注文住宅を建てる際に参考にしやすい1つの指標として坪単価があります。
しかし、この坪単価には、文字通りに捉えてしまうと予想外に費用がかさんでしまったりトラブルに巻き込まれたりするリスクが潜んでいます。坪単価を、家を建てる際の目安とするためには、坪単価に対する正確な理解が必要となるのです。
そこで、今回は坪単価を計算する方法を紹介するとともに、坪単価を目安として住宅を選ぶときに注意しておきたいポイントについて解説していきます。
Contents
坪単価の基本的な計算方法は?
住宅を建てるときにメーカーや工務店が提示する坪単価を参考にする人は少なくありません。そもそも、坪単価とは建物を建てる際の建築費用を延べ床面積で割った、1坪当たりにかかる建築費のことを指します。ちなみに、1坪はおよそ3.3平方メートルです。
つまり、坪単価は建物の参考本体価格を想定される延べ床面積で割った金額となります。たとえば、参考本体価格が3000万円で想定される延べ床面積が50坪の建物があったとすると、この建物の坪単価は60万円となります。
逆に、坪単価が40万円で延べ床面積が100坪の建物であれば、想定される建物の本体価格は4000万円であることがわかります。
坪単価だけではわからない
実際に家を建てる際には、建物本体の建築費用のほかにもさまざまな費用が絡んできます。
つまり、坪単価が高いか安いかだけでは、実際に注文住宅を建てるのに合計でいくらかかるのかはわからないということです。
建物本体の建築費用のほかにかかってくる費用としては、外構費やガス工事代などの別途工事費、税金や地鎮祭、上棟式の費用などの諸経費があります。
建物本体の建築費用は、家を建てるうえでかかる費用全体のおよそ75%を占めるといわれています。
ですから、坪単価60万円で延べ床面積が100坪の家があった場合、本体の建築費用は6000万円でも全体ではさらに2000万円ほど余分に費用がかかると考えたほうがよいでしょう。
また、坪単価は最初に提示された金額で固定されているわけではありません。建物を建てようとしている施主の意向を取り入れるうちに変動し、いつの間にか予算を上回っていたということも起こりかねません。
たとえば、建物の外装は坪単価に大きな影響をおよぼします。坪単価は外装がシンプルな家ほど安くなる傾向があります。たとえば、1階と2階が同じ延べ床面積で、壁がつるりとしている家などは坪単価も比較的安く収まります。
しかし、外装にこだわりがあり、壁に凸凹があるような形状での設計を依頼するような場合には、坪単価が吊り上がります。というのも、建物の形が複雑になればなるほど工事するには手間がかかりますし、凸凹のために外周が長くなるのでその分外壁に使う材料の費用もかかってくるためです。
屋根の形にしても、もともと切妻屋根や片流れ屋根のようなシンプルな形であったものを、入母屋造りなどの複雑な形のものや勾配のきついものに変更すると、建築にかかる費用もかなり変わってきます。
家を建てる際にかかる費用は建物本体の建築費だけではないので、デザインなどの注文は全体の費用を考慮したうえで行ったほうがよいでしょう。
坪単価の計算にからくりがある?
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先ほど、坪単価は建物本体の建築費用を延べ床面積で割ったものだと説明しましたが、実は必ずしもそのように計算されているとは限りません。
というのも、坪単価には明確な定義がないため、メーカーや工務店によっては坪単価を計算するときの基準が異なっている場合もあるのです。
まず、坪単価を算出するときに、延べ床面積ではなく施工床面積で計算している場合があります。通常、ベランダや玄関ポーチなどは延べ床面積には含まれないのですが、施行床面積にはそれらの面積が含まれているので、延べ床面積よりも大きい数値になります。
そのため、施行床面積をもとにして計算された坪単価は、延べ床面積をもとにして計算された坪単価よりも安くなります。
また、坪単価が安くなるように設備のグレードを下げているケースもあります。一般的に、トイレやキッチンなどの住宅設備は、建築費用の20~30%を占めるといわれています。
ですから、住宅設備のグレードを下げることで必然的に坪単価も下がることになります。しかし、あらかじめ決められていた設備のグレードが自分の意向に沿わないものであれば、あとからグレードアップを指示しなければいけません。
そうすると、最初の想定よりも建築費が高くなってしまうことになり、当然、最終的な坪単価も高くなります。
坪単価を比較する際には、それがどんな計算式にもとづいて算出されているかということ、そして住宅設備のグレードが意にかなうものであることを必ず確認しましょう。
延べ床面積が小さいと坪単価が高い?
延べ床面積が小さければ、かかってくる費用も安くなると勘違いをしやすいのですが、坪単価は、建物の延べ床面積が小さくなるにつれて割高になっていく傾向があります。
というのも、延べ床面積を小さくしてもバスルームやキッチン、トイレなどの住宅設備を取り除くわけにはいきません。これらの設備は通常のフロアなどと比べると面積当たりにかかる費用が高いので、延べ床面積が小さいほうが坪単価は高くなってしまうというわけです。
延べ床面積の縮小にともなって坪単価も安くしたいのであれば、トイレやキッチンなどの設備のグレードを下げる必要がでてきてしまいます。
また、延べ床面積を小さくしたからといって、建材の運搬費用や人件費が抑えられるとは限りません。
流通業界において、一度にたくさんの商品を運んだほうが経済効率はよいように、家を建てる際にも小さい家よりも大きい家を建てるときのほうが、効率的に仕事が行われます。
結果として、延べ床面積を縮小した場合、建築にかかる運搬費用や人件費などは、1坪当たりで計算すると縮小する前よりも高くなってしまうのです。
坪単価だけで比べていいの?
坪単価は住宅を選ぶ際の参考にされることが多く、実際に有効な判断材料の1つでもあります。しかし、安易に坪単価だけではよい注文住宅かどうかを判断することはできません。
また、その坪単価が延べ床面積をもとにして算出されているのかなどの点もしっかりと吟味する必要があります。
そのうえで、坪単価はメーカーや工務店を比較するときの1つの材料にすぎないということを理解し、坪単価のみに依存して判断してしまわないように気を付けなければいけません。
かかる費用は総合的に計算
住宅を建てる際には、塀や庭などの外構も工事する必要があります。建物本体の建築費用のほかに諸経費や別途工事費もかかりますが、それらは坪単価の計算には含まれません。
ですから、注文住宅に合計でいくらかかるのかということは、坪単価以外の部分も考慮して計算し判断する必要があるのです。
坪単価のみで安直に住宅を選んでしまうと、価格が予想以上に高くなってしまい、取り返しのつかない失敗につながる恐れもあります。一生の買い物で失敗しないためにも、メーカーや工務店とよく話し合って、全体でいくらかかるのかということは確実に把握しておきましょう。
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