一人暮らしの住まいはマンションや賃貸など、さまざまな選択肢があります。一人暮らしの方が住まいを探す際に、「マンションを買おうか、賃貸にしようか、それとも思い切って平屋を建てようか」と迷っている方もいるでしょう。
この記事では、平屋の一人暮らしが向いている人の特徴や一人暮らしで必要な広さと部屋数、平屋を建てるメリットとデメリットなどを解説します。一人暮らしの平屋におすすめの間取りも紹介しているため、ぜひ参考にしてください。
Contents
平屋の一人暮らしはどんな人が向いている?
平屋の一人暮らしは、住まいに対する理想やこだわりがある人やコンパクトな暮らしを望むシニア世代の人に向いています。なぜ平屋の一人暮らしに向いているのか、詳しい特徴を確認しておきましょう。
理想やこだわりがある人
平屋で一人暮らしするのに向いている人の特徴は、住まいに強いこだわりや理想の暮らしのイメージが明確にある方です。例えば、「愛車を収容できるガレージハウスを建てたい」「小さくてもガーデニングを楽しめる中庭がある住まいにしたい」「インテリアにこだわった家にしたい」などが挙げられます。
これらの希望をマンションや賃貸で叶えるのは難しいでしょう。その点、注文住宅の平屋であれば、土地探しや設計段階で叶えたい夢やイメージを盛り込んだ家づくりが可能です。
コンパクトな暮らしを望むシニア
平屋で一人暮らしに向いているのは、生活するのに十分なスペースがあるコンパクトな暮らしを希望するシニアの方です。平屋は、一人暮らし向けの賃貸やマンションでは少し手狭に感じるものの、大開口があるような広い家までは必要ないと考えている方におすすめです。
平屋はワンフロアで生活スペースが完結するため、家事や移動で階段を上り下りする必要がありません。掃除の手間が省けるだけでなく、家事効率を上げることも平屋ならではの魅力です。
一人暮らしで平屋を建てるメリット
一人暮らし向けに建てる平屋は、こだわりや理想の暮らしが手に入ったり、掃除やメンテナンスの手間が減ったりするなどのメリットがあります。他にもさまざまなメリットがあるため、詳しく解説します。
自分のこだわりや理想の家を建てられる
平屋はマンションや賃貸と異なり、住まいへの強いこだわりや理想の家づくりを叶えられます。特に注文住宅で平屋を建てれば間取りや内装から外観まで、すべてを思いどおりに設計することも可能です。
例えば、インテリアは和風テイストやモダンスタイル、北欧スタイルなど、好みのスタイルを選べます。間取りではガレージハウスにしたり、シアタールームやロフトなどのお気に入りの場所を作ったりと、予算が許す限り自分好みの家を建てられます。また、現在の住まいの不満をすべて解消できることも平屋を建てるメリットです。
家事・生活動線が楽になる
平屋は生活に必要なスペースをワンフロアで完結できるため、家事動線や生活動線をシンプルにできます。平屋はロフトやステップフロアを除くと上階がなく、階段の上り下りが不要です。洗濯物を1階から2階へ運んで干したり、掃除機を持ちながら1階と2階を行き来する手間が省けます。平屋はストレスの少ない快適な家を作りたい方におすすめです。
掃除やメンテナンスの手間が減る
ワンフロアで完結する平屋は掃除をする場所が限定されるため、手間がかかりません。2階建てと比べても段差が少なく、掃除がしやすいというメリットもあります。ロボット掃除機を設置して掃除の自動化を図るのも1つの手です。
また、平屋の屋根や外壁のメンテナンスは簡単に組み立てられるはしごで間に合うため、2階建てや3階建てのように高い場所に足場を組む必要がありません。足場の組み立て費というような余計な費用が発生しないため、メンテナンス代を抑えられます。
管理費・修繕積立費が必要ない
平屋は管理費や修繕積立費などの費用が発生しません。マンションの住民は管理費や修繕積立費を支払う必要があります。
戸建住宅の場合は管理費や修繕積立費はないものの、土地や建物にかかる固定資産税・都市計画税を納めなければなりません。土地や建物が広いほど納めるべき税金も高くなります。一方で、コンパクトな設計の平屋は固定資産税・都市計画税がかかるものの、建物の広さを抑えられるため納税額の負担も軽減できます。
庭をつくれる
平屋は外観から間取り、内装まで思いどおりの家を設計できるため、庭をつくることも可能です。小さくても自由に活用できる庭があれば、家庭菜園やガーデニング、テラスなど、さまざまな趣味や暮らしを楽しめます。木や花のある庭をつくり、家の中に居ながら季節の移り変わりを味わうことも注文住宅の平屋ならではの魅力です。
