
平屋はバリアフリー設計を取り入れやすく、介護にも対応しやすい住宅です。しかし、実際に家を建てる際は間取りや設備の工夫が必要で、家づくりの難易度は一般的な住宅より高いといえます。
そこで本記事では、介護しやすい間取りや建築実例、介護をしやすくするためのポイントや注意点を、分かりやすくお伝えします。
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介護しやすい平屋の間取り

こちらの間取りは、玄関から廊下を広めに確保し、車椅子や歩行器でも移動がスムーズに行えるよう配慮しています。廊下はできるだけ減らし、移動距離を短くして負担を減らしました。また、寝室の近くにトイレを配置し、夜間や介護時の移動負担を抑えた間取りです。
収納は、物の出し入れがしやすいように奥行きを浅めに設計し、さらに、ウォークインクローゼットやシューズインクローゼットを設けることで、荷物の整理がしやすくなるよう工夫しています。

介護しやすい平屋の実例
介護しやすい平屋を具体的にイメージするには、実例を見て、暮らしや介護のスタイルに合った間取りを探すのが役立ちます。ここではフリーダムアーキテクツが手掛けた平屋の実例を4つ紹介します。
実例①家の外も内も段差のない平屋

注文住宅の家づくり | CASE680寛か(くつろか)な平屋
こちらの平屋は、駐車スペースから室内まで段差がなく、車椅子でも安心して移動できます。玄関アプローチにはスロープが設置されていて、スムーズに出入りできます。
室内の廊下も広めに確保されており、車椅子の利用や介助者の動きがスムーズになります。ドアは引き戸にしたことで、開閉がしやすく、転倒のリスクを減らすように配慮しました。
実例②介護のしやすさと暮らしの楽しみを叶えた平屋

注文住宅の家づくり | CASE588涅の櫂
玄関にシューズインクローゼットを広く確保しており、車椅子を置く場所としても活用可能です。室内のドアは段差をなくしてつまずきを防止しています。浴室はガラス扉で仕切り、入浴中に何かがあってもすぐに気づくことができるため安心です。
加えて、暮らしの楽しさも大切にしており、LDKの床材や天井デザインに変化をつけています。また、ホームシアターを設置し、家族で趣味の時間を楽しめる工夫もされています。
実例③個人のライフスタイルを送れるバリアフリーの平屋

注文住宅の家づくり|CASE570 REF
車椅子の利用を考慮し、玄関は十分な広さを確保しています。室内もLDKや廊下などが段差のない設計で、つまずきや転倒のリスク、車椅子での移動時のストレスを減らすよう配慮しました。
さらに、この平屋は中心軸に長い廊下を通し、枝のように部屋を配置した間取りも魅力です。趣味や仕事を楽しむスペースや畳コーナーなど、それぞれのライフスタイルに合わせた部屋へスムーズにアクセスできます。
実例④50代で建てた洗練されたおしゃれな平屋

注文住宅の家づくり|CASE508 Slither Link
こちらは、お施主様が50代で建てた平屋です。視線が抜ける広い玄関ホールや、できるだけ物を減らして生活感を抑えた空間となっていて、スッキリとしたデザイン性の高い住居になっています。
もともとは日常から解放されるセカンドハウスとして設計されましたが、バリアフリー住宅としても利用しやすい住まいです。段差のない構造や広めの廊下、廊下の距離が短い間取りは、高齢者となっても快適に暮らせます。

