
CASE738 Grass field House
二世帯住宅には、子育てや介護でお互いが助け合える、建築費や水道光熱費などのコストを分担できるといったメリットがあります。その一方で、プライバシーを確保しづらかったり、生活リズムのずれでストレスを感じたり、デメリットもゼロではありません。
二世帯住宅を建てる際は、共有する部分とプライベートな部分をどう分けるかなど、あらかじめよく検討することが大切です。そこで、二世帯住宅の種類やメリット・デメリット、費用相場などを詳しく解説します。
この記事はこんな人におすすめ
- 二世帯住宅を検討中の人
- 二世帯住宅が気になるけれど迷っている人
- 二世帯住宅への不安を解消したい人
この記事でわかること
- 二世帯住宅のメリット・デメリット
- 二世帯住宅の種類と費用
- 二世帯住宅のよくある悩みや考え方
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目次
二世帯住宅とは

CASE695 MEGAPHONE-HOUSE (メガホンハウス)
二世帯住宅とは、親の世帯と子どもの世帯が、1つ屋根の下で一緒に暮らすことを前提とした住宅です。浴室やキッチンなど設備をすべて共用する間取りや、プライバシーに配慮して世帯ごとの玄関や設備を作り、生活空間を分ける間取りがあります。

二世帯住宅のメリット
二世帯住宅には、主に以下のようなメリットがあります。
・建築費や水光熱費を分割できる
・子育てや介護のサポートが得られる
・税制上のメリットがある
経済面だけでなく、いざという時に親世帯と子世帯が助け合えるという安心感もメリットです。1つずつ詳しく見ていきましょう。
建築費や水道光熱費を分割できる
二世帯住宅は、建築費用や水道光熱費といったさまざまな費用を抑えることができます。
たとえば、二世帯住宅では一軒の建築に二世帯が暮らすことができるため、建築コストを削減できます。一世帯分の最低限の住まいよりは部屋数が必要になるため、通常の新築住宅よりは高くなりますが、新築を2軒建てるよりは安くなります。キッチンやトイレ、お風呂など、二世帯で共用する部分が多いほど費用を抑えられるでしょう。
また、水道光熱費や通信費も2家族でまとめられるので、その分1家族あたりの費用負担が軽くなります。音楽配信サービスや動画配信サービスなどのサブスクアカウントを共有できる点もメリットです。
子育てや介護のサポートが得られる
二世帯住宅には、何かあった時に二世帯がお互いをサポートし合えるというメリットがあります。
たとえば子世帯が忙しくて手が離せないという時、親世帯に子ども(孫)の見守りを頼むことができます。学童保育から帰宅した後や、夏休みなどの長期休暇にも、親世帯が家にいれば子どもが1人になる心配がありません。
そして、親世帯が万が一介護が必要になったとしても、子世帯が一緒に住んでいれば何かと安心です。お互いに支え合いながら子育てと介護ができる点は魅力といえるでしょう。
税制上のメリットがある
二世帯住宅は、一定の要件を満たしていれば、固定資産税や相続税が軽減される可能性があります。
たとえば固定資産税では、建物の構造と利用面が独立している場合、軽減措置を二世帯分受けることができます。また、建物が建つ200㎡までの土地部分が「小規模住宅用地」として承認されていれば、課税標準額と都市計画税がそれぞれ軽減されます。
しかし、親世帯と子世帯の共同名義の場合は連帯納税義務が発生するため注意が必要です。
相続税では、親世帯と子世帯が同じ敷地内に同居し生計を共にしていた場合、「小規模宅地等の特例」が適用され、相続した土地の評価額を最大80%まで減額することが可能です。ただし、完全分離タイプの二世帯住宅で、土地や建物の区分で名義を分けていた場合は適用されません。

