変形地に家を建てる!メリット・デメリットや地形を活かした間取りや実例を紹介

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土地の形はさまざまで、一般的な四角ではない土地も多く存在します。所有している土地や立地の良い土地が変形地だった場合、どのような家が建てられるのか気になる人も多いでしょう。

本記事では、変形地に家を建てるメリットやデメリット、建築設計のポイント、間取りや建築実例などを詳しく紹介します。土地の形を活かした間取りの決め方を知り、快適に暮らせる住まいを実現するためにぜひ参考にしてください。

変形地とはどんな土地?

変形地とは、いびつな形をした土地のことです。一般的な分譲地は、四角く区切られた正方形や長方形の土地ですが、周辺状況などによって変則的な形をした土地も存在します。

変形地には、三角形や台形、五角形などの他、通路の伸びた旗竿地や細長い土地があります。また、道路側の間口が狭く、奥行きのあるうなぎの寝床と呼ばれる土地や、斜面や段差のある土地なども含まれます。

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変形地に家を建てるメリット

変形地は家が建てにくいと敬遠されることもありますが、変形地ならではのメリットもあります。ここでは、変形地に家を建てる主なメリットについて解説します。

土地の購入費用を抑えられる

変形地は、一般的な長方形の土地に比べて低価格で販売されます。南側に面した長方形の土地が人気で、変形地は売れにくい傾向があるため、同じエリアでも変形地の方が安く購入することが可能です。

立地が良くて土地がある人気のエリアであっても、変形地であれば同じ面積の土地に比べて低価格で手に入れられる可能性があります。

また、土地の購入費用を抑えて、浮いた費用を建築費に充てることができます。より希望を叶えたマイホームを持てるでしょう。

固定資産税を抑えられる

変形地は土地代が安く、資産価値が低いことから固定資産税を抑えられます。固定資産税とは、土地と建物の評価額に標準税率をかけて算出される税金です。評価額は、総務省が定めた「固定資産評価基準」を元に決定します。

固定資産評価基準に沿って決められた土地と建物の評価額は、3年に1度更新されます。建物の評価額は時間が経つにつれ下がる傾向がありますが、土地は大きく下がることがありません。

よって、土地と建物の購入金額の総額に対し、土地が安い方が固定資産税を安く抑えることができます。

凹凸がありデザイン性の高い外観になる

変形地は、長方形の土地では難しいようなデザイン性のある個性的な住宅を実現できる点もメリットです。一般的な長方形の土地では、周囲と同じような建物になってしまうケースが多く見られます。

変形地の場合、土地の形状に合わせて住宅を設計することで、凹凸のある独創的な外観になります。土地の面積が広ければ、長方形が取れる部分にマイホームを建て、余ったスペースは庭にする、といった方法も有用です。

変形地を有効活用する方法は多数あり、工夫次第でオリジナリティのある魅力的な家を建てることが可能です。

窓が多く風通しの良い家になる

変形地に合わせて家を建てると、凹凸部分ができやすく、壁が多くなります。そのため、窓を作れる面が増え、風通しの良い住まいが実現します。キッチンやリビングなど、においが気になりやすいスペースも換気を促すことが可能です。

また、窓が多い分外から光を取り込みやすく、室内の明るさを確保できます。さらに、凹凸部分が道路側からの目隠しとなり、洗濯物を干す場所などプライベート空間としても活用可能です。

道路から居住部分が離れていると静かに過ごせる

変形地の形や間取り次第では、道路の喧騒から離れた静かな居住空間を確保できます。例えば、うなぎの寝床は道路に面した間口が狭く、奥に長い土地のため、必然的に奥に建物を建てることになります。

そのため、道路を通るトラックや人の話し声などが気になりにくく、静かに過ごせるマイホームを実現可能です。また、旗竿地の場合も、通路の奥に家を建てるため、プライバシーを確保しやすいでしょう。

変形地に家を建てるデメリット

変形地にはメリットがある一方、法規制などのデメリットもあります。変形地に家を建てる前に、主なデメリットについて押さえておきましょう。

売却するときに高く売れない

変形地は土地の購入金額が安い分、売却時に高い値段が付かない場合があります。前述の通り、土地の価値は時間が経っても大きく変わることはなく、建物は経年とともに価値が下がっていきます。

