設計事務所で注文住宅を建てる場合、最初にどのような住宅がいいか、間取りや設備の希望を話します。
設計事務所はヒアリングした内容をもとに設計図と概算見積もりを出します。しかし、ファーストプランの概算見積りの多くは予算オーバーしてしまうものです。
そんなときに、予算を抑えながら希望通りの家にしていくには、どうすればいいのでしょうか?
ここでは、見積りの中で削れる部分と削れない部分を解説し、予算オーバーをした時の対処法を紹介していきます。
Contents
新居の建築予算がオーバーしてしまったら……?
新築で家を建てる場合、予算オーバーしてしまうことはよくあります。では、一体どの部分を削ったらよいのでしょうか?
【質問】
新築で家を立てる際に予算オーバーしてしまったら、どの部分を削りますか?
【回答数】
設備機器:62
外構:55
仕上げ材:18
建物本体:15
調査地域:全国
調査対象:【年齢】20 –
調査期間:2017年03月21日~2017年03月27日
有効回答数:150サンプル
後から足せる部分は予算削減対象
「設備機器」「外構」が少しの差で1位と2位という結果に。
・設備はあとから足すことができると思います(会社員/男性/30代)
・外構は後からでもできるから(専業主婦・主夫/女性/50代)
設備も外構もあとからつけ足せるから、最初は削っても問題ないという意見でした。それでは、3位の「仕上げ材」と4位の「建物本体」の意見はどうでしょうか?
・一番削って問題ないと思ったからです(女性/30代)
・一番予算が削れそうだから(会社員/女性/20代)
「仕上げ材」は削っても一番気にならないという意見が、「建物本体」は予算を大幅カットできる部分だから、という意見が多く見られました。
1位から3位までの回答は、最初に予算を削ってもあとからなんとかできる、住宅全体に影響が少ない、と考えている人が多いことが読み取れます。
4位の人はコスト重視で考えているようですね。それでは、予算削減のポイントについてお話していきましょう。
構造部と外側を守る部材はケチらない!
どうせ建てるなら、デザイン性に優れていて、自分らしいライフスタイルを送ることのできる家に住みたいですよね。それを叶えられるのが注文住宅です。
しかし、住宅を建てるうえでもっとも大切にしたいのは安全性です。そのため、コストカットをしたいからといって住宅の安全に関わる部分を削ることはおすすめできません。
たとえば、柱や梁などは耐震に関わる重要部分です。壁の一面に大きな窓を設置する場合は特に、耐震性を考慮して頑丈な柱や梁を取り付けたいものです。
また、トップライトを含めた窓は、常に風雨や紫外線にさらされているため、断熱の意味でもなるべくグレードは落としたくありません。
壁や屋根の断熱にも同様のことが言えます。特に屋根は太陽光を直接浴びる部分なので、断熱材のグレードを落としてしまうと夏は暑く冬は寒い家になってしまう可能性があります。
窓や断熱材は光熱費にも関わってくるため、高品質のものを選ぶようにしましょう。
積極的に見直したい設備機器
今よりもっと快適に過ごせるよう注文住宅で叶えたいところですが、あれもこれもとすべてに高品質・高性能を求めてしまうと、予算はいくらあっても足りません。
理想の住居にするには建物のみならず設備機器にもこだわりたいところですが、逆にコストカットをするなら設備機器の見直しをおすすめします。
たとえばキッチン設備の場合、メーカーから出ている既製品のシステムキッチンとオーダーメイドでは、オーダーメイドのほうが金額は高くなります。
同じことは浴室にも言えます。浴槽から床、壁、天井、照明まですべてをオーダーメイドで作りたいとなったら、それだけコストは高くなります。
よく考えたけどキッチンや浴室は譲れない!ということであれば、ほかの部分でコストカットを考えます。
しかし、メーカーから出ている既製品はどの人が使っても使いやすいように設計されているため、機能的に劣るものではありません。既製品も選択肢にいれてもいいでしょう。
仕上げ材の見直しも効果的
日本人であれば、やはり和室が欲しいと思う人は多いのではないでしょうか?
しかし、一般的に洋室よりも構造が複雑なため、和室のほうがコストは高くなります。そのため、コストカットをするなら和室を少なくしたり、リビングの一角に畳スペースを作るだけにしたり、安くなる方法を検討してみましょう。また、壁や天井、床などに使用する仕上げ材も、グレードを下げることによりコストカットが見込めます。
壁の仕上げ材で安いのはクロス仕上げで、工期も短く済むのでおすすめです。ただし、すべて塗り壁にしたいけどコストカットを考えて一部分だけクロスにするなどは、おすすめしません。
なぜなら、材料費の問題もあるほか、塗り壁は左官職人の仕事ですが、クロスはクロス職人が行なうため、工数が増える分だけ人件費がかかってしまいがちです。
浴室や洗面所などの水回り以外の仕上げ材は、統一したほうがコストカットの面で有効です。
間取りの変更と建築面積の削減は最終手段
大幅なコストカットには、間取りの変更や建築面積の削減が効果的です。
ただし、間取りや建築面積は実際の住み心地に大きく影響してきます。たとえば、部屋数が多ければその分だけ壁の数も多くなるため、当然コストもかかります。
しかし、コストカットのためだけに壁をなくして広い部屋にしてしまったら、希望通りの部屋数にならず不満を抱きながら生活することになりかねません。
また、建築面積を狭くするということは、自由になる居住環境も狭くなるということです。せっかく広々としたリビングにしたかったのに今住んでいる家と変わらなくなってしまった、書斎スペースを確保したかったけどできなくなってしまった、などの状況になってしまいます。
間取りや建築面積の変更は、いろいろコストカットをしたけどまだ予算オーバーしている……というときのためにとっておきましょう。
まとめ
ひと言でコストカットと言っても、闇雲に削れば良いというものではありません。削減してもOKな部分、NGな部分をきちんと見極めることが肝心です。
ファーストプランをひとつずつ見直していけば、何かしらコストカットできる部分は見つかります。もし施主側で検討したけどうまく削れない場合は、設計者に相談をしてみましょう。
これまでの実績と経験から、専門家目線でコストカットできる部分とできない部分を明確に見極めてくれますよ。
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