対面キッチンは1種類だと誤解している人もいるかもしれませんが、実はいくつかの種類があります。そのなかの1つとして代表的なのがペニンシュラキッチンです。数ある対面キッチンのなかでどれにしようか悩んでいるのなら、ペニンシュラキッチンを検討してみませんか?
本記事では、ペニンシュラキッチンとは一体どういうキッチンなのか、どんなメリットとデメリットがあるのかを解説します。ぜひ参考にしてみてくださいね。
Contents
ペニンシュラキッチンとは?
ペニンシュラキッチンとは、対面型キッチンの1つで、キッチンカウンターの左右どちらかが壁に付いているタイプです。アイランドキッチンを壁に寄せたようなタイプと考えるとイメージしやすいかもしれません。
ペニンシュラには「半島」という意味があり、壁側から半島(キッチンカウンター)が突き出ている形から、この名前が付いています。ペニンシュラキッチンはLDKの間取りのなかで、ダイニング・リビング側を向いて調理できるように配置するのが一般的です。
ペニンシュラキッチンにはオープンタイプとセミオープンタイプがある
ペニンシュラキッチンには、オープンタイプとセミオープンタイプの2つがあります。
オープンタイプは、コンロやシンクをフラットに露出したタイプです。キッチンの反対側からも調理や配膳を手伝いやすいのがメリットです。一方、油や水がリビング側にはねやすいデメリットがあります。
セミオープンタイプは、対面側をキッチンの天板から10cm~35cmほどの立ち上がり壁や、吊戸棚(壁上部や天井に直接取り付ける収納棚)などで区切ったタイプです。セミオープンタイプは油や水がリビング側にはねにくく、キッチン内を適度に隠せるのがメリットです。一方、オープンタイプに比べると開放感がやや感じられなくなります。
他のキッチンタイプ
参考までにペニンシュラキッチン以外のキッチンタイプも紹介しておきます。
・Ⅰ型キッチン
壁に面して一直線にキッチンが配置されるタイプです。調理の油やにおいがリビング側に流れにくいのが特徴です。その反面、壁を向いて調理することになるため、家族との会話や配膳をしにくくなります。
・L型キッチン
壁沿いにL字に配置されたタイプです。通常はコンロとシンクが90度に向かい合う形になるため、移動がスムーズです。また、2面を使うため、I型キッチンより広々したキッチンにしやすい場合もあります。デメリットはI型キッチンと同様です。
・Ⅱ型キッチン
壁側にコンロを設置し、対面側にシンクを設置する2列型のキッチンです。広々としたキッチンにできるのがメリットですが、通路が狭いと複数人で作業しにくくなります。また、コンロを使う際は壁側を向くため、対面調理ができません。
・アイランド型キッチン
キッチンの四方が壁に付いておらず、独立した島のようになっているタイプです。開放性が高く、作業動線がよいのが利点ですが、キッチンで12~14帖くらい、LDK全体で21帖以上ほどの広いスペースが必要な点に注意しましょう。
上記のキッチンについて詳しく知りたい方は、「使いやすい素敵なキッチンにしたい!レイアウトのポイントとは」をご参照ください。
ペニンシュラキッチンのメリット
ペニンシュラキッチンは開放感が高い上に、アイランドキッチンより導入しやすいといわれています。どのようなメリットがあるのでしょうか。
開放感がある
ペニンシュラキッチンはリビング・ダイニングと一体の空間になるため、開放感を感じられるのがメリットです。
とくにオープンタイプのペニンシュラキッチンは壁で区切らないため、実際の広さよりも広々とした印象になるでしょう。キッチンを使う際もリビング側を向くため、壁付きキッチンのような圧迫感がありません。
コミュニケーションが取りやすい
対面型のペニンシュラキッチンは、キッチンに立つ人の視線がリビング側に向いています。子どもと話しながら調理をしたり、家族と同じテレビを見ながら調理をしたりできるのがメリットです。
とくに目を離せない小さな子どもや高齢者、ペットなどがいる家庭では、調理中も様子を確認できるため安心感があるといいます。
レイアウトがしやすい
ペニンシュラキッチンはアイランドキッチンより省スペースで済むため、設置しやすいメリットがあります。アイランドキッチンの場合、両側に通路が必要になるため、広いスペースが必要です。
しかし、左右どちらかの壁に付けるペニンシュラキッチンであれば、レイアウトの自由度が高く、一般的なキッチンの面積でも導入しやすいでしょう。
配膳がスムーズにできる
ペニンシュラキッチンでは、立ち上がり壁のリビング側に棚やキッチンカウンター(仕切りを兼ねた台)を設けられます。配膳のための仮置きや食べ終わったお皿を置いたりするのに便利です。また、そこで軽食をとることもできます。
キッチンカウンターの立ち上がり壁を高めにすれば、キッチン部分の目隠しにもなります。料理や盛り付けなどの手元の作業を隠したり、洗剤やクレンザーといった生活感のあるものをリビング側から見えないようにしたりできるでしょう。
ペニンシュラキッチンのデメリットと解決策
見た目の美しさからペニンシュラキッチンに憧れを持つ人は少なくありません。しかし、安易にペニンシュラキッチンを選んでしまって、生活してから後悔する人もいるようです。
ここではペニンシュラキッチンのデメリットを取り上げながら、その解決策も紹介します。ライフスタイルや生活シーンを具体的にイメージしながら検討すると、ペニンシュラキッチンにするべきか、それとも他のキッチンタイプを選ぶべきか判断しやすくなるでしょう。
収納スペースを確保しづらい
ペニンシュラキッチンには、開放感を重視して吊戸棚を設置しないことが多いため、収納スペースを確保しづらい面があります。I型やL型の壁付けキッチンに比べると、収納力が劣るのがデメリットです。
