家を建てるときには、つい建物ばかりに目が行きがちですが、長く安心して暮らせる家づくりを考えるなら家の土台を支える地盤にもきちんと留意しておく必要があります。地盤の強度は土地によってまちまちです。
地盤によっては、当初は予測もしないようなトラブルから住宅に損害が発生することもあります。そのような際の保証の一つとして存在するのが地盤保証です。この記事では、地盤保証とはどのようなことを保証する制度であるのか、また、保証内容や保証対象などについても詳しく解説します。
地盤保証とはどういうもの?
地盤保証とは、地盤に発生したトラブルによって住宅に損害が生じた場合に、建物や地盤の修復費用を保証してくれる制度です。家の下にある土のなかには空気や水が含まれています。
このため、水分などを含んだ土の上に重い建物が載ると、時間の経過とともに水や空気などが段々と抜けていき建物が沈んでしまうことがあるのです。
全体的にバランスよく沈んでいけば、大きな問題とはなりませんが、アンバランスに沈んでしまうと建物にゆがみなどが生じてしまう場合もあります。
このように建物の重さで地盤が不均等に沈下していく現象を不同沈下といい、不同沈下によるトラブルを回避するための制度として地盤保証があります。
具体的なトラブルとしては、たとえば、外部から家の内部を守る外壁や家を支える建物下部の基礎部分などに亀裂ができるケースなどです。また、建築工事での手抜きやミスなどが原因ではなく、不同沈下によってドアの建てつけが悪くなったりしたときに保証されることもあります。地盤保証で保証されるのは住宅を購入した人、あるいは住宅を建築した業者です。
一方、保証するのは、保証会社や地盤業者となります。一般的には、保証する立場の保証会社や地盤業者は、損害保険会社との間で信頼性の高い賠償責任保険などをきちんと契約していることが通常です。しかし、なかには、保証会社の信用や契約の内容に不安を覚えるような保険契約を結んでいるケースもあるため注意が必要となります。
地盤保証の保証内容は?
地盤保証を受けるなら、保証内容についてしっかりと把握しておくことは大切です。保証されるものとしては、まず、原状回復のための工事費用が挙げられます。
原状回復とは設計や仕様などを、保証を開始したときと同じ程度の状態に戻すことです。たとえば、不同沈下による建物本体の不具合に関する事例や、今後、再び不同沈下を起こさないようにするための再発防止に必要となる地盤補強工事が含まれます。
また、原状回復に向けた工事をしている間、家に住めない場合には仮住居費用も保証対象です。ただし、工事の様子やちょっとした音が気になって以前と同じような生活ができないといった軽度の負担が理由では保証されません。仮住まいが必要となるほど深刻な場合に限ります。
そのほかにも、不同沈下によって身体や財物に関わる保証が必要となった場合にも賠償費用を受け取ることが可能です。ただし、被保険者となる登録地盤会社が倒産などをしてしまった場合には保険金が支払われないため気を付けましょう。届け出事業者や住宅を購入した人が直接保険金を請求することはできません。
保証を受ける方法は?
地盤保証は家を建てた人なら誰でも対象となるものではありません。保証を受けるためには、建築会社選びから気を付けておく必要があります。建築会社には地盤保証機関に加入しているところと無加入のところがあり、加入している建築会社で建築を行うことが必須条件です。また、保証を受けるために一定の手続きを行うことも求められます。
ただし、手続き自体は建築会社が行うため、施工主が行うべき手続きの負担はありません。建築会社が施工主から申請の依頼を受けると、着工する前に必ず地盤保証機関によって地盤調査が行われます。
そして、地盤保証機関が出した調査結果を基にして、現状の地盤に応じた地盤改良工事などが提案され、了承を受けると工事開始となるのが一般的な流れです。住宅が竣工され、引き渡しとなるまでの間に保険の加入証が発行されます。
地盤保証の利用にかかる費用
地盤保証の利用には費用がかかります。申請書類を提出した後に納める、1年間有効の新規の会社登録料は税込み5万4000円です。納付は住宅保証機構が指定する振込用紙を使用します。また、2年目以降も更新登録料を支払わなければいけません。更新登録料は税込み2万7000円です。
2年目以降は通常、住宅保証機構が指定する口座振替依頼書に書かれた口座からの引き落としとなります。また、地盤保証料として、1地盤あたり税込み2万7000円も保険の利用でかかる費用のひとつです。
ほかの手続きができていても地盤保証料の納付が済んでいないと保険加入証の送付はなされません。事務機関で地盤保証料など必要な料金の入金が確認されることで、初めて登録会社に保険加入証が送付されます。
保証を受ける際の注意点
最後に、保証を受けるときに注意しておきたいポイントを3つ紹介します。まず、1つ目としてチェックしておきたいポイントが保証内容です。保証内容の手厚さは保険によって異なっています。保証範囲や費用のほか、ついている特約もさまざまです。
後でトラブルにならないためにも、契約前に必ず保証されている範囲などについて詳細な部分までしっかりと確認しておくようにしましょう。2つ目に気を付けておくべきポイントが保証内容に記載されている期間と限度額です。
「住宅の引き渡しをしてから10年間を保険期間とし、支払い保険金額の限度額は5000万円まで」などの内容で地盤保証会社が保証しているかをチェックしておきます。
さらに、3つ目として、保証内容に無駄がないかというポイントも重要です。保険によって保証内容が変わるため、なかには必要以上に過剰な保証を内容に入れている保険もあります。
保証されている内容は多ければ多いほうがよいと感じる人もいるかもしれませんが、保証項目が増えるほど保険の料金が高くなる場合があることも考慮しなければいけません。過剰な保証内容となっていることで無駄な費用を支払ってしまう可能性があることも知ったうえで、保険を選ぶようにしましょう。
不同沈下リスクに備えておこう!
安心して暮らせる住まいを手に入れるためには、依頼を検討している建築会社が登録する地盤保証機関がどのようなところかをしっかりと確認しておくことが大切です。
また、保証内容や保険料についても十分な説明を受けるようにしましょう。保証を受けるためには別途費用が必要となりますが、不同沈下のリスクに備えるためにも地盤保証を受けておいたほうが安心です。
フリーダムアーキテクツでも任意で地盤保証を受けることができます。工事前に地盤の状況を確認し、軟弱な地盤であると判断されると地盤改良工事を行ったうえで建物工事が始まるため安心です。
また、地盤とともに土地の形状に不安がある場合には、その土地に適した家の設計をしてもらうこともできます。どのような建物が建てられるかを具体的にイメージするために、まずは、さまざまな土地に建てられた建築実例を見てみるのもよいでしょう。間取りや価格、写真も掲載された建築実例集は資料請求すれば送ってもらうことができます。
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