新築の注文住宅で対面キッチンにしようかを検討しているとき、キッチンのサイズについて考える必要があります。
標準サイズがあるものの、キッチンの種類によって必要なキッチンスペースのサイズが異なります。また、キッチン全体の幅だけではなく、部屋とキッチンのサイズのバランスも考慮しなければなりません。
ここでは、キッチンのサイズについてどのように決めたり、選んだりしていけば良いのかを解説します。
Contents
対面キッチンの標準的なサイズは?
対面キッチンの標準的なサイズは、製品やメーカーによる差もありますが、奥行きが70cm程度です。対面キッチンというだけではなく、ダイニングスペースのテーブルも兼ねるのであれば、100cm程度の奥行きが必要になります。
続いて長さですが、一般的なI型の対面キッチンの場合は最小サイズで165cmです。90cmや120cmといった賃貸向けやオフィス向けのコンパクトなキッチンもありますが、一戸建ての住宅にはまず採用されません。
長いものでは360cmのタイプもありますが、一般的な長さではないため、あまり流通していません。長くした場合でも大体は270cm程度に留めるため、間口の標準的なサイズとしては165cmから270cmの間だと考えると良いでしょう。
余裕を持たせて広々と使えるようなキッチンを考えるのなら、理想的なサイズとしては200cm以上が望ましいです。なお、キッチンスペースが広いからといって、比例して自動的に間口が長く設定されるわけではないことも覚えておきましょう。
最後に、シンクのサイズは80cm程度、コンロは60cmが一般的です。
キッチンのサイズが大きくなれば当然ながらキッチンの購入価格も比例して高くなります。同時に部屋のスペースもそれだけ取ることになりますから注意しておきましょう。
種類別!対面キッチンの詳しいサイズ(寸法)
一口に対面キッチンといっても、アイランドキッチン、ペニンシュラキッチン、I型キッチンなどさまざまな種類のものがあります。ここでは、対面キッチンの種類別に詳しいサイズを紹介します。
アイランドキッチン
アイランドキッチンとは、壁に面しておらず、周囲を回遊できるように設置している対面キッチンのことです。文字通り、島のように浮いている状態をイメージするとわかりやすいでしょう。回遊することが前提になるため、設置するためには比較的広いスペースが必要になります。
さらに、コンロとシンクが一列に並んだ対面Ⅰ型、シンクとコンロが2列に分かれた対面Ⅱ型に細かく分類できます。
キッチンのサイズは、横幅は240〜270cm、奥行きは75〜100cmが一般的です。主にキッチンに立つ人が1人だけであっても、最低80~90cmの通路幅も必要になります。複数人なら100~120cm前後あると良いでしょう。
ペニンシュラキッチン
キッチンの左右どちらかが壁に接しているタイプの対面キッチンをペニンシュラキッチンといいます。ちなみにペニンシュラとは「半島」という意味です。
壁からカウンターのようにキッチンがせり出しているのをイメージするとわかりやすいでしょう。先に触れた対面Ⅰ型の一種です。
横幅は180〜270cm、奥行きが75〜100cmが一般的となっています。周囲を回遊できるようにする必要はないため、アイランドキッチンに比べ、広い面積が確保できなくても設置できます。ただし、吊戸棚は設置されていないため、調理器具が多い家の場合は収納スペースの確保が必要な点に注意しましょう。
L型キッチン
L型キッチンとは、シンクとコンロがアルファベットの「L」の形のように配置されたキッチンのことです。シンクを使っていても体の向きを変えればすぐにコンロが使えるなど、作業効率が良いのが大きな特徴となっています。
L字のどちらか、もしくは両方を壁付けにするのが基本となるため、吊戸棚が設置でき、収納力も確保できるのが魅力です。ただし、コーナー部分が使いにくいため、調理家電を設置するなど使い道を考えてから導入を検討しましょう。
横幅(長辺)195〜255cm(短辺)165〜180cm、奥行きは65cmが一般的となっています。間口の規格は15センチ刻みであるため、設置する場所に併せて選びましょう。
対面キッチンを設置できる部屋のサイズは?
