の額は110万円です。実際の贈与税の金額がいくらになるかは、この基礎控除分を差し引いた後の金額によって決まります。金額が上がるごとに税率が上がっていく仕組み(累進課税制度)で、最高税率は55%です。
住宅購入で贈与を受けた場合の非課税制度とは?
実は、両親から住宅購入にあたり、資金援助を受ける場合には、税金上の優遇が受けられる制度があります。それが、「住宅取得資金の贈与額の非課税」です。
先ほど触れた通り、贈与税の基礎控除額は年間110万円までであり、それを超えると本来は贈与税を支払わなくてはいけません。
しかし、両親や祖父・祖母などの直系尊属から、住宅を取得するにあたり資金援助を受ける場合、この優遇措置が使えます。1人あたり最大1,200万円(2018年)までの非課税枠が設けられているので、上手に使えばかなりの節税になるはずです。
しかし、利用するにあたり注意事項もあります。まず、この制度はずっと続くものではありません。2021年12月31日までの期間限定の制度となっています。
また、ずっと1,200万円の非課税枠が続くのではありません。20年4月1日から2021年3月31日までは最大1,000万円、2021年4月1日から2021年12月31日までは最大800万円と、期限が近づくにつれて金額が少なくなります。
住宅を取得するにあたり、資金援助を受けられる見込みがあるなら、早めに動いたほうが非課税枠の点においては有利です。
制度を利用するための条件は?
それでは、どんな人なら「住宅取得資金の贈与税の非課税」制度を使えるのか解説しましょう。まず、贈与を受けた年の1月1日時点で20歳以上でなくてはいけません。
例えば、2018年12月に贈与を受ける場合、2018年1月1日より前に20歳の誕生日を迎えている必要があります。また、贈与を受けた年の合計所得金額が2,000万円を超える場合、この制度は使えません。
さらに、資金の使用目的にも制限があります。住宅を取得する場合、一戸建てやマンションそのものを購入・注文するだけでなく、そこで使う家具も購入する場合が多いでしょう。
しかし、援助を受けた資金で家具を購入する場合、この制度は使えません。あくまで「住宅本体の購入に使う資金」を前提とした制度と考えましょう。
そして、購入した家にいつ住み始めるかも問題になります。贈与を受けた年の翌年の3月15日までに住み始める、もしくは、確実に住み始める見込みであれば、この制度は使えます。
例えば、2018年12月に贈与を受ける場合、2019年3月15日までには住み始める見込みが必要です。万が一、取得する住宅がいわゆる別荘やセカンドハウスとして使われたり、不動産投資のための物件として使われたりする場合、この制度の適用は受けられません。
非課税枠の贈与を受けるための申請手続き方法
そして、この非課税枠を使うためには、確定申告が必要になります。確定申告にあたって必要な書類は以下の通りです。
まず、贈与税の申告書第一表と贈与税の申告書第一表の二(住宅取得等資金の非課税の計算明細書)が必要です。
これは、最寄りの税務署の窓口でもらうか、国税庁のホームページからPDFファイルをダウンロードして印刷しましょう。
また、これ以外にも戸籍謄本や住民票の写し、住宅を取得した時の契約書の写しや登記事項証明書が必要になります。
不動産会社の担当者に非課税枠を使いたいことを話せば、必要な書類を用意してくれることも多いです。担当者に聞いて納得できない場合は、一度最寄りの税務署で相談してみましょう。
ただし、確定申告の時期(2月15日から3月15日)はかなり窓口が込み合うので、この時期を避けて訪問したほうが、ゆっくりと話を聞けるはずです。
贈与税の非課税措置を受ける際の注意点
贈与税の非課税措置を受ける場合に、いくつか注意することを紹介しましょう。まず、資金援助を受けた時期や金額によっては、この制度を使うことで贈与税が0円になる可能性があります。
このような場合であっても、確定申告は必須です。確定申告をしない場合、この制度が使えないうえに、ペナルティが課せられます。
無申告加算税といって、本来すべき申告をしなかったということで、税率が上乗せされるのです。加えて、資金の援助を受けたにも関わらず、確定申告をしない人がいます。
この場合もやはり、重加算税といって、税率が上乗せされてしまいます。金額や個々の事例にもよりますが、あまりに悪質だと判断された場合、脱税の容疑で逮捕される可能性もゼロではありません。
忘れていた、わざとやらなかったということがないように、確定申告はスケジューリングをし、期限内に済ますようにしましょう。
そして、よく似た制度と間違えないようにするのも必要です。
相続税には、相続時精算課税制度といって、「2,500万円までは贈与税を非課税にするが、贈与してくれた人が死亡した時点で、過去に贈与を受けた財産も含めて相続税を課税する」という制度があります。
この制度と贈与税の非課税措置は併用できますが、必要な書類はまったく異なるので、用意する際に注意しましょう。
住宅購入をする際は贈与税の非課税枠を活用しよう!
住宅購入にはやはりお金がかかる以上、資金援助を受けられると精神的負担は減るはずです。ここで、贈与税の非課税制度を知っていれば、税金の負担も減るので、さらに精神的負担も減るでしょう。
知って、使って損はない制度なので、「マイホームを手に入れる」と決めたら、この制度も念頭に入れながら動くと効果的です。
そして、会社勤めなどで確定申告を普段やらない人は、不慣れなことも多いはずです。しかし、不動産会社の担当者や税務署に聞けば解決することも多いので、臆せずに質問するのをおすすめします。
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