サンルームは機能性とデザイン性を兼ね備えた空間で、平屋にサンルームを取り入れると暮らしの幅が広がります。「一軒家のサンルームに憧れがある」という人も多いのではないでしょうか。
本記事では、平屋にサンルームを作りたいと考えている方に向けて、そのメリット・デメリットや設置時に押さえておきたいポイントを詳しく紹介します。また、サンルームと比較して検討したい代替案も取り上げているので、ぜひ参考にしてください。
Contents
サンルームとは
サンルームとは、屋根や壁をガラス張りにして太陽光を最大限に取り入れるよう設計された部屋のことです。
西洋建築のコンサバトリー(温室)が由来となった空間で、もともとは植物を育てたり食料を貯蔵するために活用されていました。このコンサバトリーより小規模に設計されたものがサンルームとして広まり、「ガーデンルーム」や「ガーデンスペース」とも呼ばれています。
サンルームはコンクリートの基礎から施工するため、一般的な部屋と同様に水密性や気密性が高い構造となっているのがメリットです。平屋のサンルームは建物から少し外側に張り出すような設計になっているのが一般的で、室内外をつなぐ快適な空間として注目されています。
テラス囲いとの違い
サンルームと似た設備として「テラス囲い」があります。テラス囲いは「簡易サンルーム」とも呼ばれることもあり、見た目にはサンルームと似たガラスで囲まれた空間です。
テラス囲いはその名の通りテラスをガラスで囲んだ簡易的な作りであるため、水密性や気密性はサンルームほど優れていません。その分、設置が手軽で工期が短く、コストも抑えられるというメリットがあります。
用途や予算に応じて、サンルームとテラス囲いのどちらを選ぶか検討すると良いでしょう。
平屋にサンルームがあるメリット
平屋にサンルームを設けると、さまざまなメリットがあります。ここでは、平屋にサンルームがあるメリットについて詳しく見ていきましょう。
光あふれるおしゃれな空間が作れる
サンルームを設置する大きなメリットは、自然光をたっぷり取り込めることです。
例えば、リビングに面するようにサンルームを配置すれば、リビング全体が明るく開放的な空間になります。光が十分に入ると部屋が広々と感じられ、空間全体がより魅力的に見えるのも大きなメリットです。
また、平屋はワンフロアの構造ゆえに、日当たりが不十分な部屋ができやすいという課題があります。
そこで、光を多く取り込むサンルームを取り入れることで、採光に関するデメリットを補えます。特に平屋は天井の高さを自由に設定しやすいため、天井の高いサンルームを設置すれば、より明るく開放感のあるおしゃれな空間を作ることができます。
セカンドリビングとして活用できる
サンルームには、セカンドリビングとして活用できるというメリットもあります。庭のように子どもやペットを遊ばせたり、たくさんのゲストを招いてバーベキューをしたり、広々としたスペースを使って楽しみたいときに最適です。
他にも、「日当たりの良さを活かしてガーデニングを楽しむ」「趣味のスペースにする」「テラス風にデザインしてくつろぎの空間を作る」など、さまざまな活用方法があります。
このように、サンルームは限られたスペースを有効活用できるため、スペースが不足しがちな平屋におすすめの設備です。
夏涼しく冬暖かい住まいに
サンルームを設置することで、隣接する部屋の断熱性を高める効果が期待できます。これは、サンルームが屋外と室内の間に空気の層を作り、外気とのクッションになるためです。大きな二重サッシのようなものだと考えてください。
例えば、リビングに面してサンルームを設置すれば、メインの生活空間であるリビングが外気の影響を受けにくくなります。このように、隣接する部屋は冷暖房効率が向上し、夏は涼しく、冬は暖かい快適な空間を維持できるのも、サンルームの大きなメリットです。
さらに、冷暖房にかかるエネルギーも抑えられるため、電気代の節約にもつながります。サンルームは、居住空間の快適性を高めるだけでなく、経済的なメリットももたらしてくれる設備です。
たっぷり日光に当てて洗濯物を乾かせる
近年、花粉や黄砂の影響を考慮して、部屋干しを選ぶ人が増えています。それでも、太陽の光で洗濯物をしっかり乾かしたいと考える方も多いのではないでしょうか。
平屋には2階がないため、ベランダやバルコニーを設けられないケースも多く、洗濯物をどこで干すべきかは悩ましい問題です。そんなときに役立つのが、サンルームです。サンルームがあれば、外干しと日当たりがほとんど変わらないため、洗濯物をしっかりと乾かすことができます。
花粉や黄砂を気にせず、晴れた日の光を存分に活用できるサンルームは、洗濯物を快適に干せるスペースとしても非常に便利です。
平屋にサンルームを作るデメリット
平屋のサンルームには多くのメリットがある一方で、設置時には注意すべきポイントもあります。ここでは、平屋にサンルームを作る2つのデメリットを紹介するので、事前にチェックしておいてください。
固定資産税が上がる
サンルームはコンクリート基礎の上に設置し、風雨をしのぐ壁やガラスに囲まれた構造のため、延床面積に含まれます。そのため、固定資産税の課税対象となる点に注意してください。
平屋は一般的に、同じ延床面積の2階建てと比べると広い土地が必要で、基礎や建材の使用量が多いのが特徴です。これにより、固定資産税が高くなりやすいといわれており、その上サンルームを設置すると、さらに固定資産税が高くなるおそれがあります。
