GOETHE Vol.18 | 注文住宅なら建築設計事務所 フリーダム

GOETHEVol.18


唯一無二の設計事務所として、
事業拡大に必要なこととは?




 う〜ん、悩ましい……。冒頭からそんなつぶやきで申し訳ないが、最近よく考えるのが、事業拡大のための定量化と定性化の両立について。フリーダムも創立20年を迎え、経営者としてはさらなる拡大を目指す今が正念場だと思っている。
 企業経営において、近年はさまざまなことを定量化させようとする傾向がある。例えばクラウドによるビッグデータの活用など、経営指針や規模拡大の根拠として数値化・定量化は重要な要素になる。住宅業界においても定量化は進みつつあり、フリーダムでもウェブからの集客率や成約率など有効データを分析している。また大手ハウスメーカーが行っている、どんな家をつくりたいかの要望を○×でチェックするヒアリングシートも定量化のひとつ。集まったデータの分析から得られる傾向値に基づいて設計すれば、ある程度の要望に合致する平均的なプランができあがる。だからハウスメーカーはお客様が設計士と直接話をしなくても、営業マンから提示されるプランで話ができるシステムなのだ。


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 フリーダムでも事業拡大だけを考えれば、定量化の徹底で効率を上げ、設計士が立ち会わずともヒアリングシートなどのデータを基にモデルプランを導きだすことは可能だし、楽かもしれない。でもそこで僕は立ち止まる。我が社のコア・コンピタンス(他社にはない独自の能力)は何か、自問するのだ。  キーワードは「O to O(オー・トゥー・オー)」。オンライン to オフラインという、ITとリアルをつなぐのがフリーダムだと僕は思っている。データを活用しながらも、重要なのはお客様へのリアルなヒアリング。ただ要望を形にするだけではなく、プロから見れば実現不可能な要望も、お客様が望む価値がどこにあるのかを見極めて、異なる形でその価値を実現する。そんな「価値の変換」を提案することが重要なのだ。これはお客様ひとりひとりと対面してこそできることであり、決して定量化できることではない。  一定の企業規模になると、経営者が定量化重視に走ってしまう傾向はないだろうか。フリーダムでいえば、集客という間ま口ぐちはオンラインでも、設計は確実にオフライン。何を定量化し、何を定性化するべきなのか、そのさじ加減を間違えてはいけないと思っている。  もちろん経営者としては、事業拡大は必須。例えば今後、上場などを視野に入れる可能性も出てくるだろう。まさに今が、フリーダムの転換期。社会の公器としての側面も担いつつ、次のフェーズをどうすべきか。う〜ん、やっぱり僕の悩みに終わりはなさそうだ(笑)


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Text=牛丸由紀子 Photograph=柳内 悠 Illustration=村林タカノブ



■GOETHE (ゲーテ)
仕事を充実させ、その哲学を人生に反映させている人間たちの
物語を凝縮した、ライフスタイルマガジン
月刊誌:毎月24日発売 発行: 幻冬舎
http://www.gentosha.co.jp/goethe/

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