
CASE750 WHITE GATE
リビングにダウンフロアを取り入れるとちょっとした「おこもり感」が生まれ、よりリラックスできる空間に仕上がります。ダイニングと床の高さに差をつけることで、開放感とメリハリのある間取りになるのも魅力です。
ただし、取り入れ方を間違えると使い勝手が悪くなるケースもあるため、注意してください。この記事では実際の実例を交えながら、おしゃれで機能的なダウンフロアリビングをつくるためのポイントをご紹介します。
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目次
ダウンフロアとは
ダウンフロアとは、床の高さを他のエリアよりも一段低く設定したスペースのことです。段差は一般的に10~30cmほどで、空間に立体感や奥行きを持たせるために活用します。特にリビングに取り入れるケースが多く、「ダウンリビング」「サンクンリビング」「ピットリビング」などと呼ばれることもあります。
壁やパーテーションなどを使わなくても視覚的に空間を分けるゾーニングが可能になるため、近年人気を集めているデザインのひとつです。

ダウンフロアのメリット

CASE688 Transition
ダウンフロアには、次のようなメリットがあります。
・おこもり感のあるくつろげるリビングになる
・空間を緩やかに区切ることができる
・空間を広く感じさせる
・段差をベンチやテーブルとして活用できる
・段差部分に収納を設けられる
・子どものプレイスペースとしても便利
・おしゃれで個性的な空間をつくれる
それぞれのメリットについて、以下で詳しく見ていきましょう。
おこもり感のあるくつろげるリビングになる
ダウンフロアのリビングは周囲より約30cm下がった空間が生まれ、まるで秘密基地のような「おこもり感」が感じられるのが大きなメリットです。壁で仕切らないため開放感を保ちながらも、ほどよく囲まれた安心感があり、リラックスできる雰囲気を演出します。家族が自然と集まり、ゆったりと過ごせるリビングをつくりたいという方におすすめです。
空間を緩やかに区切ることができる
ダウンフロアは、段差を利用して空間を緩やかにゾーニングできるのが魅力です。例えば、LDKの中でリビング部分だけを一段下げると、ダイニングやキッチンとのつながりを保ちながらも自然にエリアを区切ることができます。
空間全体に開放感を残しつつ、生活スペースとくつろぎスペースを分けられるため、メリハリのあるLDKに仕上がりますよ。
空間を広く感じさせる
ダウンフロアは床が一段下がっているため、相対的に天井が高く感じられ、空間全体が広く見えるのもメリットのひとつです。段差によって視線の流れに変化が生まれ、空間に奥行きが加わることで、実際の面積以上の開放感を演出できます。
リビングをより広く見せたい方はもちろん、敷地面積の制約からLDKの広さに限りがある場合にもおすすめです。
段差をベンチやテーブルとして活用できる
ダウンフロアの段差部分は、ベンチやテーブルとしても活用できます。30cm前後の適度な高さがあるため、腰掛けてくつろいだり、コーヒーカップや本などを置くテーブル代わりとして使ったりと、さまざまな使い道があります。
クッションを置いておけば、椅子を用意しなくてもリラックスできる座席になるため、大人数でのホームパーティーや家族団らんの場にもぴったりです。
段差部分に収納を設けられる
ダウンフロアの段差部分に、引き出し式や開閉式の収納を造作することも可能です。収納用の家具を新たに設置する必要がなくなり、リビングをすっきりと保ったまま収納を増やせるのは大きなメリットでしょう。
段差部分に収納を設ける場合は、収納するアイテムをあらかじめ想定し、引き出しの大きさや配置を工夫するのがおすすめ。掃除道具や日用品、おもちゃなど、用途に応じた収納スペースを設けると、さらに使い勝手が向上します。
子どものプレイスペースとしても便利
ダウンフロアは、小さい子どものプレイスペースとしても便利です。仕切りがないためキッチンやダイニングからも目が届きやすく、安心して遊ばせることができます。ベビーゲートなどを設置しておけば、さらに安全性が高まりますよ。
ただし、段差がある構造上、転落するリスクもあるため注意してください。子どもが小さいうちは「ダイニング側のスペースでは遊ばせない」「移動するときは大人が付き添う」といった工夫が必要です。
おしゃれで個性的な空間をつくれる
ダウンフロアは、おしゃれで個性的なリビングをつくりたい方にもおすすめです。段差を活かした設計は一般的なフラットな間取りとは異なり、視覚的なアクセントによって新鮮でモダンな印象を与えてくれます。
また、シンプルで洗練されたモダンインテリアはもちろん、木の質感を活かした和テイストのインテリアとも相性が良く、幅広いテイストのデザインにマッチするのもダウンフロアの魅力です。

