戸建て住宅においては一般的には2階建てが主流となっています。一方、平屋はワンフロアしかなく間取りの取り方が難しい印象が持たれ、2階建ての家に比べて数は多くありません。しかし、平屋の場合でも一定の広さがあれば、快適な3LDKの間取りの家を建てることが可能です。
この記事では、平屋を建てるときに気を付けたい部屋の広さや費用のポイントについて紹介します。
Contents
部屋の広さの目安は?
平屋で3LDKの間取りを作ると、各部屋の広さはどれくらいになるのか目安を知っておくと家づくりの際にイメージがつかみやすく便利です。
玄関やお風呂、トイレ、洗面室など必要不可欠な箇所を除いたスペースのなかで、家族個々人の部屋を設けることを想定し広さの目安を考えてみましょう。たとえば、22坪の広さに、夫婦の寝室と子ども部屋2室の洋室計3室を必要とします。その場合、洋室それぞれを6帖とし、LDK部分は10帖程度の広さになります。
一般的に、子ども部屋であれば最低4帖半あれば、ベッドと学習机、ちょっとしたチェストを置くことができます。寝るときと勉強するときに使用する部屋であれば十分な広さです。6帖あれば、さらに余裕な空間ができ、友達と一緒にでも過ごせるようなゆとりを持った部屋になります。
LDKについては10帖だとコンパクトなサイズのダイニングテーブルに2人用のソファが置けるため、夫婦2人暮らしであれば十分な広さです。4人家族の利用なら少し手狭になりますが、ダイニングテーブルの代わりにカウンターキッチンにしたり、ソファを壁にくっつけて置いたりするなど工夫次第で無理のないレイアウトを作ることもできます。
少し広めの27坪の家であれば、余裕を持った間取りが可能です。同じ洋室3室であっても、6帖2室に加えて8帖の洋室を1室作ることができます。8帖の広さを持つ部屋なら、ダブルベッドを置いて、さらにナイトテーブルや大きなサイズのドレッサーなどを設置するスペースも取れるでしょう。
また、LDKの広さを16帖にすることで、コンパクトなタイプのダイニングテーブル、ソファ、ソファテーブルを置くことができます。シンプルな暮らしをするのであれば家族4人でも広さを十分感じられるでしょう。
間取りを考える際には、平屋住宅の事例をまとめた下記記事もあわせてご覧ください。
3LDKの平屋にするメリット
3LDKの平屋ならではのメリットをみていきましょう。
ひと家族で済むのにちょうどいいサイズ感
核家族化が進み、さらにひと家族の人数が少なくなっているなか、不要な広さは省きシンプルな暮らしを求める人が増えています。そこで、注目されるのが平屋です。
ワンフロアのため平屋の間取りに対して難しいイメージを持っている人も少なくありません。しかし、ある程度の面積がある土地に建てた平屋の3LDKなら、家族で住むのにちょうど良い広さとなります。
たとえば、夫婦2人と子ども2人の家族構成であれば、3LDKの間取りで十分です。3LDKあれば夫婦の寝室と子ども2人がそれぞれ1部屋ずつ自分の部屋を持つことができます。
上下階の移動がなく生活動線が短くなる
平屋は階段がなく、さらに3LDKの間取りであれば部屋数も少ないため、生活動線がシンプルかつ短くなります。家のなかでの移動や家事の負担が軽くなり、共働き家族や小さな子どもがいる家庭には嬉しいでしょう。
また、上下の移動が少なくなるということは、高齢になったときにも住みやすい暮らしになるということです。年齢を重ねていくとちょっとした段差で転倒しケガをしてしまったり、若いときにはまったく負担に感じなかったような階段の上り下りが辛く感じやすくなったりします。
3LDKの平屋では階段を使用せずに生活を送れるのはもちろん、シンプルな間取りのため将来バリアフリーへのリフォームも容易であるなど、高齢になってからの生活も安心です。
家族のコミュニケーションが取りやすくなる
家族間のコミュニケーションが取りやすい点も3LDKの平屋のメリットとして挙げられます。
2階建てや3階建ての家では、リビングなどの共有スペースとそれぞれの個室を別のフロアに作るケースが少なくありません。また、トイレや簡易的な洗面所を2階や3階に追加して設置する家もあります。このため、複数のフロアを持つ家では家族が過ごすエリアがバラバラになってしまうことも多くあるのです。
一方、3LDKの平屋では生活のすべてが同じフロアに存在しコンパクトな間取りであるため、リビングに集まっていない場合でも家族が顔を合わせることが多くなります。コミュニケーションを取る機会も自然と増えることでしょう。
3LDKの平屋にするデメリット
3LDKの平屋では移動やコミュニケーションなどのメリットが期待できる一方で、デメリットもあります。ここでは、3LDKの平屋で考えられるデメリットを2点紹介します。
日当たりや風通しの悪い部屋ができる可能性がある
