車が2台入るガレージハウスは、大切な車を風雨から守りたい、趣味のスペースが欲しいといった方から人気を集めています。
実際に建築を検討するのであれば、気になるのが家の間取り。車2台が余裕を持って入庫できるガレージを確保するには、どの程度の広さが必要なのでしょうか。
この記事では、2台分のガレージハウスの間取り作りのポイントを解説します。実際の間取り図や建築実例も紹介しますので、ガレージハウスを検討している方はぜひ参考にしてください。
Contents
ガレージハウスとは
ガレージハウスとは、簡単に説明すると建物の中に車庫がある住宅のことです。インナーガレージやビルトインガレージを備えた住宅のことを、まとめてガレージハウスと呼びます。
ガレージをどのように配置するかはさまざまですが、建物の前側や側面がガレージになっているものや、1階部分を丸ごとガレージにするケースもあります。リビングとガレージをガラス壁で隔て、共有スペースから愛車を鑑賞できるようにした配置も人気です。
ガレージは、単に車庫だけでなく趣味のスペースとして使うこともできます。活用方法はさまざまで、スノーボードや釣りなど趣味の道具を保管したり、DIYのスペースとして活用している方もいます。
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2台分のガレージハウスに必要な広さ
ガレージハウスは、通常の注文住宅と比べ建築面積が大きくなります。
普通自動車を1台無理なく駐車できるスペースは「幅2.5m×長さ6m」といわれています。坪数に換算すると約4.5坪相当です。2台分のスペースを確保するなら単純に計算して約9坪程度必要になります。
作業スペースや保管庫などを併設したいのであれば、その分要求される面積も大きくなります。
ただし、この広さは車種によっても異なるため注意してください。サイズの大きな車種や輸入車であれば先ほどの面積では不足することもありますし、2台ともコンパクトカーであれば一回り小さい面積で十分なケースもあるでしょう。
建築を検討する際は、設計会社に相談しつつ「我が家に必要な面積はどのぐらいか」を明確にすることで、敷地を無駄なく活用した間取りの実現ができます。
関連記事:3台駐車できるガレージハウスを建てるには?間取りと建築実例を紹介
2台分のガレージハウスを作るメリット
車を止めたいだけであれば、屋内のガレージではなく屋外の駐車スペースでも事足ります。あえて家をガレージハウスにすることには、どのようなメリットがあるのでしょうか。2台分のガレージハウスを作るメリットを詳しく見てみましょう。
愛車を傷や汚れから守れる
ガレージハウスの大きなメリットの1つは、愛車を傷や汚れから守れることです。
ガレージの入口にシャッターを設置して、車を使わないタイミングでは閉めておくようにすれば、砂埃や風雨による汚れから愛車を守れます。紫外線の差し込みによる外装の劣化も緩やかになるでしょう。お気に入りの車のコンディションを維持しやすいのは嬉しいポイントですね。
また、ガレージハウスは防犯面でもおすすめできます。鍵がなければシャッターを開けられないようにしておけば、屋外の敷地に駐車する場合と比べ盗難リスクは低くなります。防犯カメラなどの設置もしやすいですね。
2台駐車できるガレージにすれば2台とも守れるため、車が趣味で複数台所有している方や、夫婦両方に自分用の車がある家族におすすめできます。
駐車場から玄関への移動が楽
ガレージハウスは、駐車場から玄関への移動が楽なのもメリットです。
屋外の駐車スペースから玄関まで移動するとき、風雨や雪に当たってしまうことは避けられません。子どもや買い物袋を抱えていると傘をさすのも難しいですよね。カーポートを設置することも選択肢の一つですが、隙間ができるため完全に雨風を防ぐことはできません。
その点、駐車場を屋内にすれば、濡れることを気にする必要はありません。ガレージ内に勝手口を設置したり、玄関ポーチに直通の通路を作れば、ガレージの内側から家の中にアクセスできるようになります。
屋内の遊び場としても使える
2台分のガレージは、車がないタイミングであれば屋内の遊び場としても使えます。
2台分のガレージの面積は9坪以上となるため、アウトドアスペースや子ども、ペットの遊び場として活用できます。バーベキューをする、ビニールプールを置いて水遊びをする、愛犬とボール遊びをするなど、活用方法はさまざまです。
ガレージの床はコンクリート敷きにすることが一般的なため、汚れたり濡れたりしても楽に手入れできます。プライバシーを守りながら思いっきり遊べるのも嬉しいですね。