ダウンフロアのデメリット

メリットの多いダウンフロアですが、以下のようなデメリットも存在します。これらを理解したうえで、取り入れるかどうかを検討しましょう。
・ロボット掃除機が使いにくい
・段差でつまずくことがある
・床が冷えやすい
・床下の点検がしにくい
・長期優良住宅に認定されないことがある
・依頼できる住宅会社が限られる
それぞれのデメリットについて、以下で解説します。
ロボット掃除機が使いにくい
ダウンフロアの段差はロボット掃除機の移動を妨げるため、使用を考えている方は注意してください。また、掃除機を使う際も段差が手間になり、日々の掃除が少し面倒に感じられるかもしれません。
掃除の手間を軽減するために、ホコリの発生源を減らす工夫を取り入れましょう。例えば、カーテンの代わりにブラインドを設置したり、布製でなく革製のソファにしたりすると、ホコリがたまりにくくなります。
段差でつまずくことがある
赤ちゃんや小さな子ども、高齢のご家族がいる場合、ダウンフロアの段差につまづいて転倒のリスクが高まる点にも注意しましょう。
お子さんがいる家庭では、ベビーゲートなどを活用して段差に近づけないようにすると安心です。高齢のご家族がいる場合は、ダウンフロア以外のフラットな場所にもくつろげるスペースを設けておくと、より暮らしやすくなります。
また、段差部分が目立つように色やデザインに変化をもたせるなど、設計時に安全性を考慮しておくことも大切です。
床が冷えやすい
ダウンフロアは床面が下がる構造のため、地面からの底冷えを感じやすいのもデメリットのひとつ。特に冬場は冷たい空気がフロアにたまりやすく、暖房効率が悪化する可能性もあります。
こうした冷え対策としては、ダウンフロアの施工実績が豊富な住宅会社を選び、適切に断熱材を施工してもらうことが重要です。デザイン性だけでなく、断熱性能や構造面にもこだわっている住宅会社を選ぶと、より快適な住まいづくりに繋がります。
床下の点検がしにくい
ダウンフロアを取り入れると設計によっては床下部分へのアクセスが難しくなり、配管や電気配線の修理・点検がしづらくなるケースがあります。特に床下に収納を設ける場合は、その構造が障害となってメンテナンス時に手間がかかるかもしれません。
こうした事態を避けるため、設計段階で将来的な点検や修理を見越した工夫が求められます。点検口の設置や床下スペースの確保など、メンテナンス性を意識した設計を採用しておくと安心です。
長期優良住宅に認定されないことがある
ダウンフロアを採用すると、長期優良住宅の認定を受けにくくなる可能性がある点にも注意してください。長期優良住宅として認定されるには、耐震性・維持管理のしやすさ・省エネ性能など、複数の厳しい基準をクリアしなければなりません。
しかし、ダウンフロアがあることで構造が複雑になったり、点検や修繕がしにくくなったりするため、認定条件を満たせないケースがあるのです。認定を目指す場合は、設計の段階から専門家としっかり相談し、対応策を講じておく必要があります。
依頼できる住宅会社が限られる
ダウンフロアを取り入れたいと考えていても、依頼先の工務店やハウスメーカーが対応していない可能性があります。特に、ローコスト系のハウスメーカーや地元の小規模な工務店では、ダウンフロアの施工実績がないケースも少なくありません。
経験の少ない住宅会社に依頼すると、断熱性の不足による底冷えや使い勝手の悪さなど、完成後に不満や後悔が残る可能性があるため注意が必要です。ダウンフロアをはじめ、デザインや設備にこだわりたい場合は、施工実績が豊富で技術力のある住宅会社を選びましょう。