二世帯住宅のデメリット

CASE663 シークエンス
一方で、二世帯住宅には以下のようなデメリットがあります。
・プライバシーの確保が難しい
・お互いにストレスを感じる場合がある
・親世帯がいなくなった後にリスクがある
それぞれ詳しく見ていきましょう。
プライバシーの確保が難しい
2つの家族が同じ建物の下に暮らす二世帯住宅は、プライバシーが確保しづらいというデメリットがあります。また、親世帯と子世帯で生活リズムが異なる場合、互いの生活音が気にならないような配慮が必要です。
プライバシーを確保する工夫として、セカンドリビングをつくる、それぞれのプライベートスペースを設けるなどが挙げられます。生活時間帯が異なる場合は、音や明かりが邪魔にならないよう、1階と2階で居住空間を分けるのもおすすめです。
お互いにストレスを感じる場合がある
家族であっても、ライフスタイルや価値観は異なります。同じ空間で毎日過ごしていると、時にお互いをストレスに感じる場合もあるでしょう。
たとえば、夫の両親と同居すると妻側が気を使って疲れたり、自分の両親を家に招きにくかったりする可能性があります。
また、離れていれば気にならないような些細なことも、毎日顔を合わせていると気になってストレスに感じるかもしれません。お互いの考え方やペースを尊重する姿勢が大切です。
親世帯がいなくなった後にリスクがある
二世帯住宅を建てる場合、将来的に親世帯が他界したり、介護施設に入居したりした時のことを考えておく必要があります。
親世帯が使っていたスペースや部屋をそのままにしておいては、子世帯の負担になる可能性があります。
親世帯のスペースを子世帯の収納や居住空間に転用できるようあらかじめ設計する、完全分離型の場合は親世帯の住居を賃貸にするなど、親世帯がいなくなった後のことまで考えて二世帯住宅を建てましょう。

二世帯住宅の種類
二世帯住宅には、「完全同居」「一部共有」「完全分離」の3つの種類に分かれます。各タイプの特徴について詳しく解説します。
完全同居



完全同居タイプの二世帯住宅は、親世帯と子世帯が同じ建物内で生活空間を完全に共有する間取りです。玄関やリビング、キッチン、トイレなどの設備を1つずつ設け、広々とした大きな一軒家で二世帯が同居するイメージです。居住スペースが共有となるためプライバシーの確保が難しく、親世帯が1人のケースでよく採用されています。
メリット
・敷地が狭くても、ゆとりある二世帯住宅を建てやすい
・水回りの設備やスペースが少なく、建築費を抑えられる
・世帯間のコミュニケーションが取りやすい
・水道光熱費などのランニングコストを削減できる
デメリット
・世帯ごとのプライバシー確保が難しい
・入浴や食事の時間、生活音など、生活スタイルの調整が必要になる
部分共有


部分共有タイプは、親世帯と子世帯で生活空間を一部だけ共有する間取りです。例えば、玄関を共用にしつつ、キッチンや浴室などの水回りは別々に設置することで、各世帯のプライバシーを適度に確保できます。生活空間を分けながらも、世帯間の交流を保ちたい家庭に適したスタイルです。
メリット
・敷地が狭くても、ゆとりある二世帯住宅を建てられる
・水回りを共用しないため、プライバシーを守りやすい
・世帯間のコミュニケーションを保ちながら、独立性も確保できる
・水道光熱費の一部を削減可能
デメリット
・共用スペースの位置や使い方で間取りの制約が生じる
・入浴や食事の時間帯が重なると、調整が必要になる
・玄関を共用すると来客時に配慮が必要
完全分離


