住まいの設計2017年7月ー8月号
遊び心と性能のよさを併せ持つ住まい
子どもが走り回れるよう、LDK は1 階にしたいが、三方に隣家が迫る敷地。設計の工夫によって、一角には夫の趣味のボルダリング用の壁も確保した明るく伸びやかな住まいが実現した。
南側の角に設けた吹き抜けが難問を解決
リビングの一角には、本格的なクライミングウォール。2階ホールの天井からぶら下がっているのはブランコ――こんな遊び心満点の家を建てたのは、子育て真っ最中のSさん夫妻。
長女の就学までに家を構えたいと考えたふたりは、馴染みのある横浜市郊外の土地を購入。
設計を担当したフリーダムアーキテクツデザインの川西隆広さんに伝えた要望は、妻が「安心して子どもが走り回れる家」、夫は趣味のボルダリング専用の壁面がほしいことと、耐震性や断熱性などの性能がよい住宅にしたいことだったという。
敷地は閑静な住宅街にあるが、前面道路以外の三方は隣家が迫っている。子どもが伸び伸び走り回れるよう、LDKは1階に配したいが、はたして採光や開放感は十分得られるのか。
川西さんが導き出した回答は、わずかに視線の抜けがある2階南側に吹き抜けを設け、そこから光を階下にもたらすというプランだった。
2層をつなぐ吹き抜けに面した縦長の壁をボルダリング用のウォールとして活用すれば、一石二鳥というわけだ。
ブランコを吊った2階の階段ホールは、個室は最小限でいい、LDKだけでなく他にも子どもが走り回れる場が欲しいという夫妻の希望をかなえたもの。
また、家の随所に見られる「おうち型」のモチーフは、雑貨など、かわいらしいものに目がない妻や長女の好みに合わせ、室内に配してはどうかと、夫妻と設計者で共に検討。
妻は家具や照明、スイッチプレートやトイレのペーパーホルダーまで熱心にセレクトしたそうだ。
「構造や設備などのハードはご主人、家具や雑貨などのソフトは奥さまのご担当で、途中から設計スタッフにも女性が加わり、チームみんなでつくりあげた家という感じですね」と川西さんは語ってくれた。
■SUMAI no SEKKEI (住まいの設計)
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住まいの総合専門誌
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出版社: 扶桑社
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