GOETHEVol.14
Q. 家づくりに役立つ図面や写真を
入手したいのですが?
Text=牛丸由紀子 Photograph=柳内 悠 Illustration=村林タカノブ
レシピを公開するわけ
建築業界の新たなビジネスモデルを追求するフリーダム。今回注目したのが、これまでオープンになっていなかった設計・建築に関わる情報の開示だ。まず専門家のために、役立つ知識を集約し公開、また注文住宅に興味を持つ一般の方のために、知りたい情報を簡単に入手できる新アプリを提供する。
例えば幅木を何㎝にしてどう埋めこむか、または家具のエッジをどう処理するかなど細部にこだわるのが注文住宅。設計士なら誰もが知りたいそんな知識や具体的な図面を、雑誌『建築知識』(エクスナレッジ刊)と協力し、サイト『建築知識研究所』(http://freedomlab.jp)で無料で公開している。過去の具体的な図面を公開し、誰もが活用できるようにすることは、設計士の育成の手助けにもなる。
また一般向けには、家づくりのヒントになる画像を集められるサイト『家チェキ』(https://iecheck.jp)をオープン。リビングや階段などを好みで選んでいけば、建てたい家のイメージがひとまとめに。これさえあれば、ハウスメーカーや工務店などに具体的に相談できるというわけだ。
さらにこれまでフリーダムが作った間取りも「間取りバンク(仮称)」としてデータベース化を進めている。数千プランのなかから、敷地の条件や好みなどで誰でも無料で検索・閲覧できる(来年2月オープン予定)。
これら図面も間取りも、実はフリーダムの大切な資産。これまで他社がやっていなかったように、真似されるリスクもあるのになぜオープンにするのかと、怪訝に思う方も多いだろう。だが、公開し真似されるのは本当にデメリットなのだろうか?と敢えて問いたい。例えばレストランのレシピ。たとえ公開しても、その料理の評価は食材の選び方や調理の高い技術、さらには器の種類やサービスの質すべてによって決まる。レシピはあくまでも要素のひとつ。他の部分にも自信があるからこそ、公開できるというもの。
建築業界の未来を見据えて
フリーダムの住宅も必要なのは図面だけではない。使う建材、家族構成や敷地の特徴を捉えた間取り、そして図面を確実に形にする工務店との信頼。デザインだけではなく、すべてが揃ってできあがるのがフリーダムの住宅だ。そしてそういったノウハウの開示は、広く建築業界全体のレベルを上げる手助けにもなり、最終的にはお客様へのよりよい仕事の提供につながっていくはずだと信じている。
日々前人未到(!?)のビジネスモデルを追求し続けるフリーダム。それらはすべて、僕らの理念「会社本位の家づくりから自分本位の家づくりへ」から始まっているのだ。
■GOETHE (ゲーテ)
仕事を充実させ、その哲学を人生に反映させている人間たちの
物語を凝縮した、ライフスタイルマガジン
月刊誌:毎月24日発売 発行: 幻冬舎
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