2台分のガレージハウスを作るデメリット
2台分のガレージハウスを作るのであれば、メリットだけでなくデメリットも理解しておきましょう。具体的にどのような点が問題となるのか、詳細を紹介します。
建築費用が高くなる
2台分駐車できるガレージハウスを建てるなら、一般的な駐車場付きの家を建築する場合と比べると、費用が高くなりやすいです。理由は、ガレージハウスの構造にあります。
例えば、3階建ての家で1階部分の半分をガレージにするとします。ガレージ側は駐車スペースのため空洞となり、各種建築基準は残りの半分のスペースで満たさなければなりません。この部分は一般的な家の構造より強度が要求されるため、コストがかかるのです。
インナーガレージの建築費用は、坪単価で約50万〜80万円ほどが目安です。9坪を想定して計算すると、450万〜720万円ほどが相場となります。
間取りに制限がある
建物の中にガレージを組み込むという性質上、間取りの選択がある程度制限されます。
仮に、四角形の建物の1階部分をインナーガレージにするなら、建築面積にもよりますが1階の大部分をガレージが占めることが多いでしょう。こうなると、1階は玄関と水回りのみ配置するなど、省スペースでやりくりする必要があります。
敷地の広さ次第では、ガレージに共有スペースが圧迫されることもあるため、住みにくい家にならないようしっかりと間取りを考えなければなりません。
理想の間取りとインナーガレージを両立させたいのであれば、ガレージを組み込む前提で広めの土地を探すことをおすすめします。土地探しから相談できる設計事務所を探すのも選択肢の一つでしょう。
騒音・換気対策が必要になる
ガレージハウスでは、車の発進時や駐車時に、建物の中でエンジンを動かすことになります。そのため、騒音や換気の対策が必要です。エンジン音や排気の影響を受けるのでは、快適に暮らすのは難しいでしょう。
また、車だけでなくシャッターの開閉音にも注意してください。音の大きいシャッターの場合、早朝や深夜に使うと近隣トラブルに発展する可能性もあります。音の小さなタイプを選び、定期的なメンテナンスで軋み音が発生しないようにしましょう
2台分のガレージハウスを安く建てたい!コストを抑える方法
建築費用が高くなりやすいガレージハウスですが、いくつかポイントを押さえることで、コストを節約して建築することも可能です。
1台分のガレージハウスにする
そもそも、生活スタイルを振り返ってみると、必ずしも2台入るガレージでなくても良いこともあります。例えば、1台は趣味の高級車で、もう1台は普段使い用のファミリーカーだとします。この場合は、インナーガレージに駐車するのは高級車の方だけでも良いかもしれません。
インナーガレージは、広くなればなるほど建築費が高くなる傾向にあります。2台所有しているなら、1台は屋外の駐車場に、1台は屋内に、と駐車する場所を変えることも可能です。ガレージのスペースが小さくなるためコストは抑えられるでしょう。
2台とも屋内に駐車するより大幅にコストを削減できるので、一度検討してみてはいかがでしょうか。
オプションをつけすぎないようにする
他の設備と同じように、ガレージにも標準仕様とオプションがありますが、オプションをつけすぎるとその分費用が高くなるため注意が必要です。
オプションをつけると、ガレージに機能をプラスできたり、よりハイグレードなデザインに変更できたりします。オプションの種類は、シャッターや照明が高機能になるものや、換気扇の追加ができるものなどさまざまです。
オプションの導入を検討するときは「自分や家族に本当に必要か」をチェックし、優先順位をつけて予算内に収まる範囲で採用することをおすすめします。
安価な素材を選ぶ
安価な素材を選ぶことで、建築時のコストを抑えることが可能です。
ガレージの建築にかかる費用は、どの素材を選ぶかによって大きく異なります。一般的には鉄筋コンクリートが最も高額で、鉄骨、木造の順に安価です。
ただし素材ごとに耐用年数が異なり、風雨や湿気など周辺環境の影響をどの程度受けるかによっても、長持ちするかが変わってきます。木造なら比較的安く建てられますが、鉄筋コンクリート造と比べ経年劣化しやすいので、定期的なメンテナンスが必要です。
建築時だけでなく、10年単位でどの程度維持費がかかるかも考慮すると、コストパフォーマンスの高いガレージ作りができるでしょう。
2台分のガレージハウスの間取りを考えるときのポイント
2台分のインナーガレージは相応にスペースを必要とするため、居住空間を圧迫しないか心配な方も多いのではないでしょうか。ここでは、間取りを検討するときに押さえておきたいポイントを紹介します。
