住まいの設計2016年1月ー2月号
大切な家だからこそ
建てる前に調べよう、地盤のこと
忘れていませんか?
家を建てるときに、とても大切なこと
住まいを建てるときには、建物のことばかりに目を奪われがちだ。しかし、本当に大切なのは、建物を建てるその敷地。敷地がどんな地盤の上にあるのか、専門知識を持つ第三者から「セカンドオピニオン」を受けることがこれからは大切になりそうだ。
その1 住む場所の地盤を正しく知る
安心と安全を担保する地盤の特徴
住まいを選ぶときに、われわれはどうしても家そのものに目を奪われて、その建物が建っている土地のことは無視しがちだ。土地の条件としてわれわれが考えるのは、日当たりや接道状況、交通機関の利便性くらいなもので、その土地が持っているもっと本質的な問題には目を向けようとしない。そうした風潮に警鐘を鳴らすのが、地盤ネット代表取締役社長、山本強氏である。
「住まいを建てるときには建物ばかりに目がいきがちですが、地震で建物が傾いたり、水害で浸水する地盤を持った土地かもしれない。そういうことは建物を見ただけでは分かりません。住まいは人の命と暮らしを守るものですから、見た目だけで選ぶわけにはいかないんです」
それでは地盤のよしあしを判断するにはどうしたらいいのだろうか。通常は専門業者に地盤調査と解析を依頼するわけだが、そもそも購入を検討している段階では、地盤調査を行うことは一般的ではない。かといって、不動産業者やハウスメーカー、建築家に地盤についての正しい知識があるかどうかも疑問が残るというのが現状なのである。
無料で利用できる地盤カルテを利用してみる
そんなときに頼りになるのが、地盤調査会社だが、中でも地盤ネットは頼りになる存在だ。というのも、地盤ネットは災害リスクを点数で示すサービスとして、「地盤カルテ」をインターネット上で公開しており、ユーザーはサイトにアクセスするだけで無料で知りたい土地の地盤を診断できる。さらに有償となるが、より詳細な地盤調査や補償も提供してくれる。
地盤にもセカンドオピニオンを
土地を取得し、地盤調査しても専門知識がないと、それが正しいかどうか判断できない。
そこで、専門知識を持ちながら、地盤改良工事を受注しない地盤ネットが強い味方になる。地盤ネットは地盤解析を専門に行う公平な第三者の立場から、地盤調査データを再解析する「地盤セカンドオピニオン」も無料で提供。また、地盤の専門家である「地盤インスペクター」を養成し、今まで第三者検査が行なわれていなかった地盤改良工事現場に派遣して、工事の品質を高める取り組みも進めている。
その2 地盤の品質を見える化する
災害リスクは不動産情報に載らないという現実
現在、土地の価値を決定づける要因として大きさや地型、接道状況以外に駅や幹線道路からの利便性が挙げられる。しかし、地盤のよしあしが不動産価値を決定づけるという話は聞くことがない。これも問題だ。例えば、東日本大震災で問題になった液状化現象について。現行法では土砂災害特別警戒区域などに指定されたエリアの不動産は賃貸や売買時の重要事項説明時にリスクについて説明しないといけないが、液状化に関しては説明義務はない。つまり、敷地を購入してみたら、地盤改良のための費用が新たに生じたり、災害リスクをあとから知らされるということが起こりうるのだ。
地盤ネットの山本氏は地盤関連情報の公開範囲を広げ、液状化などの地盤リスクについても広告や取引時に重要事項として説明すべきだとしている。
こうしたリスクから建主を守るために地盤ネットが考案したのが「地盤安心住宅PLUS」だ。通常は免責事項に該当する液状化による不同沈下を補償対象とする業界初の商品で、液状化に対応した調査、対策提案、補償を提供する。
液状化リスクの無いエリアは、通常の調査や補償を利用し、液状化リスクのあるエリアは、液状化に対応できる「地盤安心住宅PLUS」を利用するなど、そのエリアが持つリスクによって調査方法を変えることが必要なのだ。
建主が自ら地盤のことを考える時代が来たのである。
安心して自分らしく暮らすために、まず地盤を知ろう
理想の住まいを実現させるために、建主と一緒に考え、自由な発想で設計し、最も効率的な施工方法を提案してくれる。そんなフリーダムアーキテクツデザイン代表の鐘撞正也さんも地盤ネットの活動に賛同したひとりだ。
「フリーダムアーキテクツデザインは設計業務のエキスパートで、施工のエキスパートとタッグを組み、互いに責任を持って仕事をすることで高効率の住まいづくりを実現させてきました。地盤については地盤ネットさんと新たにタッグを組むことで、地盤についてのセカンドオピニオンや、地盤インスペクターから地盤についてのアドバイスを受けられるので、これまで以上に安心な家づくりができるようになりました。どんなに素晴らしい設計も地盤に想定外のことがあっては建物として実現できません。理想の家への第一歩は地盤を知ることから、ですね」
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