また、広い庭があれば、友人を招待してホームパーティやバーベキューなど、交流の場として活用できるでしょう。
バリアフリーに対応できる
平屋は階段がなく段差も少ないため、バリアフリーに向いています。バリアフリーに対応するには、扉の段差をなくしてフラットにしたり、車いすに乗ったままでも自由に移動できるように、廊下やトイレなどのスペースを広めに取ったりすることが重要です。
平屋を建てるときにバリアフリーが不要でも、老後も長く住み続けるならバリアフリーに対応できる設計にしておく必要があります。バリアフリーに対応していれば、段差をなくしたり廊下を広くしたりする工事の手間と費用を省けます。
ペットを飼える
平屋を建てるメリットは、好きな動物をペットとして飼えることです。マンションや賃貸の場合、ペットを飼うのに大家さんの許可が必要で、物件によっては断られることもあります。ペットを飼える物件だったとしても、ペットの鳴き声が近所迷惑になっていないか心配になる人もいるでしょう。
平屋なら、土地選びや防音対策次第で周囲を気にすることなくペットを飼えます。また、庭があれば走り回るスペースも確保でき、ペットが暮らしやすい環境も確保できます。
地震に強い
平屋は2階建てや3階建てに比べて建物の高さが低いため、自然災害の影響を受けにくいというメリットがあります。高い建物ほど地震に対する強度が低くなる傾向があり、強い揺れの地震が発生した場合は上階の重さが1階にかかり、1階部分が潰れるケースも少なくありません。
一方で、平屋の高さは低く耐震性が高いため、強い揺れの地震や強風などが発生しても1階部分が屋根に押しつぶされるリスクは低いとされています。
一人暮らしで平屋を建てるデメリットや注意点
一人暮らしで平屋を建てる主なデメリットは、2階建て以上に防犯対策を徹底する必要があるうえに、メンテナンスを自分で行わなければならないことです。一人暮らしで平屋を建てるデメリットと注意点を詳しく解説します。
防犯対策が必要になる
一人暮らしで平屋を建てる場合はプライバシー対策や空き巣対策など、防犯対策を徹底して行うことが重要です。
マンションは上層階にも部屋が多く、セキュリティ設備がしっかり備えられており、安心感があります。例えば、エントランスにオートロック機能が備えられているため、部外者が勝手に侵入してくる心配がありません。
一方で、平屋は建物そのものが低く、窓の大きさや高さによっては簡単に侵入される恐れがあります。自分でできる防犯対策は、近所の目が届きやすい土地を選ぶことです。また、死角になりやすい場所に防犯カメラや人感センサーライトを設置するのも防犯対策に効果的です。
設計段階での防犯対策は侵入口になりやすい大きな窓を減らし、すべり出し窓のように人が入れない窓にするとよいでしょう。開口部の広い窓を設置する場合は、シャッターや防犯ガラスにすることをおすすめします。
自分でメンテナンスをしなければいけない
平屋はマンションと異なり、管理費や修繕積立費を支払わなくてよいものの、その分自分でメンテナンスを行う必要があります。
2階建てや3階建てのように高さがない分、作業用の足場を組む際にかかる手間や費用を減らせます。ただし、平屋でも経年劣化によって修理が必要になるケースもあるため、屋根や外壁などのメンテナンスが必要です。メンテナンスの手間をできるだけ減らしたい場合は、頻繁なメンテナンスがいらない外壁材や屋根材を選ぶことをおすすめします。
日当たりや風通しが悪くなる可能性がある
平屋は、周辺環境によって日当たりや風通しが悪くなることもあります。例えば、2階建て以上の建物に囲まれていると、日が当たる場所が限定されたり風が通り抜けにくくなったりするケースも少なくありません。
特に一人暮らし向けのコンパクトな平屋を建てる場合は、一般的な平屋よりも窓の数が減るため、採光や風の通り道を確保しづらくなります。採光や風の通り道を確保するには天窓や高い位置に窓を設置する、勾配天井や吹き抜けを間取りに取り入れるなどの工夫をしましょう。
一人暮らしで住むのに必要な平屋の広さ
一人暮らしで平屋に住むには、どのくらいの広さがあればストレスを感じずに暮らせるのか気になる方もいるでしょう。ここからは、一人暮らしで住むのに必要な広さや部屋数の目安を解説します。
広さの目安