対面キッチンを設置するためには、適応したサイズを確保できるかどうかが重要です。キッチンの作業スペースとなる奥行きとカウンターの奥行き、さらにキッチンの前に立つ空間と背面の収納スペースも必要です。これらすべてのスペースを考えると、必要なのは約5帖分です。
カウンターの横にダイニングテーブルを設置したり、備え付けたりするとなればさらなるスペースが必要です。ダイニングスペースとしても約5帖はあるのが望ましいでしょう。
LDKとして1部屋にまとめたところに対面キッチンを採用するのであれば、必要な部屋全体の広さは最低14帖~16帖です。この条件を満たせていないと、対面キッチンを設置するのは難しいと考えたほうが良いでしょう。
広ければ広いほどゆとりのあるスペースを作れますが、その分だけ費用面の問題が浮上してきます。一方、狭いスペースに無理に対面キッチンを作ると、キッチンの使い勝手が悪くなったり、リビングダイニングの広さが取れずくつろげなくなったりしてしまいます。
新築の注文住宅に対面キッチンを置こうと考えているのなら、予算や間取りのバランスを考慮しながら、設置が可能かどうかを考えてみましょう。
対面キッチンは収納家具やカップボードのサイズも考慮が必要
対面キッチンにするのなら、収納家具の場所も想定したうえで配置しなければなりません。一般的なI型キッチンやL型キッチンの場合、上部に吊戸棚がありますが、対面キッチンの場合は吊戸棚がないのが一般的です。
メーカーによってはオプションとして付け加えたり後付けしたりできますが、追加費用が掛かってしまったり、全体的なデザインのバランスが変わってしまったりしてしまいます。せっかくの解放的な空間を演出するはずが、吊戸棚があることで閉鎖的に見えてしまうことも。リビングの様子も見づらくなってしまいます。
また、対面キッチンの場合、調理している様子だけではなく、収納スペースも丸見えになります。見映えの良さを考えつつ、収納家具の幅や奥行き、高さを選んでいきましょう。キッチンの大きさや高さとのバランスが取れた収納スペースにしておくと、キッチンのデザインのバランスは崩れなくて済みます。
おすすめは、統一性が取れた背面収納で収納を確保することです。背面収納の奥行きは平均45cm程度ですが、50cmや65cmタイプも選べます。食器や調理家電など、収納したいものの多さや家事動線をイメージして、最適なサイズを選ぶと良いでしょう。
背面収納の扉は、開き戸ではなく引き戸にしておくとより使いやすくなります。デッドスペースが少ないうえに、誰にでも開けやすく、開き具合も調整しやすいという長所があります。ただし、開き戸に比べると機密性が劣るうえに、費用もやや高めになる点に注意が必要です。
対面キッチンを設置するときに気になるサイズは?
対面キッチンを設置する場合、サイズとしてはどんな点が気になるものなのでしょうか?システムキッチン自体の横幅とキッチンが占めるスペースではどちらを重視して考えるべきなのか気になりますよね。
そこで、どちらに注意して設置するのかについてたずねてみました。
【質問】
対面キッチンを設置する際、気になるのは次のうちどちらのサイズですか?
【回答数】
システムキッチンの横幅:24
キッチンが占めるスペース:76
調査地域:全国
調査対象:年齢不問・男女
調査期間:2017年07月14日~2017年07月21日
有効回答数:100サンプル
キッチンの広さ!広過ぎても狭過ぎてもダメ?
アンケートを取ったところ「キッチンが占めるスペース」が圧倒的に多くなっていました。
・スペースを取りすぎても狭くなるので悩みます。(20代/女性/正社員)
・キッチンのスペースはできるだけ小さくしたいのですが、ダイニングから見えるとなるとあまり狭くてもおかしいと思うので悩む所です。(40代/女性/個人事業主・フリーランス)
・キッチンが広過ぎても狭過ぎても困る。ちょうど良いサイズが良い。(30代/男性/個人事業主・フリーランス)
広過ぎると部屋が狭くなってしまう、狭過ぎるとダイニングから見て違和感があるといった問題があるようですね。広過ぎても狭過ぎても困るという意見もありますし、ちょうど良いと思えるような適度な広さにはこだわるべきなのかもしれません。
次に「システムキッチンの横幅」と回答した人の理由を見てみましょう。
・シンクや調理場が横長の方が料理しやすいから。(20代/女性/正社員)
・システムキッチンの横幅が広いと、使いやすいけど、動線が長くなるから。(60代/女性/専業主婦(主夫))
「システムキッチンの横幅」と回答した人は、調理のしやすさについて言及している人が主でした。横長が調理しやすいという意見もありましたが、長過ぎるとその分だけ動線が長くなってしまうことを懸念している人もいるようですね。
システムキッチン自体の長さにしろ、キッチンのスペースにしろ、サイズが大き過ぎても小さ過ぎてもいけないと言えそうです。状況に合わせて適度なスペースを考慮しつつ、納得のできるサイズで決定すべきなのかもしれません。
