住宅を購入するときには、つい目に入りやすい間取りやデザイン、設備などに重点を置いてしまう人は少なくありません。しかし、毎日の生活を快適に過ごすためには、光や風、温度など外からの影響を受けやすい窓も重要なポイントとなります。
そして、自分の住まいに適した窓を上手に導入するためには、窓の種類とそれぞれの特徴について把握しておくことが必要です。そこで、この記事では、どのような窓があるのかについて詳しく紹介します。
窓の種類や位置は?
窓をどの位置に設置するかによって、光の入り方や風の通り方などが変わってきます。そこで、まずは、設置位置などから見る窓の種類について紹介しましょう。まず、バルコニーや庭などに続く部屋の窓に多く使用されるのが「掃き出し窓」です。
出入口としても利用されるため、床から天井近くまでの高さを持った大きな窓となります。対して、大人が立った際に腰の位置くらいのところにくる窓が「腰高窓」です。住宅では多く取り入れられやすい種類の窓となっています。
さらに、座ったときに肘掛けとなるくらいの高さにあるのが「肘掛け窓」です。具体的には床面から窓の下端までの高さが36~45cm程度の窓をいいます。ほかにも、床面に接して設置される窓もあります。「地窓」と呼ばれ、和室で使われることが通常です。地窓は一般的にはだいたい30~50cmの高さがあります。
特に採光を考慮したいなら、高い位置に窓を設置すると効果的です。屋根につける「天窓」は、トップライトやルーフウィンドウともいい、小さなサイズのものでも効率的に室内に光を差し込ませることができます。
ハイサイドライトとも呼ばれる「高窓」も高い位置に設置する窓です。吹き抜けのある部屋や高い天井近くに取り付けられるタイプとなります。手の届かないような位置に設置されるため、かつては自分で開閉することはできませんでしたが、日常の利便性が求められて開閉操作できる商品も出てきています。
高い位置にないものの採光性に優れているのが「出窓」です。建物の外壁から出っ張って立体的に作られていて、ガラス面が3~4面組み合わせられたタイプが多く見られます。奥行きを持った窓の前面・両サイドから光が入ることで部屋が明るくなったり、飾り付けを楽しんだりできる点が特徴です。
機能別の窓の種類
使いやすさという視点から機能面を考慮して選ぶことも、窓選びでは重要です。まず、子どもや高齢者などがいても簡単に使用できるものをコストを抑えて求めるなら「引き違い窓」が適しています。
引き違い窓とは2枚あるガラス戸をスライドして開閉する窓です。強い力を入れなくても簡単に動かせる作りとなっているうえ、ほかのタイプに比べて価格が安い傾向にある点も魅力となっています。
同じスライド式でも、横すべり式タイプが「横すべり出し窓」です。左右にある窓枠の溝に沿って窓を動かし、窓の下側を外に押し出すようにして開きます。大きく開くことができるため、ガラスの外面の掃除がしやすい点がメリットです。
対して、縦にスライドする「縦すべり出し窓」もあります。片側を固定して回転させるようにして開閉するタイプです。横すべり出し窓と同じく窓の開閉角度が大きいため掃除がしやすくなっています。
風通しをよくし、光を取り入れたいなら「片開き窓」の設置が効果的です。固定された一方を軸に他方片側だけを開閉するタイプで、開閉角度の調整が可能です。
窓を押し出すタイプには上部を軸として下部を外に出し動かす「突き出し窓」もあります。窓の上部は窓枠に固定されているので雨などが室内に入りにくい点が特徴です。反対に、窓の下部を軸として開閉するタイプが「内倒し窓」で、部屋の内側に向かって倒して開きます。
一方、内側に倒す内倒し窓に対して、同じ構造で外側に開くタイプが「外倒し窓」です。内倒し窓も外倒し窓も全開せず、開く箇所は上部のみとなるため防犯性が高くなっています。また、外倒し窓は空気が外に流れやすいため通気性がよいのがメリットです。
防犯を求めるなら、複数あるガラスそれぞれに窓枠があるため、取り外しによる侵入が難しい「オーニング窓」も有効的です。複数のガラスをハンドル操作で同時に動かして開閉します。通気性や換気の機能を十分に果たしながら、目隠しになる「ルーバー窓」も防犯に適した窓でしょう。
複数の細長い羽根板窓が組み合わさっていて、オーニング窓と同様にハンドルで開閉操作を行います。また、隣家が近くに建っているなど十分な場所がない場合にはガラス戸を上下に動かして開閉する「ダブルハング上げ下げ窓」が便利です。
さらに、開閉の必要はなく、採光とデザイン性のみを求めるなら、ガラスが固定されている「はめ殺し窓」を選ぶこともできます。
窓枠の材質は何がある?