2階をリビング・ダイニングにして居住空間を広くする
一般的な建築面積の戸建て住宅に、2台駐車できるインナーガレージを作るのであれば、必然的に1階の大部分がガレージになります。ガレージとリビング、ダイニングを同じ階にするなら、広い敷地を確保しなければなりません。
土地があまり広くないケースでは、家を2階建て以上にして、ガレージと共有スペースを別の階に配置することをおすすめします。こうすることで、ガレージが居住スペースを圧迫することなく、リビング、ダイニングを広々と使えます。狭小地でインナーガレージを検討するときにもおすすめの間取りです。
車の買い替えの可能性を視野に入れる
ガレージハウスは、車を買い替える可能性を考慮して設計することをおすすめします。
2台分のガレージといっても、車の大きさによって必要なスペースの広さは異なります。例えば、現在は夫婦が軽自動車を1台ずつ所有していても、将来的に子どもが生まれてファミリーカーに乗り替えるかもしれません。
このように、ライフステージの変化によって必要な車の大きさが変わることもあります。ライフプランをどう考えているかにもよりますが、最低限の広さに留めることがベストとは限りません。
特に、大型の輸入車やSUVは車幅が大きいため、ギリギリの設計だとガレージに入らないこともあるでしょう。将来大きな車に乗る可能性がある場合は、余裕を持ってスペースを確保しておきましょう。
寝室や子ども部屋はガレージと離す
寝室や子ども部屋は、ガレージと離した配置にすることをおすすめします。
インナーガレージは、昼夜問わず好きな時間に愛車をメンテナンスできるという大きなメリットがあります。しかし、メンテナンスの音や車のエンジン音が睡眠の妨げになることも。
家族それぞれの居室や寝室、リビングダイニングなど、在室時間が長く静かに過ごしたい部屋は、ガレージに隣接しない配置にしてみてください。家族の中に在宅ワーカーがいるなら、仕事部屋からも離すと良いでしょう。
家族のライフスタイルを考慮しつつ、快適に暮らせるよう間取りを工夫してみてください。
2台分のガレージハウスの間取り例
ガレージハウスをどのような間取りにするか決まらない場合、既存の住宅を参考にすることをおすすめします。
ここでは、フリーダムアーキテクツに設計をご依頼いただいたお客様の実際の間取り例を3つ紹介します。
2階に広々としたLDKを設けた間取り
2台分のガレージを確保する場合、心配になるのが居住スペースへの影響です。こちらの間取りは、ガレージとLDKを別の階に配置することで、広々とした共有スペースとガレージを両立させました。
1階は、LDKほどの広さを必要としない家族の居室と主寝室に使い、L字型に配置。1階の限られたスペースを無駄なく活用しています。トイレと洗面スペースも1階にあるため、各居室からの生活動線が短くなる工夫も盛り込まれています。それぞれの部屋がガレージと隣接しないよう、階段や廊下でさりげなく隔てられているのも住みやすいポイントです。
大きな窓から愛車を眺められる間取り
せっかくなら「愛車を眺めながらくつろげるスペースが欲しい」という方も多いです。この間取りでは、7.5帖の居室がインナーガレージに隣接していて、大きな窓から愛車を眺められるようになっています。愛車を見ながら仕事に打ち込むワークスペースにしても良いですし、お酒やお茶を楽しめる趣味の部屋にすることも可能です。さまざまな用途に活用できます。
ガレージへ続く大開口は大きな通路にもなるため、家具など大きな荷物の搬入に使えるほか、ガレージで遊ぶ際の道具の用意などにも活躍できます。
ガレージから玄関へ直接アクセスできる間取り
この住宅は、ガレージから玄関へ直接アクセスできる設計になっていて、駐車場から屋内への移動がとても楽にできます。悪天候の日も汚れずに中に入れますし、子どもや荷物を抱えて傘を差せないときにも便利です。
LDKがインナーガレージと同じ階にあると音が響かないか心配ですが、この間取りではガレージとLDKが1階の両端に位置していて、間が玄関で隔てられています。ガレージでの趣味の時間と、共有スペースのくつろぎの時間が、お互いに邪魔をしないよう工夫された間取りです。
2台用ガレージハウスのおしゃれな建築実例
2台分のガレージがある家が欲しいな、と思っていても、実際にはどんな家なのかイメージが付かない人も多いもの。ここでは、フリーダムアーキテクツがお任せいただいた家の建築実例を写真付きで紹介します。参考にしてください。
2台分の駐車スペースに加えて壁面収納も設けたガレージハウス
