キッチンをすっきりと快適に保つために収納スペースを確保することは重要です。広い収納スペースを確保したい場合はパントリーをキッチンに設置するのも良いでしょう。
しかし、何も考えずにパントリーを作ってしまうと、使い勝手が悪くなってしまう場合もあります。
今回は、パントリーの基本的な間取りとキッチンの関係性、パントリーを設置するメリットや後悔しないためのポイント、3つのパントリーのタイプ、注文住宅の実例についてご紹介していきます。
Contents
キッチンのパントリーって何?
パントリーとは、キッチン周りのものを収納するためのスペースです。一般的にはキッチンに隣接して設置するか、キッチンの一部として設置します。
パントリーには次のようなものを収納します。
・常温保存できる食品、飲料
・調理器具
・ストック食品、非常用食品
・利用頻度が低い食器や家電
パントリーの一般的な面積は幅(間口)90~180cm×奥行き45~100cmくらいです。システムキッチンのキャビネット(収納スペース)や吊戸棚(ウォールキャビネット)などと比べて大容量なので、さまざまなカテゴリーのものを収納できます。
スペースにゆとりがあれば、ゲストが来た際に生活感が出ているものや、見られたくないものなどを一時的にパントリーに移せるのも便利です。
パントリーを設置するメリット
パントリーは便利だとよくいわれますが、具体的にどのようなメリットがあるのでしょうか。5つのポイントに分けて解説します。
食品をストックできる
パントリーがあれば、常温保管できる食材を買いだめして収納できます。収納スペースが広いため、シリアルやお米、ペットボトル飲料など、かさばる食品でも置く場所に困りません。
そのため、パントリーを活用することで、買い物の頻度を減らせます。たとえば週末にまとめ買いだめしておけば、平日の買い物を減らせるでしょう。また、セールがあった際にまとめ買いして、食費を節約できます。
キッチンがすっきりする
パントリーに食品や調味料、調理器具などをしまっておけば、キッチンを常にすっきりした状態にできます。邪魔なものがキッチンに出ていないため、料理もはかどるでしょう。
また、不要なものをパントリーに片づけておけば、生活感が出にくく、おしゃれな空間を保てるのもメリットです。特に、リビングからパントリー内が見えない間取りになっていたり、棚に目隠しを付けたりしておけば、より生活感が出にくくなります。
収納したものを見つけやすい
パントリー内には棚があるため、食品や家電などがズラっと並んでいる状態にできます。整理整頓さえしっかりしておけば、どこに何があるかが一目瞭然です。
たとえば、特定の銘柄のワインをサっと取り出せます。また、ホームパーティー用の食器やホットプレートなど普段使わないものも、すぐに探し出せるでしょう。数量や残量を把握しやすく整理しておけば「缶詰のストックが少なくなってきたので今度補充しよう」といった在庫管理も簡単です。
災害時用のものもストックできる
パントリーの収納スペースがあれば、災害用の食材や水、リュックセットなどを常備しておけます。
従来の防災マニュアルでは3日分以上の食品備蓄が目安でしたが、現在は大型地震が起きることを想定すると7日分以上が望ましいといわれるようになりました。7日分ともなると保管場所に困るものですが、パントリーであれば余裕を持って保管できるのです。
特に、ローリングストック(古いものから消費して補充することで、一定の備蓄量を保つ方法)なら、日常的な食品ストックを兼ねながら災害対策もできます。消費期限切れを防げるため、いざというときに安心です。
家電をたくさん置ける
料理好きの人、グルメな人がいる家庭では、オーブンやフードプロセッサー、低温調理器といったキッチン関連の家電が多くなるものです。こうした、常時使うわけではない家電は邪魔になるものですが、パントリーがあれば問題ありません。
パントリーがあれば、キッチン内で使わない家電を収納しておけます。出しっぱなしになり、配線がごちゃごちゃして見栄えが悪くならないのもメリットといえるでしょう。
またパントリー内で、家電をいつでも使える状態で置いておく方法もあります。この場合は、コンセントの口数と位置を検討しておきましょう。
パントリーを設置するデメリット
パントリーは便利ですが、スペースや費用がかかることや、常に整理整頓しなければならないこと、デッドスペースになる可能性などのデメリットもあります。それぞれについて詳しく解説します。
スペースと費用が必要
パントリーを設置するには、ある程度のスペースと費用が必要です。
スペースの目安は以下のとおりです。
・壁付きタイプ:幅90~180cm×奥行き45cmくらい
・ウォークインタイプ、ウォークスルータイプ:1帖=約182cm×91cm以上のスペースが使いやすい
