• 屋根を長持ちさせるなら勾配選びも重要!勾配の種類を選び方を解説

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    見落としがちだけど大切!屋根を長持ちさせるなら勾配にも気を配ろう

    住宅の環境を左右するポイントにもなり得るのが「屋根」です。住宅を設計する際には、屋根の素材やデザインはもちろん、勾配についてもしっかりと検討したいところでしょう。屋根の角度を表す勾配は、雨水を速やかに排水するために重要です。

    そこで、勾配の違いによって屋根にどのような特徴が出るのかについてご紹介します。

    屋根勾配とは?角度に直すとイメージしやすい

    屋根勾配ってなに?角度に直すとイメージしやすい

    屋根勾配とは、屋根を仕上げるときの角度を指します。屋根の勾配によって、住宅の見え方が変わり、雨水の排水スピードにも違いが出ます。

    屋根勾配の主な表記方法は以下の3つです。

    ・分数勾配
    ・尺貫法勾配(寸法勾配)
    ・角度勾配

    分数勾配は、底辺を10としたときの高さを「〇/10」と分数で表記する方法です。約分できる場合は、4/10を2/5、6/10を3/5などと表記します。尺貫法勾配(寸法勾配)は、底辺の長さを10寸とした場合の垂直の高さを「〇寸」と表記する方法です。一方の角度勾配は屋根の傾斜角度をそのまま表記します。底辺が10で高さが4の場合の角度は21.8°です。

    ただし、屋根勾配は分数勾配に「寸」を付けて表記される場合が多く、4/10寸や6/10寸などと表します。また、角度勾配のように30°という表記はあまり使用しません。寸表記のほうが傾斜計算を容易に行いやすくなるからです。たとえば、4寸勾配であれば、表記は4/10(約分すると2/5)になります。これは水平に10移動した場合、垂直に4上がるということです。角度計算をするよりも、高さを確認しやすく便利といえます。

    しかし、寸表記のままの屋根勾配は角度表記をしない分だけ、一般の方には正確な傾斜をイメージしにくい場合もあります。そこで、屋根勾配を角度に直した数値を把握しておくと良いでしょう。屋根勾配の伸び率と角度を一覧にまとめているので、ぜひ参考にしてください。

    勾配伸び率 角度  
    1寸(1/10)1.005.7°
    2寸(2/10)1.0211.3°
    3寸(3/10)1.0416.7°
    3.5寸(3.5/10)1.0619.3°
    4寸(4/10)1.0821.8°
    4.5寸(4.5/10)1.1024.1°
    5寸(5/10)1.1226.5°
    5.5寸(5.5/10)1.1428.8°
    6寸(6/10)1.1730.9°
    7寸(7/10)1.2234.9°
    8寸(8/10)1.2839.6°
    9寸(9/10)1.3542.0°
    10寸(10/10)1.4145.0°

    3寸勾配であれば角度は16.6992°、5寸勾配であれば26.5650°、7 寸勾配であれば34.9920°となります。

    勾配の種類と特徴

    勾配の種類と特徴とは

    屋根の勾配の種類は以下の3つがあります。

    ・急勾配:6寸勾配以上
    ・並勾配:3寸~6寸勾配
    ・緩勾配:3寸勾配以下

    3種類の特徴やメリットとデメリットを紹介します。

    急勾配(6寸勾配以上)の特徴

    急勾配の屋根は、6寸勾配以上の傾斜角度が高い屋根を指します。傾斜角度があると水はけが良くなるため、屋根に水が溜まりにくいという特徴があります。雨漏りのリスクを軽減したい場合は急勾配の屋根を検討すると良いでしょう。

    急勾配(6寸勾配以上)のメリット

    急勾配のメリットは雨漏りのリスクを軽減でき、屋根が劣化しにくいことです。急勾配の屋根は水はけが良く、水が溜まる心配がありません。屋根の劣化は雨漏りが原因の場合が多いため、雨漏りのリスクが軽減すれば屋根が劣化する速度も遅くなります。また、屋根が外気を遮断して断熱効果を高めることも急勾配のメリットに挙げられます。屋根と天井の間にスペースが生まれるため、小屋裏収納や天窓の設置もおすすめです。

    急勾配(6寸勾配以上)のデメリット

    急勾配のデメリットは、屋根の面積が大きく設置コストがかかることです。勾配が大きくなるほど屋根は高くなるため、工事の際は足場を組むためのコストがかかります。また、風の当たる面積が広く、強風に弱いというデメリットもあります。

    並勾配(3寸~6寸勾配)の特徴

    並勾配は3寸~5寸の傾斜がある屋根です。急勾配と緩勾配の特徴を持ち、水はけの良さやデザイン性の高さ、コストパフォーマンスのいずれもバランスがとれています。そのため、並勾配を採用する住宅が多い傾向にあります。