ガラス面の定期的なメンテナンスが必要
サンルームはガラスや透明なパネルで空間を覆うため、汚れが目立ちやすい点もデメリットです。壁面の掃除にはそれほど手間はかかりませんが、天井部分のガラスが汚れると掃除が大変です。
高圧洗浄機を使いたいと考えている人もいるかもしれませんが、防水処理のコーキングが傷つき、雨漏りを引き起こすリスクもあるため注意してください。
外壁の補修と同様に、サンルームも約10年ごとに防水処理を含めた定期メンテナンスが求められます。設置を検討する際は、このような維持管理の手間やコストも考慮しておきましょう。
後悔しないために! 平屋にサンルームを作る際のポイント
せっかくコストをかけてサンルームを設置したのに、後悔するような事態に陥ってしまうと残念です。ここでは、サンルームの設置に後悔しないために押さえておきたいポイントを3つ紹介するので、チェックしておきましょう。
最も日が当たる設置場所を厳選する
平屋にサンルームを作る際は、設置場所の選定が重要になります。日本の住宅事情では十分なスペースを確保するのが難しい場合もありますが、2階のない平屋ではリビング前にサンルームを設けるのが一般的です。
サンルームは採光が大きな目的のひとつであるため、方角が特に大切です。太陽の光がたっぷり差し込むように、南東・南・南西の方角に配置しましょう。設置場所によってサンルームの明るさや快適さが大きく変わるため、慎重に検討してください。
ブラインドや遮光スクリーンをつける
サンルームを快適に使うためには、夏場の日差しや室温対策が欠かせません。ブラインドや遮光スクリーン、日よけなどを設置して、必要に応じて日差しを調整できるようにしておきましょう。熱線を吸収する屋根材や、換気用の小窓を取り入れるのもおすすめです。
さらに、窓用クーラーや床置きタイプの移動式クーラーを活用する方法もあります。リビング前にサンルームを設置する場合は、サッシを開けてエアコンを共有するとサンルームも快適な温度を保てます。
換気や除湿器で結露対策をする
サンルームは屋外に近い環境で、季節によって温度や湿度が大きく変化します。特に、夏は高温多湿、冬は低温で乾燥しがちなため、結露を防ぐ対策が欠かせません。こまめに換気を行い、結露防止スプレーを活用するなどして、結露を最小限に留めましょう。
除湿機や窓用ヒーターを設置すると、結露が発生しづらくなるのでおすすめです。結露を放置すると湿気が高くなり、カビやダニが繁殖してしまいます。これらはアレルギーなどの健康被害を引き起こすリスクがあるため、特に小さなお子さんのいるご家庭では対策が必須です。
また、結露による水分は床材などの腐食を引き起こすおそれもあります。サンルームを快適で清潔な空間に保つためにも、徹底した結露対策を心がけましょう。
平屋にサンルームを作れない場合の代替案
立地や敷地面積によっては、サンルームの設置が難しいケースもあるでしょう。いろいろ検討した結果、サンルームを諦めざるを得ない場合でも、次で紹介する代替案なら採用できる可能性があるので参考にしてください。
ランドリールームを作る
ランドリールームとは、その名の通り洗濯関連の家事を効率化するための専用スペースのことです。洗濯機や物干しスペース、収納棚などを備えている空間で、洗濯物を干して取り込み、収納するまでの一連の作業をスムーズに完結させることができます。
室内環境のため、洗濯物の乾きやすさではサンルームに劣るものの、ランドリールームは洗濯に関する家事動線を一か所にまとめられるのが大きなメリットです。限られたスペースを有効に使いたい場合には、特におすすめの選択肢といえるでしょう。
ウッドデッキや縁側を作る
サンルームが作れないときは、代わりにウッドデッキや縁側の設置を検討してみましょう。晴れた日には洗濯物を外で干すことができるので、花粉などのアレルギーが気にならない場合には十分活用できます。
ペットや子どもの遊び場にもなり、家族や友人とバーベキューなどのレジャーを楽しむスペースとしても活躍します。屋外環境のため、夏場にはプールを設置するなど、アウトドア感覚でさまざまな用途に活用できます。手軽に外とつながる空間を作りたい方におすすめの選択肢です。
ルーフバルコニーを作る
ルーフバルコニーは下の階の屋根部分を利用したバルコニーのことで、平屋でもルーフバルコニーを設置することは可能です。洗濯物を干す場所としてはもちろん、ガーデニングやバーベキューなど、さまざまな用途に活用できます。
ルーフバルコニーなら1階の居住スペースを圧迫しないため、スペースの問題でサンルームを設置できない場合に特におすすめの代替案です。
メリット・デメリットを知り平屋のサンルームを検討してみよう
サンルームは光あふれるおしゃれな空間で、セカンドリビングや洗濯物を干す場所として活躍します。ただし、固定資産税や光熱費の増加など経済面でのデメリットもあるため、注意してください。設置後の維持費やメンテナンスの負担も考慮し、本記事で紹介した代替案も含めて慎重に検討しましょう。
平屋住宅の建て方は以下の記事で詳しく紹介しているので、こちらもぜひチェックしてみてください。
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