注文住宅を検討するうえで、住宅の安全性を考えることは重要です。
日本は地震が多い国だからこそ、耐震性能の優れた家に住みたいと考える方も多いのではないでしょうか。しかし、中には耐震性能の意味についてよく知らないという方もいます。
今回は、注文住宅を検討する際に知っておきたい、耐震住宅の特徴とメリット・デメリットについて解説していきます。
Contents
そもそも耐震住宅とは?
耐震住宅とは、地震の揺れに「耐える」ように設計された住宅のことです。地震が発生した際に構造躯体が損傷や倒壊などを起こさないよう、揺れに耐えることで住宅を守る性能があります。
1981年に改正された建築基準法で定められた「新耐震基準」を満たし、耐震構造の工法で建てた家が耐震住宅として認められます。具体的には、震度5程度の揺れに対して構造躯体に損傷を生じない、また震度6強〜震度7程度の揺れで倒壊しない住宅を指します。
耐震住宅は、耐震等級と呼ばれるランクで評価されます。建築基準法レベルの耐震性能を満たす水準は等級1、等級1の1.25倍が等級2、1.5倍が等級3という3段階に分かれます。
耐震基準について詳しくは下記記事もあわせてご覧ください。
住宅に耐震性能を取り入れる方はどれくらいいる?
建築物を建てる際には、建築基本法によって定められた耐震基準を守らなくてはなりません。
よってどの建築物にも、ある程度の地震に耐えられるよう耐震性能が備えられているといえます。しかし、建築物の中には耐震性能をさらに上げるために工夫されたものがあります。
住宅に耐震性能をサポートする施工を加えている方はどのくらいいるのでしょうか。
アンケートをとってみました。
【質問】
住宅に耐震性能を取り入れていますか?
【回答結果】
いいえ : 109
はい : 97
調査地域:埼玉県 千葉県 東京都 神奈川県 岐阜県 愛知県 滋賀県 京都府 大阪府 兵庫県 和歌山県 福岡県
調査対象:【年齢】30 – 39 40 – 49 50 – 59 60
調査期間:2017年09月15日~2017年09月22日
有効回答数:206サンプル
特別な耐震性能を望む方は少ない結果に
アンケートの結果、耐震性能を取り入れた住宅に住んでいると答えたのは206人中97人であることが分かりました。
まずは、「はい」と答えた方の意見をご紹介します。
(一戸建てに住む方の意見)
・設計業者さんから提案され、確かに費用は余分にかかっても最低限の工事はしておく方がいいと思ったので。(50代/女性/専業主婦)
(住宅の耐震性能について知っている方の意見)
・建築法が改正されて、耐震性能の確保が義務化された後に建てられたマンションに住んでいるからです。(30代/女性/専業主婦)
「はい」の回答の中には、施工業者に勧められて施工を行った方も多いようです。建築基準法が改正された後のマンションなどは、耐震基準が高まっていることもあり耐震性能も高いといえます。
次に、「いいえ」と回答した方の意見をご紹介しましょう。
(一戸建てに住む方の意見)
・今住んでいる住宅に耐震性能が取り入れられていないので、取り入れたいと思っているが、予算的にまだ実現できていない。(30代/男性/正社員)
(住宅の耐震性能について知っている方の意見)
・もう古い家なので、今更取り入れても仕方がない。(40代/正社員/男性)
「いいえ」の回答の中には、経済面や住宅の経年劣化に関するものが見られました。住宅を建築してから時間が経っている場合、耐震性能をアップさせる施工を行っても十分な効果が得られないケースもあります。
アンケートの結果、住宅に特別な耐震性能を加える方は半数に届かないことが分かりました。経済的な理由などから、施工に踏み切れない方もいるようです。
しかし、住宅の耐震性能を高めることにはさまざまなメリットがあります。
耐震住宅のメリット
耐震住宅を選ぶメリットは、大きく分けて3つあります。
まず1つ目のメリットとして挙げられるのが、地震対策にかかる費用を安く抑えることができる点です。地震に備える性能には、耐震性能以外にも免震や制震などがあります。
免震・制震性能によって住宅を地震の被害から守ろうとした場合、設置にかかる費用は数十万円から数百万円に上ります。一方で、耐震住宅は費用をこれら2つの性能よりもリーズナブルに抑えることができ、なおかつ工期も短いです。
2つ目のメリットとして、住宅が強風や台風などの影響を受けにくくなる点が挙げられます。耐震住宅は構造上、強風や台風による揺れを軽減することができます。
3つ目のメリットとして挙げられるのが、設置制限がない点です。免震性能により住宅を地震から守る場合、地下室は設置できなくなってしまいます。
耐震住宅を選ぶ場合は、地下室の設置なども自由にできるため、住宅設計の自由度が広がりやすいといえるでしょう。
耐震住宅のデメリット
