平屋は階段がなく、家事や育児がしやすいこともあり、子育て世帯にも向いている家と言えます。そこで、この記事では平屋を建てたいと考えている子育て世帯に向け、子育てしやすい間取りや間取りを作る際のポイント、おしゃれな建築実例について詳しく解説します。
これから家を建てるつもりの方だけでなく、ゆくゆくは建てたいと考えている方はぜひ参考にしてください。
Contents
子育て世帯に平屋が人気!その理由とは
最初に、子育て世帯に平屋が人気である理由について詳しく解説します。
生活動線がコンパクトで家事もしやすい
子育て世帯に平屋が人気である理由として、家事のしやすさが挙げられます。生活動線がワンフロアでコンパクトにまとまるためです。2階で洗濯物を干すことや、階段の掃除などが必要なくなるため、家事の負担が軽減できます。
子ども階段から転落する心配がない
平屋ならではのメリットとして、階段がないため、2階から子どもが転落する心配がないことが挙げられます。一般的な一戸建ての階段であっても、子どもの転落事故が起きる可能性はゼロではありません。
根本的な対策として階段をなくした家=平屋を建てれば、階段からの転落事故は起きなくなります。
家族とのコミュニケーションがとりやすい
家族とのコミュニケーションがとりやすいという理由で、平屋を選ぶ人もいます。たとえば、平屋であれば、1階で子どもが遊んでいる間に2階で家事をするケースは発生しません。そのため、子どもに目が届きやすく、コミュニケーションを取りながら家事をすることができます。
さらに、ワンフロアだと家族の出入りもわかりやすく、気が付いていたら帰宅していた、出かけていたということは起こりにくく、常に声を掛け合えるのもメリットです。
自然が身近な住まいで、子どもが庭で遊びやすい
自然が身近で、子どもが庭で遊びやすい家の構造であることも、平屋が子育て世帯に好まれる理由と言えます。平屋はどの部屋にいてもすぐに庭に出られるため、子どもが外で遊びやすく、自然を身近に感じられるからです。大人にとっても、庭で遊んでいる子どもの様子も見守りやすいというメリットにつながります。
老後も暮らしやすい
老後も暮らしやすいことも、平屋のメリットです。足腰が弱ったり、車いすが必要になったりした場合、階段のある家だと移動に苦労するかもしれません。
平屋であれば、階段の上り下りはないうえに、バリアフリーにしやすくなります。足腰に問題がなくても、2階に上がる必要がなく、コンパクトに暮らせるので体力を消耗しづらくなるでしょう。
耐震性が高く安心して暮らせる
耐震性が高く安心して暮らせるという意味で、平屋を選ぶ人もいます。平屋は2階建てや3階建てよりも重心が低く、上階を支える必要がないため、安定しているからです。地震発生時も揺れが少なく、倒壊しにくいことから、防災上も優れた住宅の形として平屋はとらえられます。
押さえておきたい平屋のデメリット
平屋は子育て世帯に限らず安心して暮らしやすい家と言えますが、デメリットもあります。ここでは、押さえておきたい平屋のデメリットとして、以下の5点について解説しましょう。
広い敷地が必要になる
平屋はワンフロアに居住スペースを全て配置する必要があるため、相応の広さの土地を確保しなくてはいけません。そもそも、家を建てる際、土地の大きさいっぱいに家を建てられるわけではないことにも注意が必要です。
これを理解するためには、建ぺい率について知る必要があります。建ぺい率とは、土地の面積に対する建築面積の割合のことですが、地域によって異なる上に、その範囲でしか家を建てることができません。
たとえば、建ぺい率60%の土地に45坪の平屋を建てたい場合は75坪の土地が必要です。土地探しは難航する可能性があるため、子どもの進学までには家を建てたいなど、リミットがある場合は早めに土地探しを進めましょう。
建築費が高くなる
平屋は同じ面積の2階建と比較すると屋根や基礎部分が大きくなるため、建築費が高くなることが多いのもデメリットと言えます。
しかし、外壁の塗り替えや屋根のメンテナンス時に2階建てのように足場を組む必要がないため、メンテナンス費は抑えられるのも事実です。初期費用は高くなる一方、維持費はある程度抑えられるため、その点も考えたうえで資金計画を立てましょう。