    並勾配(3寸~6寸勾配)のメリット

    並勾配のメリットは3種類の中でも広く普及し、他の種類よりもトラブルになるリスクが低いことです。並勾配の屋根を持つ住宅が多いほどトラブル時のノウハウを蓄積でき、それを活かした屋根の開発が可能になるためです。

    屋根材の種類は需要が高くなるほど幅も広がるため、外壁の素材に合わせて選べます。また、デザインも豊富に用意されているので選択肢が広がります。並勾配は急勾配の屋根よりも低く、工事内容によっては足場を設置する必要がないため設置コストを抑えることも可能です。

    並勾配(3寸~6寸勾配)のデメリット

    並勾配は急勾配と緩勾配の利点がバランス良く組み合わさっているため、大きなデメリットはないといえます。ただし、豊富なデザインから選べるものの、広く普及しているため他の種類の屋根よりも個性を出しにくい傾向があります。

    緩勾配(3寸勾配以下)の特徴

    緩勾配は3寸勾配以下の緩やかな傾斜がある屋根を指します。急勾配や並勾配に比べて屋根の面積は小さく、雪下ろしや修理が必要なときでも屋根に上りやすい特徴があります。

    緩勾配(3寸勾配以下)のメリット

    緩勾配のメリットは屋根の面積が小さいために、初期費用やメンテナンス費用を抑えられることです。屋根の面積が大きいほど屋根材や足場の用意が必要となり、作業人員にかかる費用も高くなります。一方で、緩勾配は足場を設置しなくても屋根のメンテナンスが可能なため、コストダウンを図れます。

    また、屋根の傾斜が緩やかで面積が小さく、強風が吹いても影響を受けにくいことも緩勾配のメリットです。緩勾配は傾斜が緩く積もった雪が流れにくいため、落雪によるケガや事故を防げます。

    緩勾配(3寸勾配以下)のデメリット

    緩勾配のデメリットは緩やかな傾斜によって水が溜まりやすく、雨漏りのリスクが高まることです。埃やゴミも屋根に溜まりやすく、その部分の屋根材が腐食して屋根の劣化を早める可能性があります。屋根が劣化する速度を遅くするには、定期的にメンテナンスを行うことが大切です。また、緩勾配は屋根材の種類やデザインが少ないこともあり、個性を出すのは難しいです。

    屋根勾配を決めるにはどうしたら良い?

    屋根勾配を決めるにはどうしたら良いか
    CASE661 環(めぐる)いえ

    屋根勾配を決める際には、性能・デザイン性・使用できる屋根材の種類の3つのバランスを考える必要があります。3つのうち何を優先するべきかを検討すると良いでしょう。

    年間降水量が多い地域なら雨漏りのリスクが低い急勾配や並勾配を選ぶのも一つの方法です。豪雪地であれば落雪しにくい緩勾配がおすすめです。ただし、住む地域によって適正とされる屋根勾配と使用できる屋根材が異なります。たとえば、一般的な屋根材に求められる最低勾配は次のとおりです。

    ・金属屋根:1寸勾配以上
    ・スレート屋根:3寸勾配以上
    ・瓦屋根:4寸勾配以上

    基本的には、4寸勾配以上であれば使用できる屋根材の選択肢は増えます。

    おすすめは4寸~5寸、屋根材別最低勾配にも注意

    屋根の勾配は、デザインと機能性のバランスについて決めることが大切です。

    4寸から5寸勾配は、緩勾配・急勾配のメリットを取り入れつつ、それぞれのデメリットを補いやすいのです。緩勾配の場合、雨漏りを防止するために使用できる素材が限られやすいといえます。4寸から5寸勾配の屋根は対応できる素材の幅が広いです。屋根には、瓦、金属、スレートなどさまざまな素材が使われます。4寸から5寸の屋根勾配であれば、使用できる素材を選びません。

    しかし、それぞれの素材には必要最低勾配が決められているため、計画前に調べておくことは大切です。瓦屋根は4/10寸、金属屋根1/10寸、スレート屋根3/10寸が最低勾配とされています。4寸から5寸勾配を選べば雨漏りが少なく、洗練されたデザインを実現できます。

    なお、4寸から5寸勾配の屋根を施工する場合、施工の際に足場が必要になるか否かは施工会社によって異なるので確認しましょう。

    屋根勾配はデザインだけでなく寿命にも影響を与える!

    屋根の勾配は緩急によって外観の雰囲気が変わるだけではなく、屋根の寿命などにも影響を与えます。
    デザインの美しさと機能のバランスを考えると、4寸から5寸勾配がおすすめです。しかし、住宅のニーズは住む人によって異なります。緩勾配・急勾配の特徴を知り、自分の好みに合った住宅づくりに役立てましょう。

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