1帖程度の広さがあれば、4人家族の場合でも十分な量の食料品や調味料、備蓄品などを保管しておけます。1帖分のスペースであれば、費用の目安は約12万円〜15万円くらいです。設備としては棚とコンセントくらいですので、費用はそれほどかかりません。
いずれにしても、専門家に相談しながらよく検討することが、過不足のない実用的なパントリーにするポイントです。
常に整理整頓しなければいけない
パントリーは、倉庫や物置と違い、一時的な保管場所です。常に整理整頓しておき、すぐに取り出せる状態にしていないと、あまり意味がありません。
たとえば、やみくもに収納してしまい、「何がどこにいくつあるのか」「消費期限は大丈夫なのか」といった状態を把握できなくなってしまう人がいます。また、趣味関連のものやリネン類などを入れてしまい、パントリー本来の利便性がなくなってしまう人もいるようです。
デッドスペースになってしまう可能性もある
広いパントリーを設置したものの、収納スペースとして使い勝手が悪く、デッドスペースになってしまう失敗例は少なくありません。代表的な原因としては以下の内容が挙げられます。
原因 |
例 |
家事動線が悪かった |
・玄関から遠く、運び入れにくい ・勝手口や脱衣所など他のスペースに抜けられない |
動線が狭かった |
・間口やパントリー内の通路が狭く、移動しにくい ※使いやすい動線幅は60cm~が目安 |
スペースが広すぎた |
・スペースが余り、デッドスペースになった |
暮らしてみればすぐに気付くことでも、間取りや図面を見ただけではわからないものです。専門家に相談するとよいでしょう。
パントリーが必要な人
パントリーが必要になるのは、以下のような人です。
・料理好きで食器や調理器具、調理家電が多い人
・大家族でストックしたい食材量が多い人
・共働きや近所にスーパーがないなどの理由で、大量にまとめ買いする人
・キッチンを何もない状態に保ちたい人
・壁付きパントリーを利用して食器や酒類、家電などをおしゃれにディスプレイしたい人
・地震や災害に備えて災害用の備蓄をしっかりしておきたい人
上記はあくまで一例にすぎません。新居での暮らしを具体的にイメージしながら、パントリーが必要かどうか判断していくとよいでしょう。
パントリーが必要でない人
一方、パントリーがあまり必要ない場合もあります。具体的には以下のような人です。
・パントリーにスペースを割くとリビングその他のスペースが狭くなる
・狭小地、変形地などでパントリーに適した間取りにするのがむずかしい
・食器や調理器具が少なく、システムキッチンの収納で足りる
・キッチンを頻繁に使わない
・家族人数が少なく、ストックしておきたい食品量が少ない
・在庫管理や整理整頓が苦手
収納方法はパントリーだけではありません。専門家に相談すると、床下収納や土間、スキップフロアの活用といったライフスタイルに合ったアイデアを提案してもらえます。
注文住宅は自由度が高いため、無理にパントリーにこだわらず、いろいろな選択肢を提案してもらうとよいでしょう。
パントリーの3つのタイプ
パントリーのタイプは「壁付けタイプ」「ウォークインタイプ」「ウォークスルータイプ」の3種類です。それぞれの概要とメリット・デメリットを解説します。
①壁付けタイプ
壁付けタイプは、キッチンの横や背面の壁に、本棚のような棚を取り付けるタイプです。ガラス戸や目隠しなどの追加もできます。
【メリット】
幅90~180cm×奥行き45cmくらいの広さがあればよく、他のタイプより省スペースでコストが安いのが特徴です。キッチンから近い位置にあるため、収納・取り出しがしやすいのもメリットです。
【デメリット】
目隠しをしないと収納物が丸見えとなり、見栄えが悪くなる可能性があります。おしゃれな容器に入れるなど「見せる収納」を意識しないと、雑然とした印象になりがちです。
②ウォークインタイプ
ウォークインタイプは、大きめのクローゼットのように人が入れるタイプです。
【メリット】
1帖以上のスペースを確保すると大容量で使い勝手もよいパントリーになります。ウォークスルータイプよりはスペースも取りません。リビングから見えない位置に間口を作ると、キッチンをすっきり見せられます。
【デメリット】
常に整理整頓しなければ、奥にあるものが取りにくくなります。このデメリットは、間口や通路が狭く奥行きが深いほど大きくなります。また、湿気や匂いがこもりやすい点にも注意しましょう。
③ウォークスルータイプ
ウォークスルータイプは2つ以上の間口があるタイプです。たとえばキッチン側の間口から勝手口側の間口に抜けられる間取りにできます。
【メリット】
通り抜けできるため、食品の運び込みが楽になるなど、家事動線がよくなります。風の通り道を確保できれば、湿気や匂いがこもる問題も起こりません。
【デメリット】
収納量がウォークインタイプに比べると劣ります。また、間取りの条件やスペース確保のハードルが高く、設置できない場合があります。
パントリーを設置して後悔しないためのポイント
