平屋にはさまざまなメリットがあり、注文住宅を検討するファミリー世帯にも人気です。一方で家族が多いと「うちの人数だと平屋は無理?」「どのくらいの部屋数が必要なのだろう」と、不安や疑問を抱える方も少なくありません。
そこで今回は「5人家族で暮らす平屋」をテーマに、お役立ち情報をご紹介。おすすめの間取りや家族が快適に暮らすためのポイントを解説します。
フリーダムアーキテクツに家づくりをお任せいただいたお客様の建築実例も紹介しますので、理想の家を考える際の参考にしてみてください。
Contents
5人家族で暮らす平屋の広さや費用相場とは?
家を建てるときの重要な項目の一つが、家や土地の広さと、どのくらいお金がかかるかです。5人家族での生活を想定した場合に必要な標準的な広さと費用を、具体的に紹介します。
5人家族が快適に暮らせる延床面積・坪数とは
家に住む人が快適に生活するための広さは、厚生労働省の資料に一定の水準が定められています。厚生労働省の「住生活基本計画における居住面積水準」の資料を参照してみましょう。
これによると、2人以上の世帯では「25 m²×世帯人数+25m²」で誘導居住面積水準が求められます。誘導居住面積水準とは、世帯人数別に定められる、豊かな住生活を実現し多様なライフスタイルに対応するのに必要な住宅の面積の基準です。
5人家族で住むのであれば、基準となる面積は以下のとおりです。
25m² × 5 + 25m² = 150m²(約45坪)
建物の広さは45坪を目安にしてみましょう。実際に同程度の広さのモデルハウスを訪問してみると、家のサイズのイメージを掴みやすくなりますよ。
必要な土地の広さ
土地の広さはどの程度必要なのでしょうか。先ほど算出した45坪を基準に考えてみましょう。
家は、土地からはみ出さなければどんなサイズでもOKというわけではありません。エリアごとに「建ぺい率」と「容積率」が定められているため、家の広さが決まっているときは基準に合わせて土地を探す必要があります。
建ぺい率 | 土地の面積に対する建築面積(家を真上から見た場合の広さ)の割合。 一般的に住宅は60%程度が上限。 |
容積率 | 土地の面積に対する建物の延床面積(2階以上の床面積を含む)の割合。 住宅の場合は最大で200%程度が上限。 |
平屋は上階が存在しないため、建ぺい率と容積率はほぼ同じです。そのため建ぺい率に注目して土地の広さを考えていきます。
仮に、希望するエリアの建ぺい率の上限が60%であれば、45坪の家を建てるには最低75坪の土地が必要です。
希望する広さの土地が見つからないときは、建物を一回り小さくすることも選択肢の一つです。仮に建物の広さを35坪にするなら、必要な土地の面積は約59坪となります。
費用相場
平屋の木造住宅の場合、一般的な建築コストは坪単価40〜60万円が相場です。45坪の平屋なら1,800〜2,700万円、50坪なら2,000〜3,000万円かかることになります。
この金額はあくまで「家本体の建築にかかるコスト」です。その他にも、土地の購入費用や付帯工事費、諸費用なども発生します。
家づくりにはさまざまなコストが発生し、総額いくらかかるか分かりにくいことも多いです。総予算があらかじめ決まっているのであれば、設計事務所やハウスメーカーに相談する際に「全部で〇〇万円まで」と伝えてプランを提案してもらうのも手段の一つです。
5人家族で暮らすのにおすすめの間取り
間取りは、その家で快適に暮らせるかを左右する大切な要素です。特に家族が多いケースでは悩みやすく、なかなか考えがまとまらない人も多いもの。
ここでは、5人家族におすすめの間取りを3種紹介し、それぞれのポイントを解説します。参考にしてください。
3LDK
一つ目のおすすめは3LDKの間取りです。5人家族であれば、LDKとは別に3部屋以上の個室があると、部屋割りがしやすくなります。
例えば、3部屋のうちの1つを夫婦の寝室にして、残りの2部屋を子どもの部屋にするとします。子どもの年齢や性別で分けることもできますし、1つを勉強部屋、もう1つを子どもの遊び部屋とするなど、用途で使い分けることも可能です。