国土交通省の『住生活基本計画における居住面積水準』によると、単身世帯に必要な面積の目安は以下のとおりです。
・最低居住面積水準:25㎡(約7.6坪)
・一般型誘導居住面積水準:55㎡(約16.6坪)
・都市居住型誘導居住面積水準:40㎡(約12.1坪)
最低居住面積水準は最低限求められる住まいの広さです。一般型誘導居住面積水準は、一般地域において多様なライフスタイルに対応できる広さを指します。都市居住型誘導居住面積水準とは、都市部やその周辺地域において共同住宅居住に必要な広さのことです。
最低居住面積水準を目安に平屋を建てると広さに余裕をもたせられないため、55㎡(約16.6坪)または、40㎡(約12.1坪)を目安にすることをおすすめします。
必要な部屋の数
平屋で一人暮らしをするのに必要な部屋数は、部屋の用途や目的によって異なります。例えば、LDKと寝室のみ必要な場合は1LDKの間取りで済みます。仕事部屋や趣味部屋、ゲストルームなどのスペースをつくる場合は、2LDKの部屋数が必要です。
ただし、部屋を増やしすぎると1部屋に取れる広さが狭くなって圧迫感が出てしまいます。反対に1部屋あたりの広さを取りすぎても部屋数が足りなくなるなど、住みづらくなる恐れがあります。平屋の間取りを検討する際は、ライフスタイルのバランスも考えましょう。
土地の広さはどのくらい?
一人暮らしで平屋を建てるときに必要な土地の広さを検討する場合は、建ぺい率をもとに逆算して必要な広さを計算することが重要です。建ぺい率とは、土地の広さに対する建築面積の割合のことです。
例えば12坪の平屋を建てたい場合は建ぺい率がいくつで、どのくらいの広さの土地が必要になるのかを計算する必要があります。仮に、建ぺい率60%の土地に12坪の平屋を建てる場合に必要な土地の広さは20坪です。計算式は以下のとおりです。
12坪÷0.6(60%)=20坪
平屋を建てるのが都市部の場合は密集した住宅地も多く、隣家との距離が近くなる傾向があります。その場合は、隣家との距離も考慮しながらゆとりのある土地を探しましょう。
平屋の一人暮らしにおすすめの間取り
一人暮らし向けの平屋を建てるには外構から間取り、内装まで、すべてを自分で決める必要があります。特に間取りは暮らしやすさに直結するため、慎重に決めなければなりません。とはいえ、どのような間取りにすればいいのか分からずに迷っている方もいるでしょう。ここからは、平屋の一人暮らしにおすすめの間取りを6パターン紹介します。
間取り①広々土間玄関のある効率的な平屋【13.9坪】
広々とした土間空間が特徴的な平屋の間取り例です。外観は、大小異なる3つの箱型の建物が斜めに並ぶ個性的な形状です。中心の大きな建物には縦長で、奥行きのある土間空間が広がるエントランスとダイニングキッチンが配置されています。
土間には靴箱だけでなく自転車やゴルフバッグなどの大きな荷物の収納も可能で、扉と窓を3方向に設置することで、縦長の土間に採光と風の通り道を確保しています。
11.5帖のスペースの中に、ダイニングとキッチンを横並びに配置し、配膳や洗い物がスムーズに行えるように工夫されています。ダイニングの隣にはテラスが設置されており、ダイニングキッチンの前後にある寝室やパウダールームにも行き来できるコンパクトで効率的な間取りです。テラスによって視線の広がりを感じやすくなるうえに、洗濯をはじめとする家事動線もスムーズです。
間取り②中庭をつなぐ家事動線のある平屋【16.9坪】
中庭が水回りの空間をつなぎ、家事動線をスムーズにしている平屋の間取り例です。建物内部には廊下をほとんど設けず、それぞれの部屋の広さを最大限に活かせる間取りに工夫されています。
約17坪と限られた広さの中で、18.2帖(約9坪)のLDKを確保しています。キッチンのカウンターを広く取ってダイニングの機能も設けることでリビングにゆとりが生まれるため、ゆったり座れる大きなソファーを置くことも可能です。
キッチンの隣にはパウダールームと中庭があり、中庭を通じてバスルームともつながっています。中庭の景色を楽しみながら入浴できる贅沢な望みも叶えられます。効率的な家事動線にしたことで、洗濯物を干したり取り込んだりするのも楽チンです。15坪前後の広さでも、ダイニングの使い方や廊下をなくすなどの工夫で快適な家づくりができます。
間取り③車2台分のインナーガレージのある平屋【32.18坪】
