LiVES2015年12月号
フリーダムとLIXILが資本提携。
業界を変えるネットワークの誕生
9 月、LIXILグループにより、フリーダムアーキテクツデザインからの第三者割当増資を引き受ける契約締結が発表された。年間400棟以上を手がけ、今やハウスメーカーの域に達しようとする設計事務所と、業界最大手の建材・設備メーカー「LIXIL」の提携が意味するものは? 今後のビジョ
ンについて、フリーダムアーキテクツデザインの鐘撞正也氏にお話を伺った。
LiVES
まずは今回の経緯を教えてください。
鐘撞
「今回の提携で、今後フリーダムがリクシルの建材や設備のみを使って家づくりをする、と思われる方も多いと思いますが、そうではありません。従来通り、メーカーなどを限定せずに好きなスタイルを反映できる家づくりの姿勢は変わりません。現在、フリーダムが手がける住宅は年間で400棟を超えています。設計事務所との家づくりを身近なものにしてきた私たちとしては、新たなフェーズを迎えたと思っています。また、フリーダムが住宅業界に与える影響というのものも、少しずつ大きくなってきていると実感しています。これからは、フリーダム単体ではなく、住宅業界全体を見渡しながら、住まいづくりを良い方向へ変えていきたい。そのためには同じ志をもつパートナーが必要だったのです。そう考えていたときにリクシルの藤森義明社長と出会う機会があり、私の思いを伝えたことが、今回の提携につながりました」
LiVES
フリーダムとリクシルが連携することで、どんな相乗効果が生まれるのでしょうか?
鐘撞
「フリーダムでは日々数多くのお客さまからの要望をうかがいながら住まいの設計に当たっています。これはいま、どんなデザインや機能が好まれているのかといった、住まいに対するリアルなニーズをデータベース化して持っているということです。リクシルではバスルーム、トイレ、キッチンを始め、ありとあらゆる優れた商品を開発しています。これらにフリーダムが蓄積したデータをフィードバックすること、本当に求められる機能やデザインを商品開発に反映させることができます。フリーダムではインターネットによる情報発信や、お客さまとのコミュニケーションに力を入れてきましたが、今回の提携でより有効的な利用ができるでしょう。」
LiVES
リクシルには全国に数多くの加盟工務店がありますね。
鐘撞
「これらの工務店のネットワークに対してデザインの情報を提供することも考えています。近所に腕の良い工務店はあるけれど、自分が望むデザインを実現してくれるか、もしくは好みをうまく伝えられるか不安という人も多いと思います。そのため、工務店に依頼する動機がどうしてもデザインよりも営業マンの人柄などに左右されてしまう。フリーダムでは住宅のさまざまな部位の仕上げをデータ化し、無料で提供する「建築知識研究所」なども運営しています。こうした図面データが組み合わされた写真を、パソコンやタブレットで見られるようなサービスをつくり、工務店に提供することで、住まいに関する意思疎通を支援するツールとしたいですね。まずはデータベースから住みたい家を見つけ、イメージを明確にする。その先の設計やデザインを工務店に頼むかフリーダムに頼むかは、お客さまが自由に選んでいただけばいいのです」
LiVES
なるほど。リクシルとの提携で、工務店も含めた業界全体のレベルがアップしそうです。
鐘撞
「つくり手・お客様両方の家づくりに対する知識やモチベーションを上げていきたい。全国どこでも当たり前の要望が言えて、ストレスなく思い描いた通りの住まいが建てられる。今回のリクシルとの提携は、そうした環境づくりの大きな一歩になると思っています」
■LiVES(ライヴズ)
デザイン住宅、デザイナーズ・マンション、リフォーム&リノベーション、建築家など、
スタイルのある住宅を手に入れるための情報誌
隔月刊誌:奇数月15日発売 発行: 株式会社第一プログレス
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