そのため、建築時の価格より売却時の価格が安くなるでしょう。将来、家を売却することになった場合、納得できる価格で売却できない可能性も考慮した上で検討する必要があります。

建築にかかる費用が高くなることがある

変形地では、土地の価格は安いものの、建築費用が高くなりやすいため注意が必要です。土地の形を生かしたこだわりの建物を建てるとなると、設計や資材、造作の手間などにより費用が高額になります。

また、資材や重機が搬入できないなどの制限があると、手作業で運搬するため人件費がかさみます。傾斜地の場合、擁壁を作って盛り土をするケースも多く、その分の費用も追加されるため高額になるでしょう。

結果的に普通の家よりも総額が高くついてしまった、と後悔しないためにも、変形地の実績が多い業者や専門家に相談すると良いでしょう。

道路に面している部分が多いと周囲の音が気になる

立地によっては道路に面する部分が多く、周囲の音が気になることが考えられます。例えば、三角形の土地で3辺のうち2辺が道路に面している場合、車の往来や通行人の話し声がうるさいと感じる可能性もあります。

また、寝室や子ども部屋が道路に近い間取りだと、睡眠や勉強の邪魔になってしまうでしょう。家を建てる際に、防音対策をしっかり行う必要があります。

規格住宅が建てられないことがある

規格住宅とは、ハウスメーカーや工務店の提供する規格に沿って建てた住宅のことです。家の外観や内装、間取り、設備などを一定の規格の中から組み合わせて、希望の住まいを作ります。

ただ、変形地の場合は土地の形状が特殊であり、規格住宅が建てられないケースも珍しくありません。自由設計の注文住宅を手掛ける設計事務所に依頼すると、土地の形状を活かした住宅が建てられるので相談してみましょう。

建ぺい率が低いと土地いっぱいに家を建てられない

土地に建物を建てる際には、建築基準法や都市計画法で定められた建ぺい率や容積率を守る必要があります。建ぺい率とは、土地に建てられる建築面積の割合で、容積率は土地に建てられる延べ床面積の割合のことです。

面積の小さい狭小地のような変形地では、建ぺい率や容積率が低い傾向があります。土地いっぱいに建物を建てようとしても、建ぺい率が低いと小さな建物しか建てられないため注意が必要です。

地形を活かす!変形地の活用アイデア

変形地にはメリットとデメリット両方があり、アイデア次第で便利で住み心地の良い家を実現できます。ここでは、変形地を生かした間取りのアイデアを紹介します。

1階をガレージにして駐車場を確保

1階をガレージにして駐車スペースを確保し、居住スペースを2階以上に設ける方法があります。変形地の形状によっては、一定の広さが必要な駐車場を作ると、建物が小さくなるため駐車場を確保しにくくなります。

そこで、1階をガレージとした3階建ての建物とすれば、自転車やバイクの置き場としても活用できるでしょう。傾斜地の場合は、段差を利用してガレージの上に居住スペースを作れます。

外構づくりで余った土地を庭として活用

変形地は、正方形や長方形の土地に比べて家を建てられるスペースが限られており、デッドスペースができてしまうことがあります。そこで、住宅以外の土地を庭として整備すれば、家庭菜園や子どもの遊び場として活用できます。

例えば、三角形やL字型の角を、自転車置き場やアウトドア用品の置き場とする、といった方法も有用です。庭を作れば、室内からの景観も良くなるでしょう。

高低差がある部分は地下室にする

高低差がある土地では、盛り土をして高さを調整し、家を建てるケースが一般的です。ただ、高低差を活用して地下スペースを作れば、ドライエリアが不要で採光や風通しも確保できるでしょう。

また、地下や半地下のスペースは遮音性が高いため、プロジェクターを設置してシアタールームとして楽しむことも可能です。このように、傾斜地であれば造成費用を抑えて地下スペースを実現できる点はメリットといえます。

トップライトや天窓を作って採光を確保する

旗竿地の場合、道路に面した部分が少なく、静かに過ごせる点はメリットです。ただし、奥まった場所に家を建てると、隣家に囲まれるため日当たりが悪くなりやすい傾向があります。