ダウンフロアのリビング実例
ここでは、フリーダムアーキテクツが手掛けたダウンフロアのリビング実例を紹介します。ダウンフロアを活用してどのような空間を実現できるのか、ぜひ参考にしてみてください。
変形地を活かした豊かな住まい

CASE592 五角形の家
変形地を五角形に見立てたユニークな住まい。敷地の形状に合わせて階段や収納部分に角度を持たせることで、空間に奥行き感を生み出しました。さらに、リビングにダウンフロアを取り入れて空間にメリハリをつけ、明るく開放感のあるくつろぎ空間を実現しています。
白の空間に創出したダウンフロアの団らんスペース

CASE750 WHITE GATE
「海に向けて最大限開かれた白くてシンプルな空間」をテーマにした週末住宅。ダウンフロアに団らんスペースを設け、アクセントにブルーのクッションを採用しました。おしゃれな赤いソファとマッチし、LDK全体に一体感と開放感をもたらしています。
リラックスできる開放感あふれるリビング

CASE688 Transition
こちらの住宅ではリビングの高さを調整し、室内とバルコニーをフラットに繋いで開放感のある空間を実現しました。リビングは吹き抜けとなっており、天井がさらに高く感じられます。吹き抜けによってリビングにいながら2階とのコミュニケーションも取りやすく、家族の一体感が感じられる間取りです。
緩やかに区切られた明るいLDK

CASE628 つみ木
こちらの実例では、バルコニーに繋がる窓だけでなくハイサイドライトやトップライトを設けることで、LDKを明るい空間に仕上げました。白と明るい色の木材で統一しつつ、段差を設けて緩やかに空間を区切り、開放感と視覚的なアクセントを演出しています。
緑に囲まれたくつろぎの空間

CASE411 軒の家
大きな窓から光が入る明るいLDKが特徴の、こちらの住宅。あえてダウンフロアをテラスより低くし、窓側にテラスと高さを合わせたベンチを配置しました。これにより、テラスとのつながりを持たせつつ、緑に囲まれたようなおこもり感のあるリビングを実現しています。
狭小地の住まいに奥行きと広がりを演出

CASE188 ロースキップハウス
こちらは、狭小地でも心地良い奥行きと広がりを生み出している実例です。斜線制限と狭小敷地の条件下ではありますが、LDKの空間に低めのダウンフロアを設けることで、空間全体に実際の面積以上の奥行きと広がりを体感できる住まいとなっています。

後悔しないダウンフロアをつくるコツ
ダウンフロアを採用する際には、次のポイントに注意しましょう。
・配置する家具を検討しておく
・必要に応じて収納を設ける
・段差を15cm程度に抑える
・寒さ対策を行う
ダウンフロア付きの家に住んだ経験がない方は特に、実際の暮らしをイメージしながら住まいづくりを進めることが重要です。後悔しないためのポイントを以下で詳しく解説するので、ぜひ参考にしてください。
配置する家具を検討しておく
ダウンフロアを採用するなら、家具の配置を事前にしっかり検討しておきましょう。段差によってソファやテーブルのレイアウトに制限が出る可能性があり、あとから位置を変えようとしても理想の配置にできないケースがあります。
お子さんの成長や独立、ご両親との同居など、ライフスタイルの変化に柔軟に対応できるよう、将来を見据えた空間設計を意識しておくのが、長く快適に暮らすためのポイントです。
必要に応じて収納を設ける
ダウンフロアを取り入れる場合は、日々の使い勝手を考慮して収納スペースを計画しましょう。収納場所が遠いと、毎回段差を越えて物を取りに行かなければなりません。
段差部分を利用したベンチ収納や、壁面にニッチやクローゼットを設けるなど、動線を意識した収納設計がおすすめです。どこに何を収納するかを事前にイメージしたうえで設計を進めると、より快適な住まいになります。
段差を15cm程度に抑える
家族構成にもよりますが、安全性を考えるとダウンフロアの段差は15cm程度に抑えるのが理想です。段差が高いほどつまずきやすく、小さなお子さんや高齢のご家族がいる場合は特に注意しなければなりません。
低い段差であれば掃除もしやすく、日々の家事負担も軽減されます。ただし、収納スペースとしての活用は難しくなるため、他の場所で十分な収納を確保できるか確認しておきましょう。可能であれば、モデルハウスなどで実際の段差を体感しておくと安心です。
寒さ対策を行う
先述の通り、ダウンフロアは冬場に底冷えしやすいため、寒さ対策も欠かせません。例えば、基礎部分に断熱材を施す基礎断熱や、床暖房、空調システムなどの導入が効果的です。
ただし、こうした設備には初期コストがかかり、メンテナンス費用も高額になる可能性があります。予算とのバランスを見ながら、無理のない範囲で快適な空間づくりを目指しましょう。

