住宅の購入には多額の費用がかかりますが、実は出ていくばかりではありません。
住宅を購入することで受けられる優遇制度もあります。ただし、優遇制度は自動的に受けられるものではありません。
自分で申請して初めて適用されるものばかりです。
そのため、優遇制度があることに気が付くか気が付かないかで得をするか損をするかが決まってしまいます。
ここでは住宅を購入するならぜひとも知っておきたい優遇制度について解説します。
Contents
住宅の優遇制度は利用できているもの?世間の傾向は?
まずは、実際に住宅を購入した人がきちんと優遇制度を活用できているのかどうかを確認してみましょう。
【質問】
住宅の優遇制度はきちんと活用できていますか?
【回答数】
活用できている:87
活用できていない:85
調査地域:全国
調査対象:20代以上の男女
調査期間:2017年03月31日~2017年04月06日
有効回答数:172サンプル
知っているかいないかで大きな差が
今回のアンケートでは、活用できていると答えた人とできていないと答えた人がほぼ同数でした。若干人数の多かった「活用できている」と答えた人のコメントは次の通りです。
・住宅メーカーに教えていただき、優遇税制を利用しました。(50代/会社員/男性)
・エコ住宅の建て替え支援、すまい給付金、住宅ローン控除など色々な制度を申請して利用しています。
主人曰く、かなり減額されたそうなのできちんと活用できていると思います。
住宅建設会社の言うことばかりでなく、主人が自分で情報収集したので自信があるそうです。(30代/専業主婦・主夫/女性)
・優良住宅なので建物の固定資産税が減額されています。(30代/会社員/女性)
活用できていると答えている人の多くが、住宅ローン減税や住まい給付金の活用を挙げていました。優遇を見越してエコ住宅にしたという意見もあります。
住宅会社や銀行から情報を教えてもらったという人もいましたが、自分で調べて活用している人が多いようです。一方、「活用できていない」と答えた人のコメントは次の通りです。
・調べるのが面倒なので住宅優遇制度をきちんとは使っていません。(40代/自営業(個人事業主)/男性)
・初めてその言葉を聞いたくらいなので、活用できているかもそれが備わっているのかもわからない。(20代/会社員/女性)
・後で気づいたけど面倒くさくて使わなかった制度がある。(50代/会社員/男性)
活用できていない人のコメントを見ると、「どんな制度があるかわからない」または「面倒だったから使わなかった」というものがほとんどでした。
優遇制度があることを知らない人だけでなく、優遇制度があることを知っていながら面倒だから活用しなかったという人が複数いることが気になります。
もしかしたら、面倒だと答えた人は優遇制度があることは知っていても、どのくらい優遇を受けられるのかを知らなかったのかもしれません。
アンケートの結果では、ほぼ半数の人は有効活用できているようでしたが、次にこれらの結果を踏まえながら、具体的にどのような優遇制度があるのかを見ていきましょう。
住宅を買うなら知るべき?どんな優遇制度があるの?
実は住宅購入の際に利用できる優遇制度はたくさんあります。「住宅ローン減税」や「住まい給付金」が有名ですがそれ以外にもたくさんあります。主な優遇制度は以下の通りです。
・住宅ローン減税
・住まい給付金
・住宅取得等資金贈与の特例
・登録免許税の軽減
・不動産取得税の軽減
・中古住宅流通・リフォームの特例
・印紙税の特例
・固定資産税の特例・都市計画税の特例
・譲渡損失の繰り越し控除
・買い替え特例
・3,000万円特別控除
・長期優良住宅普及促進のための特例
・フラット35S
・長期優良住宅化リフォーム減税
いずれも適用条件があるため、各優遇制度について自分自身で調べ、自分がその条件に当てはまるかどうかをチェックしてみることが大事です。
贈与税もお得になる?非課税枠って一体?