防犯性を高める必要がある
平屋を建てる際は、防犯性を高める必要があることにも注意しなくてはいけません。平屋は1階に居室が集まるため、窓が多く、外部からの侵入経路が多くなっています。トラブルを回避するためにも、防犯性の高いガラスや防犯カメラ、ホームセキュリティサービスなどを利用し、防犯性を高めておきましょう。
水害のリスクに注意が必要
平屋は1階しかないため、水害が起きたときに2階に避難することができないことから、水害のリスクに注意しなくてはいけません。土地を購入する際にはハザードマップを確認しておきましょう。
候補に挙がった土地の水害リスクが高い場合は、2階建て以上の一戸建てに変更するか、土地自体を変更するかの検討も必要です。
建物の中心部は採光が確保しにくい
平屋ならではのデメリットとして、建物の中心部は採光が確保しにくいことが挙げられます。
間取りによっては、建物の中心に配置された部屋に窓を設置することが難しいためです。そのため、中心部は廊下や収納など、窓がなくても問題がないと考えられる部屋を配置するとよいでしょう。
子育てしやすい平屋を建てるには?間取りづくりのポイント
子育てしやすい平屋を建てる際には、心得るべきポイントがあります。ここでは、具体的なポイントを5つ解説するので、ぜひ参考にしてください。
家事動線を短くする
平屋の間取りを考える際は、家事動線を短くする工夫を取り入れましょう。子どもがいると子育てで忙しいため、家事はできるだけ効率的に行うのが望ましいからです。
家事動線を短くするためには、水廻りを一箇所にまとめたり、洗濯物も「洗う」「干す」「畳む」「しまう」の動作を近くでできるように設計しましょう。このような工夫により、無駄な動きを少なくできます。
中庭から光を取り込む
中庭から光を取り込むことも、平屋を建てる際に取り入れたい工夫の1つです。前述したように、平屋の中心部は光を取り込みにくいのが難点ですが、中庭を設けることで採光を確保できます。
また、中庭はプライベートな外部空間になるため、子どもの遊び場としても最適です。周囲からの視線を気にせず子どものプール遊びができるうえに、四方を壁や窓で囲まれた中庭なら子どもが道路に飛び出す心配もありません。
収納を十分に確保する
収納を十分に確保することも、平屋を含めて子育て世帯が家を建てる際には配慮したい点の1つです。子どもが大きくなるにつれて物が増えてしまうことが多くなります。そして、収納が少ないと物をしまう場所がなく、部屋が散らかってしまうため、相応のスペースを確保しなくてはいけません。
また、部屋が散らかると掃除の手間が増えるため、使いやすい場所に使いやすい大きさの収納を配置する必要があります。
家族のプライバシーにも配慮する
家族の気配を身近に感じ取れるのが平屋の大きなメリットですが、同時にプライバシーに配慮することも必要です。たとえば、夜、リビングでの話し声やテレビの音が寝室に響くとストレスを感じることがあります。
これを防ぐためには、リビングと寝室の間に廊下や収納を作るなど、生活音が響かないよう何らかの対策が必要です。特に、帰りが遅いなどの理由で生活リズムの異なる家族がいる場合は、細心の注意を払わなければなりません。
子どもが巣立った後の部屋の使い道を考える
平屋に限ったことではありませんが、家を建てる際は子どもが就職、結婚などで独立した後の部屋の使い道も考える必要があります。子どもが独立すると部屋が余ってしまうことも多いためです。
夫婦の寝室を分けたり、趣味のためだけに使う部屋に転用したりなど、使わなくなった部屋の転用方法も踏まえて間取りを考えると、長い間快適に暮らせる家になります。
子育て世帯が暮らしやすい!人気の平屋の間取りを紹介
平屋は子育て世帯にも向いている家の構造と言えますが、間取りを工夫することでより暮らしやすくなります。そこでここでは、子育て世帯が暮らしやすい平屋の間取り例を紹介するので、考える際の参考にしてください。
洗濯・干す・しまうの家事動線をコンパクトにまとめた間取り
