女性のための設計アドバイス
実例に学ぶ、快適ライフスタイル講座
生活動線編
「洗濯機と物干しスペースが遠い」「洗濯しながらのキッチン仕事が不便」「一日何度も階段を往復して足がパンパン」。こんなイライラに悩まされないように、生活動線をしっかりと熟慮して、快適な住空間を実現しましょう。
Point 1. キッチンから洗面台、洗濯機までを一直線に配置
この例では、2階のキッチンに隣接する位置に洗面所、洗濯機置き場、浴室を一直線に配置することで、スムーズな生活動線を実現しています。さらに「コ」の字型の間取りの中央が物干しスペースになっている上、その入り口にアイロンスペースを設置しているので、ここだけで調理、洗濯、物干し、洗濯物の片付けなどの家事を完結できる間取りになっています。
水回りの動線をしっかりと考える
多くのお客様は、もともと賃貸住宅にお住まいのケースが多く、ワンフロアにキッチンと浴室があることに慣れていますよね。そしていざ家を建てようというときになって生活動線について真剣に考えることになります。キッチン、浴室(洗濯機)、物干しスペースといった水回りの動線をしっかりと考え、どのフロアに何を設置するのかを検討しましょう。
Point 2. 浴室と物干しスペースが別のフロアに
これは浴室と物干しスペースが別のフロアになった3階建ての例です。2階の寝室の近くに浴室・洗面所を設置しましたが、広さが足りないために2階にバルコニーを作れません。そこで1階の中庭を物干しスペースに使うことにしましたが、洗濯機をどちらに置くかが問題となったのです。最終的に1階に洗濯機を設置することになりました。浴室と洗濯機は一緒に設置するということは当たり前と考えられがちですが、日が当たるところに洗濯機を置くという発想も場合によっては必要であるという一例です。
その人が使いやすいと思っていれば、それを採用する。それこそが注文住宅の醍醐味ではないでしょうか。
3階建てならではの生活動線の悩み
3階建ての家を建てる場合、フロア面積が狭いというケースが多いものです。そうした場合、浴室と物干しスペースを設置するフロアが分かれてしまうということも珍しくありません。3階建ての場合は一か所に集めることが難しいケースが多いので、そこを考慮してスムーズな生活動線を確保しましょう。
今回の例では、洗濯後の水気を含んだ洗濯物を1階に運ぶか、1階に洗濯機を設置して乾いた衣類を運ぶかの選択で迷った結果、奥様の判断が採用されました。雨が降った場合はどうするなど、いろいろなケースを考えて女性は家づくりを考えます。おそらくご主人様にはわからない世界かもしれませんね(笑)。
Point 3. 玄関脇の収納スペースにストック
2階にキッチンがある場合、大変になるのが買い物後の荷物運び。このお客様は週に一度、車でまとめて買い物に行くというライフスタイルでした。例えば水などを大量に買い込むことになるのですが、帰ってきてからそれらを2階に上げるとなると、運ぶ作業に一苦労してしまいます。そこで、1階の玄関付近に収納スペースを設置し、そこにストックするようにしました。水などは必要なときに少しずつ運べばいいので、かなり楽になります。
狭い敷地を有効活用
都市部でLDKを2階に設置するケースが増えていますが、それは土地を十分に確保しにくいという事情が絡んでいます。敷地一杯に建物を造ると、1階は外から見られやすく、高い垣根や塀を設置すると日当たりが悪くなってしまいます。従ってLDKを2階にして1階をガレージに使うということになりますが、そこで大切なのは今回の例のように、荷物を運ぶ動線を考えること。ストック収納を上手に活用することで毎日の利便性が改善されるでしょう。
家を建てるということは、土地を全部考え、有効に使うことだと考えています。決して家の中だけではないんですよ。
Point 4. リビング内に階段を
階段をどのように設置するのかは、生活動線に大きな影響を与えます。そして最近人気なのが、リビング内に階段を設ける仕様。デザイン性に優れ空間のアクセントになるだけでなく、階段を使うときは必ずリビングを通るので、家族が顔を合わせやすくなります。また、来客時、お子様が2階の自室に出入りする際、リビングであいさつする習慣が付くなど、さまざまな効果が期待できます。逆に、リビング内に階段があると、お子様が出入りしづらいという意見もありますので、ご家庭のライフスタイルに合った階段を選択してください。
なお、螺旋階段や踏み板と側面の板だけのストリップ階段は、大荷物を運ぶのが怖い、小さいお子様が落ちないか心配という声もありますが、設計で調整が可能ですので、あきらめずまずはご相談してください。
リビング内の階段をスタイリッシュに活用
リビング内に階段を設置する場合、「カッコ悪い」と見栄えの問題で階段下収納を躊躇するケースが多いものです。そこで、デッドスペースとならないように、階段下をスタディースペースとして、旦那様がパソコンを使う、お子様が宿題に取り組むといった例もあります。また階段の板を上手く裏側に延長して、スタイリッシュな本棚を設置したというケースも素敵ですね。こうしたしつらえは、設計事務所の注文住宅だからこそ実現できるものなんですよ。