一口に階段といっても、種類や素材によって使いやすさや部屋のイメージはまったく変わってきます。重要なのは、自分たちの理想とする家のイメージに合い、しかも使いやすく安全な階段を選ぶことです。
この記事では、家を建てることを検討中の人のために、階段の種類ごとのメリット・デメリットや費用感、建築実例を紹介します。
Contents
階段の種類別メリット・デメリットと費用相場
最初に階段の種類について、メリット・デメリットや費用相場も交えながら詳しく解説します。こだわりの注文住宅に合う階段選びの参考にしてみてください。
直階段
直階段とは上下階を一直線に結ぶ階段を指します。下から上に向かって真っすぐ伸びている一般的な階段と考えるとわかりやすいかもしれません。
事故を防止する観点から、建築基準法により蹴上(高さ)23cm以下、踏面(横幅)は15cm以上にする必要があります。加えて、住宅に直階段を設置する場合、4mごとに踊り場を設けなくてはいけません。費用相場は階段の種類の中でも比較的安く、15〜25万です。
直階段のメリット
直階段のメリットとして、シンプルな形で見通しが良く、上り下りがしやすいことが挙げられます。また、形がシンプルであることから建築費用も他の種類に比べて安いのも魅力です。
加えて、階段の下のデッドスペースを収納として使うこともできます。あまり広くない土地に家を建てる場合は有効活用したいところです。
直階段のデメリット
直階段のデメリットに、勾配が急になることがある点があります。特に、小さなスペースで高さを出す場合、勾配が急になりがちな点に注意が必要です。高さ4m未満でもバランスを崩したら下まで落下しかねません。事故防止のためにも滑り止めや手すり、踊り場を設置するのが望ましいです。
かね折れ階段
かね折れ階段とは、段の途中で90度に折れ曲がるL字の階段を指します。向きが変わる部分に踊り場を設置する方法や、斜め角度の階段を設置して向きを変えるのが一般的です。
かね折れ階段の特徴として、部屋の隅など壁に沿った形で設置することが多い点が挙げられます。費用相場は25~35万円です。
かね折れ階段のメリット
かね折れ階段のメリットとして、踊り場があるので足を踏み外しても途中で止まることができる点が挙げられます。直階段に比べ安全性は高いため、小さな子どもや高齢者の家族がいる場合に向いているでしょう。
また、デザインを工夫すればリビングなどに設置しても雰囲気に上手に溶け込ませられるのもメリットです。
かね折れ階段のデメリット
かね折れ階段のデメリットは、途中で折れ曲がる構造になっている分、直階段よりもスペースが必要になることが考えられます。設置費用が上がるのもデメリットでしょう。
階段の途中で面積が異なる段ができることで、足を踏み外す危険性もありますので、上り下りの際には注意が必要です。
折り返し階段
折り返し階段とは踊り場を挟んでU字に折り返す階段のことで、「コの字階段」や「箱階段」と呼ばれることもあります。マンションやビルの階段をイメージするとわかりやすいでしょう。シンプルなデザインであるため、近年人気が高まっています。
費用相場は20〜30万円程度です。かね折れ階段と違って片方の壁を設けないことが多いため、少し安くなる傾向にあります。
折り返し階段のメリット
折り返し階段のメリットとして、踊り場が広いのでかね折れ階段よりも安全性が高くなることが挙げられます。加えて、段差の数が多くなるため、勾配が緩やかになり、上り下りが楽なのも大きなメリットです。
家族に小さな子どもや高齢者の家族などがいて、安全性を追求したいなら非常に優れているといえるでしょう。
折り返し階段のデメリット
折り返し階段のデメリットは、段差の数が多くなるため、空間を十分に確保する必要があります。家を建てようとする土地の面積が狭い場合、折り返し階段が作れない可能性がある点に注意しましょう。
また、広い面積が必要な分、居住スペースが圧迫されることもデメリットです。
らせん階段
1本の柱を軸にらせん状にステップが配置されていて、柱に沿って回りながら昇降する階段を指します。ホテルやブティックなどのおしゃれで洗練された空間でも用いられることが多い階段です。
費用相場は30〜40万円と他の種類の階段に比べるとかなり高くなるでしょう。デザイン性の高いものであれば数百万円を超えることも珍しくありません。
らせん階段のメリット
らせん階段のメリットとして、デザイン性が高いことが挙げられます。ステップも木製や金属製などさまざまな素材を使うことができ、自分好みの雰囲気に合わせて選ぶことが可能です。
また、支柱を中心にらせんを描く仕組みになっているため、狭いスペースでも設置できます。
らせん階段のデメリット
らせん階段のデメリットは、安全面に懸念がある点です。特に、支柱近くはステップ部分が狭くなり、内側を歩くと危険でしょう。両手に荷物を持って手すりを持てない場合は、特に慎重に上り下りする必要があります。