採光が取れないときは、トップライトや天窓を活用しましょう。吹き抜けに天窓を設けることで、真上から採光を確保でき、1階まで明るくなります。

地形を活かした変形地の家の間取り例

ここからは、土地の形状を生かした変形地の間取り実例を紹介します。いびつな形の土地を有効活用するために、ぜひ参考にしてみましょう。

30.5帖の広々としたLDKが魅力の間取り

道路に面した部分が飛び出している変形地の住宅です。2台分のガレージスペースを確保し、隣の余った部分は庭として整備することで、土地を有効活用しています。道路側には植栽を設置し、プライバシーにも配慮しています。

1階は、LDKや浴室など主要な居住スペースです。道路から最も離れた奥には、リビングと和室それぞれにテラスを設置。道路の騒音が気になりにくく、外に出て快適に過ごせるように工夫されています。

変形地を活かし無駄なくレイアウトされた間取り

三角形をした狭小地の間取り実例です。建ぺい率の制約を受けつつも、駐車場や玄関アプローチには必要なスペースを確保しています。また、道路に添う形で斜めになっている部分を、納戸やシューズインクローゼットとして有効活用している点もポイントです。

2階のプランは土地の変形形状を利用し、無駄のないレイアウトを実現しています。ダイニングでは道路に向かって窓を設けることで、景観の良い空間を演出できています。

変形地ならではのおしゃれな建築実例

ここからは、変形地ならではの特徴を活かしたおしゃれな建築実例を見ていきましょう。さまざまなアイデアを参考に、理想の間取りを考えてみてください。

ロフトと吹き抜けで面積以上の開放感を実現

CASE190 スキップフロアの家

閑静な住宅街の変形地かつ狭い敷地の住宅です。室内はスキップフロアを活用し、階段の先には作業用デスクを置くなど、視覚的に多様なスペースを生み出しています。ロフトと吹き抜けによる開放的な空間は、面積以上の広がりが感じられます。

道路に面したリビングには縦に細長い窓を並べることで、明るさを確保しつつ、プライバシーに配慮している点が特徴です。

道路に対して角度をつけた迫力のある配置

CASE752 as CANVAS

道路に対して角度を付けて家を建てた実例です。玄関前のスペースに余裕を持たせ、奥行きを設けることで建物の迫力が感じられます。また、道路に面した開放的な立地を活かしつつ、玄関前にはルーバーを設置することで、プライバシーを確保しています。

サントリーニ島の風景がテーマの室内は、真っ白な壁とアーチ型の開口が印象的です。子ども部屋は間仕切りを作らず、あえて広い1つの部屋とすることでさまざまなアレンジを楽しめます。

シンプルな外観ながらプライバシー性を確保した住宅

CASE736 アンモナイト

第一種低層住宅専用地域の閑静な住宅街にある住宅です。敷地の高さ制限により、建物の高さを抑える必要がありましたが、天井をランダムな高さにすることで、中庭の自然光が広がる優しい空間が生まれました。

外観はシンプルでありながら、プライベート性の高いデザインです。スリットのような玄関アプローチは、道路側から見えにくいよう配慮されています。

中庭から光を導く旗竿地の都市型コートハウス

CASE735 brighted home

旗竿地のコートハウスの実例です。道路から玄関までは駐車スペースとアプローチとし、洗練されたシンプルな印象を与えています。

中庭を内包するように各部屋に配置し、各面には大きな窓を並べて採光を十分に確保できるよう工夫している点も特徴です。都市の喧騒から離れて安らげる住まいが実現しています。

高低差を活用した高台のガレージ住宅

CASE511 高台のガレージハウス

傾斜地の高低差を利用し、道路から一段高い敷地に居住スペースを設けた住宅です。2台分の駐車スペースを確保した地下ビルドインガレージは、趣味の収納庫としても活躍しています。

横の玄関アプローチに付けた出入り用の真っ赤な扉は、コンクリートに映えるアクセントにもなっています。リビングからは富士山の良い眺めを満喫することが可能です。

変形地・傾斜地の実例をもっと見る

変形地のメリットを活かしておしゃれな家を建てよう

変形地は家を建てにくいなどの理由で敬遠されがちですが、その分価格も抑えられており、工夫次第では便利でユニークな住宅を建てられます。

ただし、建物の建築費が高くなりやすい上、建ぺい率法規制などの知識も重要なため、変形地の住宅建設実績が豊富な工務店に相談することをおすすめします。土地を有効活用して、理想の住まいを実現させましょう。

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