3LDKのメリットは、建物の大きさがコンパクトになること。将来子どもが巣立って夫婦2人で生活するときも、広すぎず住みやすくなります。部屋の用途の変更も簡単です。
デメリットは、子どもが個室を欲しがっても対応できない可能性があることです。部屋ごとの広さを工夫し、将来的には壁や仕切りを追加することも検討してみましょう。
4LDK
居室が4つある4LDKなら、夫婦の寝室とは別に、3人の子どもそれぞれに個室を用意することができます。夫婦と子ども二人、祖父または祖母の5人暮らしでも、世帯間のプライバシーを確保できる実用的な間取りです。
夫婦どちらかが在宅ワークで、仕事部屋が必要な家庭にもおすすめできます。
4LDKのデメリットは、個室が多くなることで生活動線が長くなることです。LDKや水回りとの位置関係に注意する、回遊性のある間取りにするなど、移動が苦にならないよう注意が必要です。
収納スペースの確保が課題になることもあるため、極力無駄を排した間取りにすることも大切になります。
5LDK
5LDKの間取りなら、家族全員に個室を用意できます。夫婦の寝室を1部屋にすれば、子どもの個室を確保した上で、残りの部屋を多目的に使えます。図書室やシアタールームなど趣味の部屋にしても良いですし、来客の多い家族なら客間として使うことも可能です。
デメリットは、部屋数が多いため各個室の広さを確保するために、相応に大きな土地が必要になることです。広い土地が見つからなければ、部屋のサイズをコンパクトにして数を増やさなければなりません。
また、子どもが巣立ったあとは空き部屋が多くなります。使わないのに掃除の手間がかかる点に注意してください。
夫婦の寝室と子どもの個室がある平屋の間取り例
部屋をどのように配置すれば良いか分からない方のために、実際の間取り例を見てみましょう。まずは、夫婦の寝室と子どもの個室がある平屋を坪数別に紹介します。
【約45坪】4つの寝室
こちらは、建築面積45坪の4LDKです。広めの寝室3つと、LDKに隣接したコンパクトな寝室が1つ用意されています。
それぞれの寝室は、収納スペースや廊下で隔てられているため、音が聞こえにくくプライバシーを確保した設計になっています。各部屋と共有スペースは中心の廊下で繋がりアクセスもしやすくなっており、生活動線が間延びしやすい4LDKのデメリットをうまく解消した設計です。
東側の2部屋の間に中庭を配置して採光を確保したことも、家族が快適に暮らすために工夫されたポイントです。
【約54坪】4つの寝室+畳コーナー
寝室と別に畳のくつろぎスペースを設けた54坪の4LDKです。
子ども3人の個室は南側に配置され、柔らかな日差しが注ぐなかで自分の時間を持てるようになっています。一方、採光を必要としない夫婦の寝室は北側に配置し、スペースを有効活用しました。
寝室はLDKと反対側にまとめて配置されているため、共有スペースの物音が聞こえにくく、生活時間帯の違う家族がいる場合にも便利です。
畳のスペースはLDKと隣接しているため親の目が届きやすく、家族のくつろぎの場はもちろん、小さな子どものスペースにも活用できます。
【約42坪】4つの寝室+スタディールーム
こちらは、寝室4つにスタディルームを用意した間取りです。寝室が一つだけ離れた設計になっており、二世帯住宅などにも利用できる配置です。
LDKの西側には、子どもの個室とは別に3帖のスタディルームとWICがあります。これにより、個室に収納スペースと勉強机を置く必要がなくなります。部屋をコンパクトにして、限られたスペースを最大限に有効活用した間取りです。
家族それぞれに個室のある平屋の間取り例
次に、夫婦も含めた家族全員に個室のある家の間取り例を紹介します。
【約49坪】4つの寝室+和室
4つの寝室と和室を備えた49坪の5LDKです。日当たりの良い南側には寝室を配置し、日中は照明なしでも明るい部屋に。LDKは北側に配置されているため、そのままでは薄暗くなりますが、家の中心の中庭と隣接させることで採光のデメリットを解消しました。
寝室側や玄関側の廊下とも大開口で繋がっているため、家全体が明るい空間になっています。
【約44坪】5つの寝室