対策としては、背面側に収納棚やキッチンボードを設ける方法や、冷蔵庫の上のスペースを活用する方法、パントリー(食品庫)を設ける方法などがあります。また、ワークトップ(天板)が広いキッチンにして見せる収納を選ぶ人もいます。
注文住宅ではさまざまな解決方法があるため、間取りの計画段階で収納したいものを洗い出しておいて、相談するとよいでしょう。
油・水ハネの問題がある
ペニンシュラキッチンはリビング側に油や水がハネやすい問題があります。とくにオープンタイプを選ぶ際は注意しておきましょう。たとえば、揚げ物をすると70cm~1mくらい油が飛ぶため、リビング側に影響が出ないか考えておきます。
油対策としては、強化ガラス製のオイルガードを付ける方法が一般的です。透明なので開放感をあまり損ないません。また、キッチンの立ち上がり壁を高めにして、油・水ハネを防止する方法も効果的です。
ニオイや煙に注意する
ペニンシュラキッチンはLDKの中心に近い位置に設置されるため、ニオイや煙がLD側に充満してしまう恐れがあります。とくにIHクッキングヒーターは上昇気流が弱いため、換気されにくいことに注意しておきましょう。
対策としては、換気性能の高い誘引流高捕集方式のレンジフードファンを設置したり、天井近くまであるオイルガードを設けたりする方法があります。また、消臭機能付きの壁紙や、ニオイ・汚れに強い壁紙を選ぶのも効果的です。
ペニンシュラキッチンを選ぶポイント
一口にペニンシュラキッチンといっても、さまざまな製品があります。ここではペニンシュラキッチンを選ぶときに重要な「設置場所」「予算と機能性のバランス」「コンセントの位置と数」について解説します。
設置場所をよく検討する
ペニンシュラキッチンは壁付けキッチンと比べるとスペースをとります。十分なスペースがあるか、間取りを決める際によく確認しておきましょう。
キッチンは冷蔵庫や食器棚に2~3歩(120cm程度)で移動できると使いやすいとされています。キッチンと背面との通路幅は、1人で立つことを想定すると、80~90cm以上確保するのが理想的です。
また、背面に食器棚やカップボードなどを設置できないと、食器の出し入れのたびにダイニングに行くことになって不便です。利便性を考えれば、ペニンシュラキッチンの背面に収納スペースを設けられる場所を選ぶとよいでしょう。
予算と機能性を考える
ペニンシュラキッチンを設置する際は、予算と機能性のバランスを考えて選びましょう。ペニンシュラキッチンにかかる大まかな費用は、100万円〜200万円と価格帯が広いからです。
また、高級路線の製品が多いペニンシュラキッチンでは、オプションで食洗機や浄水器を足したり、ワークトップ(天板)の材質にこだわったりするうちに予算オーバーしてしまう傾向があります。実現したいことの優先順位を決めておくよいでしょう。
コンセントの位置と数を確認する
キッチン設計でコンセントは盲点になりやすい項目です。生活してみて使いづらいとストレスになるので、事前によく考えておきましょう。
一般的には、次の場所にそれぞれ2口コンセントがあると便利です。
・コンロとシンクの間
・キッチン備え付け
・背面の壁
・冷蔵庫背面
上記は一般的な利用を想定しています。コーヒーメーカーや小型テレビなどのように常時使う家電が多い場合は、必要に応じてコンセントを増やしておきましょう。
ペニンシュラキッチンの建築実例
ここからは、ペニンシュラキッチンの実例を、写真付きで見ていきましょう。どの実例もキッチン単体だけでなく、LDK全体でのデザイン性と機能性を両立しているのが特徴です。
実例①CASE747 濃漆喰の家
黒を基調とした濃漆喰の壁が落ち着きと高級感を醸し出している住宅です。ペニンシュラキッチンのリビング側も同色のため、LDK全体に非常に一体感があり、空間を広く感じます。
ペニンシュラキッチンの背面には収納と2段の棚が設けられているため、収納スペースも十分です。ボトルやグラス、食器類などを置いて、見せる収納にすることもできるでしょう。
実例②CASE683 丘の上のハウス
こちらの家のペニンシュラキッチンは、オールステンレスです。オールステンレスのキッチンはスタイリッシュである上に、丈夫で衛生的、リーズナブルなのがメリットです。
オールステンレスキッチンは無機質に見える場合があります。しかし、こちらの家では柱や備え付けの収納、梁見せ天井などでナチュラルな木材を多く使っているため、キッチンも自然な印象になります。天井から吊るされたペンダントライトもおしゃれです。
実例③CASE513 踊るハウス
セミオープンタイプのペニンシュラキッチンです。高めの立ち上がり壁によってキッチン内を適度に隠しながら、油・水ハネを防止しています。リビング側には棚が設置されているので配膳、片付けがスムーズで、キッチンカウンターとしての利用も可能です。
ペニンシュラキッチンの背面の壁は濃紺色となっており、白い壁とのコントラストを出しました。キッチン奥には小窓を設けて、自然な採光と視界の抜けを実現しています。
ペニンシュラキッチンは見た目も機能性も優れている
ペニンシュラキッチンは左右のいずれかが壁に接している対面キッチンのことで、簡単にいえばアイランドキッチンを壁に寄せたようなタイプです。
セパレートやアイランドに比べると開放感は少し損なわれてしまうものの、アイランドキッチンにあるにおいのデメリットを解消してくれる魅力を持ちます。対面キッチンとしての役割もきちんと果たせますし、調理のしやすさにも優れていると言えるでしょう。
使いやすく、場所も取り過ぎることのない対面キッチンを探しているのなら、一度よく検討してみることをおすすめします。
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