耐震住宅にはデメリットもあります。まず、耐震により地震の被害に備える場合、住宅が損傷するリスクが高まる点が挙げられます。耐震の場合、地震の揺れが住宅に直接伝わってしまうため、ダメージを受けやすいのです。
地震による倒壊などは防げても、住宅にひびが入ってしまったり、積み重なったダメージによって住宅の劣化が早まってしまったりなどのリスクもあります。
また、地震発生時には住宅内の家具が転倒しやすい点も耐震住宅のデメリットです。家具が転倒することによって、住人がケガをしやすくなるだけではなく、火災などの二次災害に発展するケースもあります。
地震発生後の火災は、ケガや死亡に繋がりやすく危険です。
耐震住宅の工法!その特徴とは
耐震補強を行うための工法には大きく分けて4つの種類があります。
まず1つ目の工法として挙げられるのが、壁を増やして住宅の強度を高める工法です。耐震性に優れたコンクリートの壁を増やすことで、建物の強度は大幅に向上します。しかし、使い勝手が悪くなってしまうケースもあり、他の工法と併用することも多いようです。
2つ目は、耐震ブレースを使用する工法です。X字型やV字型のブレースをはめ込み、壁面の強度を高める工法は大型の建築物に適しています。学校などの公共施設に多く見られる工法です。
3つ目は、鉄骨や壁をカーボンファイバーで補強する方法です。柱などをカーボンファイバーで補強することにより、地震の揺れの影響を受けにくくなります。
4つ目はスリットを設ける工法です。
スリットとは「すき間」のことで、柱と壁の間に文字通りすき間を作ります。地震の揺れの力を分散させ、建物の損壊を防ぐことに効果的です。
耐震住宅にすると補助金が出る?耐震住宅における優遇措置
耐震性能に不安のある木造住宅を建て替える際に補助金が出る自治体もあるので、建築予定地の自治体に確認してみましょう。例えば、東京都港区では一定の条件を満たせば、耐震建て替えの費用のうち、耐震改修工事にかかった費用相当額の3分の1(最大100万円)を補助してくれます。
また、耐震等級による地震保険の優遇制度も用意されています。新築住宅の構造や耐震等級ごとに、等級1で10%、等級2で30%、等級3で50%の割引を受けられます。
加えて、対象の物件が「住宅の品質確保の促進等に関する法律(品確法)」に基づく免震建築である場合にも、50%の割引が適用されます。
補助金制度や優遇措置の申請条件はそれぞれ異なるため、事前に各区市町村の窓口に問い合わせておきましょう。
耐震住宅にするか迷う… 選び方のポイント
耐震住宅にするか迷った際には、どのような点を踏まえて選べば良いのでしょうか。
耐震住宅を選ぶことでメリットが多いのは「リーズナブルに地震対策を行いたい方」、「地下室がある住宅を希望している方」、「台風が多い地域にお住まいの方」などです。
地震対策にかかる費用を抑えつつ、地下室の建設に費用を充てたい人にはメリットが多いといえるでしょう。地震だけではなく、台風や強風の影響に備えたい人にも耐震住宅は適しています。
台風や強風の影響を受けやすい地域に住宅を建てる際には、耐震住宅の性能だけではなく屋根の作りや住宅の高さにも目を向けるようにしましょう。
一方で、揺れによる住宅の倒壊だけではなく、住宅のダメージや家具の転倒なども防止したいという方は、耐震住宅では不十分な場合もあります。
耐震住宅を建てるときの注意点
耐震等級は任意の制度であり、希望する場合はあらかじめ設計事務所に伝えておく必要があります。
耐震等級を前提として設計を進めなければならず、工事の途中で「耐震等級3にしたい」と言っても変更できない場合があるため注意が必要です。
また、補助金を申請する際に、耐震等級2以上でないと補助金の対象にならないケースもあります。
このように、耐震住宅の建築にはさまざまな注意点があり、法律や建築に関する専門知識も要します。耐震性能のある住宅をスムーズに完成させるためにも、施工実績の豊富な設計事務所に依頼すると安心です。
倒壊を防ぐ耐震住宅!建物へのダメージは…
耐震住宅は、地震対策にかかる費用を抑えつつ倒壊などのリスクを回避できる優れた性能を持ちます。しかし、住宅に直接揺れが伝わることは避けられないため建物のダメージや家具の転倒は避けられない場合もあります。
また、一口に耐震住宅といってもその工法はさまざまです。自身の住宅にはどのような備えが適しているのかを見極めることが重要といえるでしょう。
フリーダムアーキテクツは、耐震性能の高い注文住宅の施工実績が豊富です。耐震性能を備えながら、デザイン性の高い住宅をご提案いたします。まずは下記より資料請求いただき、理想の家についてお気軽にご相談ください。
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関連記事:
詳しくは、耐震性能が住宅を守る!種類と特徴を解説をご参照ください。
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