理想の窓にするためには、サッシと呼ばれる窓枠の材質にも注意が必要となります。一般的に最も多く使われている窓枠の材質がアルミです。アルミは軽量な素材なので、軽く開け閉めできるメリットがあります。
また、ほかの素材に比べて錆びや腐食が起こりにくく、耐久性に優れている点も魅力です。ただし、結露が生じやすく、断熱性が弱いデメリットもあります。
対して、断熱性が高い材質が合成樹脂です。合成樹脂には主に塩化ビニール樹脂を使用しているため、熱伝導が低い特徴があります。また、結露が生じにくいため、カビの発生を抑えることも可能です。
さらに、気密性や断熱性が高いため、外気が入りにくくエアコンで温めた室温を維持しやすくなります。
一方、デザイン性を求める人に人気なのが木製サッシです。結露しにくく、自然素材である木ならではの温かみのある質感を楽しむことができますが、定期的なメンテナンスが重要となる素材でもあります。
水分を吸収しやすく雨や風にさらされることで腐食しやすい性質を持っているからです。ただし、防水性のある保護塗装を定期的に行うことで腐食を防いで長く使用できるようにもなります。
窓に使われるガラスの種類
窓において大きな場所を占めるガラスは目的や用途に合わせて選ぶことがポイントとなります。まず、コストを抑えたい場所での使用に適しているのが「フロートガラス」です。一般的な透明のガラスで、最も流通しているタイプとなります。
外部からの視線を抑えたいなら「フロストガラス」がよいでしょう。スリ加工した曇りガラスとなっているため、窓を通して視界に入る内外の様子が見えにくくなります。
視線を遮りたいなら「型板ガラス」の使用も効果的です。ガラス片面に型模様がついているため室内の様子が見えにくくなりますが、採光はキープできます。「網入りガラス」はガラス内に網状の金属が入っているもので、防災に有効的な種類です。炎の侵入や、火が燃え広がるのを防ぎます。
また、「Low-E複層ガラス」も特殊な加工がしてあるガラスです。特殊金属膜が表面にコーティングされているため断熱効果や遮熱性が高くなっています。同じく断熱効果が高いのが「合わせガラス」「真空ガラス」「高断熱複層ガラス」です。
合わせガラスは、樹脂中間膜により2枚のガラスを圧着したもので、紫外線をカットしたり、防音への対策となったりもします。真空ガラスは、2枚のガラスの間に空気層が真空にされているものです。高断熱複層ガラスは複層ガラスに特殊金属がコーティングしてあり、暖房などの熱を外に逃しません。
そのほか、キッチンなど火を使用するなどして高温になる可能性がある場所なら「耐熱ガラス」が効果的です。熱膨張率を下げた強化ガラスで、急激な温度変化でも割れることがありません。
また、防犯を強化したいなら、ドライバーを使ったこじ開けやバールなどでガラスを壊す打ち破りへの抵抗力を持った「防犯ガラス」を取り入れておくとよいでしょう。
加えて、ガラスが割れるリスクに不安を覚えているなら、「強化ガラス」が安心です。一般的な窓と比べて強度が3~5倍あり、また、割れてしまっても破片が粒状になります。
住宅を建てる際の窓の選び方
住宅に設置する窓を決める際には、部屋の機能と窓自体の性能面の2つの視点から選ぶと失敗のない窓選びができるようになります。
部屋の機能に合わせて選ぶ場合、たとえば、服を脱いで利用するお風呂なら寒さ対策として断熱性の高い窓にするといった工夫が必要です。また、リビングであれば、解放感を出すために大きな窓を設置しておくと快適に過ごせるようになります。
一方、性能面では、断熱性や遮音性、気密性、水密性など自分たちの住まいでどのようなポイントが重要となるかを考え、重視したい性能を優先して選ぶことが大切です。
また、耐風圧性などのように、住まいの環境によって必要となる性能から選ぶことも方法となります。
役割に合わせて窓を選ぼう!
玄関・お風呂・居室など、設置する部屋によって求める窓の種類は変わってくるものです。
窓にはさまざまな種類があるため、まずはそれぞれの特徴をしっかりと把握し、それぞれの場所に適切な役割を持った窓を設置するようにしましょう。
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