パントリーで失敗しないためには、設計前の段階から専門家にアドバイスを受けることがポイントです。注意点を挙げながら、対策を解説します。
湿気対策をする
カビ対策や食品が劣化することを防ぐためにも、パントリー内の温度・湿度管理は重要なポイントです。パントリー内の湿気対策のために、窓を取り付ける方も多くいます。パントリー内を快適な温度・湿度に調整できると、その空間をプライベートスペースとして活用することもでき便利です。
小さな机や椅子を置けば、趣味の時間も確保しやすいでしょう。住居の間取りの関係で自分の部屋が確保できない場合でも、パントリー内に小さなプライベートスペースを設けることで、自分だけの時間を作ることもできます。
お気に入りのインテリアや観葉植物などを飾れば、おしゃれな空間を演出でき、ゆったりと快適にくつろげます。
パントリー内の滞在時間が長くなると、調味料や食品の残量を把握しやすくなり、必要な食品を忘れずに買い足すこともできるため便利です。
収納計画を立ててから間取りを決める
パントリーの間取りを決める前に、具体的な収納計画を立てておきます。
まず必要なのは、何をどれくらい収納するのかです。ライフスタイルや将来の家族構成などを具体的にイメージすると、使い勝手がよく、ちょうどよい広さのパントリーにできます。
また、リビング側から完全に隠したいのか、少しくらい見えてよいかによって選ぶタイプが変わります。先に述べたように各タイプは一長一短あるので、暮らしに合ったタイプを選ぶとよいでしょう。
奥行きをあまり取らない
パントリーを作る際には奥行きを取り過ぎないことが重要です。パントリーに収納するものは、食品や調理器具などキッチンで使用する細かいものが多くなります。奥行きのあるパントリーに食品や調味料などを収納してしまうと、取り出しにくくなってしまいます。
また、食品や調味料は賞味期限が決められているものが多いため、パントリーに収納していることを忘れてしまうと、そのまま劣化し使用できなくなってしまう場合も考えられます。パントリーに奥行きを持たせるときは、棚を可動式にしたりウォークインタイプにしたりして収納物を管理しやすいようにするのがおすすめです。
そもそもパントリーを作る際には、床面積を広く取るのではなく、壁面積を広く取ることに重きを置くといいでしょう。奥行きを作るよりも、収納したものを見渡せるような作りにすることによって、どこに何を収納しているかを把握しやすくなります。
パントリーを設置した間取り注文住宅の実例
ここからは、フリーダムがデザインした注文住宅の実例を紹介します。いずれもインテリア性と実用性を兼ね備えたパントリーですので、キッチン周りのアイデアを考えるきっかけにしてください。
実例①CASE743 two-sidedness
こちらは壁付けタイプのパントリーです。キッチンやリビングのテイストと同じであるため統一感があり、また面積以上の広さを感じます。
頻繁に取り出す食器類はガラス棚へ、隠したいものは戸棚へと収納できるため、見栄えがよく、使い勝手も良好です。
実例②CASE658 connecting terminal
注文住宅の家づくり | CASE658connecting terminal
こちらの壁付けパントリーは、木製のナチュラルな棚に家電を、引き戸のガラス棚に食器類や酒類などを収納できるように工夫されています。
このように整理整頓されていると、収納スペースというよりディスプレイスペースのような印象になります。これも収納量に余裕があり、棚の上下に余白があるからこそといえるでしょう。
実例③CASE748 バスケットコートのある家
注文住宅の家づくり | CASE748バスケットコートのある家
こちらはシャープな黒のアイランドキッチンと同色の棚を持った壁付けタイプのパントリー。上段より下段の奥行きが広い棚となっており、十分な収納を確保しながら使いやすいパントリーとなりました。
キッチンの照明にはスリットダウンライトを採用。夜間には、キッチンとパンテリーがリビングとは一味違う、バーカウンターのような雰囲気のある空間に変わります。
パントリーが必要かどうかよく検討しよう
憧れのパントリーを設置する際には、メリット・デメリットを比較しながら、パントリー内の奥行きの取り過ぎに注意したり、可動式の戸棚を採用したりするなどの工夫が必要です。
収納力を重視するあまり、パントリーの奥行きを取り過ぎると、かえって使いにくくなってしまう場合もあるため注意が必要です。パントリーには3つのタイプがあるので、使用方法は自由自在です。
プライベートスペースとして活用するなどして、より快適で使いやすいキッチンを目指しましょう。
本記事で紹介したようなパントリーの施工事例をもっと見たい方は、ぜひフリーダムのデザイン住宅の作品集をご覧ください。
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