こちらは、寝室が5つある44坪の間取りです。
家の中心には廊下が走っており、全ての部屋と共有スペースに廊下経由でアクセスできるようになっています。生活動線が長くなりにくく、家事負担も小さく済む効率的な間取りといえます。
シンプルな長方形の家で、かつ空間を無駄なく活用しているため、LDKや各部屋のスペースを広めに確保できていることも特徴的です。収納も各部屋にたっぷりと用意されているため、荷物の多い家族でも安心です。
5人家族で暮らす平屋の間取りを考えるときのポイント
5人家族の平屋は、部屋が増えやすく間取りも複雑になりがちです。全員が快適に暮らす家にするために、どのような点を抑えておけばよいのでしょうか。個室や収納、水回りなど、ポイントを紹介します。
家族の個室の数を決める
必要な個室の数を決めてから間取りを考えると、区分けがしやすくなります。まずは、夫婦の寝室は同じにするのか、子どもにはそれぞれ個室を用意するのかを明確にしてみましょう。
子どもの年齢が3人とも近いのであれば、3部屋用意することも選択肢の一つですが、子どもの年齢が離れているのであれば、2部屋でも済むケースもあります。
例えば、年の離れた長女はコンパクトな個室にし、年子の長男と次男は広めの部屋を共有で、といった部屋分けも可能です。
また、兄弟の年が大きく離れているときも2部屋で良い場合があります。一番下の子どもに個室が必要になるタイミングで、一番上の子が就職や進学で家を出ることも考えられるからです。
収納を確保する
一般的に、子どもが大きくなるにつれてものが増えていきます。収納スペースが足りなくなる可能性があるため、数やスペースに余裕を持って設計しておくことが大切です。
収納が不足すると物が部屋に出て散らかるため、子どもが自分で片付けられず、親の家事負担が大きくなります。
各部屋に十分な収納スペースを用意できれば良いのですが、設計の都合上難しいこともあるでしょう。共有のウォークインクローゼットを設ける、階段下などデッドスペースに収納を作って頻繁に出し入れしないものをしまい、部屋の収納を空けるといった工夫もできます。
水廻りの数や大きさを考える
5人家族では、水回りの数や大きさに注意が必要です。忙しい朝の時間は混み合うため、スムーズに使えるようにしなければなりません。
例えば、住宅のトイレは一般的に1つだけであることが多いですが、メインのトイレの他に、玄関付近など使いやすいところにもう1つ設置しておくと混雑しにくくなります。
洗面台も流しが2つあるタイプにする、子ども部屋の近くにサブの洗面台を置いておくなど工夫できます。歯磨きや洗顔など、家族の行動パターンに合わせて計画を立ててみてください。
生活動線を意識した間取りを考える
間取りは、生活や家事の動線を意識して配置を考えましょう。
5人家族なら、LDKとは別に居室は3つ以上確保したいところです。ただし、部屋数が多いと移動距離は相応に長くなり、移動も家事も負担が増加します。とはいえ、部屋同士を隣接させると、LDKの物音が部屋に響くなど、生活音が気になることも。
大切なのは、家族のそれぞれの生活に合わせて部屋の配置を考えることです。例えば、夜勤の家族がいる家庭では、寝室はLDKから離した方が良いかもしれません。
どうしても部屋同士が近くなる場合、隣室やLDKの間に収納を作ったり、共有スペースと居室の間に廊下を作ると、音が届きにくくなります。
将来の部屋の使い道を考える
将来的に部屋の使い方を変えられるよう、可変式の間取りを取り入れることも選択肢の一つです。
現在5人家族でも、子どもが独り立ちすれば自然に一緒に暮らす人数は減っていきます。使わない居室が複数ある状態では、家事負担だけが発生してしまうため、将来的な用途を考えて間取りを計画してみてください。
例えば、子ども部屋を大きめに作り、子ども達が個室を欲しがったタイミングで仕切りを設けることも検討できます。この壁は取り外しやすい構造にすることで、子どもが巣立ったあとに外して部屋を多目的に使えるようになります。
関連記事:【建築実例付き】平屋の間取りはアイデア次第!ワンランク上のおしゃれな平屋住宅を目指そう!