3LDKの平屋では、日当たりの悪い部屋や風通しの悪い部屋ができる可能性があります。2階建ての住宅は、日光が入りやすい南側にリビングや個室を設置できますが、平屋だとすべての部屋を配置することが難しく、日差しが入りにくい部屋ができてしまう場合があります。
間取りを考えるときは、日当たりが必要な部屋にしっかりと採光を確保できるかよく確認することが大切です。
家族間のプライバシーの確保が難しい
家族の気配を感じやすく、コミュニケーションが取りやすい3LDKの平屋は、プライバシーを確保しにくい傾向があります。皆が集まるリビングやダイニングに個室が面するなど、部屋の配置によってはお互いの生活音が気になることもあるでしょう。
例えば、個室とLDKを離した間取りでは廊下が長くなり、移動が大変に感じられることがデメリットです。また、リビングを中央に置き、個室へのアクセスを良くすると、個室へ移動する際に必ずリビングを通過しなければならない場合もあります。
家族と顔を合わせる機会は多くなりますが、プライバシーを確保できる間取りを考える必要があるでしょう。
3LDKの平屋の間取りを考えるときのポイント
快適な平屋暮らしを望むなら部屋の配置にも工夫が必要です。
一般的には、日当たりを考慮し、玄関は北向きに、リビングは南側に配置します。南向きの部屋は季節を問わず日照時間が長いため、家族が長く集う部屋を明るく暖かい場所にすることができるからです。一方、日当たりが悪い北側のスペースは、滞在する時間が短い玄関に利用するのがおすすめです。
しかし、実際に家づくりを行う際には道路と接する方角も考慮して決めなければいけません。土地から購入するのであれば、道路がどの方向にあるのかも確認したうえで土地選びをしておくと間取りを決めやすくなります。
たとえば、道路が南側に接している土地は人気が高く、分譲地でも多く見られるタイプですが、日当たりを考慮し道路が接している南側にリビングを設けると、道行く人の視線が気になるため注意が必要です。
プライバシーを守りたいのであれば、日当たりのいい南側に玄関を作り日当たりの悪い北側にリビングを設けざるを得ません。または、道路に面したリビングでも、目隠し効果のあるエクステリアを施すことで外からの視線を遮り、快適に生活することは可能です。
一方、北側に道路が面している土地は、南向きの土地と比べると人気が低く資産価値は落ちやすくなります。しかし、外部の視線を気にすることなく日当たりのいい南側にリビング、道路に面する北側に玄関を置くという間取りにできます。プライバシーの面で安心して暮らしやすい点が魅力となるでしょう。
また、3LDKの平屋では、リビングの前にウッドデッキを設ける事例も多く見られます。リビングにウッドデッキがつながるように配置すると、アウトドアリビングとしても活用でき便利でしょう。天気の良い日にはウッドデッキで食事やお茶を楽しんだり、読書をして過ごしたりできます。
もし収納スペースに不足を感じているなら、屋根裏部屋を作るのもおすすめです。季節品など年中通して使わないけれど必要なものを屋根裏部屋に収納しておけば、生活空間がすっきり片付いた暮らしを実現できるでしょう。
快適な平屋を実現するためのアイデアを下記記事でまとめていますので、ぜひご覧ください。
平屋の間取りはアイデア次第!快適空間を作れるのが平屋ならではのメリット!
3LDKの平屋の間取り事例
3LDKの平屋のメリット・デメリットを押さえたところで、実際に3LDKの平屋の間取り事例を見ていきましょう。希望する家をどのように実現するか、間取りのアイデアを紹介しますのでぜひお役立てください。
【約35坪】4人家族で暮らせるシンプルな間取り
4人の家族で暮らせるシンプルな間取りを紹介します。約35坪の平屋住宅で、広々としたLDKに広めの個室を3つ配置した間取りです。中央に廊下を作り、各部屋への移動がしやすいよう配慮しています。また、すべての部屋に窓があり、採光や風の通り道を確保しています。
3つの個室のうち、1部屋を主寝室、残りの2部屋を子ども部屋として活用可能です。寝室と個室が別々でプライバシーを確保できます。また、凹凸がない間取りのため、建築費も比較的抑えられるでしょう。
【約30坪】親世帯との同居も可能な間取り
約30坪の平屋で、広いLDKと2つの洋室、和室の3LDKの間取りで、親世帯との同居も可能です。洋室は夫婦の主寝室と子ども部屋とし、広めの和室は祖父母の部屋とすることで、二世帯住宅として機能させることができます。
玄関から和室へはリビングを通らず直接アクセスできるので、親世帯はある程度プライバシーに配慮した生活が実現できるでしょう。また、和室は来客スペースとしても使用できます。
将来家族が巣立った後は、間仕切りで仕切られた2つの洋室を用途に応じて柔軟に変えられる点もメリットです。LDKには大きな窓が設置されており、テラスとの一体感を得られ、開放的な時間を過ごせるでしょう。
3LDKの平屋に必要な土地の広さ