また、ある程度強度のある素材を使う必要があり、設置コストが高くなる傾向なのもデメリットです。
注文住宅の階段はステップや手すりのデザインも豊富
階段の種類だけでなく、ステップや手すりを自分の好みに合わせて選べるのも、注文住宅ならではの楽しみです。
ステップの種類には箱型階段、オープン階段、ひな壇階段、片持ち階段などがあります。箱型階段とは、踏板と蹴込板を用いた箱を積み重ねたように見える階段のことです。オープン階段とは蹴込板のない階段を指します。ひな壇階段とは、ステップの側面を露出させることで、横から見るとひな人形を飾る「ひな壇」のように見える階段のことです。片持ち階段とは、踏板を片側だけ固定させるタイプです。
手すりは本来安全面での目的がありますが、例えば壁付けタイプ、オープン(シースルー/スケルトン)タイプ、パネルタイプなどの種類があります。もっとも一般的な壁付けタイプは、その名の通り壁に手すりを設置します。オープンタイプは、階段に直接手すりを付け、階段の中が見える開放感のあるタイプですが、安全面が気になるかもしれません。パネルタイプは、手すりと階段をパネルでつなげ、開放感を保ちつつも安全性が高いため、小さなお子様がいるご家庭に適しているでしょう。
また、階段や手すりの素材も木製やスチール(アイアン)など種類が豊富に揃っているので、自分の好みに合わせて選びましょう。
ステップや手すりの種類については、「【注文住宅】階段で後悔したこととは?階段を考えるときのポイントを紹介」の記事でも詳しく紹介しています。
注文住宅で階段の種類を選ぶときの注意点
階段を選ぶ際は、デザイン性や費用も重要ですが、それと同じくらい上り下りのしやすさや安全性も重要になります。
特に、省スペースにすると段差が少なくなり、勾配が急になってしまうので注意が必要です。足を踏み外して大けがをするなど万が一のことが起きないよう、小さい子どもや高齢者の家族がいる場合は気を付けましょう。
上り下りのしやすさは実際に体験しないとわからない部分もあるため、モデルハウスを見学した際に確認することをおすすめします。階段の一段ごとの高さや幅、手すりの高さやレイアウトを確かめておきましょう。
おしゃれな階段を設置した注文住宅の建築実例
ここからは、使いやすくおしゃれな階段を設置した注文住宅の建築実例を紹介します。
明るくデザイン性の高いスケルトン階段
スケルトン階段とは、階段の踏板とそれを支える骨組みだけで作る階段のことで、踏板同士の間に空間があることから、階段の向こう側が見えるのが大きな特徴です。
こちらの実例のスケルトン階段は、踏板に木を使うことで温かみのある仕上がりになっています。タイルとコンクリートを使った無機質な印象のエントランスとも良いコントラストになりました。
開放感のあるリビング階段
こちらの実例のリビング階段も先ほどと同様スケルトン階段を用い、開放感のある仕上がりになりました。
手すりの色を、黒を中心にしつらえた家具と合わせることで全体的な調和も取れています。また、階段を上った先には仕事や勉強、作業ができる吹き抜けに面するデスクスペースを設けました。
インテリアと一体化した片持ち階段
海に面した邸宅の玄関を入ると、白を基調にまとめられた空間が広がり、その一部に黒の片持ち階段がついているというデザインです。部屋の随所に置かれたオブジェとともに、空間の良いアクセントになっています。
片持ち階段は踏板の色の選び方次第でさまざまなイメージを形作ることができるので、こだわりの雰囲気がある場合は採用してみると良いでしょう。
視線の抜け感がおしゃれな折り返し階段
折り返し階段を作りたい場合に参考にして欲しい、視線の抜け感がおしゃれな実例を紹介します。タイル張りになっているホテルライクな玄関を入ると、見えてくるのはエレベーターと折り返し階段です。
グレーのタイルと木目のドアに合わせて、踏板も木目、手すりはシックな色味のアイアン素材でまとめました。踊り場のところにスリット窓を設け、光を上手に取り入れているのもポイントです。
一枚板で作ったような片持ち階段
全体的に木目でまとめられた内装に合わせ、一枚板から作ったような階段を設置しました。階段の安定感は抜群です。安全に通行できるよう設置した手すりは、インテリアの一部としておしゃれに存在しています。
他にもさまざまな工夫をすることで、変形地・傾斜地でも多くの人が憧れるような洗練された唯一無二の注文住宅に仕上がりました。
注文住宅は階段のデザインも自由!家族に合った階段を選ぼう
注文住宅は階段のデザインも自由なのが大きな強みです。自分や家族の好みや、上り下りのしやすさといった機能性や安全性も踏まえて、十分に希望をかなえられる階段を選びましょう。
この記事で紹介しきれなかった施工実例も確認できる、フリーダムアーキテクツのデザイン住宅作品集もございます。お気軽に資料請求をしてみてくださいね。
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