完全分離タイプは、親世帯と子世帯の生活空間を完全に分けた二世帯住宅です。玄関やリビング、お風呂、キッチンなど、すべての設備を2軒分設置し、上下もしくは左右にレイアウトを分けます。同じアパートやマンションの別世帯のように独立して暮らせるのが特徴で、プライバシーを重視し、適切な距離感を保って暮らせるのが魅力です。
メリット
・世帯ごとのプライバシーをしっかり守れる
・表札やポストを別々に設置でき、名字が異なる場合にも便利
・世帯ごとに設計の自由度が高い
・将来、片方の世帯を賃貸として利用できる柔軟性がある
デメリット
・水回りや空間が2軒分必要となり、建築費が高くなる
・広い敷地が必要
・独立性が高い分、世帯間の交流が減る可能性がある
二世帯住宅の予算相場
二世帯住宅は、一般的な戸建て住宅に比べて広さや設備が必要なため、コストは割高です。ただ、種類によって予算相場は変わります。
基本的には、キッチンや浴室などの設備を共有できる完全同居型が最も費用がかからず、一部共用型、完全分離型の順に費用が上がる傾向にあります。各タイプの建築費用の相場は下記の通りです。
・ 完全同居型:坪単価65万〜100万円ほど
・ 一部共用型:坪単価80万〜130万円ほど
・ 完全分離型:坪単価85万〜150万円ほど
一部共有型では、どこまで共有するかで費用が変わります。また、完全分離型は2軒分の設備や建具を使用するため、比較的高額です。

二世帯住宅の悩みと考え方のヒント
資金の問題やプライバシーの確保、生活リズムの違いなど、さまざまな問題から二世帯住宅に躊躇する方もいるでしょう。ここからは、二世帯住宅に関するよくあるお悩みと、解決のヒントをご紹介します。
お金のことで揉めないためには?
子世帯が子どもの養育費などで出費が増えたり、親世帯がリタイアして収入が減ったりと、建築時に問題がなくても、時間とともに両者の経済的な状況が変化する可能性があります。それに伴いお金の揉めごとが発生し、関係の悪化につながってしまうケースも少なくありません。
お金のトラブルを避けるには、あらかじめ金銭的な負担を決めておくことが大切です。税金や公共料金は折半する、親世帯が建築費を多く支払うなら水道光熱費は子世帯が多めに支払うなど、支払いの役割分担を曖昧にせず事前に細かく決めておきましょう。
また、ライフステージの変化に合わせて負担の割合を見直す時間を定期的に設けるなど、柔軟な話し合いの姿勢も欠かせません。
どうしたらプライバシーを確保できる?
プライバシーを重視するならば完全分離型の二世帯住宅が理想ですが、難しい場合は共有部分とプライベート部分を明確に分けるなど、間取り設計を工夫しましょう。
コンパクトでもリビングを各世帯に設ける、動線が重ならない位置に互いのバルコニーを設置するなど、両世帯の希望や生活時間等をヒアリングして、プライバシーに配慮した間取りをデザインすることが大切です。
特に生活リズムが異なる場合は、上下階の分離・両隣の分離に関わらず、生活音が大きく出たり明かりが邪魔になったりする空間と寝室を離すといった工夫が必要になります。
また、子世帯が自宅に友人や同居していない両親を招く時のために、専用のゲストハウスを設ける方法もおすすめです。
「二世帯なのに疎遠」を防ぐには?
完全分離型の二世帯住宅はプライバシーが保護される一方で、コミュニケーションが減ってしまい、ふとした時に頼みごとをしにくくなるケースもあります。
二世帯が疎遠になりすぎないためには、親世帯と子世帯のつながりを意識した設計が大切です。たとえば、完全分離型でも共有の中庭を設ければ、親世帯が孫の遊ぶ姿を見守りやすくなりますし、広いリビングをガラス壁で仕切れば、空間をゆるやかに分けながら視覚的な一体感を保てます。
また、両世帯が相互利用できるような収納室を設置するなど、親世帯と子世帯が無理なく交流できる空間づくりがポイントです。
親世帯と子世帯が互いにサポートし合えるという二世帯住宅のメリットを生かせる間取りを意識しましょう。
将来の介護に備えるためには?
将来的な親世帯の介護に備えるためには、あらかじめライフスタイルの変化を見据えた設計にすることが大切です。
たとえば、通路やドア、トイレに十分な幅を確保する、お風呂場に転倒防止用の手すりを設置するなど、バリアフリー設計の採用が挙げられます。完全分離型であっても、玄関を出ずに行き来できる連絡通路を設けておくと、急なサポートにも対応しやすくなるでしょう。
さらに、将来どちらかの世帯が家を離れた時に賃貸や売却を検討できるよう、資産価値を保てる間取りを採用するのもおすすめです。