40坪以下で平屋を建てたい!面積を抑える工夫
5人家族で暮らすなら、平屋の面積は45坪以上が理想的といわれています。しかし、実際には購入したい土地が小さい、親の土地で敷地内別居したいなど、さまざまな事情で40坪以下の大きさで家を建てることも少なくありません。
コンパクトな平屋で5人で暮らす場合、小屋裏スペースを活用したり、ロフトを作ったりすることで、空間を立体的に利用できます。
また、廊下や玄関の面積を減らすことで、各部屋のスペースを限界まで広く取る方法もあります。
建築面積を抑えつつなるべく居住空間を広くしたいなら、完全自由設計が可能で、平屋の建築実績が豊富な設計事務所を選ぶことがおすすめです。経験が多いほどアイデアの引き出しも豊富なので、理想の家を実現するための最適なプランを考えてくれますよ。
開放的でおしゃれな平屋の建築実例
平屋は、子どもからお年寄りまで快適に暮らせる間取りにしやすい魅力があります。同時に、個性的な外観にしやすく、おしゃれなデザインの家に住みたい人にもおすすめです。
ここでは、フリーダムアーキテクツが手がけた平屋のなかから、開放的でおしゃれな建築実例の一部を紹介します。
5枚の壁が重なりあう唯一無二の外観
壁が飛び出したような唯一無二のデザインが特徴的なこちらの家は、「とにかく格好良い家にしたい」という施主様のこだわりが詰まっています。近隣の住宅とは一線を画す洗練された印象です。
写真の角度から見ると、窓がなく一見閉鎖的にも見えるのですが、道路と反対側に中庭を設置。リビングの大開口から採光しており、日差しが注ぐ開放感ある空間に。プライバシーと外観、採光を全て叶える考え抜かれた設計です。
複数のボックスが組み合わさったような迫力のある外観
こちらの住宅は、黒いボックスが連なったような外観が印象的。シックな色使いながら、前を通ればつい視線を向けてしまうモダンなデザインです。
実は、この家が建っているのは断崖の不整形地。地形を最大限に生かした結果、暮らしやすいL字型の建物と、駐車スペースをしっかりと確保した家になりました。
この家の自慢は、LDKの大開口から楽しめる眺望です。のんびりとくつろぎながら、緑あふれる山の景色を楽しむことができます。
伝統的な趣とモダンな装いを併せ持つ外観
広めの敷地と和のたたずまいが印象的なこちらは、中庭を囲むコの字型を採用した平屋です。ダイナミックな片流れ屋根が目を引きます。
中庭に面する部分には大開口が設けられており、日中の採光をしっかりと確保。植栽を眺めながら食事を楽しめます。
写真右側には施主様こだわりの縁側があります。縁側と隣地の間には松の木が植えられており、さりげなく視線をブロック。ゆったりと流れる時間を楽しめる憩いのスペースです。
平屋を建てて5人家族で快適に暮らそう
5人家族の平屋の建築面積は、おおむね45坪程度が目安となります。最適な間取りは、子どもの年齢や夫婦のワークスタイルによっても異なりますので、家族に合った部屋の配置を考えてみてください。
「自分たち家族にはどんな家が良いのか分からない」こんなときは、ぜひフリーダムアーキテクツにご相談ください。多数のお客様の平屋を手がけてきた経験から、ご家族に合った間取りやデザイン、土地をご提案いたします。
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関連記事:注文住宅の「平屋住宅」特集
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