ダウンフロアにおすすめのインテリア

ダウンフロアのインテリアには、以下のようなものがおすすめです。
・ダウンフロアにフィットするローソファ
・段差部分に間接照明を入れる
床に段差が生まれるため、特に家具の高さを意識して選ぶのがポイントです。以下で、おすすめのインテリアについて詳しく見ていきましょう。
ダウンフロアにフィットするローソファ
ダウンフロアの魅力を最大限に引き出すには、ローソファやフロアソファなど、座面の低い家具を選ぶのがポイントです。高さのある家具は圧迫感があり、せっかくの開放感が損なわれてしまうかもしれません。
家具の高さを揃えると統一感のある洗練された印象を与えられるため。特にダウンフロアの段差に合わせたローソファはおすすめです。
段差部分に間接照明を入れる
ダウンフロアの段差部分に間接照明を取り入れるインテリアも人気です。柔らかな光が空間を包み込み、リラックスした雰囲気を演出します。照明の色温度や明るさを調整できるタイプなら、「夜に落ち着いた間接照明で映画を楽しむ」など、シーンに応じた雰囲気づくりができるのでおすすめです。

ダウンフロアのある暮らしをしっかりイメージしておこう
ダウンフロアは、おしゃれでリラックス感のある空間を演出できるのが魅力です。ただし、転倒のリスクや床の冷えといった注意点もあるため、実際の暮らしやすさにも目を向けて採用するかどうかを検討しましょう。
住まいづくりでは、実際の建築実例を参考にすることが大切です。フリーダムアーキテクツではダウンフロアのある住まいを多く手掛けているため、ぜひお気軽にご相談ください。
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ダウンフロアのよくある質問
ダウンフロアのよくある質問に、フリーダムアーキテクツがお答えします。
ダウンフロアにはどのような効果がありますか?
ダウンフロアは、床面が一段下がることで天井までの距離が広がり、空間を広く見せる効果があります。特にリビングに採用すると、ソファやテレビが視線よりも低い位置に配置されるため、キッチンやダイニングからの見通しが良くなり、より一層の開放感が生まれます。
床面積を増やさずに開放感を演出できるため、狭小住宅や間取りに制約のある場合でも、視覚的な広がりを実現できるのが大きな魅力です。
ダウンフロアで後悔するポイントを教えてください。
ダウンフロアで後悔しやすいポイントとして、「転倒や転落のリスクがある」「家具の配置が制限される」といった点が挙げられます。
段差があることで、特に高齢者や幼児にとっては移動時の負担や危険が増えるため、家族構成によっては適さないかもしれません。家具についても、大きなものを置きたいときやレイアウトを変更したいときに、段差が制約となって思うように配置できない可能性があります。
こうした後悔を避けるためにも、自分たちのライフスタイルや将来の変化を見据えたうえで、ダウンフロアが本当に合っているかを慎重に検討することが重要です。
ダウンフロアを言い換えると?
ダウンフロアは、英語で「サンクン(sunken)」と呼ばれることがあります。これは「沈んだ」「一段低い位置にある」といった意味を持つ言葉です。
また、その他にも「ピットリビング」「ローリビング」「ダウンリビング」など、さまざまな呼び方があります。いずれも床を一段下げた設計を指しており、住宅や設計プランによって呼び方が異なる場合があるため、これらの呼称もチェックしておきましょう。
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この記事を書いた人

FREEDOM ARCHITECTS
長谷川 稔
1971年生まれの関西出身者。情報出版会社を経て2014年よりFREEDOM株式会社へJoin。現在プロモーション担当としてフリーダムの魅力を伝えています。