介護しやすい間取りにするポイント

介護しやすい間取りにするには、以下の7つのポイントを検討するとよいでしょう。
・ドアを引き戸にする
・コンパクトな間取りにする
・回遊動線にする
・廊下や玄関などを広くする
・収納計画を入念にする
・トイレを2つにする
・車椅子からの目線を意識する
順番に詳しく解説します。
ポイント①ドアを引き戸にする
介護のしやすさを考えるなら、その場で手を動かすだけで開閉できる引き戸がおすすめです。一般的な開き戸の場合、扉を開ける際に体のバランスを崩したり、袖がドアノブに引っかかったりする恐れがあるためです。
特に「上吊り引き戸」は、扉を吊りレールで支える構造のため、床にレールが必要なく、段差が生まれません。車椅子や足元が不安な方でも安全に移動できます。
ポイント②コンパクトな間取りにする
介護しやすい平屋づくりでは、生活動線をなるべくコンパクトにまとめることが大切です。移動距離が短ければ、介護する側もされる側も負担が減り、毎日の暮らしがスムーズになります。特にLDK、寝室、トイレ、浴室など、頻繁に行き来する場所を近くに配置することで、移動の手間を減らせます。
ポイント③回遊動線にする
回遊動線とは、家の中をぐるっと回れるように行き止まりをなくした動線設計です。室内の移動がしやすくなるため、介護が必要な場合でも介助者や本人の負担を減らせます。
特に介護中は、家の中を移動する回数が増えるため、室内をスムーズに回れる動線があると便利です。回遊動線は家事をしながら子どもの様子を見守りやすく、家族とのコミュニケーションもとりやすいため、忙しい子育て世帯にも人気があります。
ポイント④廊下や玄関などを広くする
廊下や玄関を広めに設計すると、車椅子や歩行補助具を使う方も安心して移動できます。特に、玄関は外と室内をつなぐ大切な場所なので、スロープや手すり、広い開口部を設けると出入りがしやすくなります。
また、廊下は車椅子が通りやすいように幅を広くとり、距離を短くしたり、滑りにくい床材を選んだりするなどの工夫もおすすめです。
ポイント⑤収納計画を入念にする
収納計画をしっかり考えることは、介護しやすい平屋を建てるうえで大切です。高い位置や奥行きの深い収納は、特に高齢者にとって物を取り出しにくく、転倒のリスクも高まります。
また、収納をつくりすぎると、管理や整理が負担になりやすく、物を探すのも一苦労です。無理なく使える収納を適度に設け、使い勝手のよい家を目指しましょう。
ポイント⑥トイレを2つにする
介護を必要とするトイレの利用は、どうしても時間がかかるため、同居家族が利用できない場面が増えがちです。しかし、トイレを2つ設けておくと、介護と日常利用が重なってもスムーズに使えて便利です。
介護用のトイレは、車椅子での利用も考え、1.5~2帖程度を目安に設計するとよいとされています。また、トイレの位置は、寝室(介護部屋)の近くに配置すると移動が楽になるでしょう。
ポイント⑦車椅子からの目線を意識する
介護しやすい平屋の間取りにするために、車椅子での生活を考慮してスイッチやコンセントの高さや収納棚の位置を工夫しましょう。スイッチは低め(90〜100cm)、コンセントは高め(40〜45cm)に設置すると、車椅子利用者でも手が届きやすく便利です。
収納棚も手の届く位置にするか、可動式にすると、必要な物を自分で取り出しやすくなります。

介護しやすい間取りにする際の注意点

介護しやすい家づくりを進めるうえでは、以下のように、見落としやすい注意点があります。
・駐車場の広さやアプローチに配慮する
・高気密・高断熱の家にする
・予算に合わせて設計する
・バリアフリーの住宅の実績が多い会社か
対策を交えながら解説します。
注意点①駐車場の広さやアプローチに配慮する
室内の間取りや動線にばかり気をとられがちですが、外構計画も快適な暮らしに直結します。特にデイサービスや訪問介護の送迎車を利用する場合、駐車スペースを通常より広めに確保しておくと、車椅子の乗り降りがスムーズになります。
加えて、玄関までのアプローチが急勾配にならないようにスロープを設置すると、移動が楽になります。
注意点②高気密・高断熱の家にする
高気密・高断熱の平屋にすることで室内の温度差を減らし、高齢者がヒートショックを起こしにくい環境を整えられます。ヒートショックとは、急激な寒暖差で血圧が変動し、心筋梗塞や脳卒中などを引き起こす現象です。
高気密・高断熱の家なら、温度差が小さくなるため、冬場の浴室や脱衣所でも体への負担が少なく、安心して暮らせます。断熱性能を高めると、光熱費も抑えられる点もメリットです。
注意点③予算に合わせて設計する
介護しやすい平屋を建てる場合、スロープや手すり、引き戸、高気密・高断熱の仕様を加えることで、建築費用がかさむ可能性があります。一般的に、バリアフリー住宅は建築費の3~10%ほど上乗せになることもあるため、予算計画が重要です。
新築時に活用できるバリアフリー住宅向けの補助金はほとんどありませんが、省エネルギー性能の補助金や住宅ローン控除の利用は可能です。また、将来的にリフォームで補助金を受けながらバリアフリー化を進める方法もあります。どこまで対応するか、ハウスメーカーや工務店と相談して調整しましょう。
注意点④バリアフリーの住宅の実績が多い会社か
バリアフリー住宅を建てる際は、実績豊富な会社に依頼することをおすすめします。平屋では、動線や採光、風通しなど多くの要素を計画的に検討する必要があります。加えて、バリアフリー対応となると、手すりの設置場所や段差解消、開口部の広さなど、さらに細かい配慮が求められるからです。
平屋のバリアフリー住宅の実績が豊富な会社なら、介護しやすさはもちろん、普段の暮らしも快適に過ごせる家づくりの提案が受けられます。まずはホームページや作品集などで、どのような工夫をして家を建てているのか、確認しておきましょう。