こちらは、インナーガレージのある平屋の間取り例です。2人暮らし向けの間取りであるものの、一人暮らし向けの平屋に活用できるアイデアもあります。
ガレージは2台分の車を収容でき、ゲスト用として使うとよいでしょう。シューズインクローゼットを通じて家の中に入れ、LDKは25帖(約12.5坪)あり、ダイニングやキッチンにも十分な広さを確保できます。隣接するテラスの窓を全開にすれば、開放感のあるアウトドアリビングになります。
2人暮らし向けの平屋の間取りであるためパウダールームが2つと、その他にランドリールームもあります。パウダールームを2つ設けることで、朝の身支度や洗濯の際に家族と場所の取り合いになる心配がありません。
一人暮らしなら、ゲスト用と分けてもよいかもしれません。32坪の平屋になるとLDKはもちろん、インナーガレージやテラスなど、それぞれの部屋の広さにゆとりを持たせられます。
間取り④テラスで開放感と採光が抜群の平屋【20.73坪】
テラスが開放感と採光をもたらした平屋の間取り例です。北東に面する土地の特性を活かし、通行者の視線を遮るために道路面の窓は極力小さくしてプライバシーを守っています。20坪の土地にもかかわらず、LDKは23帖(約11.5坪)の広さを確保しており、間取りを工夫して上手にリビングスペースを区切っています。
他にもランドリールームや収納、ロフトなどのスペースだけでなく、書斎スペースも確保されており、まるでパズルをはめたような効率のよい間取りです。LDKに隣接するテラスは8.3帖(約4.1坪)あり、LDKと合わせると30帖(15坪)以上の広さになります。
テラス側の窓を通してリビングから視線が外へ抜けるため、開放感のあるリビングルームになっています。テラスがあることで日当たりも抜群です。休日はテラスに親戚や友人を招待してバーベキューも楽しめます。
間取り⑤18坪でもふんだんに収納を確保した平屋【18.03坪】
こちらは収納をふんだんに設けた、ほぼ正方形で約18坪ある平屋の間取り例です。収納スペースは玄関の靴箱や廊下のデッドスペース、キッチン横、寝室内など、各部屋にあるため、備蓄や衣類などの収納物を用途別にしまっておくことも可能です。
玄関と廊下は家の中心にあり、廊下から寝室やLDK、水回りのそれぞれのスペースへ移動できる生活動線に工夫されています。廊下を境に寝室と水回りスペースの2つに分けられているのも、こちらの間取りの大きな特徴です。
長方形のLDKは、キッチンから全体が見渡せるように対面式になっており、キッチン・ダイニング・リビングと各スペースが分けられています。18坪あれば、十分な広さの寝室やLDKをつくれるうえに、収納スペースも確保できます。
間取り⑥来客動線でプライバシー性のある平屋【15.18坪】
こちらは、客間の和室を居住スペースから独立させた平屋の間取り例です。玄関は奥行きがないものの、正面を全面窓にすることで視線が屋外に抜けて広く見えます。廊下の右側には和室があり、来客時の応接間やゲストルームとして活用するのも手です。和室の手前にトイレを設置したことで、来客が家主に気兼ねなく使用できるように工夫されています。
12.6帖(6.3坪)の正方形のLDKにはキッチンカウンターがあり、ダイニングとの併用も可能です。キッチンとダイニングを省スペースに抑えたことで、リビングスペースを確保しています。
LDKの隣には寝室があり、その先にはプライベートのパウダールームとバスルームが配置されています。家事動線は効率的に設計されており、洗濯や衣類の収納など、家事に便利な間取りです。
こだわりの平屋暮らしを楽しもう!
一人暮らしの平屋はこだわりを詰め込んだ理想の家を建てられるうえに、ガーデニングやペットとの共同生活も楽しめます。バリアフリーに対応できる設計にすれば、老後まで長く住み続けることも可能です。ただし、防犯対策やメンテナンスが必要なため、平屋づくりのプロに相談しながら間取りや防犯対策などを決めることをおすすめします。
フリーダムアーキテクツは、注文住宅からデザイナーズ住宅まで幅広い住宅の建築実績を持つ建築設計事務所です。その中でも、木造の平屋住宅の実績が豊富で、お客様の理想のライフスタイルやこだわりを叶える間取りの提案を心がけています。平屋に適した土地探しもお手伝いできるため、平屋の購入を検討している方はぜひご相談ください。
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