「二世帯住宅」で人気の建築実例
CASE695 MEGAPHONE-HOUSE(メガホンハウス)



外向きの開口は最小限ながら、中庭に面した大きな窓や2階のテラス・バルコニーが明るさをもたらします。重厚感のある1階と開放的な吹き抜けの2階、趣の異なるフロア設計が印象的です。

MEGAPHONE-HOUSE(メガホンハウス)
公園に向かって視界が開けるメガホンハウス
CASE635 三角屋根でつながる家




世帯ごとの棟を並列にした完全分離型の二世帯住宅は、生活音や時間帯が気になりにくい造りです。気軽にコミュニケーションができる共有の物干場など、家族の繋がりも大切にしています。

三角屋根でつながる家
ご家族が行き交う豊かな暮らし
CASE663 シークエンス



中庭を中心として設計された完全同居型です。光がたっぷり入る大きな開口により、屋内は明るい空間が広がります。共有空間が多く、LDKも十分なスペースを確保しており、家族をより身近に感じられるでしょう。

シークエンス
シークエンスな空間が家族を包む家

注文住宅の二世帯住宅についてフリーダムアーキテクツにご相談ください
二世帯住宅を建てる際には、家族全員の声を聞いて進める必要があります。ただ、なかなか意見がまとまらない場合も少なくありません。そんなときは、さまざまな二世帯住宅を手がけてきた注文住宅のプロに相談しましょう。
二世帯住宅の実績豊富な建築設計事務所では、間取りやお金などあらゆるお悩みを相談できます。両世帯の要望を取り入れつつ、土地や条件に合わせて最適な住宅プランを提案してもらえるでしょう。
注文住宅の二世帯についてのお悩みがございましたら、フリーダムアーキテクツが解決いたします。
✓ 間取り・レイアウトのこと
✓ お金・予算のこと
✓ 優先順位のこと
✓ 他の家族との意見のズレのこと
✓ スペースや土地のこと

注文住宅の二世帯住宅についてのよくある質問
二世帯住宅にかかる費用の負担割合はどうする?
二世帯住宅では、費用を半分ずつ負担する世帯が多く見られます。どちらかの世帯が多く払うと、偏りからお金を出した方の意見が通りやすい状況が生まれるなど、後に揉め事の原因になりかねません。
光熱費の支払いでは、メーターを2つ用意して世帯ごとの使用量を計測し、使用分の費用を負担するケースも多い傾向にあります。1つだけ設置する場合は、お互いのライフスタイルを把握し負担割合をあらかじめ決めておくと良いでしょう。
二世帯住宅で決めておくべき生活のルールは?
二世帯住宅では、お互いの生活に踏み込み過ぎない適度な距離感が重要です。お互いのプライバシーを尊重し、快適な生活を実現するために、各世帯のライフスタイルや要望を盛り込んだルールを話し合っておきましょう。
例えば、世帯ごとに活動時間帯が異なる場合、水回りの設備を上下階で揃えると、生活音が響きにくいでしょう。また、家事分担や共有スペースで使う消耗品の費用負担などについても、最初に決めておくと後のトラブルを避けられます。
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この記事を書いた人

フリーダムアーキテクツ
設計チーム
1995年創業、累計4,000棟以上の住宅設計実績と数々のグッドデザイン賞受賞歴。土地探しから設計・施工までワンストップで対応し、お客様の暮らしに合わせた理想の住まいを実現します。フリーダムマガジンでは、豊富な実績をもとにした後悔しない家づくりのポイントをお届けします。