本来、個人的に現金や不動産などの財産を受け取ったら贈与税がかかります。父母や祖父母など、直系尊属からでも生前に財産を譲られた場合には相続ではなく贈与になるため、税率は高くなります。
しかし、住宅の取得のための資金に限っては、直系尊属からの贈与は非課税になるというものです。もちろん、細かい条件が決められていて、贈与する人は受け取る人の直系尊属に限られます。受け取る人も20歳以上の直系卑属で所得が2,000万円以下という制限があります。
また、資金の贈与を受けて建てる住宅用の家屋は床面積が240平方メートル以下という条件もあります。非課税枠は最大3,000万円ですが、契約する時期によって大きく変動します。
なお、万が一相続が発生したときでも、特例による贈与のため、非課税枠で贈与された住宅購入資金については相続財産に加算されることはありません。
二世帯住宅だからこそ?お得になる優遇措置とは?
二世帯住宅で受けられる優遇措置は「不動産取得税の軽減」「土地の固定資産税の軽減」「建物の固定資産税の軽減」の3つです。
いずれも2戸分として控除を受けられるという優遇措置です。ただし、二世帯が同居しているというだけでは優遇措置は受けられません。登記の形態は関係なく、構造や機能が2つの住宅であると認められて初めて優遇措置を受けられます。
例えば、ドアや壁などで遮断されていて、独立した世帯と認められる構造になっている場合や、専用の玄関やキッチン、バスルームなどがあり、別々に利用できるようになっている場合などが優遇の対象になります。
税金対策するなら確定申告しないとダメ?必要性は?
住宅を購入する際の優遇制度として、条件的に最も当てはまる人が多いのが住宅ローン減税です。所得税の減税措置で、年末のローン残高の1%(還付金の上限を超えている場合は上限金額)がそのまま還付されるという控除額の大きい優遇制度です。
もちろん、年間の所得税額よりもローン残高の1%の方が大きい場合には、還付金の額は年間の所得税額になります。ただし、所得税の還付を受けるためには、確定申告をする必要があります。
確定申告を行う職業の人であれば、確定申告の際に住宅ローン控除の手続きを毎回することになりますが、注意しなければならないのは源泉徴収を受けているサラリーマンです。初年度だけ必要書類を揃えて確定申告を行う必要があります。
きちんと初年度に登録を行っておくことで、次年度からは年末調整のときに手続きを一緒に済ますことができるようになります。10年間受けられる控除ですから、確定申告を忘れずに行うようにしましょう。
長期優良住宅を建てるべき?メリットとデメリット
長期優良住宅とは国土交通省の認可基準に適応している住宅のことです。特別厳しい認可基準ではないため、対象になる住宅はかなり多いはずです。
長期優良住宅を建てるメリットは、耐震性や劣化対策など安心して住める条件をクリアしているうえに税金が優遇されるという点です。長期優良住宅というだけで次のような税制優遇を受けられます。
・所得税の住宅ローン控除
住宅ローン減税の控除対象の限度額が1,000万円上乗せされ、上限が5,000万円になります。
・所得税投資型減税
長期優良住宅を購入するためにかかった費用(消費税8%の場合は最高額500万円、10%なら650万円)の10%が所得税額から控除されます。
・登録免許税の軽減
・不動産取得税の軽減
・固定資産税の軽減
これ以外にも、条件のよいローンを借りることが可能になる点はメリットと言えます。
一方、建てるのに時間が余分にかかり、基準に合う住宅にするためのコストや申請のためのコストなどがかかる点がデメリットと言えるかもしれません。
ただし、長期優良住宅を多く手掛けている住宅会社に依頼すれば、スムーズに作業が進むため時間的な差はあまり気にならなくなります。
コストも申請に5万円~6万円くらい余分にかかる程度で、特別条件が厳しいわけではないため、驚くほど費用がアップするというわけではありません。
まとめ
住宅を購入すると出ていくお金が増え、固定資産税もかかるから大変だと思う人が多いかもしれません。
しかし、優遇制度を賢く利用することで、多くの税金を取り戻すことができます。税制をはじめ、優遇を受けられる制度は種類が多く、気付かないでいると損をすることになってしまいます。
知っているか知らないかの違いだけで数十万円~数百万円も差ができてしまうのですから、この機会に住宅購入で受けられる優遇制度をしっかり確認しておきましょう。
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