高齢者は住みやすい家を建てよう
高齢者が安心して暮らせる家づくりには、介護しやすい間取りやバリアフリー設計が重要です。部屋の配置や設備など検討すべき点は多いため、早い段階からプロに相談するとよいでしょう。
フリーダムアーキテクツでは介護しやすい平屋の実績が豊富です。ご家族の要望を丁寧にヒアリングし、ライフスタイルや将来の変化などに合わせた間取りの提案を心がけているため、理想の家づくりを実現できます。土地探しからお手伝いできますので、ぜひご相談ください。
興味をお持ちの方は、まずはフリーダムアーキテクツの作品集をご覧ください。
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平屋に関するよくある質問

平屋のバリアフリー住宅を検討する際は、いろいろな疑問が浮かぶものです。ここでは、特によくある質問に回答します。
平屋をやめた方がいい理由は何ですか?
平屋には魅力的な点が多い一方で、デメリットもいくつかあります。
・建築費が2階に比べて高い
・広い敷地面積が必要
・収納や部屋数が不足する可能性がある
・採光や風通しを確保しにくい
・プライバシー性や防犯面に不安がある
・水害リスクがある
・固定資産税が高い など
これらのデメリットを理解しないまま平屋を計画すると、後悔する可能性があります。特に都市部では敷地面積の確保が難しく、土地代が高くなりやすい点は大きなハードルになるでしょう。
逆に、採光や風通し、防犯面などのデメリット面については、工夫次第で満足度の高い住まいづくりが実現できます。水害についても、ハザードマップを確認して土地を選べば、リスクを軽減できます。
平屋30坪の家はいくらくらいしますか?
平屋30坪の家の建設費の相場は約3,210万円が目安です。
2023年度の住宅金融支援機構の調査によれば、注文住宅の建設費の相場は3,861.1万円、延床面積は約36.1坪(119.5㎡)、坪単価の相場はおよそ107万円です。これらのデータをもとに、上記の建設費の目安が算出できます。
ただし、建設費だけでなく、土地代や諸費用(登記費用、保険、ローン手数料、引っ越し代など)も必要になります。また、バリアフリー設計にすることで、さらに予算がかさむでしょう。総予算を立てる際は、これらを含めてしっかりと計画しましょう。
出典:住宅金融支援機構「2023年度 フラット35利用者調査」
老後、平屋に住むなら何坪がよいですか?
夫婦2人や一人暮らしを想定して平屋を建てるなら、20〜25坪ほどの広さが人気です。
この広さなら、LDK+個室2部屋の間取りが実現できます。コンパクトなので掃除がしやすく、光熱費を抑えられる点もメリットです。
一方、ゆとりある暮らしを楽しみたい方には、30坪程度がおすすめです。3LDK以上も可能で、趣味の部屋やゲストルームを確保できます。
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この記事を書いた人

FREEDOM ARCHITECTS
長谷川 稔
1971年生まれの関西出身者。情報出版会社を経て2014年よりFREEDOM株式会社へJoin。現在プロモーション担当としてフリーダムの魅力を伝えています。