白を基調としすっきりとした印象のこちらのガレージハウスは、車2台を余裕を持って停められる広めの駐車スペースが確保されています。ガレージの奥側には、玄関に続く屋根付きのアプローチが用意されているため、雨の日も楽に移動が可能です。
壁面収納があるため、愛車のメンテナンス用品やシーズンオフのタイヤなど、屋内で保管しにくいものをしまっておけます。
ガレージの奥側はあえて壁を無くし、リビングから中が見えるように設計されました。ガレージが目隠しとなることでガラス張りのリビングのプライバシーを確保し、同時に車の盗難対策にもなる工夫をこらした構造です。
壁面にカヌーを吊り下げた秘密基地のようなガレージハウス
こちらは、家の地下にあたる部分がインナーガレージになっている家。普段使い用の車とスポーツカーを2台並べて駐車できるスペースがあります。
ガレージの内部は、自転車やカヌーなど、こだわりのアイテムが飾られた大人の秘密基地でもあります。インナーガレージとすることで、大切なコレクションの防犯対策ができ、第二のくつろぎの場となりました。内部は赤色が映える扉が設置されていて、シャッターを開閉しなくてもガレージに出入りできます。
LDKに隣接するショールームのようなガレージハウス
こちらの住宅は、海の見える高台に建つ憩いのセカンドハウス。インナーガレージの壁はガラス張りになっていて、リビングからのんびりと愛車を眺められる設計です。愛車を傷や汚れから守りつつ、インテリアの一部として楽しめます。ガレージ内の照明をつけると、自慢の車がスポットを浴び、さながらモーターショーのよう。
リビングからは海の見える設計になっており、リゾート感を味わえる贅沢な空間となりました。
高低差を活かし地下車庫を設けたガレージハウス
ガレージハウスは、建物の一部をインナーガレージにすることが多いですが、傾斜地の家なら基礎部分にガレージを作り、さながら地下の秘密基地のようなガレージを作ることもできます。こちらのガレージハウスもそんな家の一つです。
ガレージと家が分離していることから、メインの居住スペースを広く確保しつつ、2台の車が余裕を持って駐車できるようになりました。基礎と一体化しているため耐久性の高いコンクリート造が採用されており、愛車を長く風雨から守ってくれます。
趣味を楽しめるおしゃれなガレージハウス
駐車場としてだけでなく、趣味の場としても楽しめるのがインナーガレージの醍醐味。こちらの家では、ガレージの内部にお気に入りのポスターや絵画、SUPボードが飾られ、遊び心あふれる空間となっています。
車2台分の駐車スペースがしっかりと確保されており、余裕を持って駐車できます。奥には家の中に直通している扉も設置され、悪天候の日も濡れる心配はありません。オールやSUPボードなど、外遊びの道具もここに保管するため、汚れたものを家に持ち込まずに済むのもインナーガレージのメリットです。
ソファも置けるゆとりのあるガレージハウス
こちらのガレージハウスは、車と大型バイクをゆとりを持って駐車するために、広めの駐車スペースを確保しています。車のほかにソファも設置されており、ガレージ全体がくつろぎの場に。車やバイクを楽しみながらお酒を楽しむ、といった使い方もできそうですね。
ガレージの奥には棚が設置されていて、趣味の道具を収納できます。カー用品やガレージで使うものを屋内に持ち込まずに済む、利便性の高い作りです。
木目調のシャッターが映えるガレージハウス
白い壁に木目調のシャッターが印象的なこちらの家に住むのは、子どもと夫婦2人の3人家族。ファミリーカーも駐車できる大型のインナーガレージが備えられています。建物が四角形のため、ガレージのスペースも無駄なく確保できました。
インナーガレージが共有スペースを圧迫しないよう、リビングダイニングは2階に置かれ、景色を楽しみながら食事ができる配置となっています。ガレージハウスの特徴を最大限に生かした暮らしやすい家となりました。
関連記事:「ビルトインガレージハウス」に関する実例
おしゃれで快適に!憧れのガレージハウスを建てよう
車好きならガレージハウスは憧れの設備です。趣味の空間に使えたり、愛車を盗難や損傷から守れたりとメリットも多いため、予算を確保できるなら選択肢の一つになるでしょう。
一方、間取りの制限やメンテナンス面、音や排気の対策など、注意したいポイントもあります。予算内でこうした点をクリアすることが大切なため、ガレージハウスを手がけた経験の豊富な設計事務所に依頼するのがおすすめです。
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