洗濯・干す・しまうの家事動線をコンパクトにまとめた間取りの実例を紹介します。家の中心部に中庭をしつらえ、それを囲むように部屋や水回りを配置する形にしました。特に、ランドリールームとウォークインクローゼットを近くに配置したことで、洗濯物を干し、乾いたらしまうという一連の動作がしやすくなっています。
赤ちゃんにも目が届きやすいリビングに隣接したベッドルームのある間取り
子育て世帯が平屋を建てる場合、子どもの様子がすぐ分かるようにしておくと、特に小さいうちは安心して暮らせます。こちらの間取りは、赤ちゃんにも目が届きやすいリビングに隣接したベッドルームのある間取りです。大人が家事をしている間、赤ちゃんがベッドルームで過ごしていたとしても、様子を確認しやすいのが大きなメリットです。
家族のプライバシーに配慮しつつ明るく開放的なLDKを中心とした間取り
家族のコミュニケーションが取りやすいのが平屋のメリットです。しかし、これはプライバシーが失われるというデメリットにもなりうるため、間取りには配慮する必要があります。この間取りでは、LDKを家族の集まる場所として位置づけ、周囲に各自の部屋を配置することで、個人のプライバシーを確保するのを目指しました。
おしゃれでモダンな平屋の建築実例
平屋というと昔ながらの日本家屋を想像する人もいるかもしれませんが、今は若い世帯にも人気で、おしゃれなデザインも多くあります。ここでは、設計事務所が手がけたおしゃれでモダンな平屋の建築実例を紹介します。
廊下をなくし家族とのつながりを感じられる平屋
廊下をなくし家族とのつながりを感じられる平屋の実例を紹介します。「Flat foam」と名付けられたこの家は、立方体をくりぬくような形で窓やエントランスが配置されているのが特徴的です。また、あえて廊下を設けず、スキップフロアで室内に段差をつけることで、図面以上に広く感じさせる平屋に仕上げました。
中庭には照明がついているので、夜でも快適な家族の時間を過ごせるのも魅力の平屋です。
2つのキューブを繋げたユニークな外観の平屋
2つのキューブを繋げたユニークな外観の平屋の実例を紹介します。「flat scale」とつけられたこの家は、名前の通り「平らなウロコのような外観」が特徴的です。一見無機質に見えるかもしれませんが、内装は木目を基調とした温かい雰囲気でまとめられており、快適に過ごせる配慮が行き届いています。
キッチンの背面に壁付けの棚を作るなど、おしゃれなだけでなく、収納力も確保できるように仕上げました。
家族が自然とリビングに集まるように計画された平屋
家族が自然とリビングに集まるように計画された平屋の実例を紹介します。家の中心にしつらえたLDKは、ハイサイドライトから自然光が入り、温かみもありつつ、おしゃれな空間に仕上がりました。また、和室との区切りをあえて明確にしないことで、LDKと一体の空間として活用しやすくしています。
「実りの平屋」という名前のとおり、周囲の田園風景に溶け込むよう外装・内装を含め白と木目を記帳にしてデザインしました。
快適に過ごせるバリアフリーの和モダン平屋
平屋ならではのバリアフリー化のしやすさを意識した実例を紹介します。玄関アプローチはスロープを使い、室内にも極力段差を設けないことで、年齢問わず移動しやすくしました。
また、内装は梁見せ天井と間接照明を上手に使い、木の温かみを感じさせつつ、おしゃれな空間に仕上げました。床暖房の導入や収納スペースの工夫など、おしゃれさだけでなく、実用性も追求した住まいとなっているのも大きな特徴です。
家族みんなが暮らしやすい平屋で子育てを楽しもう
平屋の大きな強みは、階段がないためどのような年代の人でも暮らしやすくなっていることです。子育てにも非常に向いた構造と言えます。現在子育て中の方、今後お子さんを設ける予定の方で家を建てる計画中であれば、ぜひ平屋も候補に入れてみましょう。
今回紹介した以外にも、フリーダムアーキテクツデザインでは様々なデザインの平屋を手掛けてきました。作品集にも収録されているため、ぜひ一度ご覧ください。
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