対面キッチンのサイズやレイアウトを決めるときのポイント
対面キッチンを作るなら、サイズやレイアウトを決める必要があります。ポイントを外すと思った通りの仕上がりにならない、そもそも設置自体できないというトラブルが起きるので注意です。具体的なポイントについて解説します。
作業人数をイメージして通路幅を決める
対面キッチンを設置する際には通路幅を決めなくてはいけませんが、その際は作業人数をイメージしましょう。1人で調理する場合でも動線をスムーズにするためには、900mmの通路幅が最低でも必要です。
一方、2人以上で調理する場合はお互いがすれ違うだけのゆとりを持つという意味で、最低でも1,200mmほどが必要になります。今はどちらか1人だけがキッチンに立つという場合でも、将来ライフスタイルが変わるかもしれません。余力があるなら複数人で作業することを見越して、通路幅を決めましょう。
キッチンを使う人の身長や肘高を考慮して高さを決める
カウンターや作業台の天板の高さ=キッチンの高さは、使う人の身長や肘高を考慮したうえで決めましょう。背が高い人が低いキッチンで作業をするのは大変ですし、逆もまた然りです。
キッチンの高さは「(身長÷2)+5㎝」を目安に考えましょう。たとえば、身長が160cmの人であれば85cmが目安になります。これだと低いと感じる場合は「肘高-10cmから-15cm」という数字も参考にしてみましょう。
背筋を伸ばして料理したいならワークトップは高め、腕が短い場合は低めの方が使いやすいという点も参考にしてください。
ワークトライアングルを確認する
対面キッチンのサイズやレイアウトを決めるときは、ワークトライアングルも確認しましょう。これは、キッチンにおける効率的な動線を決めるための考え方のひとつで、シンク、コンロ、冷蔵庫の位置を結んでできた三角形を指します。
シンクとコンロの間が120cm~180cm、コンロと冷蔵庫の間が120cm~270cm、シンクと冷蔵庫の間が120cm~210cmとし、3辺の和が3.6m~6m程度になるのが理想的な配置です。冷蔵庫の置き場所も重要なポイントになるため、その点を踏まえてサイズやレイアウトを決めましょう。
広々と使える!対面キッチンを取り入れた建築実例
ここでは、実際に対面キッチンを取り入れたこれまでのフリーダムアーキテクツデザインによる建築実例を紹介します。レイアウトを考える際の参考にしてください。
ダイニングとつながるペニンシュラキッチン
ダイニングとつながるペニンシュラキッチンが特徴的な建築実例です。木のダイニングテーブルとコンロ・作業台・シンクが一直線に並ぶため、動線がコンパクトにまとまっています。正面の窓から縁側の様子も見え、季節に応じて変化する様子をつぶさに観察するのも楽しみになるでしょう。
また、コンロ・作業台・シンクの反対側には戸棚や引出しを配置し、収納スペースも確保しました。レンジやトースター、炊飯器など普段使うもの以外は収納できるため、すっきりとした印象を保ちながら使い続けられます。
カウンターで食事を楽しめるアイランドキッチン
CASE695 MEGAPHONE-HOUSE (メガホンハウス)
アイランドキッチンに、食事を楽しめるカウンター形式のダイニングテーブルを備えました。できたての料理もすぐに出せるので、食事も存分に楽しめます。動線がコンパクトになるうえに、おしゃれさも演出できる一石二鳥の仕上がりになりました。
また、カップボードとアイランドキッチンのデザインを統一させ、シックでまとまりのある空間を作り出しています。なお「メガホンハウス」という名前は、二方向が道路に面している台形の土地を活かし、メガホンになぞらえてデザインしたことに由来します。
家族とのコミュニケーションを取りやすいII型キッチン
コンロとシンクが別の場所になるII型キッチンの実例も紹介します。カウンターがある側にシンクがあり、別の場所にコンロがあるという配置です。別にダイニングテーブルはありますが、作り手と話をしながら食事ができるという意味で、活発にコミュニケーションを取ることができます。
こちらの事例も、戸棚や引出しの表面の色とキッチンの色を揃え、全体的にスタイリッシュにまとめました。グレー系の色を使っていますが、床がベージュ系であるため、暗くはなく、やわらかい印象に仕上がっています。
対面キッチンを設置できる十分な面積が確保できるか確認しよう
対面キッチンを置くLDKのスペースには最低でも14帖~16帖という十分に広い敷地面積が欠かせません。狭いとせっかくの対面キッチンの良さを活かせませんし、キッチンが部屋のスペースを多く占領してしまうことにもなりかねないでしょう。
対面キッチンを配置できるかだけではなく、キッチンとしての最良な奥行きや間口のサイズを考えることが重要です。収納家具のサイズも考慮しつつ、対面キッチンとして十分な広さを確保できるかどうかを確認しましょう。
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