平屋では、1つのフロアにすべての部屋を含めなければならず、広い土地が必要になるケースが多く見られます。2階建てと同じ面積の平屋を建てるとなると、約2倍の土地面積が必要です。
住宅を建てるために必要な土地面積は、以下の計算式で算出できます。
土地面積 = 建築面積 ÷ 建ぺい率
建ぺい率は土地面積と建築された建物面積の割合のことで、土地を管轄する自治体で決められた数値を守る必要があります。
例として、35坪の平屋を建ぺい率60%の土地に建てる場合、約59坪以上の土地が必要です。広い庭や複数台分の駐車場が欲しい場合は、さらに広い土地が必要になる場合もあります。
3LDKの平屋建築にかかる費用
家を建てる際に気になるのが費用です。2階建てや3階建てと比べて、平屋の建築にかかる費用は安くなるのか、高くなるのかという点が気になる人も多いことでしょう。
一般的な3LDKの平屋は30坪前後であるため、約1,000万円〜2,000万円程度が目安です。この金額は、同じ延床面積の2階建てよりも割高ではありますが、平屋と2階以上の家を建てるときの費用の違いについては、一概にどちらのほうが安いとは言えません。
平屋は縦に広さを取れない分、横に広さを取る必要があります。横に広い家を建てるということは、基礎部分と屋根の建築費用が高くなります。特に、基礎部分は耐震や家の強度を高めるために重要となる部分となるため、費用が上がる傾向にあります。
しかし、実際はハウスメーカーや家の造りによっても費用は異なってきます。ローコスト系メーカーなら平屋の3LDKでだいたい1000万程度からになるケースが一般的です。一方、有名な住宅メーカーの場合であれば、坪単価が高いため2000万円中盤程度かかるでしょう。建物の形状、材質や設備などのグレードも建築費用に大きく作用します。具体的な建築費用は、各ハウスメーカーに見積をお願いしましょう。
家族4人暮らし向けに作られた平屋のおしゃれな建築実例
ここからは、家族4人暮らし向けの平屋の建築事例を紹介します。限られた広さの土地でも、工夫次第で家族が快適に暮らせるおしゃれな平屋を実現することが可能です。平屋のアイデアを検討する際にぜひ参考にしてください。
居住棟とアトリエ棟を切り離した間取り
自宅と仕事場のアトリエを併せ持つ平屋の住宅です。2つの建物をL字型に合体したようなレイアウトで、居住棟とアトリエを切り離すことでON/OFFのスムーズな切り替えをサポートします。
LDKは奥行きがあり、広大な庭を眺められる大開口があることで抜群の開放感を演出するでしょう。仕事とプライベートそれぞれの時間を快適に過ごせるよう、細部までこだわり抜いた住宅に仕上がっています。
1.5階建てに感じられる平屋の間取り
ひな壇のような敷地で、プライバシーと採光の確保という課題に対処するために、1.5階のようなボリュームのある平屋を建設した事例です。2つの中庭を配置し、建物の高さを調節することで課題解消に成功しています。
1.5階にあたる部分には、バルコニーと中庭、ロフトなどの要素を混在させ、視線の抜けと風の通り道を確保しています。柱と梁からなるグリッドフレームを強調することにより、おしゃれな空間が仕上がりました。
光が差し込む中庭で子どもたちが安心して走り回れる間取り
子どもたちが安心して走り回れる間取りを実現した事例です。建物の外観はシンプルな箱型で、周囲の緑とのコントラストが絵になる仕上がりを実現しています。側面に大きなルーバーをはめ込むことで、屋内の風通りを確保しました。
天井や床の段差、ロフトなどにより縦方向の要素が追加され、奥行きのある空間を演出しています。光が差し込む中庭を建物と壁で囲い、のどかな敷地の贅沢な開放感とプライベート空間を両立させています。
中庭とフラットにつながる開放感のある間取り
閑静な住宅街のなかで、存在感が際立つ金属サイディングの外観は、シンプルながらシャープな印象を演出します。内部は中庭のある開放的なつくりで、外観とは対象的に温かみのある雰囲気です。
広い玄関は大きな窓から光が差し込み開放感を得られ、フラットにつながるリビングと中庭は平屋ならではの横方向に広がる空間を楽しむことができるでしょう。
3LDKの平屋を検討してみよう!
ある程度の土地の広さがあれば、3LDKの平屋は十分に実現できる建築です。ワンフロアのシンプルな間取りで、長期的に安心した暮らしを考えているなら、3LDKの平屋を検討してみるとよいでしょう。
全国で年間400棟のデザイン住宅を手掛けるフリーダムアーキテクツなら、自分らしい暮らしができる3LDKの平屋を設計してもらうことが可能です。まずは無料資料請求で、どのような家にしたいかイメージしてみるとよいでしょう。約40の建築事例を写真とともに詳しく解説しています。
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