設計事務所では実質2種類の見積書を見ることになります。ファーストプランをもとに費用を出した概算見積りと、設計監理契約を結んだあとに工務店に出してもらう内訳明細書のついた見積書です。
概算見積りは実施設計図を書くために、内訳明細書のついた見積書は実際の費用を知るために、とても重要な書類です。
理想の家づくりをするために、この2種類の見積書はきちんと確認したいところ。
どのような点に注意すればよいか、見積書のチェックポイントを解説します。
Contents
もしも予算以上の見積りが提出されたらどうしますか?
注文住宅はなるべく安く建てたいもの。そこで、もし予算以上の見積りが出された場合、どのような対応を取るかアンケートを取りました。
【質問】
設計事務所からの概算見積もり金額が予算以上だった場合、どのような行動を取りますか?
【回答数】
安くできないか交渉する:106
他社に依頼する:44
調査地域:全国
調査対象:【年齢】20 –
調査期間:2017年03月21日~2017年03月27日
有効回答数:150サンプル
まずは値段交渉!あとはその結果次第
「安くできないか交渉する」という回答が約7割を占めています。
・まずは今話を進めている設計事務所に安くできないか交渉します。それで無理な場合は、他社に依頼することになります(専業主婦・主夫/女性/50代)
とりあえず値段交渉をして、無理であれば他社に依頼するという意見が多かったです。
その設計事務所が気に入っているので、他社には依頼したくないという回答もありました。
それでは、「他社に依頼する」という意見も見ていきます。
・他の所でも、同じ条件で安くできるところがないか調べる。それが無理そうであれば、安くできないか聞いてみる(会社員/女性/20代)
「他社に依頼する」を選んだ人の多くは、複数の設計事務所に見積りを取ることを前提としているようでした。
2つの回答の分かれ目は、ひとつの設計事務所に絞っているかどうかのようです。
値段交渉をしてみると回答した人の多くは、設計事務所との信頼関係を重視し、他社に依頼することを選んだ人は、あくまで費用面をドライに見て判断しているようでした。
では、費用面は安く、満足度は高くを実現するためのポイントを見ていきましょう。
☆設計段階での相見積りから分かることは少ない
住宅の建築費用をなるべく安く済ませるために、相見積りを取る方法があります。しかし、複数の設計事務所から相見積りを取っても、価格の高い安いだけで単純にどの設計事務所が良いのかは判断がつきません。
なぜなら、設計事務所によって提携している工務店は変わり、提案してくる工法や使う資材も変わってくるからです。トータルの建築費用が安いからといって、良い住宅ができるとも限りません。
相見積りを取るなら同じ条件で取らなければ意味がないのです。設計事務所での相見積りが有効なのは、設計監理契約後です。
まずは設計事務所のwebサイトなどから資料を取り寄せ、信頼できる設計事務所を見つけましょう。そのうえで設計や資金計画をしてもらいます。
そのあとに設計監理契約をしたら、設計事務所が提携している工務店数社に相見積りを出します。同じ条件下での相見積りとなり、一番良い条件の工務店を選ぶことが可能です。
設計監理契約後に一式見積書を出す業者は要注意!
設計事務所は、施主と設計監理契約を結んだあとに、施工する工務店へ見積りを取ることになります。
この時に注意したいのが、見積書の書式についてです。設計監理契約を結んだということは、実施設計図と仕様書などが完成している状況です。
もちろん、使う資材も決まっています。このとき、具体的な条件を盛り込んだうえで見積りを出しているのに、一式見積書としてあがってきた場合は要注意です。
一式見積りとは、工事費の中に材料費が含まれているような状態で金額が提示してあることです。これでは、材料にいくらかかっているのか、実際の工事費はいくらなのかがわかりません。
これでは金額が予算オーバーしていた場合に、どこをどのくらい削っていいのかもわからなくなってしまいます。
金額が適正かどうかを判断するためにも、内訳明細書のついた見積書をもらうようにしましょう。
もし依頼しても内訳明細書を出してもらえないようなら、別の工務店を選ぶべきです。
見積書の確認は設計図書とともに確認
内訳明細のついた見積書は、それだけではきちんとした金額が出ているか判断はできません。見積りのチェックポイントは、仕様書や施工図などの設計図書がきちんと反映されているかどうかです。
トータル費用だけを見て詳しい項目をチェックしないのはNGです。あってはならないことですが、工務店の中には、設計図書の一部が見積書に反映されていないために、トータル費用が安くなっているケースもあります。
見積書と設計図書を照らし合わせながら、きちんと確認していきましょう。もし予算オーバーしていても、双方を照らし合わせてチェックしてれば、どの工事費が高くどの材料費を削れるか把握することができます。
また、施主側だけでは金額が妥当かどうかの判断は難しいため、設計者と一緒に確認することが大切です。
そのうえで資材や工事の検討をしていくようにしましょう。
手軽にコストダウンさせるには設備機器に注目を!
建設部分をコストダウンする場合は、設計者に相談しながら決めていきます。しかし、それだけではコストダウンできない場合、住宅の設備機器をグレードダウンさせる方法があります。
住宅で大切なのは建物だけではありません。キッチンやバスルーム、トイレ、冷暖房設備が整わなければ、快適に暮らすことはできないでしょう。ただ、これらの住宅設備は、必ずしも最新式のものでなければいけないわけではありません。
もしグレードを落とせる設備があれば、思い切って落としてみましょう。
換気扇や照明器具などにこだわらなければ、グレードを落としても問題なく使用できます。また、実際にその設備を使用するかどうかも、重要な検討事項です。
例えば、床暖房は果たして全室に必要なのか、冷暖房の数は多すぎないかなど、家づくりにおいてムダになりそうな部分があればもう一度考えてみてください。
まとめ
複数の工務店に見積りを出した場合、返ってくる見積りの書き方は会社ごとに違いがあります。その違いを把握して見積り内容を確認していくのは、素人では難しいところでしょう。
また、見積書の項目は専門的な用語が並んでいますので、言葉自体がわからないということも考えられます。
その場合は、どの部分の工事費なのか、何の材料のことが書いてあるのか、設計者に質問してみてください。
わからないところをすべて潰して、納得したうえで家づくりをしましょう。
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